つぶやき |
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改善案を溜めながら、アレも変更コレも変更と色々修正しなければいけません。アビィ編、あとちょっとで完結です。 もし幻の定期読者が実在する場合は、完全版にご期待ください。 = = ――時は遡り先日。場所は『日本国立天岩戸異能者専門学校』――略称『天専((あません))』。 天専というのは、具体的には学校とそれに付属する土地、施設、機関及び在学生などのもろもろすべてを含んでの天専だ。この組織は一種の独立行政機関であり、現在日本で最も大きな権力を持った独立組織である。形式的には天専は『岩戸機関』という日本政府の下部組織だったが、現在ではその役割の大きさから共存関係といえるほどにその発言力が釣り合っている。 その天専は、外部からの悪意の侵入者を極力避けるために丸々一つの『島』を所有している。その島こそが天専の総本部であり、法師たちがモノレールを使用したどり着こうとしていた場所だ。 表面積8000㎢――これは四国の半分より少しばかり小さい程度の大きさ――を誇るその島は、言うまでもなく元々そこに存在した島ではない。これは、日本の最新の科学技術によって数十年前に作られた世界初の大型人工島((ギガフロート))なのだ。 その人工島に関する驚愕の真実の数々は部外者どころか内部の人間さえもすべてを知る者は少ない。そんな場所の中でもひときわ大きな建物が存在する。それこそが天専の校舎だ。どこか古めかしくも美しい、大正時代を彷彿とさせる石造りの造形であるそれは、校舎以外の近未来的な施設と比べると浮いている。しかしその建物にはどこか重みが感じられ、周囲の建物にはない威厳を放っていた。 その建物に入るための巨大な校門の前に立っている初老の男性が一人。全身をスーツで決めて、教師というよりサラリーマンと呼んだほうがしっくりくる彼は、誰かを待つようにじっと動かなかった。 やがて時間がたち、彼はその視界に目的の人物が近づいていることをに気付く。 彼にとっては見覚えのある青年と、年端もいかぬ浅黒い肌の少女。 少女は見たことのない周囲の建物に興味半分、不安半分といった風にきょろきょろ見渡す。だが、隣を歩く青年からはぐれないようにと手だけはしっかり握り合っていた。まるで父か兄弟に甘えているようなその姿はどこか微笑ましい。 青年のほうはこちらに気付き、笑顔で手を振った。少女は見知らぬ大人である彼のことを警戒するように青年の後ろに隠れてしまったが、暫くしてその警戒を緩めたらしい。こちらに近づいてくる。 「中村先生、お久しぶりです。いやぁ、相も変わらずご健勝なようで……直接顔を合わせるのは卒業式以来ですかね?」 「そうなりますね……君も息災でなによりです。この学び舎を出てわずか二年だというのに、君たちの騒がしさがずいぶん昔のことのように思いますねぇ」 昔を懐かしむようにしみじみと語る彼――中村((なかむら))一門((いちもん))に、じじ臭いなぁ、と法師は内心で苦笑した。 天専は中・高・大のエスカレータ式であり、中村先生はその中学部で法師が特に世話になった恩師である。そもそも今の事務所のメンバーが揃ったきっかけは、彼らが入学一年目に彼の担当するクラスで知り合ったからだったりと、実は事務所設立の大きなきっかけにもなった人だ。 「梅小路くんたちの名前は……色々とよく耳にしますよ。良し悪しに関わらずというのが残念ですが、それもまぁ元気な証拠ですし」 いたずらっぽく笑う中村先生、法師は気まずそうに目線をさまよわせた。 間違いなく事務所の悪評も届いている。そう思うとかなりばつが悪い。悪評のほとんどは法師でなくその親友((悪友ともいう))たちの奇行や被害なのだが、それでも事務所長がそれを抑えきれていないのは確かである。そして、おそらくその噂の一部にBFの存在があることを考えると更にお腹がキリキリ痛くなる。 「いやー耳に痛いですね……何せ店を出すときに付いてきたのがあのメンツですから、俺ももう纏めきれなくて財政が………今日もタダ働き同然ですしねー」 「はは……まぁ、マイナスにならないだけマシだと思いなさい。校長の好意で、駅で派手にやらかしたのも町での戦闘もお咎めなしだそうです」 「助かります……」 がくりとうなだれるように肩を落とした法師の横で、アビィが中村先生の顔色を窺う。その視線に気づいた先生はにこりと微笑んだ。 「おっと、すみません。私は数年前に彼に勉学を教えていた――」 「ナカムライチモン。よくノリカズと一緒にいるのを『視た』よ」 「おっと、これは……」 中村先生は驚いた表情を見せた。彼も事前に少女がかなり高度な読心能力を持っていることは聞き及んでいたが、すでにこちらの情報を持っているとは思わなかった。法師が横から注釈する。 「先生がこっちに手を振ったときには『意識結合』で必要な情報を読み取ってたみたいです」 「なんとまぁ……この年齢で既にそこまで異能をモノにしているとは末恐ろしい……」 「………っ」 恐ろしい、というワードにアビィの体がびくりと震えた。 怯えた表情を見て法師はすぐに事態を察した。化け物、恐ろしい、などは彼女にとっては一種の禁句だ。その能力の強さゆえに周囲から人としての評価を受けなかった彼女にとってそれは最も恐れるべき拒絶の言葉に他ならない。 無論、中村先生はそのような意図で言葉を発したわけではないが、彼女の心はただそれだけでもひどく震えるのだろう。 「ん……ノリカズ、わたし……!」 ここにいてはいけないのか、と言わんばかりに涙をためたアビィの頭を優しくなでながら宥める。 「大丈夫だよ、アビィ。先生は君を怖がってるんじゃない。ただ、君の力が将来に悪いことに使われないかが不安なだけだ。そして、悪いことに使われないようにいろんなことを教えてくれるのが、あの先生の仕事なんだよ?」 「いろんなことを……?普通になるためのことも?」 「もちろんさ。だからアビィも怖がらないで、さっき言ったとおりに口に出してごらん?」 不安は全て拭い切れないのか、アビィはまだその目に不安を色濃く残していた。だが、一度目をつぶった彼女は大きく息を吸い、はき出し、改めて法師の手を強く握った。心細さを紛らわしてあげるように、優しく握り返した。 「………ん」 こくんと頷いたアビィは、相変わらず片方の手を法師と繋げたままに中村先生の方へ向かう。 ここに至るまでの様々な障害は、法師たちの助力によって見事乗り越えた。だが、法師はこの一言だけは彼女が直接やるべきだと思う。彼女は自らこの道を求めたのだ。そのための助力はもちろんするが、その決断は彼女にゆだねられるべきだろう。 緊張からか、アビィの手のひらは既に手汗で湿っていた。その小さな手から彼女の心情が伝わってくる。だが、目を見れば恐怖を押し返すほどの覚悟が見て取れた。 やがて、彼女は意を決して声を張り上げた。 「……あ、あのっ!!私、この学校に入学したいです!!私が知らないいろんな世界のことを、教えてくださいっ!!」 それが彼女にとっての精一杯。頭を下げるなどの礼儀など習ったこともないアビィの、能力を介在しない口からのお願い。 それを静かに聞き届けた中村先生は、朗らかに微笑んだ。 「我らが『天岩戸専門学校』は、ベルガーであれば何人((なんびと))であろうと決して拒みません。――ようこそ、アビィちゃん。わが校は君の入学希望を快く受け入れます」 天岩戸専門学校の最も重視する指針。それは――『異能者((ベルガー))であるからという理由をもって教育を受けられない人間がいることはあってはならない』、である。 |
今日は手伝いで山に登ってリアルのうりんしてました。ちなみにやったのはシイタケのコマ打ちという作業です。丸太に穴をあけて、そこにシイタケの菌糸がついた木の杭を打ち込むんです。雨が降る中で道具やらなにやら抱えて朝から山登りです。 丸太って重いですよね。私が抱えたのは切り出しを行ってから1か月ほど干してたのでだいぶ水分飛んでましたが、それでも多分重いものだと100キロ近くあったんじゃねえかと思います。あまりにも重かったので休憩時間の昼ご飯の際に手が震えるほどほど疲れてしまいました。筋肉痛確定ルートです。うちの山、あまり手入れしてないのとイノシシやシカが増えたのでどんどん山道が荒れてまして悪路もきつい……ってそんな話はまぁいいんですよ。 問題はですね、PCに向ける手が痛くて執筆があんまりできなくなっちゃうことですよ。 今日明日は何もできないかもしれません。あーあ、治癒魔法か治癒系能力が欲しい。あれって虫刺されとかにも効くのかな? 我が家はしいたけだけは食べるのに困りません。昨日はしいたけの天ぷら(塩を振るのが美味)、おとといはしいたけのステーキ(バターと醤油は鉄板)、汁物にはしいたけが入るのがデフォ……いわゆるしいたけ貴族です。 しいたけは味だけなら松茸以上の旨味成分を含んでますしね。(というか松茸は香りだけで味のほうはあんまり……) 虫刺されには解毒も必要なのではと考えてしまいましたw そして眼精疲労にも効く治癒系能力が欲しいデス。この痛みって眠れなくなるんですよね……。 まぁそんなことは置いといて、椎茸美味しいですよね!! |
弓矢で太陽を9個破壊した羿(げい)とかいう伝説的アーチャーがいたらしいです。ただしすごく薄幸だったようですが。中国神話では太陽は神様の子供という扱いなんですね。 ※ ※ ※ 彼女は7歳の頃には既にベルガーとして覚醒していた。 ――普通のベルガーは10歳前後が覚醒のタイミングであるにもかかわらず。 彼女は9歳の頃には既に世界でも数えるほどしかいない能力強度3に達していた。 ――世界には3どころか、2に踏み入ることも出来ないままのベルガーなど大勢いるのに。 彼女は15歳の頃には自分の能力を成長させることを止めていた。 ――既に、彼女に勝利できるベルガーなど存在しないに等しかったから。 そして今、彼女はお金と結果を得るために個人経営の何でも屋で力を振るっている。 あらゆる誘いを「面倒だ」と切り捨て、あらゆる厄介事をその力で押しのけて、彼女は今ここにいる。 他人にとっては違っていても、彼女にとってはただそれだけの話だった。強いて言うならば、その職場に金とも地位とも名声とも違う「何か」を見出したからだろう。 「これはあくまで法師の手伝いだからアンタたちの悪行につべこべ言う気はないけど……追うならアタシの裏をかいて見せなさい」 場を支配するような少女の眼光が身を竦ませた。 洪水より頭一つ以上は小さいその小柄な体躯から発される威圧感の何と大きなことか。 彼女の背中から紅蓮の炎が立ち上り、蛇のようにうねりながら彼女の背後で橙色の球体を形成。まるで地上に出現したそれを背負っている姿は太陽の化身にさえ思えた。 中国神話では、十あった太陽のうち九つを弓の名手がうち落とし、今の太陽が残ったとされている。だが――ああ、先人は何という思い違いをしたのだろうか。 太陽とは、人が何とかしようなどと考えてはいけない程に雄大で、抵抗の如何などという人間的な視点で語れるような次元の存在ではなかったのだ。 上方をモノレールが通過する。そのことに気付いているが、体は一寸たりとも動かなかった。 洪水にとってもしも唯一幸運なことがあったとしたら、それは彼が感じた「格の違い」が、「虎顎の誇り」を上回っていた事だろう。もしも彼が無謀にもこれ以上彼女に抵抗しようとすれば、彼は夏の炎に寄せられた虫のように無意味に焼尽していただろうから。 永遠とも思える刻が、洪水の中で流れた。 かいた汗すらも蒸発させるその熱量に、指一つ動かせなかった。 洪水では、地上の太陽には勝てない。 やがて、少女は疲れたように溜息をつくと、振り返って呟く。 「さて、法師たちはもう天専に着いた頃だと思うからもう動いていいわよ?」 「ッ!!かはっ!はぁ……はぁ……」 そこに至って洪水は漸く自分が呼吸を止めていた事に気付き、肺に酸素を送り込んだ。既に場を支配する熱は風に乗って霧散し、潮の臭いを含んだ空気が肺を満たす。 ――動けなかった。虎顎エージェントの、この僕が。 師父の為なら命をも捧げると誓った僕が、たった一人のベルガーを退ける事を完全に放棄し、ただ無意味に目標を見送った。湧き上がる屈辱が身を焦がす。 誇りを掲げながらも全うできなかった屈辱。自身が完全なる敗北を喫した屈辱。仲間に想いを託されながらも何もできなかった屈辱。師父の求める理想を実現できなかった、屈辱。その屈辱がたった一つの事実を告げていた。 敗北と、任務の失敗。 それをもたらした少女は、何でもないように方向を変えて既にその場を遠ざかろうとしている。 洪水はその背中に、何一つ声をかける事が出来なかった。 「……………任務、失敗。撤退する」 手のひらに爪が突き刺さるほどに握りしめられた拳を下げ、洪水は逃げた。 二度と忘れることのできない屈辱と、おのれの未熟を胸に秘めながら。 = = 翌日、警視庁異能課―― 「かーっ……くたびれ損の骨折り儲けたぁまさにこの事だっつーの!」 後始末の書類に追われながら、大蔵警部はヒステリックな悲鳴を上げた。 結局、虎顎の幹部他エージェントの大半は既にあの会社を離れ、確保は出来なかった。異能課はあくまで証拠集めが目的だったので追跡には参加していなかったが、公安五課がトチったせいで大手柄にはならず、ただ単にやりたい放題やられただけに終わった。 株式会社ボーンラッシュが虎顎の設立した会社であったことを知っていた者は殆どおらず、知っている連中も見捨てられた末端で事実上の収穫はゼロ。一応は人体実験の証拠を確保したものの、御上からの圧力がかかって一般に公開するのを止められた。 それもそうだろう。日本国内で海外マフィアが人体実験を行っていたなど社会に公表できるわけがなく、しかも逃げられた上に証拠品も雀の涙となれば、世間から批難の声が上がるのは必至だ。 当然ながら部下には散々愚痴をぶつけられたが、それ以上につらい思いをしていたのは大蔵だ。 公安五課の隊長からはネチネチとした嫌味を受け取り、上層部の方々からは「何処から情報を取り入れたかは知らないが、公安と対立するような真似をして足の引っ張り合いなど言語道断」とこっぴどくしかられ、手柄はない癖に始末書は書かされるという完全な空回りに終わるという現状に至っている。 しかも町中にも虎顎らしきベルガーが出ていたせいで別の課からも相当責め立てられた。 尤もそれに関しては「高価な対ベルガー装備のために豊富な血税を貰い受けている各々方に手助けは不要と判断した」と嫌味を言い返してやったのだが。異能課を貶めて今までどれだけ予算を増やしたのかは知らないが、顔を真っ赤にして唇を震わせながら帰っていく様は見物だった。 ただし、全くの無駄足だったという訳でもない。 少なくとも、虎顎の脅威が日本にとうの昔に及んでいたという事実は少なからず警察に緊張を走らせた。末端の連中から国内での具体的な密入国、物資輸送ルートの情報も聞けたし、公安への牽制にはなった。 それに、法師を通してではあるが天専に貸しを作ったのは大きい。いずれカードとして使えることになるだろう。大蔵は転んでもただでは起きない男。転んだふりして拾えるものは拾っているのだ。 そんな自分の上司のせせら笑いを見て、部下の玉木と水無月はひそひそ会話する。 (隊長、わるーい顔してるでシ。今度はどんな悪巧みしてるんでシかね?) (上司としては頼もしくもあるが……カズ坊に悪い癖が移ったら嫌だな) 今日も異能課は大忙しだ。 |
久々に長ーい話。 前に話したかどうかは忘れましたが、私はONE PIECE大好き人間です。あれは凄い漫画ですよね。もう読み始めて数年経ちますが、今読み直してもやっぱり面白いです。作者の尾田っち曰く、「昔の自分が読んでも面白い内容にしてる」という拘りかたをしているらしいので見事と言わざるをえません。 で、何でまた突然マイナー好きの私がONE PIECEなんてメジャーなものを取り出したのかというと、どっかのサイトで誰かさんが「ルフィは正義に拘り、正義を行っている」とか書いてたんですよ。で、そこがONE PIECEが一部で賛否の分かれている所だとか。 なんか、ものすごくしっくりこない理論でした。実際には別の話をするための例としてそんな事を挙げていたのですが、なんかこの正義論の上げ方は不自然というか、白ご飯に生クリームとチョコをちりばめたようなミスマッチ。あーこの人はそんなにワンピ読んでないのかなーって思ってしまいました。 言いたいことは分かるんですよ。ルフィは嫌な奴とか真剣に生きてる人を馬鹿にするような連中が大嫌いですし、その判断基準の事を言っているんだなというのは。その人の記事の中でも「仲間と感じた人間には優しいが、敵と判断した相手には容赦がない」とか「そこに明確な線を引いている」そんなことを書いてました。つまり行く先々で仲良くなる人は「仲間」で、それに手を出す輩が「敵」なんだ、そしてそれを区別しているのがルフィの「正義」だ、ということですね。 でも、ルフィはいつかこんなことを言ってました。 「この海で一番自由な奴が海賊王だ!」、と。 ルフィーの行動原理は正義などという明確な区分の存在するものではないと、その時思ったのです。 ルフィは、ワンピ世界における海賊を「自由」の象徴だと考えてる、と私は思います。 海賊だから法律とか守らないし海軍の邪魔だってする。内政干渉も不法侵入もすれば、気に入らない奴をボコボコにもする。一見するとこれはとんでもない独善で無秩序です。やりたい放題の正に犯罪者。これでやってる本人が「これが正義だ!」などと言ってたら流石に誰でも違和感を覚えると思います。 でもルフィの言いたい自由っていうのはそういうものじゃないと思うんですよね。 人には沢山の気に入っている物と気に入らないものがあって、それを守るのにも倒すのにも多くの障害があります。その障害を自己責任で乗り越えて良いのがあの世界の海賊であって、どこまでも自分のやりたいところまで、手が届く範囲までやれる存在を指示しているんです。でもそれは逆を言えば本来の善良な市民として守られているエリアを超えている訳ですから、敵だらけの危険だらけになり得ます……というか、なります。 つまりルフィはそんな領域に飛び込んでまでして仲間を探したり冒険したりしたかった、その内なる欲求をどこまでも追求したかったということです。 要するに、ルフィ達はどこまでも自分の欲望に忠実なんです。それは正義とか悪という二元論で説明しきれない部分であって、後の判断も結果もすべて自己満足。正しい正しくないなんてことを彼はきっと考えてません。やりたいようにやって自分の信念を追求している、何所までも海賊らしい無法者なのです。 こうするべき、ではなくこうしたい、という欲望。 それが正義と信念の境目なのか。 私の考えが正しければ、正義という概念は悪が存在しないと成り立ちません。あのやなせたかし先生も「悪と正義は共存関係」だと生前語っていたそうです。つまり正義という言葉を使う人は、自分の中で許容しがたい存在を悪という形式に仕立て上げたい、そして悪は悪で正義を許容しないという対立関係においてこそ正義という概念が意味を成すのです。だから正義とそれをぶつける悪を欲さなければ、それは当人同士の信念と信念がぶつかり合っているだけのこと。信念は悪がなくとも成り立つのです。 えっと、ややこしいんですけど、つまり正義と悪っていうのは世界を二分するんです。例えその間に歪なとことや噛みあわない所があっても強引にまとめあげられて勝手に区分される。けど、信念と信念だと世界はもう目に見えないくらいバラバラに分割されるんです。ルフィはその分割された中の一粒であることを知っているから正義なんて言葉は使いません。その代りに使ったのが自由です。良い事も悪いことも楽しんでの海賊です。ある意味、善悪の彼岸を越えているんです。 だから私はその場でルフィが正義を持っているという意見がしっくりこなかったんだと思います。多分、ルフィは自分の信念を勝手に「正義」に当てはめられたら嫌だと思うから。だから勝手にそれを正義にしないで欲しいな、という思いだったのだと今になって思います 正義と言えば、同じく好きな作品「鋼の錬金術師」よりグリードというキャラがこんな理論を唱えてました。 要約すると、守りたいのも欲しいのも何かを欲する心とはつまり願いと同一で、欲望と願いには本質的に違いはない。だから欲に良いも悪いもない。人間の道徳倫理はそれに格付けしてるだけだ……ということです。 個人的に、正義という言葉の説明を行う上でこれ以上しっくりくるものを知りません。 正義と信念というのは、本質だけを見れば同じ意味かもしれない。 正義と信念は両方とも言葉として宗教・大衆的な意味を成すことが多いですが、ランクを落としていけば個人の主義主張まで範囲が狭まるはずです。 正義の所在は他人に決める事の出来ない絶対不可侵領域、つまり正義はたった一つ。それは自分の心にしか決められないし適応されないのです。他人の行動を正義という言葉で飾るのは、私はあまり感心しません。 |
やったぁ短編書き終ったぁ。これで暇つぶしが出来るぞー。 あ、ちなみに凄い今更ですが前回と前々回に登場したナガト八式を開発したリベルラ社の名前の由来はリベルラ=ラテン語でトンボ=ヤンマーだったりします。 ※ ※ ※ 「ナガト八式から下りた時には既にすり替わっていたのさ。馬鹿が見る豚のケツ、という奴だ」 虎顎エージェント3人は断続的なテレポートでモノレール乗り場を目指していた。 当然ながら3人は法師が分身又はそれに類する能力を持っていることは予想していた。だが、モノレール駅の乗り場を目指していることは状況からして自明の理。しかもそこに至る道は一本道。故に移動ルートは一本に限られ、分身を使っても意味はないと3人は踏んでいた。 仮に分身されたところで、念動力を使ってまとめて捕まえることは十分に可能だったため、その可能性は完全に排除していた。 が、この一刻を争う事態を前に彼らは、先入観から来る致命的な勘違いを冒していた。 これが言うのも馬鹿らしいほど馬鹿馬鹿しいカン違いで、もしこれが地元民ならドジな奴だと鼻で笑われる程度の物なのだが――そもそもホーム入り口から見て手前のモノレールは天専とは逆方向行きなのだ。 加えるなら、手前のモノレールは法師が万が一反対のホームまで向かう余裕がなかった時の為の逃走手段として一計を案じたものだったりする。予め天専に連絡を送って無理を言ってモノレール二本をキープさせてもらったのだ。 本当ならアビィを保護するための護衛なりを送って欲しかったが、残念ながら虎顎の動きが早すぎて間に合わなかった。保険、兼フェイク、+囮の三つを重ねた作戦は、結果論的ではあるが上手くいったらしい。 時系列を整理すると以下の通りだ。 ナガト八式を降りた法師とアビィは、すぐさま同時存在(バイロケーション)で囮を作成した。 まだ追手が来ていないことを見た法師は、自らはアビィを抱っこして先行し、時間差でBFを移動させることにした。これによって後から来た追手はBFの事をたった今出てきた本人だと誤認する。 仮に偽物だと見破られたならBFに少しでも時間稼ぎをさせ、ばれてないならばそのまま本物のふりをさせる。そうしてBFと連絡を取りつつ時間的な余裕がありそうだと判断した法師はそのまま天専行きのモノレールまで回り込み、その間自分たちの存在が露呈しないようにBFが全力の抵抗を試みた、という訳だ。 ちなみに同時存在の能力は、実は本物の持ち物までコピーすることが出来る。霊素銃はそのコピー品だ。……というか、それが出来なかったら法師はただの全裸製造機になってしまうのだが。 相手が空間転移持ちということで内心かなり肝を冷やした法師だったが、結果として彼の采配は見事に勝利を導いた。最早あの三人組には本物を追う余力もなければ、追う方法も無くなった。 「さて、些かあっけない幕切れだが、これで王手のようだ」 BFが、敗者となった3人に冷たく言い放つ。地面に座り込んだ3人は、小声でぼそぼそと喋っては乾いた笑を漏らした。 「王手か……くく、そうだな。王手だよ」 「そうさな。もうどうしようもあるまいて……ふふふ、ふ」 「あーあ。行っちまったなぁ」 その声に、BFはふと違和感を覚えた。 声色に感情が籠っていない。落胆やショックが妙に薄く、むしろ言ってしまいたくてしょうがない事実を告げるのにもったいぶっているような――そう考えた刹那、3人がにやにやと歪んだ笑みを浮かべた。 「海の上で鉄の箱に閉じ込められちゃってまぁ………これで腕利きの水流操作系ベルガーにでも当たったら、もう助からねえなぁ!!」 「ッ!!まさか、橋にいたベルガー!?」 大規模な海水操作を行い、後の連絡でティアが取り逃がしてしまった男――洪水。 まさか、とBFは思考を巡らせた。 ティアのとの戦いの後に逃亡したのは、場合によっては直接モノレールを抑えるため。 つまりたった今発進したモノレールの進行通路下には――最新型モノレールでさえ容易に停止させるだけの質量の水を操るベルガーが待ち伏せしている。 そのことに気付いたBFはしまったと言わんばかりに額に手を当てる。 「あぁ……なんという事を……」 「あの男は分身しか能がない。洪水とは最悪の相性だろう」 「それにモノレールは密閉空間。お得意のさかしい知恵も役立たん」 「というわけで――確かに王手だよ。俺達の、な」 3人は勝ち誇った表情でそう告げた。 ――のだが。 「余計な事を……そんな事をしたら、オリジナルは『あいつ』を頼らなければならないじゃないか!何故わざわざ藪をつついた!?お前の仲間、下手をすれば死ぬぞ!?」 「「「………はい?」」」 彼ら3人は全く知る余地がなかったのだが、実は法師がダメもとで連絡を送った事務所のメンバーの中に、一人だけたった今からモノレール襲撃を防ぐことのできる人間が存在したのだ。 衛に並ぶ事務所の金食い虫にして、余りに強力過ぎる力の所為で周囲に甚大な被害を及ぼす『炎壊の姫君(プリンセス)』が。 = = 洪水は、勝った気でいた。 仲間は素体の確保に失敗したものの、自分はあのティアというベルガーを振り切って先回りに成功している。そして万全に整った舞台で、会場を往くモノレールを完全に無力化して素早く素体を攫う算段まで済ませた。 相手が何者であれ、水場で自分に勝てる相手など存在しない。 水を操るエージェントとしての絶対の自信にして、自らのアイデンティティの一つとさえ言える勝算。兄の大風と双対を為す者としての矜持が、絶対の自信を抱かせていた。 イメージ通りに水を展開した。 モノレールを目視で確認した。 そして、勝利を確信した。 周辺に自分を妨害する存在はいない。船も、ベルガーも。仮に妨害を仕掛けてくるベルガーがいたとして、今の自分には逆立ちしても勝利はあり得ない、と。 その絶対の自信は―― 「ふぅん、水遊びがお得意な訳ね。……まぁ、私から言わせればそれだけだけど」 突如空から飛来した一人の幼い少女によってあっさりと阻まれた。 足や腰からジェット噴射のような炎を噴きだして宙を浮くその少女は、モノレールに向かい筈だった数十トンにも及ぶ水を、瞬時に消滅させた。そして告げた――お前のそれは児戯でしかないと。 消滅――いや、違う。 「熱……?」 魘されるように洪水は呟いた。先ほど操った水流は跡形もなく消えたように見えたが、もしそれが超高温に晒されたことで瞬時に蒸発したのだとしたら。 少女の周りを紅蓮の炎が舞っている。その炎から発される熱が、洪水の皮膚を加熱させ、海面を急激に蒸発させている。身体ごと焼けてしまうのではないかとさえ思える猛烈な熱に、洪水の喉が干上がる。 「まさか………蒸発させたのか!?あの質量の海水を、あの速度で!?馬鹿な……そんな熱量を発生させ、あまつさえ飛行するベルガーなど聞いたことがないッ!!」 現実から逃避するかのごとく叫んだ洪水の――己の存在意義とさえいえる水の操作を唯の熱だけで無力化された哀れなベルガーの叫びに、少女はつまらなそうに答える。 「そぉ?アタシは9歳の頃にはそれくらい出来たけど。チョウチョ結びよりは簡単な事よ」 |
「新説イジメラレっ子論」第一話、第二話を投稿しました。 これから一日一話ペースで投稿し、十話で完結と相成ります。 さほど手の込んだ物でもございませんし少々暗い話ではございますが、読んでいただければ有り難いです。 |
すいません、ミスで新作の第四話だけ公開されちゃいました。 今日の7時くらいに一話公開の予定なのでそれまで待ってください。 追記: 待てといったのにフライングでお気に入り登録してるせっかちさんが…… |
あとちょっとで短編書き終りそう。しかし……10話縛りなのに回収できてない話や説明しきれてないキャラがちらほら。これはいろいろと加筆する必要がありそうな出来栄えです。このままでは当初予定していた5万字以内どころか7万文字くらいに……(既に5万字はとっくにオーバーしてますが) 極論を言ってしまえば外伝という形で後から補完することも可能な訳ですが、私的にはそれやると短編作品として美しくないですよね。後から読んで納得とかそんな言い訳がましい形式にするくらいなら本筋で一通り回収しておくのが本来の筋という物でしょう。時と場合にも寄りますが。 |
キャラクター同士を会話させるときっていつも妙に気を使います。割としゃべらせていたいんですけど、物語の進行を考えると程よい所で切っておく必要があるし、逆にどう話を繋げていくか悩んだり。 ※ ※ ※ 「に……逃げろぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!!」 直後、蜘蛛の子を散らすように逃走した三人の後ろにあったモノレール駅に鉄の巨人が轟音を立てて突入した。 「ワーハハハハ!馬鹿め、日本男児たるものが二脚重機の運転免許を持ってないと思ったか!!」 モノレール駅はそれなりに大きな駅で店舗などもいくらかあるが、基本的には入り口から改札までは直通だ。天井の高さが約6メートルとそのまま入るには足りないが、この「ナガト八式」は二脚重機の中でも珍しく脚部にラピッドホイールという移動用タイヤが内蔵されているため、上手く姿勢を取ればギリギリで突入可能だと踏んでの行動だった。 若干天井を擦ってはいるものの、目論見通りだった。駅内部には非ベルガーの武装兵がいたようだが、残念な事にナガト八式の速度と装甲に対抗できるはずもない。皆が皆、悲鳴を上げて進路から飛び退いた。 土木作業用に発売されてはいるが、最早これは一種の兵器である。 後で色々と言われるかもしれないが、まぁその時はテロリストの所為にすればいいだろう。 「車よりも全然見える景色が違うんだ!不思議!」 「公道を乗り回せないのが残念でしょうがないな!わは、わはは!!運転するの1年ぶりだけど!」 「一年前は何で運転したの?」 「事務所の資金か完全に底を尽きたから土木のパートアルバイトだ!意味はまた今度教える!」 しかし運が良かった、と法師は苦笑いした。 工事現場に置きっぱなしにされていた作業用重機の中に悠然とたたずんでいたこの重機がなければ、もっと苦戦する羽目になっただろう。ちなみに良い子には教えられない方法で操縦席を空け良い子には教えられない方法でキー無しにエンジンを起動させたので、法的には完全に泥棒である。 だが大丈夫。その罪を帳消しにする方法はいろいろと考えているからだ。 改札までやってきた法師は、二脚重機のアームを巧みに操って改札を叩き壊してホーム内に侵入する。本来は防犯用の進路妨害システムが存在するのだが、今回は予め無茶をする旨をBFを通して天専に伝えてあるので壊しても問題ない。 「あれに乗れば後は天専へ一直線だ!舌を噛まないように口を閉じててくれよ!」 「う、うん!」 モノレールは最低限の人員を残して後は全てオートメションになっている。その懸垂式モノレールがドアを開放した状態で二人を待っていた。操縦席のハッチを空け、アビィを抱っこした俺はそのまま飛びだして、モノレールに走る。 あとほんの十数メートルだ。 が、相手はそれで終わるほど諦めの良い相手ではなかった。 背後でアイテールが不自然に収束している事に感づいた法師は咄嗟に背後を向いた。その瞬間、、収束したアイテールが空間を歪め、その中から何かが実体化する。 「テレポートアウト!……いたぞ、素体だ!」 「おのれ、先ほどはよくもやってくれたな……!」 「我ら三人の本当の力、見せてやろう!」 「む、空間転移(テレポート)持ちだったのか……」 入り口付近にたむろしていた虎顎の刺客がもう追い付いてくるとは流石に予想外だ。 しかも、考えうる限り最も相手にいてほしくなかった空間転移ベルガー。そう判断するなり、法師の行動は早かった。 アビィを素早く片手抱えにし、開いた手を霊素銃へ。 既にアイテールの充填を終了させてあるそれを腰だめに発砲。発砲の反応で浮いた銃身のまま更にもう一発。 両方とも狙いを定めてから放つまでにかかった時間は0,1秒以下。 これで狙い撃ちならば恐るべき早撃ちだったのだろう。 だが、その一瞬の間に3人は既に銃の射線上を離れて法師たちを拘束しようと動き出していた。 初弾は壁に命中し、もう一発は天井部分に。これでは取り敢えず牽制に撃っただけに過ぎず、その程度のこけおどしは3人に通用しない。 「ハッ!当たるかそんないい加減な射撃!さあ、我が念動力で拘束してくれる!」 彼女の念動力が浮かせることのできる最大重量は10トンを超える。ナガト八式は重量と不意打ちの驚きで対応し損ねたが、この至近距離で外すほどに彼女は間抜けではない。地から足を離してしまえば、ただ分身するだけが能のベルガーなどどうとでも料理できる。 意識を素体と法師に集中させ――ようとした瞬間、念動力エージェントに予想だにしなかった禍が降りかかった。 突如、天井から凄まじい水圧の水が噴射された。 「ぶわぁっ!?あぶぶぶぶぶ!?」 水は器用に彼女の顔面に直撃し、使用する筈だった念動力は集中力を保てずに力を霧散させた。 天井に放たれた霊素銃の射撃。それが、天井のスプリンクラーを吹き飛ばしていた。折角の出番が台無しになった念動力エージェントは何が起きたのか分からずびしょ濡れにされた。 「ならば、私がっ!!」 もう一人の女エージェント。未だに何の能力なのかを明かしていない彼女の能力が炸裂する――前に、ジリリリリリリリリリリ!!!という強烈なベルが響き渡った。 「うぁッ!?ぐ、なんて音……!!」 余りの煩さに耳を塞いだことで、使うはずだった異能が霧散。あっさりと無力化された。 最初の一発が、火災報知機のボタンを撃ち抜いていたのだ。つまり、あの2発両方が相手を一時的に無力化するための作戦。だが、そんな2人の間抜けのカバーをするために、空間転移エージェントは既に2人の背後に回り込んでいた。 丁度モノレールの出入り口との間を遮る位置になったことで、法師たちの退路が断たれる。 「西部のガンマン気取りもそこまでにしてもらうぜ」 「しまっ……!」 彼の手に持ったスタンガンが、弾丸のような速度で法師の首筋に叩きこまれる――その瞬間。 『モノレールが発進します。危険ですから、白線の外へお下がりください』 「ふう、間に合ったな」 「モノレールって、あのぐるぐる回るの付いてないんだ。なんだか不思議」 「ああ、タイヤの事か?いや、パッと見には見えないだけでちゃんとついてるよ」 反対側のホームから、極めて呑気な会話が聞こえてきた。 「………へ?」 後ろを向くと、反対ホームには素体ことアビィと仲良し子好しで手を繋ぎながらモノレールに乗り込んだ法師の姿。 ビー、と鳴るブザー。 発進するモノレール。 何が起きているのか分からずに、さっきまで目の前にいた法師の方を見てみると―― 「……至極残念なことに、本物は駅の別の通路を通って天専行きのモノレールに辿り着いたよ。試しに空間転移で追い縋ってみるかね?」 空間転移は座標指定を行うことで任意の場所へ移動する。つまり、高速移動するモノレールの内部にテレポート・アウトすることは不可能と言っていい。 やや遅れて、自分たちが同時存在(バイロケーション)による分身に見事に踊らされていた事に気付いた3人は、怒りやら情けないならでその場に崩れ落ちた。 既にアイテールとして崩れ落ちつつあるBFは、喋らないアビィのBFを抱えたままウィンクした。 「ナガト八式から下りた時には既にすり替わっていたのさ。馬鹿が見る豚のケツ、という奴だ」 |
ステータス公開が流行っているらしいがそんな流れとこれは一切関係ありません。 おお、結構大詰めの所まで来てますね。そろそろアビィ編終了です。 ※ ※ ※ 法師とアビィの目指すモノレール駅には、既に虎顎のメンバーと思しき人物がいた。 先に町中にばら撒いておいたBFが彼等の様子を分析した結果、そう結論付けたのだ。男が一人に女が二人。なお、アイテールの塊であるBFはその後彼らに発見されて既に霧散している。 「ちっ……結局回り込まれてるんだからやってられないよな。さぁて、どう切り抜けるか……」 車を乗り捨てアビィの手を取りながら駅前までたどり着いた法師は、建物の隙間から様子を見て舌打ちする。駅の内部までは見えないが、あそこは事実上の無人駅でこの時間帯は利用者も殆どいない。割と喧嘩をするにはもってこいの場所だ。 だが、数にして三対一だ。アビィを守らなければいけないというハンデを考えれば実際にはさらに難易度は上昇する。加えて相手は恐らく手練れ。まともにやり合っては自殺行為だった。 「ノリカズ……」 「そんな顔するなよ、アビィ。何とかするさ」 不安を隠しきれない顔で見上げてきた彼女の頭を優しく撫で、改めて作戦を練る。 (BFを大量生産して特攻させるって手もあるが、相手のベルガーが広域を攻撃できるとしたらこの見晴らしのいい場所では的になる。数だって俺の体力的に制限はあるから、これは駄目だな) 付け加えるなら勿論生身で特攻するのも駄目。もっとも建設的なのは仲間に助けてもらう事だが、ティアを待つには距離が離れすぎているし、衛に至ってはまだ戦っているかもしれない。約一名間に合わないでもなさそうな奴がいるが、ものをぶっ壊すのが専門みたいなやつなので出来れば頼りたくない。 なにより時間がない。既に法師とアビィが橋を突破したことは相手側に知られているのだ。このまま手をこまねいていると、今に虎顎の連中が押し寄せてくるに決まっている。 (警察……も、アテにできない。所持品は小物と霊素銃のみ。アビィの能力を利用すれば突破も可能かもしれないが……今の彼女にぶっつけ本番でやらせると、下手をすれば俺も巻き込まれる。不確定要素が大きい) もやもやと考えながら周囲に何か使える物がないかを探した法師は、そこであるものを発見した。 「待てよ……そうかアレなら突破できるかもしれない!」 その乗り物――少なくともアビィは初めて目撃するそれ。 鉄の外装を実に纏い二本の足で大地に立つ――今や二本の工事現場の主役であるアイツが。 「よっしゃ!アビィ、車より面白いものに乗せてやる!付いて来い!」 「ノリカズひょっとしてあれを動かせるの!?乗りたい乗りたい!早く~!」 まるで遊園地で物珍しいアトラクションを見つけた様に、2人はそれに乗り込んだ。 = = 「来ないな」 「暇だ」 「ならトランプでもするか?」 「それは駄目だ」 「それは却下」 「あ、さいですか……」 軽いジョークのつもりで言った男性は、他二名の女性の女性からの圧倒的な真面目発言にあっさり引き下がった。 「しかし、そろそろ来てもいい頃なんだがな。さっさと来ねえかなー」 「来れば私の念動力で自由を奪えるのに」 「自由を奪えれば私の力で視界も奪えるのに」 「そしてその二つが決まれば俺は働かないで良くなる訳ですね」 「手柄はやらん」 「師父に褒めてもらうのは私たちだけだ」 「そりゃ羨ましい限りだ。うんうん」 その三人は、虎顎のエージェントの中では珍しくチーム行動を基本としている。自分から動くのも待ち伏せするのも三人がかり。しかし3人が個々では弱いのかというとそうでもなく、ただそっちの方が行動しやすいからに過ぎない。 女二人はいつもこの調子であり、それに茶々を入れるこの男も大体はそんな感じである。ただ組織に入った時期が近いと言うだけで共に行動する彼らは寝食さえも共にしていたりする。 「ま、俺は手柄はどうでもいいけどね。結果的に師父が喜べばそれでいいし」 「お前は考えているのかいないのか分からんな」 「そんなお前だからこそ背を預けられるのだが」 3人の信頼関係は厚い。なんのかんのと言いつつ結局手柄はいつも山分けだし、責任も常に山分けだ。今回も恐らくはそうなるだろう。 ――と、そんな彼らの耳にあまり聞き慣れない重低音の振動音が飛び込んできた。 3人とも同時に周囲を警戒する。前触れもなく聞こえたその音は、断続的にその音を高めていく。発生源は遠くない場所に思えた。 「……これは、重機か何かのエンジン駆動音か?」 「でも中統連の重機はもっと喧しい」 「ここは日本だ。母国のポンコツより性能がいいのだろう」 この時彼らに一つ不幸があったとしたら、それは彼等が日本についての知識をそれほど豊富に持っていなかったことだろう。 霊素革命以降、世界各国はそのアイテールをどのように文明に反映するかで開発競争を起こした。だが、そんななかで日本だけはその競争に参加していなかった。それは何故か。 ――諸外国とは比べ物にならないほどに国内の競争が激しく、またその競争が海外に介入できない域に達していたからである。 だから彼らは、ついつい自国基準でモノを考えていたせいで、次の瞬間視界に移ったそれに、一瞬理解が追い付かなかった。 町の影から伝わる、腹の底を叩く振動。 それは少しずつ、だが確実に接近してくる。 そしてそれは、ビルの影からとうとうその姿を現した。 「……な」 「……ん」 「……だ、あれ」 人間の四肢を模していることが分かる、巨大で無骨な人型。 表面を鉄板で覆われたそれは、振動音と共に日光を反射し、電柱並みに高い雄姿を晒す。 頭部に当たる部分には代わりに操縦席が設置されており、そこに――きゃっきゃとはしゃぐ少女を後部席に乗せた一人の男が座っていた。 その全高、8、7メートル。 その重量、70トン。 最大出力、2000馬力。 それは日本の科学技術の結晶にして、作業用二脚重機という名の怪物(タイラント)。 『すごい高ーい!きゃー!』 『唸れ、霊素複合動力(アイテリオンエンジン)!戦慄け、模造駆動系(イミテイトマッスル)!目に物見せてくれよう……これこそが大和魂!!リベルラ社製第二世代二脚重機『ナガト八式』ッ!!いざいざいざいざいざ参るゥッ!!』 地響きを立てて時速100キロ近くで迫るその鋼鉄の巨人が、三人の眼前に迫っていた。 その迫力たるや、ダンプカーがアクセル全開で迫ってくるそれをはるかに上回る。漸く我に返った三人は、即座にそれを停止させることを諦めた。 「に……逃げろぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!!」 直後、蜘蛛の子を散らすように逃走した三人の後ろにあったモノレール駅に鉄の巨人が轟音を立てて突入した。 |
何が5万文字前後で終わるだ……まだストーリー進行率6割なのにさっそく5万字超えそうじゃないか。まるで成長してないじゃないか。しかも書上げた内容を推敲してるうちに数千文字増えてるし。話纏める才能ないのかなぁ。 |
ふふあはは。もうなるようになればいいと思いますよ。やったぁ明日から心置きなく小説書くぞぉ。いいのです。もう全ては終わったことなのです。春の世に見た泡沫の夢の如く淡く儚いそれは、きっとそれほど重要なものではあらざりけり。命とは生まれし時より死と終了を約束づけられているならば、過程や方法など全ては自己満足に過ぎません。私の認識する世界構成と他人の認識する世界構成が同一である確証を得る事が出来ない現人類に置いてはそこが精神的な限界であり、後の事は存在すら朧なる後世の浮世を謳歌する人間が確かめればそれで良いのです。 試験前日だけどポケモンたのしい。 |
実は今、こっそり短編を書いてます。 内容は凝ったものではなくてシンプルであっさりめ。 今まで書いた短編の中ではちょっとだけ長く、大体5,6万文字で完結する予定です。1話1万字で分割すれば5,6話。5千文字なら10話ちょい?そんな程度の内容です。 で、完成したら公開しようと思ってるのですが……果たしてこれ、短編集の中に放り込むのと新規タイトルで投稿するのとどっちにするべきなのかなぁと悩んでます。 最初は新規タイトルで行こうかとも思ったのですが、高々5,6万文字で完結する程度の内容なので態々そんなに特別扱いする必要もないかなぁ、と思いまして。 という訳で意見を求めます。どっちがいいと思いますか? 完結したら書き足しは多分ないですかね……多分ですけど。 5,6万文字ってのは一種の縛りでして、その間に自分の考えたストーリーを全部納めることを明確な目標にしてるんです。うーん、出来上がってから改めて考えようかな。 書き終えた後に「何か書き足すかも」と思えば新規で。 「これで終わり」ときっちり思えるなら短編集へ。 とか、どうですかね。 ずぼらは意見としては、短編集に入れておいて予想より多くなったら、その時に新規へ登録し直す。とか! 日常でこの整理方法をすると、整理整頓は速いが気が付いたら一部カオスな空間が出来上がっているという事態にw |
と、最近ずっと疑問に思っていたりして、何となく調べてみたり。 つまりTRPGみたいに前提となる世界観設定があって、それを複数の人間が使用するみたいなことなのでしょうか。オープンシェアとかフリーシェアとか色々とあるみたいですけど、多分そんな感じですよね。 しかしこれってどうなんでしょう?例えば設定の中に実はその世界の根幹を覆すような重大な事実とか隠されてたら、設定に乗せてる時点でその情報は読者を驚かせる材料としての価値を損ないますよね。かといってこれを隠すと逆にシェア出来てない訳だから成立しない。 つまり作品をシェアワールドで作ろうとしたらそんな方向性に制限をかけられるのでは?とか……思わないでもないです。 どっちにしろシェアワールドもリレー小説もTRPGの類も門外漢の私としては、結局全部自力でやるしかないのですが。ああいうのは見るだけです。他人の解説だけ見てもちんぷんかんぷんですし。 昔っからアドバイスとかくれる人も意見くれる人も極端に少ないので、とにかく書いて評価を見て良し悪しを決めてを繰り返すことでしか成長できない悲しき種族なのです。 その世界の根幹を揺るがす事件と言うヤツを作って仕舞う。 もっとも、単発の何と言う事のない日常的な話を書け、と言われたのなら出来ない事はないけど。 ただ、それは飽くまでも単発。連載は無理ですね。 但し……。 PBMやTRPGなら可能。 その場合はGMを作って、その人間が全体のシナリオを俯瞰させる。当然、世界観にそぐわない内容はリテイクを求める。 当然、それぞれのマスターのシナリオは熟知して置く必要あり。 例えば、Aマスターのシナリオで起きる事件のヒントをBマスターのシナリオの中で出して置く。 Aで起こして、Bで展開させて、Cで解決させる。 こう言う事を繰り返して行く事は可能です。 ……と言うか、そう言う事をやって居ました。 今、私が書いている物もすべてソレ。全部繋げて読めば、世界の繋がり具合など直ぐに分かる仕組み。 私は他人の評価よりも、自分が読んで面白い物を書く方を優先させますから。 まぁ、シェアワールドの前にリレー小説を書いてそれぞれの文章の良い点や悪い点を熟知した方が上だとは思いますが。 リレー小説なら当意即妙や、自分の求めて居る内容を次の作者に書いて貰う文章力が磨けると思いますからね。 おっとイカン。妙な毒を吐いた。シェアワールドに関しては肯定的なんだ、俺は。 原作沿いの二次と言う、物語を考える能力のない人間よりは、どんな内容だろうとオリジナルな物語を創る作者の方を応援したいですから。 こんな感じですか。それでは失礼します。 |
無駄に漫画版封神演義が好きな所為で変なものを思いついてしまいました。 その名も仙界最強七天陣。どんな内容化というと…… 「フォフォフォ……新たな挑戦者が来たか」 三大仙人にして元崑崙山教主――元始天尊(げんしてんそん)。 「フッ。何度来ようとも打ち払うまでだ」 元金鰲島総司令官にして金鰲三強が一人――聞仲。 「トレビアーンな戦いを期待するよ、君!」 金鰲島で一大勢力を築いた金鰲三強にして破壊の貴公子――趙公明(ちょうこうめい)。 「めんどくさい……でも、君を追い払えないと眠れないみたいだ……ふぁあ……」 滅多に目を覚ます事のない三大仙人最強の仙道――太上老君(たいじょうろうくん)。 「あはん♡本当なら妾一人で十分なんだけどぉ……お色気出し過ぎちゃうと作者に止められちゃうのよねぇ~?」 金鰲三強であり、歴史の道標と通じていた最悪の妖狐――妲己(だっき)。 「ふぅむ……なかなかに見どころのありそうな仙道ではないか。どれ、一手ご指南……」 三大仙人が一人にして元金鰲島教主――通天教主(つうてんきょうしゅ)。 「私はこのような茶番に興味はありませんが……フフ、他の6人に勝てたなら相手をして差し上げますよ?」 太上老君が一番弟子にして自他共に認める最強の道士――申公豹(しんこうひょう)。 この7人のスーパー宝貝使い相手にぼすぶっちを敢行するというもの。 これでも最終話段階でのスーパー宝貝使いを相手にするより遙かに有情という衝撃の事実。 さあ、勝ってみせよ。 |
帰ってきおった新年一発目。 ※ ※ ※ 「一応死なないように閉じ込めたから、こういう展開も想像してたけど……」 「僕の能力強度を低く見積もるな。大気中のアイテールを物質化できるのは君だけじゃない」 「その水……海水ではないわね。おおかた自前のアイテールを水に変換したって所かしら?」 洪水(ホンシェイ)の周囲をひとりでに回り続ける蛇のような水。恐らくその水をウォータージェットの要領で噴射したのだろう。閉じ込めた筈の氷の一部にくり抜かれたように穴が開いていた。 「付け加えるならば法則奪取(インターセプト)はあくまで一時的な支配権の奪取でしかない。奪った後のアイテールを全て握ったままにしておくことは困難を極める……革命後の国の統治が難しいのと同じように!」 「同じじゃないと思うけど」 「些事な事だ。少なくとも僕にとってはな」 (心なしかはぐらかそうとしているような……まぁいいけど) 実際の所、彼の発言に粗があろうがなかろうがティアにとっては関係のない事だ。既にティアは自分の仕事を済ませた。法師にやって欲しいと言われた仕事は済ませたのだ。だからその後に自分の作り出した結晶が破られたとて彼女には関係のないことだった。 法師なら必ず有言実行で依頼をこなすであろうという揺るぎない信頼。それがある限り、ティアが慌てることはない。 だが相手もまた、今の状況に慌てや焦りを感じさせない。 「――それに、僕は態々お前と戦う必要はない。かといってさっき通り過ぎた車の方を追う必要もない。先ほど言った通り今やこの町には僕らが有機的に動き回って警察を攪乱しているし、モノレールを追う方法は他にもある。例えば、こんな風にな!!」 瞬間、洪水が身に纏っていた水が彼自身の足元を切り裂き、橋に穴を空けた。 洪水は悠々と立ったまま、その足場と共に橋の下へと落下し、海水を使って自身の足元に台を作り出す。 「あちゃあ、不意を突かれちゃったか……でもかっこつけたまま真下に落下するのってなんかマヌケ」 「五月蠅い!とにかくお前の異能も海の下までは届くまい!僕は忙しいのでもう行かせてもらう!!」 洪水はそのままサーフィンのように異能で起こした波に乗り、ティアが見えないところまで行ってしまった。そんな彼の背中を見送りながら、ぼそりと一言。 「なんか微妙に締まらない人だったなぁ」 = = 現在、アライバルエリアの街中では様々な事件が同時多発的に発生している。 町の道路を変形させて壁を作り出すベルガー。 植物を異常成長させて道を塞ぐベルガー。 中には警官相手に襲撃を仕掛けるベルガーもいる。 それらの9割以上が、虎顎のエージェント。アビィというたった一人の少女を確保するために用意された戦力。 その戦力の一人が、この町のベルガーとの一騎打ちに決着をつけようとしていた。 風によって極限まで加速した肉体から繰り出された右拳――それを囮に、左拳に圧縮しておいた大量の空気を直撃させて一気に勝負をつける。 実にシンプルなその攻撃が、たったいま衛に突き刺さろうとしていた。 「この勝負、俺が貰ったッ!!」 確信的な意志を込めてそう叫んだ大風の左手が振り抜かれる――その刹那。 「……とでも思ったんじゃないか?」 「――ッ!!」 「甘いのだよそれはッ!!」 瞬間、限界まで瞬発力を上昇させた衛の拳が、体をひねるようにして大風の横腹に放たれた。 最初から、衛は攻撃を受けることを前提として動いていた。 地に足をついた状態で、相手が確実にこちらを仕留められると確信する距離まで近づくことを狙った――カウンターを叩き込むために。 「届けぇぇえええッ!!」 既に圧縮空気の解放が始まっている大風の左腕。 そして衛が振るったそれも、奇しくも左腕。 そして二本の腕が交錯し――圧縮空気が放たれるより僅かに速く、衛の一撃が叩き込まれた。 猛烈なインパクトが大風の身体を抉り、大風の視界が激しく揺れる。 「げ、ふぅッ……!?」 「さっきの借り、これで返したことにしておこう」 みしり、と音を立ててわき腹にめり込むその拳は、身体改造(モディフィケーション)によって極限まで強化された岩をも砕く左拳。人体構造上の理想的な能力を有した、生身の戦闘においては理論上最強に近いブロー。 地に足のついた鉄拳の衝撃は、コートの中に戦闘用の衝撃吸収スーツを着込んでもなお殺しきれない。 肋骨と内臓を容赦なくかき乱す衝撃に、大風の意識が揺れる。 「たっぷり味わいたまえ、その激痛を……でぇぇぇいッ!!」 「ぐがぁぁあああああああああああ!?」 圧縮空気の弾道は無残にも衛から逸れ、代わりに衛が放った起死回生のボディブローは大風の身体を吹き飛ばした。 確かに行動の自由度では大風のほうが優位だっただろう。 だが、地に足の着いた攻撃には大風に出す事の出来ない威力を持っている。 その事を常に意識したうえで衛が一発逆転の瞬間をギリギリまで待ってたことに、大風は最後まで気付けなかった。敢えてあげるならば、それこそが大風の敗因だろう。 拳に吹き飛ばされ得た大風はそのまま斜め上方に吹き飛ばされ――十数メートル向こうにあった民家の壁に衝突した。 吹き飛ばした大風に意識がないことを確認した衛は、やれやれと溜息を吐きながら大風に歩み寄る。まだ辛うじて意識は繋ぎとめているようだが、もう異能を発生させるだけの集中力は残っていないようだった。激戦で痛む身体を異能である程度修復した衛は、大風の元に歩み寄る。 大風は、敗北したというのにどこか清々しさすら感じさせる表情で衛を見上げていた。 「まさか……体術で、女に負ける……とは。任務も、他の連中任せか……俺もまだまだ……功夫(クンフー)が、足りん」 「女女と言うものじゃない。世の中、意外と女の方がおっかないものだ」 「ふふ、ふ………強く、気高く、美しく……お前に……げふっ!ほ、惚れてしまいそう……だよ」 微かに微笑みながらそう告げた大風は、それを最後に意識を失った。 気絶した彼を抱えた衛は、大きなため息をついて事務所の方へ歩き出す。 「時々いるな……こういう手合い。冗談だと思うが、本気にしているようなら暫く女の姿は止めておくか」 衛は男としても女としても生きられる体を持っている。だが、それが時々こうやってややこしい事態を巻き起こすのが、衛という人間の数少ない悩みだったりする。 |
一段落したことだし……よし、「朧村正」やろう。 という訳で中古で買っちゃいました。Wii及びPSVitaで発売されたアクションRPG「朧村正」。既に大雑把なストーリーなどは動画で見たことがあるのですが、この和のテイストを全面に押し出しつつもクドさのない雰囲気が前から気になっていたのです。 最近唯でさえ他作品への食わず嫌いが深刻化しているだけに、興味のある物にもう少し手を出しておかねばと思ってのチャレンジです。なかなかに長い道中になりそうですが、退屈だけはせずに済みそうです。 ちなみにこのゲーム、食べ物のグラフィックの出来が異様なまでに高く、非常に美味しそうです。食べ物がどれだけ素晴らしいかを知っているからこそあれほどにおいしそうなグラに拘ったのだと思います。 食べ物っていうのは素晴らしいですよ。食べるの大好きな私としてはこういう拘りには好意を抱きますね。リアルで食事のありがたみと魅力を理解していない人にはああいうものは作れないと思います。 そーいえば友達と話している最中にとんこつラーメンの店の近くを通りまして、豚骨スープから発せられる独特の臭いが直撃しました。店にもよりますが、結構きつい臭いですよね。で、その際にとんこつスープの臭いはどこの店が強くてどこの店が弱いかを喋ると「何でそんなの覚えきれるの?」と不思議そうに聞かれました。何でって言われても……普通ラーメンのスープの味や香りくらいはある程度覚えてる物じゃないの? |
自分のアイデアを他人が書いてくれれば楽なのにー。或いは自分の思考パターンと知識を埋め込んだ疲れ知らずの集積回路が自動で小説の続きとか弾きだしてくれれば楽なのに。でも小説を書くのは楽じゃないから書けないアイデアは手元から零れ落ちてゆくが宿命……以下、残念ながら書くことを断念したアイデアの一つです。 とある世界のとある時代、その大きな島には山脈を隔てて2つの国が存在していた。 互いの国は、高くて過酷な天候の山脈のせいで国交がなく、互いの国の名前すら知らなかった。 だが人々はその国の事を知ろうとしなかった。なぜなら、今の国を建国した指導者は、どちらも山の向こうの国を敵視していたからだ。 ――山の向こうには「悪魔の国」がある。 それが互いに国交の無い両国民の共通意識として根付き、また態々危険な山脈を越えてまで真実を確かめる必要もなかったため、誰しもそれを確かめはしなかった。海から行こうにも急流と岩礁が壁になって上手くたどり着けない。大陸へ船を出して経由する方法もあるかもしれないが、あまりにもそれまでの海路が遠く過酷であるため、余計な犠牲を出したくない国家によって船を出すのは禁止されていた。 こうして互いの国は互いの存在を意識しながらも、どのような国なのかは一切知らずにその歴史を重ねてきた。 そんな関係が崩れたのは、つい最近の話。 さて、実を言うと「関係が崩れた」という話は件の山脈に起因する問題であったりする。 というのも、実は数日前、その山脈の一部が突如として「砕けた」。 軍の観測によると、海を越えて向こうの大陸から発射されたと思われる正体不明の光の一部が飛来したらしい。光は恐るべき破壊力で岩礁を大きく抉りながら島の西岸付近に着弾。非常に大規模な地割れや崩落を起こした。幸いその付近に人は住んでいなかったが、代わりにその事件によって、「悪魔の国」への道が、図らずとも開けてしまったのだ。当然ながら両国の緊張は高まった。 ――攻め込まれ、戦争になるかもしれない。 互いに戦争もしたことのない国だが、戦争をするだけの技術力と知識は存在した。だからこそ、「悪魔の国」より先に地の利を把握して敵の出方を伺う必要がある。最悪の場合は全面戦争も視野に入れる必要がある……そう考えた両国はそこに兵士を派遣した。 そうして、そんな中で「彼」と「彼女」は出会ったのである。 「………」 「………」 片や、西にある国家「メノクニ」のエリート部隊の兵士である男。 片や、東にある国家「オノクニ」の特殊偵察部隊の兵士である女。 互いは互いに睨みあい、相手の一挙手一投足すら見逃すまいと距離を取る。 彼等が使っていた最大の武器は、既に激しい戦闘によりで使用不能になっている。故に彼らが戦うならば白兵戦にて雌雄を決さなければならない。 筋力と体力では恐らく男が上だろう。リーチでも若干男が勝っている。格闘技において体格は勝敗を分ける大きな要因となるため、女兵士は不利だろう。だがそれも一概には言えない。極論を言うと、一瞬で相手を無力化する攻撃を先に当ててしまえば体格に関係なく勝てる。ナイフなどの武器があれば相打ちに持ち込むことも可能だろう。他にも勝敗を分けるポイントは様々あるが、総合的に見ればどちらに転んでもおかしくはない。 「…………」 「…………」 逡巡。ピクリとも動かない体勢のままに様々な思考を巡らせ、やがて2人は同時に動いた。 「ご、ご指示をいただけますか?」 「ご、ご指示をくださいますか?」 「えっ?」 「えっ?」 戸惑いを隠せない男。同じく戸惑いを隠せない女。互いに互いの顔を「この人は何を言っているんだ」とでもいうような目で見ているが、発した言葉は互いに全く同じものである。互いにその言葉を発することに一切の疑問を感じず、しかし相手の言葉はおかしいと感じる。『言葉は通じているのに、噛み合っていない。 「……あの、貴方は女性ですよね?」 「……えっと、貴方は男性……ですよね?」 「?」 「?」 この時、2人はまだ分かっていなかった。 「メノクニ」では、”男は常に女の為に行動すべし”という女尊教育が行われていること。 そして、「オノクニ」では”女は常に男を支え、控えるべし”という男尊教育が根付いていることを。 つまり――男にとってはたとえ相手が異国の兵士だろうと女に従うのが普通で、女にとってはたとえ相手が異国の兵士だろうと男ならでしゃばるべきでないと思っている。互いにそれが当たり前に思っている。 故に―― 「あの、だからご指示を……?」 「えぇ?いや、女の私がそんなことをする訳には……」 「いえいえ、男が女に頭ごなしに指示など……」 「ええ!?な、なんですかそれ!……ああ!口答えしてすみません!」 「ち、ちょっと!男に謝るなど他の人に見られたら……!?」 こんな感じで2人の対話はしばしの間、平行線をたどった。 |
言葉に出すことで、実感できることが多い身なので、言霊の力を借りて。 忙しいから暫く活動自粛します。そもそも活動してないじゃんとか思われそうですけど、一応色々裏で書いてます。 |
最近、呟きで短編書きすぎて自分の呟き履歴がものすごく見直し辛いです。 我ながら自分が馬鹿なんじゃないかと思います。でも呟きで投稿するとなんというか、自分が文字を書いていた実感がわきやすくて……止められない止まらないのです。 |
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2015年 02月 11日 15時 30分