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ソードアート・オンライン ~呪われた魔剣~

作者:白崎黒絵
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神風と流星
Chapter2:龍の帰還
  Data.25 龍の帰還

 
前書き
「人数制限突破

 クエストフラグ解除

 Extraクエスト『龍狩り』開始」 

 
「いやー助かったぜ。おっかなびっくり洞窟を探検してたら罠に嵌ってな」

 あっはっは、と笑ってそう語るのは先ほど俺とシズクが引っ張り出した甲冑男のうちの一人。どうやら彼がこのパーティのリーダーらしく俺はここまでの経緯を伺ったのだ。

 で、どうにも俺達と大体似たり寄ったりな感じだったようだ。同じ罠に同じ様に引っ掛かったんだから当たり前のことかもしれないが。

 その後、事情を聞いたお返しというわけではないがここについて説明する。そして予想通り『脱出不可能』と俺が言った辺りで待ったを掛けられる。

「えーっと、なんだ。つまり、俺達ゃここから出られねえのか?この先ずっと?」

「流石にずっとってことはないだろうが……まあ、現時点で出る方法はないよ」

 俺の言葉にがっくりと膝をつきうな垂れる男。が、そう悲観することはないのではと俺は思う。

 わざわざトラップの着地点をこの場所に設定したということは必ず何らかの脱出方法は用意されているはずだ。あの茅場晶彦が、そんな面白みのないギミックを入れるはずがない。

 そしてこの状況はまさにその『何らか』が起きるタイミングと言えよう。RPGのイベント開放における定番の条件である『人数制限』が突破されたかもしれないからだ。

 という俺のすーぱーわんだふるすてきなあいであをシズクに振ろうとした時である。

 俺は考えるより先に拳を繰り出していた。



「それにしても、こんなとびっきりの『美少女』が二人もSAOにいたなんてな。しかも二人旅か。どうだ、『女の子』二人じゃ何かと危険だし俺達と一緒に――――ゲフゥッ!?」



 こんなヤツ助けるんじゃなかったと、ダメージを受けないように最大限の配慮をしたパンチで見事吹っ飛び、床に再び突っ伏してピクピクしてる男を見て思うのだった。



「お、男ぉ!?」

 しばらく倒れていた男だったが、案外頑丈だったようで起き上がったときにはケロリとしていた。で、俺はもう二度とこんな悲しい 事 故 が起きないように誤解を解いている最中なのだ。

「あー……なんつーか、すまん」

 俺が男だということを懇切丁寧に説明した結果、男はきちんと理解したらしく謝ってきた。

 うむ。

「許さん」

 俺の機嫌は安くないのだ。

「ルリくん子供っぽ~い」

 グサッ。

 シズク の ジト目 !

 シズク の 罵倒 !

 こうか は ばつぐん だ !

「まー別にいいや。可愛いし。それよりオジサン、あたしの名前は《シズク》。貴方のお名前は?」

「俺は《クライン》ってーもんだ。出来れば今度とも末永くよろしくしたいぜお嬢さん」

「考えといてあげるよっ。《クライン》?」

「おう。で、そっちのお前は――――」

「……《ルリ》だ。よろしく」

 次いでクラインの連れの男たちも挨拶し、もう少し詳しい話をしていた。

 ……ゥ

「?気のせいか」

「どったのルリくん」

「いや、何か声っつーか叫びみたいなのだが聞こえた気が――――」

 ヴヴァアア゛ア゛アア゛アアア゛アアアアアア゛アアアアアアアアア!!!!!!!!!!!

 突如広場に響くバカデカイ咆哮。聞こえてきたのは、

「ルリくん!外!」

「わかってる!」

 いきなりのことで目を白黒させてるクライン達を置いて俺とシズクは走る。走る。走る。

 そして徐々に光が近づいていき、外に出ると――――

「――――何か起こるだろうとは思ってたが、流石にこいつはキツ過ぎだろオイ」

 そこにいたのは五匹のドラゴン。

 《槍剣(スペード)》・《白詰(クラブ)》・《片喰(ハート)》・《金剛(ダイヤ)》。

 そして一際大きく強烈なプレッシャーでこちらのトラウマを刺激してくる《道化(ジョーカー)》。

 ――――この『赤黒龍の渓谷(ドランプバレー)』の主たちが一斉に帰還してきた。 
 

 
後書き
クラインのキャラが書きづらくて投稿までに半年掛かった 
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