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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第三章 地球編 アジア 中国
  第12話 中国が悪いことばかり考えているというのは偏見だ

 
前書き
どうも蛹です。
鎧虫戦記なのに鎧虫があまり出てない!と気付いたので
今回はそいつらを出してみたいと思います。
強いのは"侵略虫"だけではありません。
はたして、どんな奴らなのか?

それでは第12話 始まります!!
 

 
「迅さん、なぁにあれ?」

マリーは向こうの崖にある灰色の点を指さして訊いた。

「あぁ、あれはオオカミだよ」
「オオカミ?」

マリーはキョトンとしている。

ここには動物園も図鑑もないので、旅をしている人以外は
名前だけではどんな動物か判断できないのだ。

「なんか、イヌさんみたいに見えるけど‥‥」

犬は時々、野良で見かけるので彼女も知っているのだ。

「そう、犬の仲間なのさ」
「へーーー」

マリーは何となくオオカミのことを理解したようだ。

 タッ タッ タッ

崖からオオカミが岩を伝って下りて来た。

「オオカミさんこっちに来るよ」

マリーは少し戸惑っている。
迅は一応 身構えた。

『まったく‥‥‥未来のお婿さんはどこで何してんだか‥‥‥‥』



    **********



 一方その頃‥‥‥‥

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

アスラは坂道を走っていた。

 ガラガラガラガラガラガラ~~~ッ

坂の上から岩が沢山転がってきていた。 
 
 ザンッ! スパッ! ザクゥッ!

岩を切りながら坂をなんとか登りきった。

「よし!ホークアイ、次はこれを3倍に増やしてくれ」
「分かった!ってできるかぁッ!!」

ホークアイは久しぶりにツッコんだ。

「オレはただの人間なんだよ!これで何回 転がしたと思ってんだ!
 いい加減死ぬわッ!!」

ホークアイは岩をバンバン叩きながら言った。

「いや、でも迅はマリちゃんとどっか行っちゃったし
 リオさんも寝袋の中で寝てるし、お前しか頼れるやつがいないんだよ」
「にしても頼りすぎだよ!オレは"侵略虫"でも"鎧人"でもないんだよ!!
 そのうちオレも一緒に転がってくるぞコノヤロー!」

ホークアイは坂の上に倒れこんだ。

「‥‥‥そういえばよぉ」

ホークアイはアスラに訊いた。

「何でこんな山奥にキレイに草のない道が出来てんだ?」

アスラはすぐに答えた。

「そんなのオレが知るわけないだろ」
「だよなーーっ」



    **********



 また、一方その頃‥‥‥‥

「ふあぁ~~~~~~」

リオさんは寝袋の中から身体を出して、あくびをした。

「‥‥‥‥あら?誰もいない」

周りを見回したが、枝が一か所に集められていただけだった。
リオさんはそれの近くに歩み寄って行った。

「もしかして‥‥‥‥のろしか?」

ご存知かもしれないが、のろしとは煙で情報を伝達するあの方法のことである。

リオさんはマッチを取り出し火をつけた。
(マッチはロシアから持ってきた)
 
 ボゥゥゥッ   モクモク‥‥‥

炎の先から煙がモクモクと上がり始めた。

「誰か起こしてくれたっていいのに‥‥‥‥」

リオさんは煙を見ながらつぶやいた。

ちなみに今を時間で表すなら9時47分である。
3回起こしたがリオさんは起きなかったので置いて行かれたのである。

『さてさて‥‥‥‥誰だ?俺の後ろにいるヤツは‥‥‥‥‥』



    **********



「きゃ~~くすぐったいよぉ」

オオカミがマリーのほっぺをなめている。

「かなり人に慣れているのか?まぁ危なくないならいいけど‥‥‥」

迅はこの光景を見ながらつぶやいた。

「迅さん、私このコに名前付けたい!」

マリーは迅さんに訊いた。
迅は少し考えたが、すぐに答えた。

「えーーーーっと‥‥‥‥‥いいんじゃないの?」
「やったぁーーーッ♪」

マリーはオオカミの顔を見た。

オオカミは風邪気味なのかハナが垂れていた。
少しとぼけた顔をしているようにも見える。

「じゃあ‥‥‥“ハナミズ”!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」

迅はもう言葉も出なかった。
オオカミもあまり喜んでいるようには見えなかった。

漫画的に言うなら‥‥‥‥‥大きな汗マークがついてる感じだ。

オオカミはマリーの腕を抜けて、森の奥へと逃げていった。

「あ~~あ、逃げちゃった。何でだろ?」
『名前のせい‥‥‥‥じゃないの?』

迅はあえて口には出さなかった。

「お~~~い、迅~!マリちゃ~ん!」

アスラが2人の元まで走って来た。

ここは草原で森と森の間にある。
高いところから見ればちょうどその真ん中のところに4人は集まった。

「今なんかいなかった?」

マリーは向こうを指さして答えた。

「さっきまでオオカミさんと遊んでたの。でも向こうに逃げちゃった」
「オオカミ?」

アスラとホークアイは首をかしげた。
迅はもう一度オオカミについて説明した。

「そんなのと会って大丈夫だったのか?」

アスラは訊いた。

「私のほっぺを舐めてくれたんだよ」

マリーはニコニコしながら言った。

「お名前も付けてあげたんだよ!」
「へぇ、何て名前?」
「“ハナミズ”!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

アスラとホークアイは顔をそらした。
山の間から煙が立ち上っていた。



    **********



「遅いなぁ‥‥‥‥」

リオさんは組んだ枝を木の棒でつつきながらつぶやいた。
つついた時、少しだけパチパチと音がした。

「寂しい‥‥‥‥」

秋の風が妙に冷たく感じた。

「‥‥‥‥さっきから悲しい表現が多いんですけど」

 別に気にしないでください。

「いや、気にするよ」

 あんまり私と話していると変人みたいに思われますよ。

「何を話している」
「!!」

振り返った先にアギトが腕を組み、木にもたれかかったいた。

「なぜここが?」

リオさんの問いにアギトはあっさり答えた。

「のろしが上がっていたからな」
「あ‥‥‥‥」

 ガシャシャン!  ボシュゥゥゥッ!

リオさんはとりあえず左手を換装して冷凍ガスで火を消した。

「ほぅ‥‥‥便利な能力だな」
「だろ?意外と重宝してんだぜ」

 バシュッッ!

リオさんは換装を解いた。
アギトは全身を換装していた。

「あんまり長く換装してると体力が持たないぜ?」

アギトはあっさり言った。

「正体をばれないようにしているだけさ。
 顔を出さなきゃ誰が俺だかわからないからな」

理由に納得したリオさんは訊いた。

「で、何の用だ?」

アギトは少し低い声で言った。

「ある重要な情報を持っているのさ」
「重要な情報?」

リオさんはアギトに質問した。

「それは中国に関してか?」

アギトは大きく首を振った。

「いいや、ここに将軍が来ているという話さ」

アギトのこの一言にリオさんは驚いた。

「何でそんなことを知っているんだ?」

リオさんのこの質問にアギトは自慢げに答えた。

「あるツテがあるということだけ教えておこう。
 それよりも聞くのか?この情報」

リオさんは大きくうなずいた。

「あぁ、頼む」

アギトは少し間を開けて話し始めた。



    **********



「あ、煙が途切れたよ」

マリーは森の中から不自然に出ていた煙を見ながら言った。

「リオさんに何かあったのかな?」
「多分、大丈夫だろ」

ホークアイは巨大基地での戦闘シーンを思い出していた。

「オレは少し心配だな」

迅は木が何か大きなものが通ったかのように折られているのを見ていた。

「おそらく"鎧虫"がいるな。小型だが、複数いる‥‥‥‥待てよ」

周りをよく見れば、木が折れている場所が沢山あった。
迅はその場所をよく観察した。

 ガサササッ

「まさか!」

振り返り際の迅に何かが飛びかかった。

「ギィィィィィィィ!!」
「うおおぉぉぉぉぉ!」

 ザクッ!

迅は長剣で何かを切り裂いた。
首はとんでいるが、体だけで必死にもがいていた。

「この形‥‥‥‥アリ型か」

大きさは2m程だが、こいつらの一番の恐ろしさは単体よりも――――

「オレたちはすでに奴らのテリトリーに入ってしまったらしい!
 急いで抜けないとやばいぞ!」

 ガササッ ガサッ ガサガサッ 

「迅さん、周りにたくさんいるよ!」
「いつの間に囲まれたんだ‥‥‥?」
「嘘だろオイ!オレはみんなと違って援護専門だぞ!!」

『‥‥4‥‥11‥‥19‥‥28‥‥34‥‥‥まだまだ増えるな‥‥‥』 

―――数の力にある。

迅はみんなに全力で叫んだ。

「逃げろォォォォォォォォォォッッ!!!」

無数のアリ軍団が襲いかかって来た。



    **********



「そんなヤツが来るのか‥‥‥」

リオさんは腕を組んだ。

「能力については未知数だが、警戒していれば
 お前らの実力なら大丈夫だろう」

 ガサガサガサ ガサガサ

草を抜ける音が無数に聞こえて来た。

『何か来る‥‥いや、追いかけられている?』

アギトはそう推測したその瞬間。

 ズザァァァァァッッ! ゴロゴロゴロ‥‥‥

「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

4人がここに飛び込んできた。

「リオさん!」

アスラはすぐに立ち上がり駆け寄った。

「まだアイツ等は来てないのか?」
「何だ、アイツ等って?」

リオさんは周りの殺気に気付き、状況を察した。

「‥‥よりによってコイツ等か」

いつの間にか奴らに追いつかれていた。

「コイツ等はコンビネーション能力が非常に高いタイプの"鎧虫"だ。
 だが、6人いれば何とかなるはず‥‥‥っていないッ!!!」

アギトはいつの間にかこの場を退散していた。
リオさんは頭をかきながらアギトへのグチを放った。

「何でこのタイミングでいなくなるかな‥‥‥クソッ!
 いない奴にどうこう言っても仕方ねぇ、やるぞみんな!!」

リオさんは軍服を脱ぎ捨て、右肩を露出させた。
アスラは腹部に、マリーは胸元に、リオさんは右肩に手を添えた。

「おうッッ!!!」 
 

 
後書き
良い感じに切れたので戦闘シーンは次回へまわします。
何だか最近アリがよく出てるな‥‥‥と思ってもそこは目をつぶってください。
次の話で、やっと中国人が出て来ます。
良い人ならいいけど‥‥‥‥大丈夫でしょうか?

次回 第13話 中国は環境最悪で病気になるというのは偏見だ お楽しみに! 
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