鎧虫戦記-バグレイダース-
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第11.75話 しかしその願いは叶わない
前書き
どうも蛹です。
今回でロシアを出ていくことになります。
悲しい別れと新たな仲間、ライバルの出現など
おもしろい内容てんこ盛りにしています!
それでは第11.75話(言いにくい‥‥) 始まります!!
「え~~~~~~ッ!何で?どうして??」
マリーはクレアとハロルドに言った。
「ごめんけどそれはまだ言えないの」
クレアはマリーの頭をなでながら言った。
マリーは少し目が潤んでいる。
「寂しいかもしれないけど諦めよう」
マリーの肩を叩きながら迅は言った。
「‥‥‥‥‥うん」
マリーはうなずいた。
「代わりに俺が一緒に行くからな!」
リオさんは言った。
「リオさんが来るの?」
マリーは不満そうだった。
「何だ、俺じゃ不満か?」
マリーは首を大きく振った。
「そうじゃないけど‥‥でも‥‥‥」
アスラは察した。
『やっぱりみんなで旅がしたいんだろうな‥‥‥』
アスラは少し息を吐いた。
そして、マリーに言ってあげた。
「きっと何かサプライズ的な何かがあるんだよ、ね?おばさん」
クレアは少し戸惑っていたがうなずいた。
「え‥‥‥えぇ」
アスラはマリーに笑いかけた。 マリーも少しだけ微笑んだ。
「何とか終わって良かったな‥‥‥‥」
ホークアイは安堵した。
**********
ー巨大基地 入口ー
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
“ここだけドア”は次の国へ光を伸ばした。
「行ってきまぁーーーーーす!!!」
マリーは大きな声で基地の入口に立つクレアに叫んだ。
クレアは手を小さく振っていた。
マリーも大きく手を振り返した。
「行っちゃったわね」
レイラはアーロンに言った。
「そうですね‥‥‥」
アーロンは少し残念そうな顔をしていた
「‥‥‥‥好きなんでしょ?彼女のこと」
レイラの一言にアーロンは顔を真っ赤にして驚いた。
「な、なな、何でわかったんですか!?」
レイラはため息をついた。
「気付いてないと思ってたの?」
アーロンは顔をそらして言った。
「‥‥‥‥はい」
レイラはアーロンの顔を見て言った。
「何で告白しないのよッ!」
アーロンは少し下を向いた。そして再びレイラの方を見て言った。
「彼女はアスラくんが本当に大好きなんです」
アーロンは続けて言った。
「アスラくんを治療している時も彼女はずっと彼のことを気にかけていました。
そんな2人の関係を‥‥‥‥‥‥‥‥崩したくないんです。
さようなら、僕の初恋‥‥‥‥‥‥‥‥」
アーロンの目から一筋の涙が流れた。
それを見ていたレイラはアーロンに言ってあげた。
「女は世界中にたくさんいるでしょ?例えば、私とか‥‥‥‥ね?」
「‥‥‥‥え?」
アーロンはポカンとしていた。
**********
ー雪山の上ー
「まだ秋の中ばじゃなかったっけ?」
ホークアイは足元に透けて見える真っ白な地面を見ながらリオさんに訊いた。
「ロシアは秋でも十分寒いのさ。それにここは山の上だしね」
リオさんは答えた。
「でもさ、山の上って気圧が低いんじゃなかったっけ?」
そう言って、アスラは普通に大きく呼吸をした。
「全然苦しくないけど‥‥?」
その質問に迅は答えた。
「"侵略虫"や"鎧人"は低酸素でも普通に活動できるようになっているのさ」
「‥‥‥‥‥へぇ」
アスラは何となく納得したようだ。
「それにしてもさ‥‥‥‥」
アスラは後ろを見ながら言った。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
マリーはうつむいたままゆっくり後ろからついてきていた。
ホークアイはため息をついた。
「仕方ないなぁ‥‥‥」
ホークアイはマリーに気付かれないように
背後に回り込んだ。そして―――
むにゅっ
「はにゃッッ!!!」
マリーの胸をわし掴みした。
あまりの驚きにマリーは変な声を出した。
むにゅむにゅ
ホークアイはまだ揉んでいる。
「あ~~ん、やめてよ~~~ッ!」
マリーはこれ以上ホークアイが揉めないように
両手を胸の前に組んだ。
マリーは顔を真っ赤にして言った。
「何すんの!ホークアイ!」
ホークアイは答えた。
「マリーが悲しそうな顔してたから
元気になりそうなことをしてあげたんだ」
マリーはツッコんだ。
「ただホークアイがしたかっただけでしょ!!‥‥‥‥でも」
マリーはいつもの笑顔をして言った。
「ありがとう」
みんなも笑顔になった。
迅は笑ったまま言った。
「やっぱりマリーは笑顔でなくっちゃね」
「でもッ!!」
マリーは怒った顔をしてホークアイに近寄った。
ぎゅうぅぅぅぅぅ!
「痛い痛い痛い痛い!!!」
マリーはホークアイの両方のほっぺをつねった。
「いきなり私のおっぱい触った罰!」
ホークアイは涙目で謝った。
「ごめんマリィ~~~~~ッ!」
マリーは半笑いで言った。
「許さない~~~ッ!!」
「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
全員(ホークアイ以外)はまた笑い出した。
**********
ーここだけドア 出口ー
そこには、森が広がっていた。
「‥‥‥‥中国?」
アスラはリオさんに訊いた。
「そう、中国。あそこはいろいろひどい国だったらしいからな」
リオさんはドアのスイッチを切りながら言った。
「そこが次の目的地なのか?」
アスラは質問した。
「あそこにはな―――――」
ガサッ
木の陰から音が聞こえて来たのでリオさんは言葉を切った。
「また俺の話を邪魔する気か?出てこいよ」
ガサガサッ
木の後ろから黒い生物が姿を現した。
「‥‥‥何だコイツは?」
迅はその姿を見て驚いた。
そこには見たことのある生物が立っていた。
「もしかして‥‥‥"鎧人"‥‥なのか?」
いや、違う――――これは"鎧人"ではない。
見た目は"鎧人"だが、右手と両足がヒトよりも昆虫に近かった。
2本の大きな角‥‥‥‥いや、顎《アゴ》が頭から生えている。
そして全身が所々尖ったデザインになっていた。
クワガタムシの"鎧人"(?)だろう
‥‥‥こいつは――――――
「敵ではないのか?、今そう思ったろ?」」
「!!?」
どうやらクワガタ?は男のようだ。
少し低い声で言った。
「俺は"顎人《アギト》"。貴様ら"侵略虫"を絶滅させる者さ」
ジャキン!
手首付近の尖った部分が大きく伸長した。
「違う!倒すべきなのはオレたちじゃなく他にいる!」
アスラは説明しようとしたが"顎人"は聞く耳を持たない。
「ふっ、命乞いでもしてるのか?無駄だ、死ね」
ダダダッ
アギトはアスラとの距離を詰めようとしていた。
ドンッ!
ホークアイは銃を撃った。
サンッ
弾は見事に真っ二つになった。
「嘘だろ、見えてんの!?」
ヴィィィィィィィン
アギトの腕のブレード(?)から音が発生していた。
「これが俺の能力さ。説明する必要はない。
お前らはここで死ぬんだからな!」
アギトはアスラにブレードを振り下ろした。
ガキィィィィィン!
「ほう‥‥‥‥やるな」
アスラは日本刀でブレードを防いだようだ。
『あ‥‥‥‥危なかった‥‥‥‥‥』
アギトは言った。
「このブレードで切れなかったものを持ってた奴はこれで2人目だ」
アギトは全員と距離を取った。
「なかなかいい刀だな」
アスラはアギトに叫んだ。
「聞いてくれ!オレは"鎧人だ!ほら!」
ガシャシャシャン!
アスラは全身を換装した。
「それにこの2人も!」
ガシャシャシャン!
マリーとリオさんも全身を換装した。
「ホークアイは普通の人間だし!」
ホークアイは銃を取り出した。
『よく考えたらこの中で人間ってオレだけじゃん‥‥‥』
迅はアスラの前に立って言った。
「オレは"侵略虫"だが‥‥‥」
アスラの頭を軽くたたきながら続けた。
「こいつらを殺そうと思ったことは一度もないな」
それを聞いたアギトはブレードを元に戻した。
「分かった。もう敵対するつもりはない」
全員は安堵した。
「だが、"侵略虫"は皆殺しにしてやる」
アギトは拳を握りしめた。
「少なくともアイツだけは絶対に‥‥‥‥」
マリーはアギトに訊いた。
「アイツって誰なの?何なら私たちも手伝うよ?」
アギトは大声で言った。
「いらんッ!これは俺一人の問題だ!」
マリーはシュンとした。
「‥‥‥‥‥ごめん」
アギトは振り返り森の奥へと歩いて行った。
最後に森の奥から声が聞こえて来た。
「お気遣いありがとうよ」
それを聞いたマリーは少し笑顔になった。
**********
ー森 山の上ー
一人の男が崖の上から何かを見ていた。
「どうしました?」
その部下が男に声をかけた。
「見つかりましたか、迅さんは?」
男は顔を部下に向けてにらんだ。
「あんな奴、呼び捨てでいいんだよ!」
部下は慌てて訂正した。
「は、はい!迅は見つかったのですか!!」
男は答えた。
「あぁ、向こうを見張ってたらすぐ見つかったよ」
「それではついに!」
男は笑みを浮かべた。
「あぁ、ショーの始まりだ」
後書き
何だ、意外とイイ奴じゃん"顎人《アギト》"。
ライバルというよりは何か素直じゃない仲間みたいになってしまった。
予告ミスです。すいません。
途中で出て来た謎の男は何者なのか?
そして中国はどのようになっているのか?
次回 第12話 中国が悪いことばかり考えているというのは偏見だ お楽しみに!
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