魔法少女リリカルなのはStrikers~誰が為に槍は振るわれる~
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夢追い人
第1話 得体の知れない新人
前書き
一週間で投稿と言ったにもかかわらずこの体たらく。
しかも思ってたよりも話を進めることができなかった……
色々と面目ないです。
ネガティブなのはここまでにして、記念すべき第1話、お楽しみください!!
名前 :ラディオン・メイフィルス
年齢 :13
性別 :男
所属 :時空管理局地上本部 首都防衛隊
階級 :陸曹
魔法術式 :近代ベルカ式
魔導師ランク:陸戦AAランク
使用デバイス:槍型インテリジェントデバイス「セラフィム」
【特記事項】
高速機動による近接戦闘を得意とする。空戦魔導師の適正こそないものの、優れた空間把握能力と足場魔法により、空中戦闘も可能である。またデスクワークに関しても申し分のない能力を有しており、平時でも十分に役立つ人材である。
スクリーンに映し出されたパーソナルデータを前に機動六課部隊長、八神はやては眉根を寄せた。何度も開き目を通したデータだが思うことはいつも同じこと。
これは面倒なことになった。
「どうしたですか、はやてちゃん?」
声とともにふわりと肩に降りた優しい重さに眉根を緩めながら顔を横に向けた。
腰にまで届く長い綺麗な銀髪に蒼い澄んだ瞳、手のひらと同じくらいの背丈の妖精のような少女――八神家の末っ子であり、八神はやての融合機であるリインフォースⅡ。皆からはリインと呼ばれる彼女が腰かけていた。
かわいらしいその姿に癒されながら、はやては座りやすいように肩を水平にしリインにも見やすいようにスクリーンの角度を調節する。
「今日来る新人君のデータを見とったんよ」
「そうだったんですか。え~と名前は、ラディオン・メイフィルスさん。前にいたのは……首都防衛隊、シグナムと同じ部隊ですね!!」
「いや違うでリイン」
勘違いではしゃぐリインにはやては苦笑を浮かべる。
「シグナムがおるんは首都“航空”隊。んで新人君の方は首都“防衛”隊。似とるけど全然違う部隊や」
「むむむ……、ややこしいです」
「たしかにややこしいな。でも気にしとる人もおるから気ぃつけんと」
「は~いです。でも残念です。同じ部隊だったらシグナムも喜んだのに」
「……ほんまにな」
それまで浮かんでいたはやての優しい笑顔にわずかに影が差す。
前所属、“首都防衛隊”。
それこそがラディオン・メイフィルスの出向が、六課にとって“面倒なこと”になる理由なのだ。
首都防衛隊。
名前の通り、第一管理世界ミッドチルダの首都クラナガンの防衛を主な任務とする部隊である。
これだけならシグナムのいる首都航空隊と名前だけしか違わない部隊に聞こえるだろう。が、実際には大きく違う。任務こそ同じ両部隊だが、その取り巻く環境が全く違うのだ。
首都航空隊は武装隊の中でも空戦を行えるもの、もしくは空戦の適正がある魔導師が配属される航空武装隊の一部である。そのため上位組織は他の武装隊と同じ本局になる。
対して首都防衛隊の方は、首都圏で増加する凶悪犯罪へ対抗するためという名目で設立された部隊であり、言うまでもなく上位組織は設立した張本人である地上本部となる。
そしてこの機動六課の所属は本局の古代遺物管理部。
本局と地上本部の仲の悪さを考慮に入れれば、十中八九このラディオン・メイフィルスという人間はスパイで間違いないだろう。
しかも首都防衛隊は現地上本部の最高権力者であるレジアス・ゲイズ中将その人の強い要望により設立されたということもあり、今の地上本部のあり方に肯定的、言い方を変えれば盲信的な人間が多いと言われている。
隊の中にはゲイズ中将が掲げる理想のために、表では処理できない裏の任務を遂行するための闇の部隊まで存在するとまで噂され、犯罪者はおろか同じ局員からも恐れられる始末である。
その人物の人となりや長所、これまでに配属された部署やそこでどのようなことをやってきたか。本来はもっとも内容が濃くなるはずの特記事項の部分の薄さから考えるに、このラディオン・メイフィルスという人間は、悪いことにその“闇の部隊”の側の首都防衛隊の隊員である可能性が高い。
そんな後ろ暗い経歴の人間の派遣である。たとえその人間がどんなに優秀でも、喜ぶことなどできはしない。
そしてその危険人物が今現在どこにいるのかというと――
「んでリイン、その新人君は見つかったん?」
「あう……見つかってないです。ごめんなさいです」
それまで楽しそうにパーソナルデータを眺めていたリインだったが、はやての問いかけに申し訳なさそうに肩を狭めた。
そう。いま地上本部から送りつけられたこの爆弾は絶賛行方不明なのである。
話は一時間程前に隊舎ロビーに設置されているカメラが一人の見知らぬ少年を捉えたところから始まる。
陸上警備隊の制服こそ身に着けていたものの、その場にいた人間が誰も彼の顔に見覚えがなかった。そこで不審に思った管制室にいた隊員たちがはやてにこのことを報告し、もしやと思いカメラの画像とパーソナルデータの顔写真を照合した結果、その見知らぬ少年が件の新人君であることが判明したのである。
もちろんこうした混乱を避けるため、六課の側でも案内人を用意していたのだが、流石に一時間以上も前から準備はしていなかった。
このままではまずいということで監視カメラと手の空いていた人員を総動員して彼を捜している、というのが現在の状況である。
「ほんとに面目ないです……」
「いや、ほんま気にせんでええよ~」
「ううぅ~ごめんなさいです~」
「え~と、ほんまに気にしとらんのやけどな……」
一時間もかけて人一人見つけられないことに責任を感じているのか、再び謝るリイン。
ただでさえ小さな体をさらに小さくして謝る姿はなんとも痛々しい。
はやても気にしてないとフォローするのだが、それが逆に気を使わせてしまったと思ったのだろう、さらに体を小さくしてしまう。
事実、ラディオン・メイフィルスが見つからないことに関してはやてはまったくといいほど気にしていない。
彼のことがどうでもいいというわけではない。実際報告が上がってきたときには迷子になっているのではないかと心配していた。
が、その心配も10分程たった辺りで薄れ始め、そのさらに10分後には最初の心配はもはや跡形もなく消えていた。
根拠はひどく曖昧で、それこそいちゃもんではないかと非難されても仕方ないようなものだが、それでもはやては確信していたのだ。
彼は決して迷っているのではない、と。
その確信を裏付けるかのように、部隊長室に来客を告げるベルが響く。
時間はちょうど件の新人がここに来る時間。
リインに軽くアイコンタクトを送り、それまで見ていたスクリーンを閉じる。
優しい重さが肩から消えるのを惜しみつつ、タイを軽く締め直し襟を正す。
そして相手に心地よく聞こえる声を意識して扉の向こう側の相手に声をかけた。
「どうぞ」
呼びかけに応え静かに開くドア。
その向こうから現れたのは、今日初めて会う、これまで何度も見た顔の少年。
「失礼します。本日付で機動六課に出向となりました、ラディオン・メイフィルス陸曹です。よろしくお願いします」
部屋に入ってくるその足取りを、慣れた様子で敬礼をする姿を、そして一点の曇りもない爽やかなその笑顔を見て、捜査官としての勘がはやてに告げた。
その笑顔が偽りであることを。そして、その裏になにかが隠れていることを。
ならば剥がさなければいけない。その化けの皮を。
そして暴かなければならない。その笑顔の裏に、一体なにが潜んでいるのかを。
他の誰でもない、自分が、それを暴かなければならない。
なぜなら、他でもない自分も、彼と同じ穴のムジナなのだから……
頭の中で蠢くどす黒いすべてを笑顔の仮面の下に隠し、はやては彼に手を差し伸べた。
「機動六課課長兼部隊長の八神はやてです~。よろしくな~」
to be continued
後書き
いかがだったでしょうか?
はい、今回第1話にもかかわらず主人公が喋ったのは最後だけですはい。
基本自分は主人公の扱いがひどいのです昔から(笑)
次の投稿は少々リアルが忙しくなるため一応未定とさせてください。
未定とは言いつつ一か月以内には投稿したいと思います。
それでは、読者の方々に感謝の意を示しつつ失礼させていただきます。
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