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有栖キャロの小学校物語

作者:blueocean
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第6話 運動会です(前編)


「ふぁ〜あ………」

私は大きく背伸びをして、ベットから出ます。
時刻は6時30分。ちょっと起きるのが早かったですね。

「いい天気」

カーテンを開けると、お日様が上がっていました。
今日は晴天みたいです。

「今日は頑張るぞ………」

私は静かに気合を入れました。






「じゃあ応援に行きますから頑張って下さい」
「はい、行ってきます!!」

私はみんなに見送られ、家を出ました。
今日はエリオ君だけじゃなく、管理局で忙しいフェイトさんも来てくれるみたいです。

桐谷さん達も来てくれると言ってましたし、かなり大勢です。
だけどそれがまた嬉しかったり……………


「おはようございま〜す!!」
「おはようキャロちゃん。ごめんね、ルーまだ準備が終わってなくて………」
「大丈夫です、いつものことですから」
「それが困ってるんだけど…………」

メガーヌさんが申し訳なさそうに言います。
別に気にしないのですが…………
ちょっと奥を見ると、ガリューさんが慌ただしく動いてました。
ルーちゃんが言うには、最近は主夫が板に付いてきたって言ってました。
それでいいんでしょうか………………?

「おまたせ」
「うん、それじゃあ行こう!」

ルーちゃんが来たので、私達は学校に向かいました……………










教室に来てみると、既にエローシュ君と佐助君が来ていました。
何やら、紙を見て、話し合ってます。

「おはようございます」
「おはよう」

「ああ、おはよう二人共」
「おはよう……………」

「早いですね二人共」
「ああ、最終確認をしている所だからな。だけど問題は…………」
「玉入れと綱引き……………」

問題………?

「何かまずいの?」
「ああ、この二つはクラスで競うだろ?実は2組は運動神経いい奴が多いんだ」

そう言って一枚の紙を見せてきました。
どうやらスポーツテストのデータの比率みたいです。

「2組凄いですね」

「それに比べて1組は低い………」

「インドア派ばかりだからな………」

インドア派の意味は分かります。
確か…………家にずっといる人だったはずです。

「一応対策はある………」

「だけど、それがうまくいくかは相手次第…………」

要するに不安って事ですね…………

「大丈夫」

「ルーちゃん?」

「こっちには強い味方がいる」

「「「味方?」」」

「エリオ」

…………………………えっ?










「無理だって!!そんなのバレるよ!!」

私達はエリオ君を見つけて、校舎裏に連れてきました。

「お願い、エリオの手を借りないとまずいかもしれないの」

「だけど、僕はこの学校の生徒じゃないんだよ!!絶対にバレるって………」

「大丈夫、エリオはかっこいいから問題ない」

「大有りだよ〜!!」

ルーちゃんがいい考えあるって言っていたので何か考えがあると思ってましたが、無計画でした。

「仕方ない、それじゃあ変身魔法で…………」

「そんな魔法ありましたっけ?」

「………………………知らない」

「知らないのに言ったの!?」

ダメそうですね…………

「もう、つべこべ言わず、来る!!」

そう言ってルーちゃんが無理やりエリオ君を1組の教室へ連れていってしまいました。
本当に大丈夫かな?





その頃、フェイト達は……………

「零治、エリオが居なくなったの!!」
「えっ!?迷子か?」
「多分…………お願い、探すの手伝って!!」
「分かった!!」

エリオを探して、走り回っている中学生組がいた……………








「皆に紹介する、エリオ・モンデヤル君だ!!」
「モンディアルです!!」
「「「「「「「「「「最低…………」」」」」」」」」」
「ちょっと!?女子の皆さん、そんな冷たい目で俺を見ないで!!」

自業自得です。

「オホン…………で、このモンディアル君が助っ人として手伝ってくれることになった!ルーちゃんが言うには運動神経はルーちゃんよりもずっと上で、しかもイケ……………」

あれ?何か顔が暗くなったような……………

「イケメン……………」

そう言って崩れていきました。

「確かに………」
「かっこいいよね………」
「目もキリっとしてるし………」
「ジャOーズみたい………」

女の子達もヒソヒソと話しています。
ちょっと嬉しそうです。

「クソっ、イケメンとか………」
「それで運動神経抜群……?」
「モテ男じゃないか………」

逆に男子のテンションが下がってるような気がします。

「と、とにかく!団体競技の時に出てもらう!そうすれば、運動神経抜群もとい、脳筋の2組の連中にも負けはしない!!それにこっちには仕込んだ策もある!!恐れず立ち向かえ!!」

「「「「「「「「「「おおーっ!!」」」」」」」」」」

「よし!!今日は絶対に勝つぞ!!」

こうして、エリオ君の団体競技の参加が決定しました。








「それじゃあみんな、初めての運動会だから緊張してるだろうけど頑張ろう!!ただ、玉入れと綱引きは作戦通り頼むな」
「「「「「「「「「「OK、エローシュ!!」」」」」」」」」」
「よ〜し、やあ〜ってやるぜぇ!!」

気合バッチリです。
だけど、逆に目立ちすぎてちょっと恥ずかしいですけど…………











さて、俺達有栖家の面々は自分達の敷いたレジャーシートに座り、俺はカメラを準備し、始まるのを待っていた。
フェイト達や桐谷達はそれぞれ違う場所で見らしい。………っと言っても本当は一緒に見ようという話だったが人が多く、ライの機敏さが無ければこんな前の席も無理だったかもしれない。
まあそれはともかく、キャロ達を探していると、周りのクラスとは明らかにテンションが違うクラスを見つけた。
よく見るとキャロとルーもいる。

「何か妙に気合入ってるな」
「そうですね、初めての運動会とは思えない気合を感じます」

確かに星の言う通り。
円陣組む小学1年生を初めて見たぞ俺…………

「確かにキャロの言ってた通りだね」
「そうだな、我もここまでとは思ってなかった」

ライや夜美も同じみたいだな。

「だけど楽しそうだな」

見ていたフェリアが不意にそんな事を言う。

「そうですね」
「そうだね」
「だな」

俺も同意見だ。
キャロはとても和かにクラスの仲間と話している。

ルーは…………何か男の子にちょっかい出してるな。

「まあ楽しそうで何よりだよ」

俺の言葉に星達4人は頷いたのだった。














「先ず第一関門だな」

エローシュ君は真面目な顔で呟きました。

一年生綱引き。
最初の方でいきなりです。

他のみんなも顔つきが変わりました。

ちなみに作戦は単純なもの。
団結力で勝負との事です。相手は確かに個々の運動神経はいいのですが、余り仲が良くないらしいです。
綱引きはみんなで協力してやる競技です。確かに付け入る隙はあります。

『ここは俺達の団結力で相手を倒す!』

シンプルですがいい作戦だと思います。

「いいか!掛け声を合わせるんだ!!俺達は個々の力は弱いが団結力はどの学年にも負けないと思う!!
俺達の力を見せてやろうぜ!!」

「「「「「「「「「「OK、エローシュ!!」」」」」」」」」」

流行りでしょうか?
何故か今日はこの掛け声をします。

「頼むぜ、秘密兵器………」
「本当に大丈夫かな…………」
「いい加減覚悟を決めるべき」

ルーちゃんはそう言ってエリオ君の背中を叩きました。
エリオ君は痛みで咳き込んでます。

ちなみにエリオ君は杉山君の体育着を借りてます。帽子も深く被っているので分からないと思うのですが………
杉山君とそのご両親には既に了承済みらしいです。
というよりジャンピング土下座をしたエローシュ君に折れたって感じでしたが………

場所は一番前。
その横に私で、後ろにルーちゃん、その横にエローシュ君です。

ご両親まで話をする辺りは、流石エローシュ君です。

「頑張ろうエリオ君」

私はエリオ君の肩を触り、言いました。

「ありがとう、キャロ」

そう言って笑顔で返してくれました。

えへへ……………
ちょっと恥ずかしいです。

でも後ろの女子から睨まれてる気がしますが、気のせいですよね?





「それじゃあ、よーい……………」

パン!!
ピストルの音が鳴り、一斉に引き始めます。

うわっ!?強い………

「行くぞ!!オーエス!オーエス!」

エローシュ君の号令に皆が合わせます。
だけど…………

「動かない!?」

綱はびくともしません。
あっちはコッチよりバラバラなのですが、それでも綱は動きませんでした。

「エローシュ、このままじゃまずいわよ!!」

夏穂ちゃんの焦った声が聞こえてきます。
確かに不味いです。

コッチは力の無い分、チームワークで補っていますが、元が低い分、長く持ちません。
このまま長期戦になれば、こっちが不利です。

「分かってる!!みんな頑張ってくれ!!」

そう言ってまた掛け声を上げます。
でもやっぱり綱は動きません。

「くそ、このままじゃ………」

流石のエローシュ君も予想外だったみたいです。

「…………仕方ないか」

エリオ君?

「ビリっとするかもしれないけどごめんね…………」

エリオ君は何を言ってるのでしょうか?

すると…………

「痛っ!?」

相手の先頭の子が痛がって綱を離しました。

「今だ!!」

エローシュ君の声に皆が反応しました。

一斉に綱を引きます。
中心のリボンは私達の陣地へ入っていき…………

パンパン!!

終了のピストルが鳴りました。

「勝者、1組!!」

それを聞いて、

「「「「「「「「「「やったあああああああ!!」」」」」」」」」」

皆で一斉に叫びました。





その後の綱引きは直ぐに負けてしまいました。

さっきの戦いで力を使い果たしたみたいです。
だけど誰一人悔しがってる人はいませんでした。

 
そして、私とルーちゃんは気になった事があるので、人気のない校舎裏にエリオ君を連れてきました。

「エリオ君、一体何をやったの?」
「ああ、前の人に少しだけ電気を流したんだ」
「えっと、魔力変換資質………でしたっけ?」
「うん、そうだよ」

どうやらエリオ君は相手の一番先頭の子に電気を流したらしいです。
だからあの時、綱を離したのか………

「けれどよくやった、エリオ」

そう言ってルーちゃんはエリオ君の頭を撫でました。

「やっぱりエリオが居てくれて助かった、ありがとう」
「べ、別に僕は出来る事をしただけだから……………」

エリオ君は少し照れながら言いました。
だけど、実際にエリオ君が居なかったら負けていたかも…………

「ありがとうねエリオ君」
「キャロまで…………ってそれより行かなくていいの?徒競走直ぐだって書いてなかった?」
「あっ、そういえば!!」
「そうだ、キャロ行こう。エリオ、また後で」
「うん、頑張って二人共」

私達は急いで1組に戻りました。






「エローシュ君…………」

エローシュ君の同じ順番にドリル君がいます。
エローシュ君は運動は得意な方では無いので心配です…………

「夏穂ちゃん、あのドリル君って運動出来るの?」
「エローシュよりは出来ると思うわ」

真白ちゃんが夏穂ちゃんに質問しました。

結果は最悪ですね。
一体どうするのでしょう。

そう思ってるとエローシュ君の番が回ってきました。

すると、エローシュ君はいきなり座り込みました。
どうしたのでしょうか?

「おいエローシュ、一体どういうつもりだ!?」
「これでいいんだ。いいから構えろよ」
「ふん、その分だと勝負を諦めたみたいだな」
「さあ、どうかな………」

ニヤリとエローシュ君は笑いました。

そして右足を後ろに伸ばし、両手を地面に付けました。

「失望したよ。僕のライバルの君がそんな変な格好をするとは…………だけど、容赦はしないよ。『いつ何ときでも力を抜くな』それが家の家訓だからね」

嫌な人ですね…………
何でエローシュ君は言い返さないのでしょうか?

「位置について………」

そうこうしているうちに始まるみたいです。

「ようい………」

パン!!
ピストルの音と共に一斉にスタートしました。

「なっ!?」

ドリル君が驚きの声をあげました。





何故なら…………

「行っくぜー!!」

エローシュ君が先頭だからです。







結果、エローシュ君は見事1位でした。

「何でお前が1位なんだ!!フライングしたんじゃないのか!?」

私が走り終わると、ドリル君がエローシュ君に対して怒っていました。
あっ、ちなみに私はぶっちぎりの1位です。


………………ごめんなさい、何とか1位です。

「フライングしたんだろう!!そうに違いない!!じゃなかったらあんな変な格好だったお前に負けるはずが無い!!」

もう言いたい放題ですね。
……………かっこ悪いです。

「もううるさい、行こうエローシュ…………」

そう言ってエローシュ君を連れ出したのは佐助君です。
いつも余り感情を出さない彼ですが、相当頭にきてるのが分かります。

まずいと思ったのか、ドリル君は後を追いかけませんでした。

「くそっ………あっ、キャロさん、ルーさん、夏穂さん!」

私達に気がついたみたいでこっちに来ます。

「どうでした?僕の活躍」

どの口が言うのでしょうか。
2人も思うことが同じみたいなので、3人一緒に………

「「「最低!!」」」

と言ってやりました。

ボケっとしてるドリル君を見て気分がよかったのは内緒です。 
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