| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

有栖キャロの小学校物語

作者:blueocean
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第5話 エローシュ君のライバル?登場です


「運動会ももうすぐね………」

夏穂ちゃんが自分の卵焼きを食べながら呟きました。

いつも通りの昼休み。
私達は中庭で円になってお弁当を食べていました。

運動会も、もう今週。

お兄ちゃんたちより先にやります。
初めてだし緊張します。

「体育もその行進とかで面倒だよなぁ………何度も繰り返すからやんなるよ」

エローシュ君の言うことも分かります。

何度も行ったり来たり。
私も正直うんざりです。

「それよりエローシュ、二組からこんなものを受け取った…………」

そう言って佐助君が折りたたまれた紙をエローシュ君に渡しました。
一体何だろう………

「はぁ…………懲りない奴だな」

「何よ一体………」

そう言った夏穂ちゃんにエローシュ君は紙を渡しました。

「なるほど…………面倒ね」

「一体何なんですか?」

私は我慢しきれなくなったので聞いてみました。

「ああ、転校してきた二人は知らないよな。真白ちゃんも直接関わって無いから知らないかな?」

そう言って私達に手紙を見せてくれました。

『今回の運動会で決着を付けるぞエローシュ!!勝った方が夏穂さんをいただく!!』

エローシュに対しての果し状でしょうか?
でも、『夏穂さんをいただく』っていうのは…………?

「これを渡してきたのは西條清孝。隣のクラスの金持ちなんだけど、いつの間にか夏穂に惚れたらしくて、何故か俺を目の敵にしてくるんだよ…………」
「エローシュのライバル?」
「俺はそう思ってないんだけど、相手の方は思ってるらしくて…………一回負かせたんだけどしつこくてしつこくて…………」
「夏穂ちゃんは告白されたの?」

真白ちゃん直球です。

「されたけど断ったわよ!!誰があんなキザでドリル男………」

ドリル男?

「だけど玉の輿」
「そんなの関係ないわ!!実際に会ってみれば3人も分かると思うわ。エローシュが可愛いくらいよ」

「俺と比べるなよ!俺が可哀想だろ!」

「否定できない……………」

どれだけ嫌われてるんでしょうか…………
何だか少し可哀想です。

だけど…………

「断ったのにしつこいのはある意味嫌ですね」
「そうよね…………何であんなにしつこいのかしら………」
「夏穂ちゃんって結構モテるよね」

真白ちゃんが不意にそんな事を言いました。
その時、エローシュ君の目が光ったのを私は見逃しませんでした。

「真白ちゃん詳しく教えてくれ!!」

エローシュ君が真白ちゃんに身を乗り出し聞いてきます。

「え、えっとね、今朝も下駄箱に…………」

「言っちゃダメ!雫!!」

「いいこと聞きましたな」
「重用情報………」

エローシュ君と佐助君はニヤニヤしながらそんな事を言いました。
さっきの話の先が分かったのかな?

「ルーちゃんは分かった?」
「キャロは分からなかったの!?」

あれ?驚かれる事かな?

「キャロ、今度漫画貸すから読んで」

「えっ!?あ、ありがとう………」

勢いよく言われたので断る余裕もありませんでした。
まあ断る理由も無いのですが……………









「夏穂さん!!」

放課後の事です。
今日も授業が終わり、帰りの支度をしていた時でした。

後ろのドアから夏穂ちゃんを呼ぶ声が聞こえたと思って見てみたら、白いスーツを着て、頭をトンガリにして固めた男の子がいました。
立派なドリルです………

「………キャロ、何をしてるの?」
「拝んだら何か良いことあるかなって」


「今度の運動会で僕の素晴らしさを見てもらい是非、結婚を前提としたお付き合い…………」

と、そこまで言って固まりました。
あれ?私が見られてるような…………

「あ、あなたお名前は…………」
「えっ!?私ですか!?」
「そうです…………」
「あ、有栖キャロですけど…………」

「ぐおっ!?」

そう言うとドアにもたれ掛かってそのまま床にズルズルと倒れていきました。
ああ、白いスーツにホコリが…………

「可憐だ…………」
「えっ!?」
「何て可憐なんだ!!是非僕と結婚を前提としたお付き合いを……グフォ!?」

そこまで言うと、飛んできたランドセルが顔面に当たり、後ろに倒れました。

「キャロは渡さない!!」
「ルーちゃん、やりすぎ!」

投げたのはルーちゃんでした。
流石にやりすぎじゃ…………

「誰だい、こんなものを…………」

あれ?案外平気でした。
簡単に立ち上がります。

そうして、今度はルーちゃんを見て固まりました。

「妖美だ……………」

あれ?何かまた同じ光景を見ているような……………

「何て妖美なんだ!!失礼ですがお名前は…………」
「お前に名乗る名前なんてない」

ルーちゃんは即座に教えるのを拒否。

「素晴らしい、これがツンデレと言う奴なのか?このクラスは本当に素晴らしい子ばかりだ!!」

絶対に違うと思いますが……………
何だか危ない気がします。

「何なのこの気持ち悪いのは………エローシュより酷い」

「エローシュと言ったか!?クソっ、またしても奴か!!だが恋は障害があったほうが燃える!!今度の運動会での僕の活躍、とくと見ていてください!!」

そう言ってハッハッハと笑いながら消えるドリルの男の子。
結局何だったのでしょうか?

「何考えてるのかしらアイツ………」
「2人共、あれが昼休み話していた奴よ」
「えっ、彼がですか!?」

確かにおかしい人でした。
夏穂ちゃんが言うだけあります……………

「エローシュ以上の変態を見たのは初めて。運動会前に闇討ちしようかな………」

「駄目ですよ、ルーちゃん!!夏穂ちゃんも『その手があったか!』って顔しないでください!!」

2人共暴力は駄目です!!

「3人共どうしたんだ?」

そんな時、エローシュ君が真白ちゃんと教室に帰ってきました。






「へぇ、俺たちが日誌を渡しに行く間にそんなことがあったのか………」
「そうなんですよ…………」

さっきの出来事をエローシュ君に話しました。
真白ちゃんも私達と同じ気持ちみたいです。

「アイツは………さて、これはどんなことをしても負けられなくなったな」

えっ、何で!?

「そこまでの事じゃ無いと思う」

私もルーちゃんの意見に同意します。

「ダメだな。ああいう奴は一回勝つと、勝手にした約束を本気に思って、更にしつこくなるぞ」
「そうなんですか!?」

「ああ、だからウチのクラスのマスコット、キャロちゃんとクールガール、ルーちゃんは俺達が守らないと」
「いつの間に変なあだ名を………」

ルーちゃんも流石に驚いていますが、案外嬉しそうです。


マスコットか…………

トOッキー?
いや、私は女の子ですからOッキーですね。



あんまり嬉しくない……………

「何でキャロちゃんに睨まれてるのか分からないけど、明日はみんなで会議だな」

「で、どうするのよ」

「取り敢えずどの競技も絶対に勝たせない。それが最低条件だな。まあ対策は相棒と作戦を練っておくよ」

「先生に迷惑をかけないようにしなさいよ…………」
「むしろ、もっとやれ!!って言われそうだけど………」

この前私とルーちゃんも実際に見たのですが、担任の細野先生と隣のクラス(ドリル頭の男の子のクラス)の担任のはげ山………オホン。
竹山先生は犬猿の中らしいです。

私達が見た場面は嫌味を言い合ってる場面でした。
ものすごく大人げなかったです。


帰ってきてから細野先生は最初の授業の5分をずっと愚痴ってました。
要するにそれほど毛嫌いしています。

「まあ俺に任せてくれ」

エローシュ君は頼もしく言い切りました。
今度はどんなことをするのか楽しみですが、本当に必要なのかな?






夜……………

「みんな、出来たわよ〜」

星お姉ちゃんの呼び声にみんなが動き始めます。

「ライお姉ちゃん、ご飯だって………」
「ちょっと待って!今重要な所!!」

確かに今重要な所です。

タOガース対スOローズ、六回表で2−1、タOガースリードですが、ピンチです。
1アウトランナー1塁3塁でスOローズの4番畑山です。

私はライお姉ちゃんと、タイガースのユニフォームと帽子、メガホンを持って応援しています。

「ここで誰が出てくるかな?」
「私は江原辺りだと思うんですけど………」

相手バッターは右バッターなので左ピッチャーをぶつけると思うのですが…………
でも今年の左の中継ぎはあんまり成績が良くないので不安です。

今日の試合は負けると4位になるかもしれない試合なので絶対に負けられません!!

『えっとピッチャーを変えるようです…………おっ!?ここで怪我で調整中だった、筒居をマウンドに上げてきました!!』

「キャロ!!」
「はい!!筒居なら絶対に抑えてくれます!!」

筒居は左の先発の柱です。
本当はローテーションの中でチームを引っ張る筈だったのですが…………
シーズン序盤にケガをしてしまい、今日までずっと2軍にいました。

でも帰ってきてくれて本当に良かったです!

「あっ、CMに入ったね。それじゃあご飯食べながら見よう!」

「はい!」

「お前ら…………」

「「あ…………」」

「準備くらい手伝え〜!!」」

「「ごめんなさ〜い!」」

お兄ちゃんにこってり怒られてしまいました。
けれど、筒居が見事に抑えてくれてタOガースは勝てました。

本当に良かったです!




「そういえば、フェイトから聞いたんだが、エリオが運動会見に来るらしいぞ」

ご飯を食べ終え、くつろいでいたら、お兄ちゃんが不意に言いました。

「本当ですか!?」

夏休みの別荘へ行って以来会っていないのでとても楽しみです!
…………そういえば、

「エリオ君は学校には行かないのですか?」

「エリオは管理局に入隊するつもりらしいぞ」

「そうなんですか…………」

一緒に行けたら楽しそうだったんだけどなぁ…………

「まあエリオにも目標があるんだよ。応援してやろうな」

「はい!!」







一方、アルピーノ家……………

「よっし、ここで畑山が打てばジャOアンツが3位に………」
「そんな事させない………」

ゼストはジャOアンツファンだ。
あの金持ちチームのどこがいいのか分からない。

確か、小松原が粋で良いって言ってたけど…………

「私にも負けられない戦いがここにある!」
「ふっ、言うようになったなルー!!」


「どうでもいいけどご飯よ二人共」

そんな2人をテーブルのイスに座って呼ぶメガーヌさんの姿があった。





「くっ、これでジャOアンツが4位か………」
「ふっふっふ、これぞ虎の底力」
「ルー、こぼしてるわよ」
「…………ごめんなさい」

注意されて私は自分のこぼした夕食を拾う。

「お茶のおかわりはいかがですか?」
「ああ、もらおう」

お母さんはゼストの湯飲みにお茶を入れる。
こう見ると夫婦にしか見えないんだけどな…………

一体いつになったら結婚するのだろう…………

「ルー、あなたは?」
「豆乳頂戴」
「はいはい」

少し苦笑いしながら私に豆乳を入れてくれた。
いいじゃない、豆乳好きでも……………

「ガリュー、これお願い」

コクっとうなづいて、空になったお皿をキッチンに運んで行き、

「……………」

お皿を綺麗に食器洗浄機に入れ始めた。

「いつもありがとうガリュー」
「……………」

無反応みたいに見えるけど、気にするなと言っていると思う。

本当はゼストがやるって言っていたんだけど、食器洗浄機の使い方がイマイチ分からなくて、結局ガリューにやってもらってる。

ガリューは何でも出来るからね。

「そういえばルー、もうすぐ運動会よね?」

「そうだよ」

「お母さんとゼストさんも見に行くから頑張ってね」

「うん、頑張る」

だけどあのドリルには気を付けないと…………

「後、当日エリオ君も見に来るらしいわよ」
「エリオ来るの?」
「零治君がそう言ってたわ。ねえ、どんな子?」

どんな子?えっと……………

「とても真面目で恥ずかしがりや。優しく、結構イケメンで、将来はモテモテの予感。だけど女性関係はレイ兄と同じになりそうな気がする」

「えっと…………」
「どこから突っ込めばいいのか…………」

でも私の考察は間違ってないと思う。

「ま、まあ仲良くね」
「うん」

クラスの女子に紹介してみようかな?
そうしたらエリオが男子に殺されちゃうか。

だけど、逆に返り討ちにしそうだな……………


その後もルーテシアはエリオが来たとき、どうするか考えていたのであった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧