ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第2章 滅殺姫の憂鬱と焼き鳥の末路
第24話 新たな日常
恐怖の家族会議から数日、今日も俺たちは一緒に登校していた。今までは神裂家と俺の5人で登校していたんだけど、今はそれにアーシアとレイナーレが一緒だ。ちなみにこの2人が転校して来た初日は大変だった。自己紹介で2人が俺の家にホームステイしていると宣言しちゃって大騒ぎ。最後は男子全員に追いかけられる始末だった。最終的に同じクラスだった火織と龍巳に助けられたんだけど……。情けねえなぁ俺。
まあそんなこともあって当初はすっごい騒ぎになったんだけど今では2人共普通にクラスに溶け込んでる。……まあレイナーレは猫被ってるんだと思うけど。レイナーレは俺と初めて会った時の偽名、天野夕麻を名乗っている。性格も告白してきた時のなんとも可愛らしい振る舞いをしてる。……まあ地でいくと絶対孤立しそうだからな。で、家帰ったら俺に愚痴を延々と言うんだよな。人間ごときが~とかそんな感じに。でも多分あれは照れ隠しなんだと思う。自分のことをちゃんと見てくれるなんて俺たちを除いたら初めてだろうからな。愚痴言ってる時も若干嬉しそうな顔してるし。
あ、それから転校してすぐは告白がすごかった。もうなんというかたくさんの男子が押しかけて告白合戦してるみたいだったよ。どうやら俺と一緒に暮らしてるくらいなら自分でもいけるんじゃないか? なんて考えたらしい。ムカつくが一理あるよな。でも今はそんな告白もだいぶ収まってくれた。きっかけは火織の一言。
「ふ~ん、相手のことほとんど知りもしないで皆即告白するんだ~。私が入学してきてすぐもそうだったけど皆節操ないよね~。イッセーより酷いんじゃない?」
この言葉はその場にいた男子にクリティカルヒットした。その次の日から告白が激減したからな。まあそれでも無くなりはしなかったんだが。
と、そんなことを考えてたら学校に着いた。黒歌姉と白音ちゃんと別れてクラスに向かう。そしてクラスに入った瞬間
「「おはよう! アーシアちゃん、夕麻ちゃん!」」
出たよ、松田元浜。俺から見ても気持ち悪い顔してやがる。
「おはようございます」
「おはよう、松田くん、元浜くん」
2人共にこやかに返事してるけど……レイナーレの方は絶対にいやいやだろうな。アーシアの方は多分素なんだろうけど。
「毎朝素晴らしいな元浜くん」
「同意だよ松田くん。美少女からの『おはようございます』、朝から昇天しそうだ」
……相変わらずだなお前ら。
「ちょっと松田元浜、入り口で馬鹿やってないでそこどきなさい。教室入れないでしょう?」
「ん、早くどく」
「おおっと、スマンスマン」
「火織嬢と龍巳ちゃんもおはよう」
「はいはい、おはよう」
「ん、おはよう」
「ホア~、4人連続で美少女におはようって言われたぞ松田くん」
「もう俺死んでもいいかもしれないぞ元浜くん」
「……ならここで殺してやろうかガキども」
「「……え?」」
「な~んちゃって、冗談です。ダメですよ? 死んでもいいなんて言っちゃ」
「な~んだ冗談か!」
「夕麻ちゃんもそんな冗談言うんだね!」
今の絶対本気だった気がする。家で愚痴言う時もこの2人に関することだけは嫌そうな顔してたし。……本当に殺したりしないよな? ってそういえば
「おい松田元浜、なんで俺にはおはようがないんだよ」
「うるさいこの女の敵!」
「自分1人で美少女何人も囲いやがって! 可愛い幼馴染4人では飽きたらずさらに留学生2人と同棲とは! お前どこのエロゲの主人公だ!」
「バッ! そんなんじゃねーよ!?」
恵まれてるのは認めるからそんな言い方しないでくれ! 火織に誤解されちまう!
「なあイッセー、前から言ってたことなんだけどよ?」
「俺達にも1人くらい紹介してもバチ当たらねーと思うぞ? 何もお前の幼馴染に手を出そうってわけじゃないんだからさ。いるだろ? 紹介できる女の子の1人くらい」
う、まあ確かにもともと火織たちと一緒にいると必然的に女の子の知り合いは増えるんだが……基本俺は嫌われてんだよな。連絡先知ってる女の子なんてそれこそ幼馴染しか……待てよ?
「ちょっと待ってろ」
そう言って俺は携帯の連絡先から1人を選び電話をして確認を取る。そして
「松田元浜、1人いるぞ。すぐには会えないけど今度の休日とかなら会えるって。詳しいことは連絡取り合って決めてくれ」
「何!? 本当かイッセー!」
「だ、誰なんだ!?」
「何々? イッセーあんたこの2人に女の子紹介するの?」
「あ、火織聞いてたのか?」
「と言うよりも火織嬢! あなたこそ誰か紹介してくれませんか!? 女の子の友達いっぱいいますよね!?」
「お願いします!」
「う~ん、私は紹介してもいいんだけど……やっぱ無理。あんた達悪い意味で有名すぎるんだもん。向こうが首縦に振ってくれないわよ」
「そ、そんな~」
「こうなればイッセーが最後の頼りだ!」
「で、イッセー。あんた誰紹介するつもり?」
「……ミルたん」
「「ミルたん?」」 「え!?」
「その反応、火織嬢も知ってるのか?」
「ってちょっと待て、なんで火織が知ってるんだよ?」
「あ、ええ。前にイッセーと龍巳が会った話を聞いて私も会ってみたいな~って。それで菓子折り持って挨拶に行ったのよ。いつも妹と幼馴染がお世話になってますって」
「そ、そうなのか」
「で、なんでミルたんなんだ? 一体どんな娘なんだ?」
「……なんでミルたんなのかは本人に聞いてくれ。どんな娘かと聞かれたら……漢女だな」
「乙女! なんと麗しき響き!」
「素晴らしい!」
「まあ確かにあれは……すさまじい漢女だったわね」
「おお! 火織嬢のお墨付き!」
「これはもう確実だな!」
すまん松田元浜。お前らに紹介できるのなんてあのくらいしかいないんだ。
その日の夜、俺は今日も夜の住宅街を自転車で駆け抜けていた。と言っても今は契約を取りに行っているわけじゃない。目的地の民家前まで来ると、自転車の荷台に座っていたアーシアがポストへチラシを投函した。
「完了です」
「了解」
アーシアが再び荷台に乗ったのを確かめると再び自転車で走り出す。そう、今俺はアーシアのチラシ配りの手伝いをしていた。本来俺はもうしない作業で、アーシアが悪魔の仕事を覚えるために最初にする作業なんだけど、ずっと教会で育ってきたアーシアは自転車に乗ることが出来ず火織たちみたいに高速で走れるわけでもないのでこうして手伝っている。
「……イッセーさん、本当によろしかったんですか? 私のチラシ配りをわざわざお手伝いしてくださって……」
「ああ、問題ねーよ。遠慮すんな」
「でも……」
「カカ、こやつもこう言うておるのじゃ。あまり気にする必要はないと思うぞ? のう、我が主様?」
「……」
今の発言、誰だと思う? 答えは前のカゴにこっちを向いてケツ突っ込んで座ってるロリっ子だよ。彼女の名前は神裂龍巳、こんなのでもいちおう俺の幼馴染にしてかなり強い龍だそうです。
「しかしアレじゃのう、我が主様。髪の色的にはわしと小娘は位置が逆だと思わんか?」
「っていうか俺はいきなりロリになっちまったほうが気になるよ。どうなってんだお前の体? っていうかいつもの口調はどうした?」
「カカ、お主の護衛はわしの仕事じゃ。小娘が後ろに座るからにはわしはここに座るしかなかろう? となればこの体でなくては座れぬわ。幸いわしは姿形を自由に変えられるでな。どうせなら完全にあの容姿になろうか?」
「ならんでいいわ」
「カカ、さようか。しかし遊び心とは重要じゃ。役になりきるためなら口調ぐらい変えるしそなたの血を吸うこともやぶさかではないぞ?」
「頼むからやぶさかであってくれ」
「ふふ、龍巳さんもそうおっしゃってくれることですしもう気にしません。これからもお願いしますねイッセンさん」
「おう、任しとけ……って待てアーシア。俺の名前を刀を振る動作なんかの表現みたいに言うな。俺の名前はイッセーだ」
「すみません、噛みました」
「違う、わざとだ」
「噛みまみた」
「わざとじゃない!? ってちょっと待て!! なんでアーシアがこの掛け合い知ってんだ!?」
「実は龍巳さんと白音ちゃんに勧められまして。日本に住むからには知っていないと損だって。実際面白かったです」
なんてこった!? 龍巳と白音ちゃんに毒されてオタクが侵食してる!? 確かにあの怪異譚は面白いけどさ!
「まったく、何やってんのよあんたたち」
バサッ
羽を羽ばたかせつつ話しかけてきたのは先日まで敵対しつつも現在は俺の使い魔をやっている堕天使のレイナーレ。一応俺の使い魔という理由でこうして空から付いて来てるんだけど、まあ理由はアーシアが心配だからだろうな。この2人、本当に仲がいいからな。まあそんな事言ってもレイナーレは絶対認めないだろうしいつもツンケンしてるけど、なんだかんだ言っていつもアーシアのそばに居て世話を焼いている。そしてアーシアもそんなレイナーレに懐いてるんだよな。
「ほら、アニメの真似事してないでさっさと終わらせて帰るわよ」
「分かってるよ。……っておい、なんで今のがアニメの真似だって分かったんだ? アニメなんて一言も言ってねーぞ?」
「……あ」
お前もか!? お前も見たんか!? しかもしっかり掛け合い覚えるほど見入ったんか!? もしかしてハマったんか!? あ! こら逃げるな~!!
その後アーシアは今日初めての契約を取りに行って、見事取って来た。もちろんレイナーレもアーシアに付いて行ったよ。俺の方も龍巳と一緒に自転車で依頼人の下に向かい契約を取ってきた。しかし早朝特訓に加え毎晩こうして自転車で走り回ってると本当に疲れる。黒歌姉と白音ちゃんが交代で仙術を施してくれてなきゃ絶対倒れてるな俺。
ページ上へ戻る