ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第1章 動き出す日常と新たな仲間
第18話 救出作戦
やられた。
私の今の心情を一言で表すならそんなところね。まさか堕天使の連中がこんな暴挙に出るとは思ってもみなかった。連中の動きを止めるためにさっき警告してきたっていうのに……もしかして私相手を追い詰めちゃったのかしら? すぐに追いかけてアーシアを助けなきゃ……でも
「マズイですわ部長。旧校舎がはぐれ悪魔祓いに完全に包囲されている上に学校の敷地が結界に覆われています。ここからのジャンプは不可能ですわ」
朱乃さんの言葉に部長は苦虫を噛み潰したような表情をした。
「アーシアが堕天使に攫われた以上、時間がないわね。だからと言って敵を強行突破して教会に乗り込んでいっても、救出後に包囲殲滅されてしまうわ」
そう、無理やりこの包囲を突破して教会に向かっても、今度は敵地で包囲されてしまう。そうなればここで包囲されるよりさらに戦局が厳しくなるわね。
「……みんな、ここで二手に分かれるわよ。片方はアーシアの救出に、もう片方がここで外の連中を足止めよ。4人ずつに分かれるわ。救出には足の早い祐斗と火織、火織の使い魔の龍巳、それから仙術でアーシアの居場所を探れる白音。足止めには私と朱乃、黒歌で当たるわ」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 俺は……!」
「イッセー、あなたはこの部室内にいてちょうだい。あなたはまだ戦い方を知らないのだから。これは実戦よ。人間として死ねば悪魔に転生することで死は免れるけど悪魔として死ねばもう助からないのよ? このことは前に説明したわよね?」
そう、悪魔に転生した以上もう死んでも復活はできない。それにイッセーはまだ戦い方を知らない。私達が戦いから遠ざけてきたから。でも……
「俺だけ守られるなんて出来ません! 俺にも戦わせてください! 俺もアーシアの力になりたいんです!」
まあイッセーならこう言うよね。これこそがイッセーのイッセーたる所以だし。
「どうして分かってくれないの!? 戦えないあなたが行ってもどうにもならない! 死にに行くようなものだわ!」
でも部長は納得しないよね。なんたって誰よりも自分の下僕を大事にする人だもん。でもイッセーは納得しないだろうし、このまま言い合いを続ければそれこそアーシアの救助が間に合わなくなる。ここは……
「部長、アーシアの救出にイッセーを加えてあげてください」
私の言葉にこの場の全員がびっくりしたような顔でこっちを見た。
「な、何を言ってるの火織!? そんなこと出来るわけないじゃない! イッセーを死なせる気!?」
「大丈夫です。おそらくここに敵の大部分が攻めて来ていますから逆に教会の方は手薄なはずです。それなら私がイッセーを守りながらでも戦えます。そもそもここで言い合いを続けていたら間に合わなくなります。それにイッセーに実戦経験をつませられるいい機会だと思います」
私の言葉に部長は考えこんじゃった。みんなも不安そうに部長を見てる。
「……イッセーは救出メンバーに加わりなさい。龍巳、あなたは足止めの方に加わってちょうだい」
「ん、分かった」
「ありがとうございます部長!」
「イッセー、あなたに幾つか話しておくことがあるわ。まず、あなたの兵士の駒について」
「プロモーションのことですね?」
「ええ、そうよ。敵地である教会に赴けば王以外の駒に昇格できるわ。ただしあなたはまだ悪魔になって日が浅いから最強の駒である女王へのプロモーションは負担がかかって、現時点では無理でしょうね。でも、それ以外の駒なら大丈夫よ。心のなかで強くプロモーションを願えばあなたの能力に変化が訪れるわ」
「はい、分かりました」
「それともう一つ。神器について。イッセー、神器を使う際、強く想いなさい。神器は想いの力で動き出すの。あなたの想いが強ければ強いほど神器は応えてくれるわ。そしてあなたの神器は赤龍帝の籠手、動いてくれれば堕天使なんて目じゃないわ。ただし、力が溜まるまでは時間が掛かるから注意なさい」
「はい」
「そして最後に、あなたは火織の指示に従いなさい。決して無理はしないこと。いいわね?」
「はい!」
「よろしい! じゃあみんな! こんなことはさっさと終わらせて明日は一緒にアーシアと遊びに行くわよ! 全員生きて明日を迎えること! もちろんアーシアも一緒に! いいわね!?」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
「火織、あなたは救出メンバーを連れて結界の外まで行きなさい! 結界から出たら教会までジャンプよ!」
「はい!」
「朱乃、火織達が結界の外に出たら相手の結界の内側にもう一つ結界を張ってちょうだい。一人も逃がしてはダメよ!」
「了解しましたわ」
「黒歌、龍巳。あなた達は私と一緒に救出組が結界の外に出るための道を作ってちょうだい。救出組が脱出できたらそのまま戦闘よ!」
「分かったにゃ」
「了解」
「じゃあみんな! 行くわよ!」
そう言って部長を先頭に旧校舎の窓から飛び出す。唯一イッセーだけは私に襟首掴まれてぶら下がってる状態だけど。私達が飛び出すと四方八方から光の槍と弾丸が降り注ぐ。さすがに数が多い、けどこちらには広域殲滅が得意なのが多い。龍巳が手を横に振りぬけば目の前の光の槍や弾丸が砕け散り、部長、朱乃さん、黒姉が魔力を放出すればこちらに向かってくるはぐれ悪魔祓い達が次々倒れていく。撃ち漏らしもあるけどそれは私と祐斗で対処可能。結果最後尾の白音とイッセーには攻撃が届いてない。そうしているうちに敵中央に空間が出来始めた。
「火織! あの敵陣の穴から突破してちょうだい!」
「了解! みんな行くわよ!」
「はい!」「おう!」「うん!」
私が先頭、白音と祐斗がイッセーの左右を固めて一気に駆け抜け、敷地の外まで来る。途中の結界は人が通れるくらいの大きさに切り抜いてきた。思ったより硬かったのは驚いたわ。相当力をつぎ込んで作られてたわね。誰も追ってこないということは朱乃さんがうまく結界を張ったのかしら?
そして私達はそのまま魔法陣で教会の敷地外までジャンプした。
「白音! アーシアの位置は分かる!?」
「目の前の聖堂! その地下です!」
「了解! 時間がないわ! みんな! 一気に行くわよ!」
私たちはそのまま一気に聖堂まで走り抜く。時間がない以上速攻で突入しアーシアの元まで辿り着くしかない。勢い良く聖堂の扉を蹴り抜いて、中まで侵入。するとそこには
「やあやあやあ。さっきは良くもやってくれたな悪魔ども」
「フリード!!」
そこには先程黒姉と白音が痛め付けたはずのフリード神父が!! アーシアに無理やり治療でもさせたの!? こんなやつ相手にしている場合じゃないっていうのに。
「……白音、アーシアのいる精確な座標は分かる?」
「神父の後方40m、地下30mくらいのところです。ここの真下にも同じくらいの深さに何人か人間の反応があります。おそらく悪魔祓いです」
「クソ! まだ悪魔祓いがいるのかよ! 時間がねーってのに!」
「落ち着きなさいイッセー。すぐに地下に向かうわよ」
「おいおいこっちは無視ですかこの悪魔ども! 調子乗ってんなよこのクソビッチが! 行かせるわけ無いだろーが!」
そう言ってフリードは剣を左手に持ちつつ右手の銃を向けてきた
「悪いけど相手してる時間はないの。このまま一直線に地下に行かせてもらうわ」
そう言って私も七天七刀を構える。みんなも構えをとったわね。さて、ではやりますか!
「七閃!!」
私の言葉と共にズバンッ!! と七本の斬撃が放たれる。先に言っておくとフリードを斬ったわけじゃないからね?
「「「……?」」」
「……あぁん?なんだなんだなんですか? カッコつけて言ったわりに不発ですか? 笑わせんなよこのクソが!」
「言ったはずよ。一直線に地下に行かせてもらうって。誰もあなたを倒してからなんて言ってないわ。こっちには時間がないんだから」
という私の声と共にゴゴゴゴゴ……という音が足元から響き始めた。そして私の言葉と足元からの音にフリードは顔色を変えた。
「ま、まさかテメェ……」
「え? なに、どういうこと?」
「火織姉様……」
「火織さんも無茶するね……」
どういうやらイッセー以外は私が何をしたのか分かったみたいね。
「白音、イッセーのことお願いね」
その言葉と共に
バッキャ~~~~~~~~ン!!!
「さあみんな! 張り切って行くわよ!」
「ってふざけんな~~~~~~!!!!」
「ウソだろ~~~~!?」
叫んだのは一体誰だったか、とにかく私たちは斬り裂かれた床板と一緒に地下に落ちて行った。
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