ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第0章 平穏な日常と新たな家族
第10話 準備完了!
「「「「「カンパ~~~~~イ!!!」」」」」
私達姉妹とイッセーの持つグラスが打ち合わされる。
今日は秋の剣道大会高校生の部の打ち上げ、その二次会に来ている。さっきまで私とイッセーは部活の打ち上げに参加し、解散後黒姉たちと合流してファミレスで二次会を始めた。ちなみにこの二次会、私の全国大会優勝のお祝いも兼ねてるんだよね。これで全国大会優勝は小6の時から5年連続ね。神器などの力を用いずに自分の技術だけで勝ち上がってきたけど、龍巳と修行してきただけあって比較的余裕があった。
今私は高校1年生。原作開始までおそらくあと半年ほどね。龍巳、イッセーと共に順調に駒王学園に入学できた。……まあ龍巳とイッセーは入試ギリギリだったけど。去年黒姉が入学し、今年も私と龍巳が受けることになって、私達と同じ高校に入ろうと入試の倍率が例年よりとんでもないことになった。他中学の生徒にまで私達の事が伝わって人気になっているなんてこの時になるまで知らなかったよ。おかげで龍巳とイッセーは去年1年は大変だった。
さて、前回の容姿の報告から約2年、原作直前の私達がどのように成長したか再確認しましょうか。
まず黒姉。うん、更に胸が大きくなってものすごい色っぽくなった。この歳にしてもう妖艶さを漂わせている。ほぼ原作通りね。原作と違うのは暗い笑顔をすることはほとんどなく、いつも眩しい笑顔を周りに振りまいているてんかな。それから度を越したほどのシスコン。最近更にひどくなってきた。加えてイッセーLOVE。たまにイッセーのベッドに忍び込んではイッセーをからかいつつも誘惑してる。ただ最近妹たちの想い人を取ってしまっていいのかと悩んでいて、唯一イッセーに惚れてない私に相談してくる。そこは気にする必要ないと思うんだけどね。将来イッセーはハーレム築くんだろうし。
次に私。2年前になかなか膨らまず悩んでいた胸は、この2年の努力の甲斐あって見事に膨らんだ。毎日白音と一緒に牛乳飲んだり豊胸体操頑張ってよかった。更に背が伸びちゃうんじゃないかと心配した時期もあったんだけど、あれから背は伸びず栄養が全部胸に行ったって感じ。ようやく神裂火織になった気分ね。剣の腕は大会でもはや敵なし、最強の女性剣士として剣道界では結構有名になった。ただ人外相手だとやはり剣術の腕だけでは対抗できないので魔獣創造も併用することにしている。ただ、龍巳に黒姉、白音、それから子供の頃に拐いに来た堕天使以外の人外と戦ったことがないので、いまいち自分の実力が分からない。龍巳が言うには上級の悪魔や堕天使と十分戦えるということだけど。戦闘スタイルはスピードと技術を重点的に鍛えたテクニックタイプ、木場祐斗と同じ戦闘スタイルね。力の強さは人間に比べれば十分強いとこまで来たけど、威力のある攻撃は全部魔獣創造任せにしている。
次は龍巳。あれから背は多少伸びたけど相変わらず背は低く胸はムダに大きい。ファミレスアニメのポニーテールの店員さんを想像して頂くと分かりやすいかもしれない。あれよりは少し背が高いけど。趣味の方も絶賛継続中どころか更に酷くなった。先日の朝こんな一コマがあった。あの時はいつも通り姉妹四人とイッセーで登校していたんだけど、途中で松田、元浜とたまたま合流した。いつも通り私達と幼馴染のイッセーがいかに幸運かを長々とイッセーに語って羨んだ後、元浜が龍巳に話しかけた。
「龍巳ちゃん、今日なんかいつもより眠そうじゃない?」
こいつは度し難いほどのロリコンのためか、家族と兵藤家の面々以外なかなか読み取ることのできない龍巳の表情を完ぺきに読み取ることができるのよね。
「うん。今日我徹夜。部活の原稿書いてた」
「へ~、部活って漫研だよね? どんな内容?」
「イッセーが松田、元浜に襲われる話。性的に」
この時私達と話の内容が聞こえていた周りの生徒の時間が止まったのは言うまでもない。そしてこの日を境に龍巳が腐女子であるという噂がものすごい速さで広まってたよ。それでも龍巳の人気が一向に落ちなかったのはやはり可愛いが故なのかな。余談だけどこの日を境に龍巳に新しい友だちも増えたらしい。おそらく同好の士なんだろうな。それからもイッセーをモデルにした漫画をよく描いてる。イッセーと他の男性を絡ませつつもイッセーのことが異性として好きというのだから不思議だ。私も少しはオタク入ってるけどこの感覚はわからない。
最後に白音。この娘はまあ、うん……原作通りの背格好、つまり2年前で完璧に成長が止まっちゃったよ。毎年身体測定の日は帰ると塞ぎこんじゃって黒姉が必死に慰めてるんだけど、黒姉が立派に成長してるもんだから更にふてくされていつも状況が悪化してる。私が急に胸が膨らみ始めた頃もまるで裏切り者を見るような目で睨まれた。私が悪くないことは理解してるみたいなんだけど感情まではそうはいかないらしい。でも原作のような暗い過去はないから感情は豊かだしよく笑ってくれる。そこが救いかな。イッセーのことが好きだけど同じくイッセーのことが好きな姉二人が豊かに実ってるもんだからなかなかアタックできずに落ち込んでる。今でも諦めずに毎日牛乳を飲んでは体操、マッサージに励んでいる。しかし非情なことに効果はまだない。
とまあ私達の姉妹の近況はこんな感じかしら? 後はイッセーなんだけどこの子は剣道をしているということ以外原作とたいして違いがない。原作通り女性のお胸が大好きで女性から避けられてる。ただ、私達と親しいためか多くの女子のみならず男子にも敵対されてるわね。違うとすればこの点が違うかな? まあ原作イッセーは悪魔になってモテ始めてからは男子も敵に回してたけれど。剣道の腕は小学6年の終わりから始めたため、一般部員から見たら多少は上だけどやはり全国で見れば並の剣士ね。今回も地区予選で敗退してたし。そういえば……
「そういえばイッセー、地区予選は誰に負けたの? 私自分の試合の方に忙しくて結局男子の方は見に行けなかったのよ。ごめんね?」
「あ~~、いいよ。火織は女子部のエースだろ、こっち見に来る時間がないことぐらい分かってたから。それに黒歌姉に龍巳、白音ちゃんが応援に来てくれたし。それで俺が負けた奴なんだけど、同じ学校の木場って奴」
「木場って同じ学年の木場祐斗?」
「知ってるの?」
「ええ、だって彼有名人じゃない。確かイケメン王子とか貴公子とかって呼ばれてるんだっけ?」
まさかこっちのイッセーがもう木場祐斗と接点を持ってたとは。ほんと原作とは違うわね。ところでイッセー、なんで急に不機嫌になってるのかな?
「あいつ剣道部員でもないくせにめっちゃ強いんだよ。正直剣先が見えないぐらい速いし、部員じゃないのに団体戦のレギュラーに助っ人で入っちまってるんだよな」
「うん、なかなか強いよね。私も一度手合わせ頼まれたことがあって軽く打ち合ったよ」
「え!? あいつと会ったことあるの!?」
なんだかイッセーが落ち込みだした。あれかな? 全女子の憧れであり人気者に比べて、自分は部員なのに彼より弱いこと気にしてるのかな? でもこれで黒姉たちがイッセーが地区予選で敗退した時、いつにも増して不機嫌になってた理由が分かった。普段イッセーが負けた時より不機嫌になってたから気になってたのよね。相手が人外だったから不機嫌になってたんだろうな。今もなんか3人とも不機嫌だし。
「まあ確かに彼強かったよね。イッセーが負けたのもしょうがないか」
私? もちろん勝ったよ。多分悪魔の力も途中から少し使って速度を上げたけどそれにも対応したら驚いてた。龍巳の方が圧倒的に速いからあのぐらいなら対応できるんだよね。……あれ以上速くされると人間の身体能力のままじゃ厳しいんだけどね。そういえばあの後ちょっとして彼の部活に一回誘われたんだけど……もしかして私悪魔に目をつけられたかな? 剣道優勝者で神器持ってればそれはお買い得だもんね。神器持ってることも人外には分かるらしいし。まあ私に注目してイッセーから目を逸らせるんならそれでいいんだけど。
そしてそのイッセーはさらに落ち込んでる。なんか変な空気になっちゃったな。
「まあイッセーも筋は悪くないんだしすぐ追いつけるわよ! とりあえず今日は全部忘れて盛り上がりましょ!」
「そうかな? ……そうだな! よ~~し! 次やるときは絶対勝ってやる! 明日からまた猛練習だ!」
ふふ、やっぱりこの諦めずに突っ走る精神ってのがイッセーの美点だよね。みんなもここに惚れたんだろうし。
「よし! 今日は火織のお祝いに全部俺のおごりだ!」
「ホント!? さすがイッセー、太っ腹! すみませ~~~ん!! ここのデザート端から全部持ってきてくださ~~~い!!!」
「うぉい!? いくら俺のおごりだからってちょっとは遠慮を……」
「「「ゴチになりま~~~す!」」」
「ってお前らもか!? あ~~もうっ! 好きにしろ! 今日は特別だ!」
「じゃあこの後イッセーのおごりでカラオケ行きましょうか!」
「「「お~~~~~!!」」」
「やっぱりちょっと待って~~~!」
この日イッセーの財布がすっからかんになったのは言うまでもない。
「水天逆巻け! 捩花!」
「舞え! 袖白雪!」
今日も今日とて龍巳と次元の狭間で修行。黒姉と白音は少し離れたところで見学中。
私は右手に水を纒った三叉の槍、左手に柄頭から帯が伸びた純白の刀を持って突貫する。槍を振ることで水を発生させ龍巳を取り囲み、刀の能力でその水を凍らせて龍巳を閉じ込める。身動きを封じたところででかいのを放とうとすると
「ふん!」
龍巳が持った右手の黒い刀で真っ二つにされた。やっぱりこの程度じゃ抑えられないか。龍巳はそのまま飛び上がり
「龍槌閃!」
大上段からの唐竹割りを放ってきた。私はそれを紙一重で後ろに下がって避けるんだけど
「龍翔閃!」
振り下ろした刀の峰を片手で支えつつ今度は切り上げてきた。私は一気に距離を取り仕切りなおそうとするんだけど、彼女は左手のみで刀を持ち、切先をこちらに向けつつ刀を寝かせ弓を引き絞るようにして持つと
「牙突!」
開いた距離をモノともぜずに突いてきた! 私は眼前に水と氷の多重防壁を形成するけど彼女はそれを何も無いかのように突き破り突進してくる。私は慌てて横に避けて反撃しようとするけど……って牙突の次に繋げてくるのは!
「ヤバッ!?」
私が慌てて屈むと私の首があったところを突きからそのまま横薙ぎに変化した剣筋が通り過ぎた。私は屈んだまま槍で彼女に足払いをかけようとするけど、彼女は一気に後退し距離があいてようやく仕切り直しになった。っていうか
「この間から思ってたけど真剣勝負でアニメ技のみ使ってくるのやめてくれない!?」
私が言えた義理じゃないけどさ!? それと流派を統一せずに使ってくるとか節操無さすぎる!
ちなみに彼女が使っている刀は私が創ったものではなく彼女自身が創ったものよ。私が魔獣創造で刀を作っているように、彼女も自分の力で刀を創ってみたくなったらしい。しかし創り方がまたなんというか、とにかく酷かった。最初は蛇を創る力でそのまま刀を創ろうとしていたんだけど、それが難しいと分かるや、なんと彼女は大量の蛇を出すと、それをニギニギと両手でこねて圧縮しつつ刀の形を創った。あの蛇に意思や感情はないはずなんだけど握りつぶされていく蛇がとても苦しそうに見えたのは見間違いではないはずだと思う。
「我、本気」
何よその心外だとでも言いたそうな顔は。そっちが本気だろうとこっちは気が抜けるのよ。
「はぁ~~~。まあもう遅いし後も詰まってるから次で最後にしましょうか」
私はそう言うと捩花を消し、袖白雪を両手持ちで正眼に構えた。一方龍巳も右半身となり刀を下段に下ろすと私の位置からは体に隠れて見えないように構えた。そして、構えると同時に駆け出す。構えから彼女の最後の一手はおそらく切り上げ。私は正眼から上段に刀を振り上げ間合いに踏み込もうとすると、彼女は間合いの外で彼女の体の後ろから刀を振り上げ
「神鳴流決戦奥義! 真・雷光剣!」
刀を振り下ろすとともに剣先から特大の魔力弾を放ってきた! ついに流派のみならず作品まで飛び越えたか……。私は刀の斬り合いになると思っていたため、反応することが出来ずそのまま魔力弾に飲み込まれ敗北した。
「全く、あの娘はもうちょっと真面目にできないのかしらね? 昔はもっと純真で可愛かったのに」
「にゃはは。一応真面目にはやってくれてるんじゃにゃいかな?」
今は龍巳と白音が素手で稽古しているのを私と黒姉で見ている。
「真面目? あれで?」
私は彼女たちを指さす。それと同時に
「桜花崩拳!」
「川神流! 無双正拳突き!」
魔力を帯びた拳と気を帯びた拳がぶつかり衝撃波が広がる。
「……にゃはは」
黒姉、お願いだから目を逸らさないで。あれ威力は大したもんだけど絶対遊んで楽しんでるよね?そのまま衝撃波に任せて2人は距離を開けると
「神鳴流裏七八式! 斬空掌散!」
「禁じ手! 富士砕き!」
龍巳は手を横に振るとそこから散弾のように魔力弾が白音に襲いかかり、白音は前方に広がるように拳から気弾を放って相殺した。またしてもアニメ技である。そして白音、いつの間にか遠距離技も出来るようになったんだね。嬉しいんだけどそれがアニメ技っていうのがお姉ちゃん複雑だよ。
「火織」
そんな中、黒姉が急に真剣な顔で話しかけてきた。
「何?」
「この間のイッセーが負けた試合、相手の悪魔に気付かれたかも」
「!」
さすがに相対すればいくら目覚めていなくても神器を持ってることぐらいは気付くか。まあグレモリー眷属がいきなり襲ってくるなんてことはないとは思うけど……
「……守れるよね?」
黒姉はいつになく弱気な発言をした。
「そのために毎日こんな過酷な修行してるんじゃない。大丈夫だよ。きっとなんとかなる。それにこっちには無敵の龍神様がついてるじゃない?」
「そう。我、必ずみんなのこと守る」
いつの間にか気絶した白音を抱えた龍巳が私達の傍にいた。
「そうね。そのためにこんなに頑張ってるんだもんね! にゃはは! お姉さんとしたことが似合わず弱音吐いちゃったにゃ。じゃあいっちょお姉さんも強くにゃろうかにゃ? 龍巳、お願い」
「ん。分かった」
私が龍巳から気絶した白音を受け取ると、黒姉と龍巳は私達から離れて稽古を開始した。
私達なら大丈夫。こんなに頑張ったんだもの。グレモリー眷属と敵対することもないだろうし、その後の危機も私達ならきっとくぐり抜けられる。イッセーだってこれから強くなるんだし。いざとなれば私も魔獣創造を全力で使うつもり。誰一人失いやしない。みんなで一緒に生きるんだ。
原作開始まであと半年……
ちなみにあの後黒姉が龍巳のアニメ技に敗れて目を回すのは言うまでもない。
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