ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第1章 動き出す日常と新たな仲間
第11話 日常の崩壊
「あ~~……おっぱい揉みて~~~」
俺は思ったことをつい呟いてしまう。すると左右にいる悪友2人が反応してきた。
「兵藤一誠くんに同意!」
「言うな……虚しくなる」
「「……と言いたいところだが」」
うお!? 何だ? 2人共こっちをニヤニヤしながら見てきやがって。
「「おっぱいの前に『神裂火織の』が付くんだろ?」」
「んな!?」
な、なんでこいつらそのことを!? まだ誰にも話したことないのに!?
「全く、これだからこいつは……」
「気付いてないとでも思ったのか? バレバレだぞ? まあ火織嬢以外に、だが」
よ、良かった。火織にはバレてないのか。ホッとしたような少し残念なような……。
「っていうかなんで分かったんだ?」
「そりゃあ普段の言動もそうだが、基本エロ本は火織嬢と特徴被るのばっか見てるからな。ポニテとか姉御とか剣道少女とか……」
「それにおっぱいは見ても性交してるものは写真だろうと動画だろうと絶対見ないしな。誰かに操立ててるの丸分かりだ」
絶望した! あまりの自分の分かりやすさに絶望した!
「それと、俺達はハーレム目指してこの学校に入ったわけだが……」
「お前、火織嬢を追ってこの学校入ったんだろ?」
うあああ! そんな事までバレてんのかよ!? お願いだからもう勘弁してくれ!
「(全く、黒歌の姉御や龍巳ちゃん、白音ちゃんもかわいそうに。こんなヤツに惚れたばっかりに……)」
「(っていうかこいつのどこがそんなにいいんだか……)」
俺が羞恥で悶えていると2人が揃ってこっちを見てきた。な、なんだよ? なんでそんな残念なものを見るような目でこいつらこっちを見てるんだよ? とそんなことを思ってると、
「木場く~ん、この後なにか用事ある?」
「一緒にお茶行かない?」
去年の剣道大会で俺を負かせた木場祐斗とその取り巻き達がいた。
「ごめんね? これから部活なんだ」
「そっか~。残念」
「また今度一緒に行こうね? 約束だよ?」
と、なんというかまあモテない俺達には心底羨ましい会話をしていた。
「2年C組木場祐斗……女子生徒憧れの対象にして……」
「我々全男子生徒の敵!」
松田と元浜が血の涙を流しながら慟哭してる! そんなにか!? ……俺も火織達がいなかったらこんなふうになってたのかな? そう思うとあいつらに感謝だな。
「な~に余裕そうな顔してるんだよイッセー」
「ふん! どうせ自分には美人な幼馴染と愛しい想い人がいるからとか思ってるんだろ!?」
「ばっ!? ちげーよ!!」
っていうかそんなこと、こんな場所で大声で言うなよ!?
「だが! そんな余裕もそこまでだ!」
「ここ最近の噂を聞いてもまだその余裕顔を維持できるかな?」
「へ? なんだよその噂って?」
なんだか嫌な予感がするんだが……
「なんとあの木場祐斗とお前の想い人の火織嬢がデキてるんじゃないかって話だ」
「なっ!?」
そんな……バカな……俺、そんなことあいつから一言も……
「っておいイッセー! 大丈夫か!?」
「ちょ!? 落ち込みすぎだろ! 大丈夫だって単なる噂だから!」
2人がなんか言ってるけど俺の耳に全く入ってこない。そういや去年俺が負けたこと話した時にも既に木場のこと知ってたっけ? そういやたまに木場が火織に話しかけてもいたような。てっきりまた手合わせを申し込んでるんだと思ってたんだけど……もしかしたらもう火織の処女は……。
『イッセー、私祐斗くんと幸せになるね! あんたも早く良い人見つけなさいよ!』
『安心してくれ兵藤くん。君の幼馴染は僕がしっかり幸せにするから』
そんなのイヤだ~~~!!!
「落ち着けイッセー! 何いきなり錯乱してるんだよ!?」
「まだ単なる噂なんだから安心しろ!!」
そうは言うが元浜よ
「俺、微妙に心当たりがいくつかあるんだよ……」
2人がうわ~~って顔で俺のことを見てくる。畜生、リアルな想像したせいか涙が止まってくれねえ。
「ったく、おい泣くなよみっともない」
「しょうがねえな。俺がいいもの見せてやるから元気出せ!」
もう何も考えられなくなった俺は俺の手を引く松田に為すがままについて行った。
松田に連れてこられたのは体育館裏だった。こんな場所にいいものがあるのか?
「取り敢えずほら、そこの壁の割れ目から中を見てみろ」
「?」
ますます意味が分からねえ。割れ目なんか見て何が楽しいんだ? 取り敢えず言われた通り中を覗いてみると……
「な!? 片瀬? 村山?」
そこには女子剣道部員で顔見知りの片瀬と村山がいた! ってここ女子更衣室か!? 松田の奴、いつの間にこんなもん見つけやがった!?
「今日の昼休み覗きスポットの探索中に偶然見つけたんだ。俺もまだ着替えを覗いたことはない。覗き第一号を譲ってやったんだ。感謝しろよイッセー」
そうか、まだ覗いたことはないのか。なら火織もまだ覗かれてないってことだよな?
「それよりイッセー、片瀬と村山ってことは女子剣道部だよな!? そろそろ替われ! 俺も見たい!」
と元浜が言うと俺は2人に押しのけられ、二人はそのまま中を覗き始めた。ん? 待てよ? 女子剣道部ってことは……
「ごめ~~~ん、遅れた! すぐ着替えるね!」
この声は火織!? このままじゃ火織の着替えがこいつらに!
「お前ら……」
それだけは!
「見るな~~~~~~!」
俺が叫んで2人を覗き穴から引き離そうとするのと同時に
ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
松田と元浜がいた壁の前から2本竹刀が生えて2人を吹き飛ばした! ってエエエ~~~~~!? どゆこと!? 竹刀が壁を貫通してきたぞ!? 目の前の常軌を逸した光景に混乱していると
「ついに犯罪行為にまで手を出すようになったのかな? イッセー? 覗きとはいい度胸じゃない」
竹刀で手をパシパシと叩きながら笑顔で火織が横から歩いてきた。やべーーー! 絶対怒ってる! っていうかさっきまで更衣室の中にいなかった? この壁を貫通した竹刀、火織がやったんだよな!? どうやってこんなに早く回り込んだんだ!?
「このくらい出来なきゃ剣道部のエースなんて張れないのよ」
「マジで!? っていうか俺声に出してた!?」
「顔見れば分かるわよ。何年あんたの幼馴染やってると思ってるの? さて、覗きなんてするエロ三人組にはお仕置きかしら?」
そう言うと残虐な笑顔を浮かべて近づいてくる。俺終わったかも……
「……と思ったけど私のお仕置きはそこに転がってる松田くんと元浜くんだけにしておいてあげる」
「え?」
な、なんで? 火織、もしかして俺に対して怒ってないのか? 俺になら着替えを覗かれてもいいと思ってる? もしかして火織も俺のこと……
「何を勘違いしてるか知らないけど、『私のお仕置きは』って言ったんだからね? というわけでイッセーのお仕置きは任せたわよ?」
そんな言葉を俺の背後に投げかけた。ま、まさか……。俺はゆっくり背後を振り返るとそこには……
「「イッセー?」」「お兄ちゃん?」
黒歌姉に龍巳、白音ちゃんがいた! な、なんでこんなところに!?
「イッセー、覚悟はいいわね?」
「イッセー、覚悟いい?」
「覚悟してくださいお兄ちゃん」
2人が質問に対して白音ちゃんだけ断定してる!? あ! ちょっと待って! 許して! そこはそんな方向には曲がらな、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
イテテテ……
今俺は帰り道の橋の上で立ち止まって痛めたところをさすってる。
「全くそのくらいで情けないわね。自業自得でしょ?」
隣の火織がそう言ってきた。それを言われると痛い。ちなみにこの場に他の三人はいない。俺を痛めつけた後揃ってどっか行っちまった。3人一緒だから部活じゃないとは思うんだけど。龍巳と白音ちゃんは相変わらず漫研なんだけど、黒歌姉は意外にも料理部に所属してるんだよな。黒歌姉って雰囲気に似合わず意外と家庭的なんだよ。3人とも部活放っぽって俺のお仕置きに来たから今日の予定が終わってないと思うんだけど大丈夫なのか?
「そもそもなんであんなコトしたのよ? イッセーがエロいのは知ってるけど覗きなんて今までして来なかったじゃない」
「そ、それは……」
言えない。火織が木場と付き合ってるかもしれないと思って気落ちしたところをいいもの見せてやると言われてホイホイついてったなんて。
「な、なあ火織」
「何?」
「火織ってさ、木場と付き合ってるの?」
つい聞いちまった。聞けば後悔するかもしれないのに。そんな俺の質問に対して火織の答えは……
「……は?」
というなんとも間の抜けた答えだった。
「え? どっからそんな話が出てきたの?」
「なんか噂になってるんだって。それに木場が火織に話しかけてるの何度か見たし……」
「ぷっ! あはは! ないない! 付き合ってなんていないよ! 話しかけられたのも彼の部活に何度か誘われただけ」
その言葉を聞くと同時に全身から力が抜けた。そっか。付き合ってなかったのか。良かった。まだ気持ちを伝えてもいないのに失恋しちまったのかと思ったぜ。……あれ? 部活に誘われた? ……もしかして木場も火織のこと。このままじゃいずれ火織が……
「な、なあ火織。今誰か好k「あの……」……」
俺が勇気を振り絞って質問しようとしたところで知らない女の子が話しかけてきた。黒髪を腰の辺りまで伸ばし、なかなか可愛らしい顔立ちに小柄な体、でも出てるところはしっかり出てるな。こんな娘知り合いにいたっけ? 火織たちとの付き合いで女の子の知り合いはそれなりにいるんだよな、俺。まあその殆どに嫌われてるけど。でも会ったことないな。火織の知り合いか?
「あの……兵藤一誠くん……ですよね? 駒王学園の」
え? 俺? 火織じゃなくて? どっかで会ったことあったっけ?
「ああ、そうだけど君は?」
「あ、はい! 私、天野夕麻って言います。お話があって……少しお時間いいですか?」
そう言いつつ彼女、天野夕麻さんはチラチラと火織の方に目を向けた。なんだ?
「じゃあイッセー、私は先に帰ってるから彼女の話聞いてあげるのよ?」
「あ、ああ分かった。また明日な」
そう言うと火織は先に帰っていった。さてと、俺は彼女の話を聞くとしますか。
「え~と、天野夕麻さんだっけ? 俺に何の用かな?」
「え~とですね、その前に1つお聞きしたいんですけど……」
そう言うと彼女は上目遣いで目を潤ませながら俺を見てきた。く、めちゃくちゃ可愛い。火織に惚れてなかったら一発ノックアウトだったかも。
「兵藤くんって今付き合ってる人とか……いますか?」
「ん?いや、特にそういった人はいないけど……」
まあ好きな人ならいるけどね。しかしなんだろう。さっきからなんか歯切れが悪いな。それにこの雰囲気、まるで今から告白でもするかのような……
「本当ですか!? 良かった~! ……あの! なら私と付き合って頂けませんか?」
「……え?」
今なんて言ったこの娘? 付き合って頂けませんか? 俺と?
「私、あなたのことが好きです! 私と付き合ってください!」
今度こそはっきり聞き取れた。ってえ~~~~!? 俺今告白されたのか? 告白されたのなんて人生始めてだよ! 幼馴染以外親しい女の子なんて今までいなかったから告白されるなんて一生無いと思ってた!
「……あの?」
あ~そっか、返事か。しなきゃマズいよな。人生初めての告白だし可愛い娘だからOKしてあげたいんだけど……でも……
「ごめん。俺好きな娘がいるんだ。さっきまで一緒にいた娘。幼馴染なんだけど俺、彼女のことが好きなんだ。だから付き合えない。ごめん」
正直苦しい。今日初めて会った娘だけど告白を断るのってこんなに苦しかったのか。でも自分の気持ちに嘘は付けないしな。わざわざ俺の好きな娘まで言ったのはせめてもの誠意のつもりだ。理由も言わずに告白を断るなんて彼女に対して失礼だと思ったから。彼女は俯いてしまい前髪に隠れて表情が見えない。泣かせちゃったかな? でもこればっかりはどうしようもないし……。それから少しして彼女はゆっくり顔を上げ口を開いた。なんて言われるか正直怖かったんだけど、彼女の口から出た言葉は俺の想像を超えていた。
「なら死ね」
「……え?」
彼女の口から信じられない言葉が紡がれるのと同時に彼女の背中から漆黒の翼が生え、手には光り輝く槍が握られていた。なんだ……これ。
「せっかく最後にあなたにいい思い出をあげようと思ったのに、まさか下等な人間ごときが至高の堕天使である私の告白を断るなんて思わなかったわ。あなたの中に神器が宿っていることが確定してから殺そうと思ってたんだけど、もういいわ。少し早いけどここで殺してあげる。恨むならその身に神器を宿した神を恨んでちょうだい。じゃあ、さようなら」
そう言って彼女は手に持った光り輝く槍を投げてきた。
☆
「な、なあ火織。今誰か好k「あの……」……」
イッセーが何かを聞いてこようとした瞬間、話しかけてくる女の子がいた。
「あの……兵藤一誠くん……ですよね? 駒王学園の」
ついに現れた。イッセーをこれから非日常の世界に引きずり込んでいく、そのきっかけとなった存在、堕天使レイナーレ。ついに原作が始まったのね。
「ああ、そうだけど君は?」
「あ、はい! 私、天野夕麻って言います。お話があって……少しお時間いいですか?」
そう言うと彼女はこちらをチラチラと見てきた。わたしはお邪魔ってことね。とりあえず私は一旦ここを離れましょうか。
「じゃあイッセー、私は先に帰ってるから彼女の話聞いてあげるのよ?」
「あ、ああ分かった。また明日な」
返事を聞くと、私はその場所を離れた。彼女は今日イッセーに告白し、付き合うことになる。そして次の休日、デートをして最後に公園でイッセーを殺すはず。とりあえず今日帰ったらみんなに堕天使が接触してきたことを伝えて対策を考えましょう。間違ってもイッセーを殺させる訳にはいかないわ。……あれ? 何かしらこの違和感は? ってこれは結界!? どうしてこんなところに!? まさかレイナーレ!? そんな! 彼女がイッセーを殺すのは今度の休日のはず! なのになんでいきなり結界が張られたの!? このままじゃイッセーが危ない! オカルト研究部の配ってるチラシがないからもしもの事があっても悪魔として生き返れないのに! とにかく急いで引き返さなきゃ!
私は急いで来た道を引き返す。すると……見えてきた! やっぱりイッセーを殺そうとしてる! 今にも光の槍が刺さりそう! マズい、このままじゃギリギリ! 間に合え~~~~!!!!
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