ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第0章 平穏な日常と新たな家族
第9話 駒王学園
「黒姉」
「なんにゃ?」
「入学して一週間経ったけど駒王学園はどう?」
「なかなかいい学校にゃ。元女子高だけあって男子の数が少ないから男子からの告白が減ったのがポイント高いにゃ」
「「おおっ!」」
黒姉の言葉に一緒にいた龍巳、白音が喜びの声を上げる。今、新学年になって一週間ほど、今年から私、龍巳、イッセーは受験生になった。黒姉は昨年見事受験に成功し近所にある元女子高の駒王学園に入学した。来年は私、龍巳、イッセー、再来年は白音が追って入学予定よ。
「で?」
「にゃ?」
「まだ続きがあるんでしょ?」
「う゛……」
「「?」」
黒姉が苦虫を噛み潰したような顔になり、龍巳、白音は頭に疑問符を浮かべている。
「……女子からの告白がすっごい増えたにゃ」
「「……え゛?」」
「ぷっ! あはははは!! やっぱりそっか! 元女子高だからそうなるんじゃないかって思ってたよ!」
「わ、笑うにゃ~~~!!」
黒姉が泣きそうな顔で叫んでる。一方龍巳と白音はまだ放心状態だ。
「火織! あんたこうなること分かってたんでしょ! なんで駒王学園行き反対しなかったのよ!?」
「だって黒姉、家から近いし男子の告白がうざいから男子が少ない駒王学園がいいって言ってたじゃない。その通りになって良かったでしょ? それにこれまでだって女子からの告白なんてよくあったじゃない」
そうなのよ。実は私達四姉妹は中学時代男子女子関わらずかなりの回数告白された。3日に1回は告白されるレベルだったわね。もちろん全部断ってきた。私は原作に入ってからいい男見つけるつもりだったし、他の3人はイッセー狙いなんだから。でもそんな事言えるはずもなく、いくら断っても次から次へと告白してくるんだよね。だから男子の少ない駒王学園に進学しようって事になった。けど……
「確かに女子からの告白は少しは増えるだろうにゃ~って覚悟はあったにゃ。でもあの数は異常にゃ! しかも告白の仕方がひどいにゃ! 初対面でいきなり抱きついてきたり、返事をする前にキスしようとしてきたり……っていうか三年生が私に向かって『私のお姉さまになってください』ってどういうことにゃ!? 私そんなに老けてるかにゃ!?」
いかん。黒姉をからかいすぎてヒステリーになりかけてる。私もそこまでひどいとは思ってなかった。それと龍巳と白音がちょっと泣きそうになってる。自分が一体どのような目に遭うのか今から想像しちゃったかな? 2人も黒姉に負けず劣らず告白されるもんね。しかも今でさえ男子からも妹になってくれって言われるぐらいだし。駒王学園に入ってもかなり言われるだろうな。
「ま、まあまだ入学して間もないんだしそのうち落ち着くんじゃない?」
そう励ましても黒姉の気分は晴れそうにない。黒姉はこっちを見てきて
「ふん。火織も来年同じ気持ちを味わうといいにゃ」
とのたまった。あはは~~。それは遠慮したいっていうかなんというか。私が笑顔をひきつらせていると
「我、志望校変えようかな?」
「……私も」
なんと龍巳と白音が志望校変更宣言! 女子からの告白がそんなに嫌か! ってそりゃあ嫌だよね! これに慌てたのは黒姉だ。
「え!? ちょっと待ってちょっと待って! 私だけ別の学校なんてイヤにゃ!」
「「……でも」」
「お願いだからお姉ちゃんを見捨てないで~~~!」
あ~~あ。遂には黒姉、2人に泣きついちゃったよ。まあそんな過酷なところに1人は嫌だよね。
志望校を変えようとしていた2人を説得し、黒姉も落ち着いたところで私は次の話を切り出した。
「……で、あっちの方はどうなの?」
私の言葉に3人とも真剣な顔つきになる。
「今年は人外がいたにゃ。おそらく悪魔。同じ学年に4人入学してきた」
うん。予想通り。
「こちらには?」
「多分気付いてないにゃ。だてに長年仙術の修行してないにゃ。猫又の気配を消すにゃんてお手の物」
さすが黒姉だね。原作では悪魔になることで才能を開花させたってあったけど、こっちの黒姉は子供の頃から龍巳に修行つけてもらって早々に開花させた。まあ最強の龍神に修行つけてもらえばそりゃあ強くなるよね。白音も今では立派な仙術使いに成長してる。2人共ひと通りの仙術は使えるらしいけど独学のためどうもムラがある……らしい。黒姉は遠距離、白音は近距離と得意距離も正反対になった。まあでも2人で組むと苦手距離がない上にコンビネーションも抜群なのでかなり強い。
「他には?」
「多分中等部に数人いるにゃ」
多分、木場や生徒会の面々だろうな。
「どうするにゃ? 接触するにゃ?」
「……まだやめておこう。イッセーが知るにはまだ早いと思う」
「ん、我もそう思う」
「はい。もう少しこのままがいいです」
「分かったにゃ。じゃあ予定通りみんなでこのまま駒王学園に入学ってことで。でももし奴らがイッセーに危害を加えるにゃら……」
「容赦しない」
「はい」
「あ、あはは。みんなもうちょっと穏便にね~~~」
だめだ、聞こえてない。恋は盲目と聞くけれどここまでひどいと心配ね。なんせ一度暴れたら街が灰になるだけの力がここに集まってるんだし。なんとか私がストッパーにならないと……
「それにしてもイッセー遅いにゃ……」
「はい、なにしてるんでしょう?」
「まあ大方補習が長引いてるんじゃない?」
「イッセー、情けない」
「龍巳、あんた人のこと言えないでしょ? イッセーと一緒によく補習になってるじゃない。今回はたまたま小テストでいい点とったんだろうけど気を抜いたらまた一緒に補習よ?」
「うぐ……」
「まったく、来年は受験だっていうのにこんな調子で大丈夫なの?」
「まあ大丈夫でしょ。イッセーってエロに関することになると本気出すし、龍巳はイッセーの事になると本気出すんにゃから」
黒姉がキーボードをいじりながら断言する。まあそれもそうか。イッセーが何が何でも女子の多い駒王学園に入りたいように龍巳も何が何でもイッセーと同じ学校に入りたいもんね。
ちなみに今私達がいるのは家の地下室を改造したミニスタジオ、そこで各自楽器の調整をしつつ話しながらイッセーを待っていた。実は文化祭でライブをした後みんなですっかりハマってしまい必要機材を買い集めて、定期的にみんなで練習しているのよ。ちなみに必要経費は全部龍巳と白音が出していたりする。なんでそんなにお金持ってるかって? オタク趣味を続けるにはお金が必要だからだって。一時期オタク趣味にお金をつぎ込みすぎてお小遣いが底をついた時があって、2人はバイトしようと思ったらしいんだけどバイトの微々たるお金じゃ足りないというのとそもそも年齢的にバイトできないというのもあって2人はなんと賞金稼ぎに手を出したのよ。その発想に行き着いた時にはぶったまげたわ。思考がぶっ飛びすぎてる。まあそんなわけで2人は賞金稼ぎを始めたわけなんだけど、ここで問題が発生。2人の強さなら人間の賞金首に対して危険なことなんてのはないんだけど、身元が割れたら私はともかく(変な権力持ってるけど多分)一般人のお父さんとお母さんに迷惑がかかる。だからこそ見た目を変える、もしくは見た目が変わる装備か何かが必要になった。それでこの愚妹たちがどうしたかというと
「IS創って!!」
などと要求してきたのよ! もう最初聞いたときいきなりどうしたのかと思ったよ! ISってのはこれまた当時二人がハマってたアニメに出てくる飛行パワードスーツなんだけど、これを使えば戦闘できるし見た目大幅に変えられるしバイザーでも使えば顔も隠せるしで身元隠して賞金稼ぎするにはうってつけ、決して乗ってみたいからという理由じゃないと言われた。うん、明らかに後者が本音でしょ。もうほんとにこの2人は手遅れなのかもしれない。
……で、創ったかって? ええ創りましたよ! いくらなんでもパワードスーツなんて創れないって拒否したんだけど
「ISも意識があって見方によっては魔獣っぽい!」
「着ることのできる魔獣を創ると思って!」
と2人に懇願され、さらにシスコン黒姉が介入してきて結局押し切られちゃったよ。創るのにひと月もかかった。最初は装甲表面が肌のような質感の上に表面に血管が浮き出ていてキモかったり、操縦者の思い通りに動かなかったり、待機状態にできなかったりと散々だった。2人からのダメ出しも多いのなんの。修行をしている暇もなかった。まあその甲斐あって見た目だけは完璧なものが出来たけど。ただし完全に再現できたのはシールドと飛行能力だけでハイパーセンサーなどのセンサー系は全くないし、武装は全て魔力弾だし、動くためのエネルギーとなる魔力も全て操縦者が供給しなければならない。ぶっちゃけ乗らないほうが2人共強いんだよね。でも2人は大変喜んでいた。そりゃあもう完成した日は延々と次元の狭間を飛び続けてたよ。まあなんだかんだ言って喜んでくれてよかったよ。
そんなわけで今では2人共小遣い稼ぎに賞金首を狩っている。業界では正体不明の機甲姉妹として有名らしい。ちなみに龍巳はシュヴァルツェア・レーゲン、白音は甲龍に乗っている。龍巳は色が好きだから、白音は操縦者と気が合いそうだからだそうよ。今でも2人の手首と足にはそれぞれの待機状態を肌身離さずつけている。・・・でもいくら好きだからって私達にまで強要しないで欲しかったな。全員で飛びたいからと私には暮桜、黒姉には紅椿を創らされた。理由は私が剣士だから、黒姉は胸が大きいからだって。暮桜はどんなのかわからないのでとりあえず桜色の打鉄を創った。後将来イッセーにも使わせるんだと白式も創らされたよ。もうホント自重して欲しい。
とまあそんなわけでうちの姉妹の軍資金はそんじょそこいらのオタクよりかなり豊富なんだよね。当初は見境なしに買いまくってお母さんに怒られてた。それからはほんの少し自重するようになってよかったけど。
「ごめんお待たせ!」
と、いろいろ話しながら思い出してたらやっとイッセーが来た。
「遅いわよイッセー!」
「遅い」
「遅いです」
あ、ちなみに黒姉が猫語使うのは正体知ってる家族の前だけよ。普段から使ってたら単なるイタい人だし。
「遅いよイッセー。練習の後には龍巳と一緒に受験勉強もあるんだから」
「うへ~」
「うへ~じゃない。このままじゃイッセーだけ別の学校よ」
「それだけは嫌だ!」
ふふ、イッセーも少しはやる気出たみたいね。
原作開始まで後ちょっと。このまま何もなければいいけど。
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