ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第0章 平穏な日常と新たな家族
第2話 力・覚醒
イッセーに出会い、そしてこの世界がハイスクールD×Dの世界だと気付いて早数ヶ月が経った。この間にあったことといえばイッセーと仲良くなってお互いの部屋を毎日のように行き来するようになったぐらいね。今は玄関から出入りしてるけど、体が成長すればその内ベランダ伝いに行き来するようになるだろうな。
そして今現在私は……
山に来ていた。
いや唐突なのは分かってるわ。この歳で一人で山に入るのがありえないってことも分かってる。でもね? 人目の付かない場所に来る必要がどうしてもあったの。
というのも私は最初イッセーとそこそこの関係になろうと思ってたのよ。でもどういうわけか懐かれちゃったんだよね~。前世でも一人っ子だった私にはなんだか弟が出来たみたいでついついかまっちゃったのよ。それにこの子根はほんとにいい子だし、突っぱねることができなかった。
それでいろいろ考えたんだけどイッセーに関わることも悪いことばかりじゃない気がしてきたんだよね。確かに死亡フラグは多いけどイッセーと一緒にいると楽しい。退屈しない的な意味で。それに将来イッセーとヒロイン達がラブコメるのを傍で見るのもなかなか楽しいかもしれない。
そして何より! イッセーに関わる男ってなかなかいい男が多いのよ! 同じグレモリー眷属のイケメン木場祐斗、ちょっと情けないけど可愛いギャスパー・ヴラディー。 さらにライバルの白龍皇ヴァーリ・ルシファーに大王家次期当主のサイラオーグ・バアル。 噛ませ臭がしたけど英雄派の曹操やジークフリートだっていいかもしれない。 つまり危険な世界にはいい男が多いのよ!
まあ敵とそういう仲になるのはどうかと思うけど、木場やサイラオーグは狙い目かもしれない。だから私はこれからもイッセーの姉貴分として彼の傍にいようと思う。
……しかしここで一つ問題が。危険な世界に身を置くのには、やはりどうしても力が必要なのよ。だからこの数ヶ月、時間を見つけてはいろいろ試した。その結果分かったことは……
私にはチート能力などない!!
いや分かってたわよ。転生した時に神様になんか会ってないし、チート能力注文した覚えもない。どこまで行っても私は単なるひ弱な女の子なのよ。その事実は決して変わらない。だからこそ、私は最後の賭けに出ることにした。それはこの世界の人間なら誰でも持っている可能性のある力。
そう、”神器”。
もし強力な神器を持っていれば、修行次第では十分死亡フラグを回避しつつイッセーの傍にいられる! だからこそ私は今人気のない山に来ているの。もし能力が発動しても騒ぎにならないようにするために。
さて、長い前置きも済んだことだし早速発動させてみましょう。お願いだから何かしら出てきてよ~。何もなかったらこの先本当にどうしていいか分からないから。
確か初めて発動するときにはまず腕を上にかざして最強の存在を想像するんだっけ。私の考える最強の存在。やはりあいつしかいない。
黒いゴツゴツした岩のような肌。
ずらりと並んだ鋭い牙。
そそり立つ大量の背びれ。
太く力強い手足に長い尻尾。
そう
怪獣王 ゴジラ!
異論は認める。でも反論は認めないわ! 誰がなんと言おうともこれが私の考える最強よ。
さて、この次はどうするんだっけ? たしかゆっくりと腕を下ろして、そのままその最強が最も強いと思える姿の真似を……真似を……
ってしまった~~~!!! このあと真似しなきゃいけないじゃない!! ゴジラが最も強いと思える姿の真似!? 力んで火炎放射吐く真似でもすればいいの!? できるか~~~~~!!! 乙女に一体何させるつもりよ!?
うえ~~ん、どうしよ?このままじゃ神器出せないよ。 他の最強考えるのも手だけどもうゴジラ考えちゃったせいで他の考えてもゴジラと比べちゃう。これじゃ神器持ってても出せないよ~~(泣)
あ~~もう~~~
「ホンットどうすればいいのよ~~~~~!!!!!」
「どうすればいいのよ~~~~~!!!!!」
「いいのよ~~~~~!!!!!」
「のよ~~~~~!!!!!」
あ~~。山彦が聞こえる。こんな小さな体でも結構大きな声が出るんだね。ホントにこれからどうしよ?
ズズズズズズズズズズズズズズ…………………………
おお!? 何これ!? なんか影が蠢きながら広がってく!? これもしかして神器発動した!? なんで!?
……もしかしてさっき天に向かって叫んだせい!? たしかにゴジラもよく天に向かって理不尽に叫んでるけど!!
ま、まあ結果オーライとしよう。お陰でなんか発動したっぽいし……。しかし未だに影が広がり続けてるんだけどこれってあれだよね? 影使いの能力だよね? っていうことはあれ? 私の能力って闇夜の大盾?
おぉ! あれってカウンター系の神器で結構使えるんじゃなかったっけ? なんか原作に出てきた英雄派の影使いは気持ち悪がられてたみたいだけど、使いこなしたらかなりかっこいいんじゃない? これはラッキーかも!
……と思ってたんだけど。あれ? この影ぜんぜん私の言うこと聞かないよ? どうなってんの!?なんか勝手にどんどん広がってくんだけど!?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………………………
な、なになに!? なんか足元めっちゃ揺れてるんですけど! ってなんか出てきた~~~!? うわわわわわ!? 戻れ戻れ!! 出てくるな~~~!!
ズズズズズズズズズズズズズズ…………………………
あ、出てきたものが引っ込んで影も普通の大きさに戻ってきた。
「…………………………(汗)」
い、今のって……。いや! まだそうと決まったわけじゃない! だから落ち着くのよ神裂火織! 誇り高い聖人が取り乱しちゃいけないわ! ってだから私は聖人じゃないって!! ああ~~~もうっ!! とにかく落ち着け!!!
スゥ~~~ハァ~~~
よし! とりあえずもう一度最初から考えよう。 私はゴジラを想像したらなんか影が広がって黒いゴツゴツしたものが足元から出てきた。
もしかしなくともやっぱりあれなの!? っていうか状況から考えてあれしか思いつかないんだけど!
とりあえずちょっと試してみましょう。想像するのは可愛い可愛い電気ネズミ。
「さあ!いらっしゃい!!」
ポンッ!!
「チュ~~~~!!」
出た!! 黄色い電気ネズミ!! もう間違いない! これは神器の中でも強力な13種の神滅具の1つ、魔獣創造ね。どんな魔獣でも考えただけで出せるというチート級神器。そっかそっか~。チート能力くれずに転生させられたんだと思ったんだけどチート級神器くれたんだ~。最初に出てきたのもやっぱりゴジラの頭頂部だったんだろうな~。そっかそっか~。これでもう大丈夫だね~。この能力なら怖いものなしだね~。あっはっはっはっは~~!
「ってんなわけな~~~~~~い!!!」
「チュ!?」
「あ~驚かせてごめんね? 大丈夫だからおいで?」
「チュ~~~~」
ポス!
魔獣創造で創りだした電気ネズミが私の胸に飛び込んできた。可愛いな~~~。
ハァ~~~。しかし参ったな~~~。よりにもよって魔獣創造か。最悪だわ。
え? ラッキーなんじゃないかって? よく考えてみてよ。原作における魔獣創造の持ち主はレオナルドっていう子供。そう、イッセーが高校生の時に子供なんだよ。つまり今レオナルドはまだ生まれてないのよ。
でもおそらく数年以内に彼は生まれるはず。その時彼に魔獣創造が宿るためには私は死んでなきゃならない。普通の神器と違い、神滅具は1つずつしかないんだから。
つまりあれだね! イッセーに関わろうと関わるまいとどっちみち生まれた瞬間死亡フラグが立ってたんだね! そっかそっか~。アハハのハ~~~。
もう泣きたい!!!
どうして私こんなにアウェーなの!? 何も悪いことしてないよね!? ねえなんで神様!? ってこのネタもういいわよ!!
ハァ~~~~。とりあえず死なないように努力しよう。幸い強力な力持ってることだし修行してどんな危険が来ても回避できるようにしておこう。神滅具を持ってるって堕天使に見つかっても対処できるぐらいには。
でもこの死亡フラグを回避してもまだまだ油断できないわね。なんせ英雄派の連中レオナルドを見つけて自分たちのところに引き入れてるのよね。つまり死亡フラグを回避したら今度は英雄派勧誘フラグが立つってことじゃない。
……ということは私が神滅具を持ってることもなんとか隠蔽しなくっちゃならないのよね。神器を持っていることは多分隠せない。なら、魔獣創造を別のありふれた神器に擬態させる? ……無理よねそんなの。魔獣創造で魔獣を創り出すほかにできることなんて……。
ん? 魔獣を創り出す? 魔獣ならどんな形でもいいのよね? 例えば剣や刀の形をした魔獣でも。
そっか、いけるかも! それならイケメン王子こと木場祐斗の神器、魔剣創造と言ってごまかせるかもしれない! 問題は刀剣型の魔獣を創れるかどうかね。いくらなんでも刀剣をそのままイメージして作るなんてのは難しいと思う。けど、あの刀なら創れるかもしれない。前世の時に好きだった漫画、BLEACHの斬魄刀。あの刀だって意識があって生きてるようなもんだから魔獣と言えないこともないかもしれない。
っていうか氷輪丸なんて氷で出来た龍だよね!? 狒々王蛇尾丸なんて骨に鬣生えた蛇だよね!? なんかイケそうな気がしてきた。
とりあえず魔獣として想像しやすい氷輪丸あたりから創ってみよう。想像するのは凍てつくような波動を放つ一振りの太刀。身長より長い刀身に手裏剣を二枚重ねたような鍔。解放することにより柄頭より伸びる長い鎖に氷で出来た巨大かつ雄大な龍!!
「私の想いに応えて!! 魔獣創造!!」
ズズズズズズズズズズズズズズ………………
出来た! ほんとに出来たよ! 影から原作と同じ氷輪丸が出てきた。どっからどう見ても刀にしか見えない。 これなら見られても魔剣創造と主張できる! あとは魔剣の能力として始解、卍解が出来れば言うことなしね。 というわけで早速!
「って、おっもい! なにこれ!? 刀ってこんなに重いの!?」
そうだった! 私今3歳児! 真剣なんて振り回せるわけないじゃない! あ~もう! とりあえずこのままでいいや!
「とにかく氷の龍出せりゃいいわよ! いくわよ! 霜天に坐せ!! 氷輪丸!!」
ジャラララララ! ポンッ! クォ~~
………………
………………………………
………………………………………………あれ?
確かに鎖は伸びて刀は始解状態になった。でも龍は? 私の目の前にはずんぐりむっくりの二頭身のワニのような形の氷の塊しかないよ?
「もしかして修行しなきゃ真の開放状態にはなれない……とか?」
「クォッ!」(コクコク
……まあそんなこったろうと思ったわよ! いーわよ分かったわよ修行すればいいんでしょすれば(泣)!? まあ頑張れば斬魄刀創れるってことが分かっただけでもよしとしましょう。これからの修行方針も分かったことだし!
まずは氷輪丸以外の斬魄刀も作れるようになること。そして始解、卍解となれるようになること。
……それからどこかの剣道場に通って剣について学ぼうかしら? どっかこの辺に篠ノ之神社とかあればいいんだけど……。
あとはあれね。せっかくどんな能力を持った魔獣でも創れるんだから、結界張れたり転移できたりするポケットサイズの魔獣でも作ろうかしら? この世界なら「魔法です!」で済みそうよね。これから忙しくなるな~。イッセー寂しがらないかしら?
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