真ゲッターロボ・地球最凶の日 第一部「滅亡への夜明け!」
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燃えよ!ゲッター篇第一話 「滅亡の世界へ舞い戻れ!」
前書き
一話早々、皆が知っている武が、武じゃない事になっています。いちようイメージは新ゲッターから受け継いでいる模様です。
また、主役のゲッターチーム三人の似顔絵を描いてみましたので。よかったら見てください。鉛筆で書いた粗くて下手な絵ですけど・・・・・・
燃えよ!ゲッター篇アバンテーマ「今がその時だ!」
大地が割れ、炎が燃え盛る世界に俺は居た。そして目の前へ仁王立ちする巨大な紅い影は背の翼を羽ばたかせ、目の前の無数の影へと襲いかかる。その姿はまるで……
ガタッ……
「チェーンジゲッター!!」
周囲の着ている白ランとは対称的な黒い学ランで、それも長ランを来た俺は居眠りの夢から覚め、勢いよく席から立ち上がってそう叫んだ。それも授業中。周囲が目を丸くしてこちらへ振り向き、さらに隣に座っている鑑純夏も同じように驚き、アホ毛を触角のようにピクピクさせていた。
「白銀君?授業中よ……」
教卓から担任のまりも先生が戸惑った顔で俺に注意した。俺もつい顔が赤くなって大人しく席へ座り、周囲から笑い声が絶えず聞こえた。
「もう、急に大声をあげるから驚いたわ?」
「す、スンマセン……」
俺は顔を赤くして席に座り直す。その後、俺は幼馴染の純夏ってやつに屋上へ呼びだされた。一体何の用だ?
「……んだよ?」
「あなた……本当に私の知っている武ちゃんなの?」
彼女の呼ぶその愛称を聞いて俺は滑った。
「武ちゃんって……俺は女かよ?」
ぼりぼりと頭をかく俺。
「そんなことよりも、本当に武ちゃんなの!?」
そうアップで迫る純夏に対して俺も堂々と言い返す。
「何度言ってこようが、俺は白銀武だ!っていうよりも、お前は誰だよ?そもそも俺に幼馴染っていたっけ?」
「私だよ!鑑純夏!?わすれちゃったの!?」
そういうなり、彼女は俺の胸倉を掴んでぐらぐらと揺らす。
「ま、まて!俺にだって考える時間を与えろ!?えぇっと……」
「……」
真剣な眼差しで見つめる純夏に俺は冷や汗を垂らす。そして、記憶の片隅にしまい込んだ思い出を引っ張り出す。
「……ああ、そういえば?」
「た、武ちゃん!」
心当たりのある俺に純夏は笑顔を取り戻そうとしたが、
「そういえば小せぇ頃によくボコッたガキ大将がいたっけ?幼馴染って言える奴はそいつしか居ないな?」
「やっぱり武ちゃんの偽物だ!本物の武ちゃんを返して~!!」
と、更に激しく揺さぶってくる。
「だ…!誰が偽物だぁ!?俺は正真正銘の白銀武だぁ!!」
「じゃあ……私の出す質問に答えて?全部正解できたら本物の武ちゃんってことになるからね?」
「ああ、いいぜ!っていうか、そのちゃんづけはやめろ?」
俺は堂々と胸を張って言い返す。
「じゃあ、私達の通っていた小学校の名前は?」
「出唖門小学校!」
「そんな学校じゃないよ?っていうか怪しいよ!?」
「そういう学校何だよ!?」
「じゃ、じゃあ……3年生の時の担任の先生は?フルネームで」
「不動明先生、別名デビルティーチャーと言われた鬼教師」
「女の先生だよ!?」
「そういえば副担任でシレーヌっていう外国から来た女の先公が居たっけ?」
「知らないよ!?やっぱりこの武ちゃんは偽物だ~!!」
「ああ!もう!!何度言やぁわかる!?俺はどう言われようが正真正銘の白銀武だ!?ほら、バイク免許だ」
俺はそう言うと、身分の証明できる一つを取りだした。すると、免許のケースにはクマのようなマスコットがつるしてある。
「あ、それ……」
すると、純夏の疑心に塗れる表情はふと止まり、懐かしげな眼差しを向け出した。
「ん?」
「このマスコット、持っていてくれてたんだ?」
「あ、これのことか……?」
「それ、私の手作り何だよ?」
「……あ、そういえば?」
「思いだしたの?」
「……曖昧だがよ?俺が小1の頃、悪ガキ共に絡まれて泣いてた女の子が居たっけか?」
「そ、そうだよ?あのとき私、僧太君達にキーホルダを取られちゃったの」
「……まぁ、弱いモン虐めなんざ、人生のなかで一番大っ嫌いなことだから、行って悪ガキ共を半殺しにしてやって……女の子を助けたんだよな?」
「っていうより、武ちゃんが返り討ちになっちゃったんだけどね……?」
「それで……その子からキーホルダを……でも、忘れた」
「えっ?」
純夏の目が点になった。
「そもそも、俺は弱い物虐めが大っ嫌いだったからそいつらをボコるのが一番で、女の子助けるのは二の次三の次だったしな?でも、その子にはちょっとカッコいいとこ見せられてよかったがよ?」
「そ、そんな……私だよ!?あのとき、武ちゃんが私を助けてくれたんだよ!?」
「だから、オメェなんて知らねぇよ?」
「……」
すると、何故か純夏からゴゴゴッ……と、いう恐ろしげなオーラが広がり、
「武ちゃんのバカッ!!」
それと同時に俺は彼女のアッパーを食らっていたが、俺の体は鋼のように固いため、あんな強烈なアッパーなんて放ったら、拳が打撲するぞ?
「う、うぅ……」
案の定、純夏は痛がっているようだ……
「お、おい……」
大丈夫か?と、訪ねようとしたが純夏は表情を暗くして何処かへ走り去ってしまった。俺が、悪かったのか?
「……」
そもそも、どうしてこんな事になってしまったのか?話は今朝にさかのぼる。
*
朝日が昇ったと言うのに未だうるさい鼾を上げて寝ている俺。ベッドは汗臭く、部屋も散らかっており、部屋一帯は不潔そのものだった。しかし、そんなところで寝れる俺はさらに不潔だろう……
「武ちゃん!起きて?」
そんな布団にくるまった俺を揺さぶりながら起こす一人の少女の声が聞こえる。う~ん……聞き覚えのない声だ。
「起きてってば?」
「ああぁ……」
そんな彼女に揺さぶられて俺はあくびと共に起き上がった。
「た、武……ちゃん?」
しかし、少女はどうも違和感を抱いているようだ?
「あん?」
「武ちゃん……だよね?」
「武ちゃんって……俺は女かよ?」
ぼりぼりと寝癖をかき回す俺は次に彼女を見た。
「つうか……お前、ダレ?」
「……え?」
「誰だよ?俺に女なんかいねぇぞ?」
「じょ、冗談言わないでよ?私だよ?純夏だよ?」
「すみか……?」
聞き覚えのない名前に俺は首を傾げた。まぁいい、とりあえず学ランに着替えるか?
「着替えるから下に降りとくか?」
「え、うん……」
そういうと、彼女は下に降りて俺は学ランを来た。それも彼女が来ている白い制服とは違った黒い長ランで。
「む?どうした、純夏?」
一方の食卓では、つい最近白銀宅に居候している財閥令嬢御剣冥夜が階段から降りてくる純夏の表情を窺って訪ねた。
「武ちゃんが……武ちゃんじゃない」
「は……?」
「ウィーッス……」
寝癖を残したまま俺は長ランを来た姿で食卓へと顔を出した。っていうか……もう一人の女は誰だ?俺って……二股かけてたのか?もしや、昨夜飲んだ後女を何人か誘って……
いや、女連中は最期に全員帰って俺は一人になったところをもう一度飲み直したんだった。
だから、昨日の女達には心当たりがないはず……
「た、武なのか……?」
純夏以外の髪を結んだ女は人違いかと思うように俺を見つめてくる。
「何処の武か知らねぇが、俺は白銀武だぞ?」
「「……」」
しかし、俺は二人に違和感を与えてしまったようだ。その後、俺は気まずい雰囲気に包まれながら、冥夜と純夏がこしらえた朝飯を食い終え、隣のガレージから単車を引っ張り出した。
「あれ?武ちゃん……オートバイ乗れたの?っていうか、持ってったっけ?」
「あん?俺は何時も通学ん時はコイツで行くけど?」
「待て!武、今から摩耶にリムジンを手配させている。今からそれで通学に……」
と、冥夜が言うも、俺はバイクの通学を選んだ。何せ、バイクに乗っている時が俺にとって神聖な趣味なのだ。
「下町人がそんなこっぱずかしいモンに乗れるかよ?俺ぁ、単車で行く……それと」
俺は最後に二人へ振り向くと、口ものをニヤケテこう言う。
「俺に惚れたなら何時でもコクりな?良いホテルを知ってるからよ!」
「た、武ちゃんたら!」
「あばよ!」
俺はバイクで爽快に学校へと駆けて行った。
*
俺はやれない気持ちを抱えながら教室へと戻った。しかし、それだけで事が済めばよかったものの、更に最悪なアクシデントがこの後起こりだした。
それは授業中の事、今の授業はまりもの先公が教卓に立っており、俺は頬杖をつきながら眠い顔で窓際を見つめていた。すると、
「ゴラァ!白銀の小童はどこじゃい!?」
「げぇ……!?」
校庭から数名のヤクザ連中がメガホンで俺を呼んでいる。やはり、借金を取りに来たのだろう?全校の連中らは一斉になって窓から校庭を見下ろす。
「オラァ!白銀ぇ!?テンメェが何時まで経っても事務所こんからわしらが来てやったんやぞ!?とっとと金持って出てこんかい!?」
丸坊主のヤクザがメガホンで叫んでいる。どうして俺がこうもヤクザに絡まれているかと言うと、実は俺の家はヤクザから莫大な借金を抱えており、これまで喧嘩商売を繰り返しながらコツコツと返済を続けて来たのだが、それでは気に入らないということでヤクザの幹部の一人が手下を束ねて殴りこみと言う形で学校へ来たのだ。
「やれやれ……」
いい迷惑だし、ちょっとつまみだしてやるか?
「あ!先生が……」
一人の生徒が、校庭に立つヤクザのところへ歩み寄るまりも先公へ指さした!あのアマ!相手はヤクザだぞ!?いくら先公でも女なら奴らは容赦しねぇ……
「何なんですか?あなた達は!?」
堂々と出てくるまりもにヤクザは相手が女とみてヘラヘラと笑んでいる。
「なんや?姉ちゃん、ここは女が出る幕やねぇぞ?」
「ここは学校です!あなた達のような人が来るような場所ではありません。お引き取り願います!!」
「ほおぅ?」
すると、一人のヤクザがまりもの片手をガシっと掴む。
「な、何をするんですか!?」
「あんた、先生なんやな?じゃあ……白銀っちゅう生徒をしっとるんか?」
「し、白銀君を?あの子は私の生徒です!」
「なんや?あんた担任か?なら話が早えぇ……おたくんところの教育が全く行きとどいとらんのんやで!?どう責任とってくれるん!?」
「だ、大の大人が子供を相手に此処までするんですか!?恥を知りない!!」
しかし、まりもは勇敢にもヤクザから一歩も引かないでいる。しかし、
「じゃあ、先生に責任とってもらいまひょうか?ちょっと来いやぁ!!」
そういうなり、ヤクザ達がまりもを捕まえると、一斉に抑え込む。
「な、何をするんですか!?いや……やめてぇ!!」
目の前で教員が襲われ、それを見ている教室からの生徒達は悲鳴を上げるなりパニック状態に会った。他の教員は急いで警察に通報しようとしているが、警察が来る頃には彼女はもう……
「よくみると、可愛い顔した先生やなぁ?」
まりもが悲鳴を上げる中、彼女のスカートをはぎ取ろうとした一人のヤクザが一発の拳で弾き飛ばされた。
「ぐはぁ……!?」
「な、何や!?」
「し、白銀君!?」
そこには黒い長ランを着た俺こと、白銀武が指の骨を鳴らしながら近付いてきた。
「関係ない奴いじめんのだけはやめろよ?外道共が!」
「オラァ!白銀!?さっさと借りた三百万返さんかい!?」
「金の代わりに拳で返してやらぁ!!」
そう言う俺はヤクザらに飛びかかり、殴る蹴る噛みつくなど大暴れして連中を千切っては投げてと、ボコボコにする。
「が、ガキが……!?」
最初に弾き飛ばされたヤクザが頭に血が上り、懐からナイフを取り出し、それを手に俺の懐へ飛び込もうとするが、
「おっと……」
「な、なに!?」
だが、俺は避けるまでも無く、向かってくるナイフの刀身を片手で握りしめて受け止める。
ナイフの刃からは俺の血が伝ってポタポタと流れ落ちて校庭の砂へ沁み込んでいく。
「どうしたぁ?ほら、俺は抵抗しないぜ?」
悪党面に満ちた俺の笑みがヤクザを見上げる。
「そ、そんな……!?」
そんな相手のヤクザは俺の顔見るなり恐怖で震えだし、ナイフを握る手が緩まる。
「指一本ぐらい切り落とせばメンツが立つだろう?」
「あ、あぁ……!」
しかし、相手はパニック状態だ。今のコイツに何を言っても無駄だな?
「ケッ!ヤクザってのはその程度かよ!?」
そういうと、俺は相手の額へ頭突きを食らわしてやった。それをもろに食らった相手は鼻をへし折られて流血騒ぎだ。
俺によってわずか三分でボコボコにされたヤクザの集団は尻尾を巻いて逃げ出して行った。
「次からはちゃんと玉付いた野郎を寄こして来やがれってんだ!?」
ガッツポーズを取って俺は上機嫌になる。しかし、俺の戦う姿を見て怯える奴もいれば。険しい目を向ける奴もいた。
その後、まりもの先公は無事に保護されて俺はナイフを受け止めた片手の傷を癒すべく、保健室の夕呼先公のもとへ足を運んだ。このアマも俺の喧嘩を見ていたようで、いつものようなふざけた表情ではなく、無表情な視線を俺に向けている。
「あなたも無茶するわね?白銀……」
俺の片手に包帯を巻きながら呟く夕呼。それに俺は言い返す。
「あんな修羅場何度も潜らなけりゃ生きていけねぇよ……」
「……それよりも、白銀?あなた、今回は別人のように変わっているわよ?先週の金曜日と比べて……それに、その制服……どう見てもウチの学校のじゃないでしょ?いい加減着替えて来なさい?」
「は?俺の学ランはこれ一張羅だぜ?それに先週の金曜日って……そんとき俺は学校サボってゲーセン行ってたけど……」
「何言ってるの?先週の金曜日は放課後まで学校に残って榊の手伝いをしていたでしょ?」
「榊……ああ、委員長のことか?」
俺はいつもそいつの事を委員長ってあだ名のように呼んでいるからつい名前を忘れてしまった。
「あんた、記憶喪失……かしら?」
「いや、大半の奴らは覚えている」
「じゃあ、彩峰は?」
「あの焼きそばパンウーマンか?」
「珠瀬は?」
「あの猫みたいなツインテチビか?」
「鎧依は知っている?」
「ああ、優男で俺の弟分だ?」
「鑑は?さっきあんたと屋上にいた幼馴染よ?」
鑑……あのデッカイリボンを付けた女子生徒だよな?っていうか、俺の事を愛称で呼んでくるので結構親近感があるのか?
「心当たりが有るっちゃ有りそうなんだが……やっぱ無理だ」
「御剣のことはどうなの?」
「いや、アイツの事は全然無理だ……会ったこともないし今朝会ったのが初めてだな?」
「おかしいわね、どうして二人しか思い出せないのかしら?中途半端な記憶喪失ね?」
「でも、俺は本当に白銀武だからな!?」
しつこいようだが俺は何度も訴えるように言う。
「わかっているわよ?あなたの書類を見なおしてあげたけど、あなたの方が正しいようね?でも、出唖門小学校だなんて変な小学校ね?ところで、あなたの担任って言う不動っていう先生は今何しているの?」
「あ?どうしてそんなこと聞くんだよ?」
「別に……いいじゃない」
「確か、「バイオレンス・ジャック」とかいう名前でK1やってる」
「ふぅん……大学の頃の先輩でそれっぽい人を聞いたことあるからひょっとすると思ったのよ?」
「あっそう……先公、もう帰っていいか?」
「まぁ、特に何の異常も無いし、とりあえず今日のところは帰ったら?私だってこのあと忙しいんだし……」
「へいへい……」
保健室から出て、下駄箱へ向かおうとした矢先、冥夜が俺を待ち伏せていた。
「あ、あんたは……冥夜か?」
「全て聞かせてもらった……」
「盗み聞きとは財閥の令嬢も油断できねぇな……?」
俺はポリポリと頭をかく。
「そなたは、わらわと純夏のことを忘れているようだな?」
「ああ……まぁ、俺もよくわからねぇけど」
「共に過ごした時をまでも忘れてしまったのか……?」
悲しい瞳をこっちに向けてきやがる。そんな目で見るなよ?俺がお前を泣かしているみたいじゃねぇか?
「すまねぇ……俺は、よく覚えていねぇんだ。今の俺に女が居たってこともさ?」
「武……」
「記憶喪失かもしれねぇな?俺は違和感ないけど、もしかすっと……」
「武、明日は休みを取って純夏と共に思い出の場所へ向かおう?何か思いだせる事があるはずだ……」
「え、いいのかよ?」
「学業もそうだが、それ以上に大切な殿方が記憶を失ってしまった方が大事なのだ。私の方からまりも先生に言っておこう。今日は帰宅してくれ?」
「……すまねぇ」
俺は、何やら罪悪感に包まれた。俺は何もしていないにしろ、女二人を泣かしちまったんだ。ここは、どうにかしてやらねぇといけない。それに……俺が記憶喪失かって言うことも可能性としては低いが、あるかもしれない。
帰宅後、俺は誰もいない自宅で「ただいま」と呟いた。俺の両親は詐欺にはめられて莫大な借金を残して自殺した。俺を残して……それ以来、俺は人というものを忌み嫌うようになった。だから、家族連れの奴らとか見てると、嫉妬を感じちまう……
「そういえば、アイツはどうしたんだろう……?」
アイツとは純夏のことだ。話によると、俺と彼女はお隣同士らしい。幼馴染と聞くが何時から知り合ったのかもわからないな?いや……明日になってから考えるか?今日は眠いしとっとと寝よう。
俺はそのまま寝巻に着替えてベッドに寝転がった。日常生活自体にはさほど違和感がないが、周囲に関しては感じてしまう。やはり、俺は記憶喪失なのだろうか?
俺は中々寝付ける事が出来ずにいたが、真夜中の2時にようやく瞼が重くなり、眠りに付いた。
*
「ここは……?」
夢の中だろうか?辺りは暗闇の空間で、俺は目の前に映る二人の人影を見つめた。向かいあう二人の内一人は白いツインテールをした少女と、もう一人は……俺!?
「お、俺なのか……!?」
髪型や風格など比べて真反対な姿だが、顔つきはどう見ても、俺と同一人物だ。
『武さん……もう一度、あの世界へ行ってしまうのですか?』
少女は目の前にいるもう一人の俺に呟く。やはり、あの青年は俺だったのか?
『霞……ごめん、でも俺は新たに作られたこの「偽りの世界」で生きていくことに納得が出来ないんだ』
『武さん……』
『俺はもう一度元の世界からあの世界へ戻って、今度こそ皆を助ける……今度こそは、絶対に皆を守り抜いてみせるから』
「皆?あの世界?何を言ってやがんだ……?」
俺は遠くから二人の声を聞き続ける。そして、俺はあの霞と言う少女にふと夏傾げを感じた。顔を合わせた記憶はないが、どこか遠い場所で出会った気がする。それ以外は朦朧としていてわからない。
『武さん……「エンペラー」によってゲッターの力を得たのですね?でも、それならあなたは……』
霞はそう目の前の俺を不安に見つめる。そんな彼も彼女に己の決意を固める。
『わかっているさ……ゲッターの力を得たと言う事は、未来永劫、地獄の中で戦い続けると言う覚悟を……それでも、俺の意思は変わらない。もう誰だって死なせはしないんだ!』
『……わかりました。武さんがそこまでおっしゃるのなら、私も今一度あなたと共にあの世界へ再戦します』
『ありがとう、霞……』
『ところで……あなたはエンペラーの力を得たために、今の武さんは風格や性格が真反対な人物に変化してしまったようです……凶暴な気迫を感じられますが?』
「え、俺の……ことか?」
もう一人の変わり果てた俺、なら今あそこにいるもう一人の俺は記憶を失う前の俺だということか?
『大丈夫さ、どんなに俺が変わろうともきっと志だけは変わらないよ?』
『……そうですね?私もその武さんに会えるのを楽しみにしています』
フッと笑う霞は徐々に体が透けて、遂には消えてしまった。そしてもう一人の俺も同じように消え去った。
*
「……?」
カーテンの隙間から刺す日差しに邪魔されて俺はベッドから起き上がった。いつものように大きいあくびをして電波時計を目にした。すると……
「な、何だ!?」
電波時計の時刻は狂っていない。狂っているのは俺の頭だろうか?それとも電波時計の日付と年代だろうか?
「せ……1998年!?」
俺は慌ててカーテンを開けると、そこには……
「こ、ここは何処だ!?」
見慣れない街並みに行き交うは路面電車と乗用車。都会だと言う事は一通りみただけでわかった。しかし、ここがどこかということだ。俺の住んでいる町ではないのは間違いない。
「い、いったいここは……!?」
呆然と俺はその街並みを見続けていることしかできなかった……
後書き
次回予告
懐かしみを与えるこの世界は、白銀へどう影響を与えるのだろうか?
次回
「白銀が行く!」
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