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美しき異形達

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第十六話 黒蘭の力その七

「このことは同じよ」
「敵は一緒か」
「そうよ、だから貴女達が私達に何かをしてこない限りは」
「あたし達とやり合うこともか」
「それもないわ」
「敵でもない味方でもないか」
「そうした関係よ」
 そうなるとだ、薊に言うのだった。
「わかったわね」
「まあな、じゃあな」
「ええ、そういうことでね」
「あたしは諦めたくないけれどな」
 薊は微笑み黒蘭に言った。
「黒蘭ちゃん達もな」
「あくまでそう考えているのね」
「戦力が多い方がいいし、それに」
「それにとは」
「友達も多い方がいいだろ」
「友達は」
「これでも結構寂しがり屋なんだよ」
 明るい笑顔、白い歯を見せてだった。薊は黒蘭に言った。
「だからな」
「それでなのね」
「黒蘭ちゃん達とも友達になりたいからな」
「友達ね。私達はずっと二人でこれからもそうだから」
 それ故、とだ。友人というものについても素っ気なく、まさに興味がないといった口調で返した黒蘭だった。
「必要ないわ」
「二人で寂しくないのかよ」
「全くね」
「まあ一人よりはずっといいけれどな」
「そういうことだから、私は何度誘われても」
 それこそだ、そうなってもというのだ。
「貴女達とは一緒にならないわ、姉さんもね」
「そうか、じゃあまたな」
「また、なのね」
「ああ、誘うからな」
 これからもそうするというのだ。
「そういうことだからな」
「そう、諦めなくてもいいけれど」
「今はそのつもりはないんだな」
「これからもね」
 こう言ってだ、そしてだった。
 黒蘭は姿を消した、自分のバイクに乗りヘルメットを被って。 
 そのうえで何処かへと消えた、そうしてだった。
 薊は裕香と二人だけに戻った、そのうえで彼女に言った。
「じゃあ帰る」
「うん、寮にね」
「闘いは終わったしな」
「だからよね」
「ああ、もうここにいても仕方ないからな」
 それでだというのだ。
「帰って休もうか」
「晩御飯食べてね」
「お風呂入ってな」
 そうして、というのだ。
「ブラと替えてな」
「そうね、それもね」
「ブラウスもな」
 このことについては少し苦笑いになって言う薊だった。
「新しいのに替えてな」
「そうね、そういうこともね」
「ったくよ、災難だぜ」
「お気に入りのブラだったのよね」
「結構な」
 それ故にというのだ。
「残念だよ」
「そういえば薊ちゃんってブラとショーツの色は決まってるわね」
「赤系統でな」
「そうよね、本当に赤好きなのね」
「やっぱりあたしは赤なんだよ」
 下着も含めて、というのだ。
「何処かの大佐みたいにな」
「後で総帥になる人ね」
「その人みたいにな」
 このことは笑って言う薊だった。
「あたしは服とかは全部赤なんだよ」
「他の皆もそうだしね」
 菖蒲は青、菊は黄色、桜は桃、向日葵は橙、菫は紫とだ。確かに六人共それぞれ身を飾る色は決まっている。 
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