| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

美しき異形達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十六話 黒蘭の力その八

「それであの娘も」
「黒だよな」
「皆それぞれの色があるのね」
「その辺り面白いな」
「個性が出てね」
「あたしに赤似合ってるよな」
「うん、凄くね」
 そのこともだ、裕香は言った。
「似合ってるわよ」
「じゃあこのまま赤でいくな」
「うん、そうしたらいいと思うわ」
「また赤のブラ買うか。しかしな」
「しかしって?」
「いや、黒蘭ちゃん言ってただろ」
 薊は話題を変えてきた、今度の話題はというと。
「私達って」
「お姉さんのことね」
「ああ、あいつ姉さんいるんだな」
「そうみたいね」
「誰なんだろうな、その姉さん」
 寮への帰り道の中でだ、薊は裕香にこのことを尋ねるのだった。
「そいつも力の持ち主ってのはわかるけれどね」
「そうね、そのことは間違いないけれど」
「どういった奴かはな」
「そこまではわからなかったわね」
「その辺りかね、次は」
 薊は考える顔で裕香に話していく。
「調べるとしたら」
「そうなるわね、やっぱり」
「ああ、じゃあな」
「また黒蘭ちゃんに会うの?」
「そうしてみようか」
「それじゃあね」
 薊はこう裕香に話してだった、そうして。
 この日は日常に戻った、夕食に風呂を楽しんだ後は勉強となった。そうした普通の学園生活も送ったのだ。
 その次の日だった、朝登校してからだ。薊はまずは皆に屋上に集まってもらった。智和と裕香も一緒である。
 そうして屋上の端の方で車座に座って昨日のことを話す、それからだった。
 薊は皆にだ、こう言った。
「あたし今日あの娘に会おうって思ってるんだよ」
「いいんじゃない?」
「そうよね」
 まずは菊と向日葵が薊に答えた。
「お話聞くとお姉さんのこと気になるし」
「誰かね」
「だからここはね」
「その人と会うといいわ」
「私もそう思います」
「私も」
 桜と菖蒲も賛成だとだ、薊に答えた。
「是非です」
「その娘と会うべきね」
「そうか、じゃあ会ってみるか」
「ただ」
 ここでだ、菖蒲が薊にこう言った。
「一人で会うことはよくないわ」
「用心の為かい?」
「薊さんの話を聞く限り彼女は友好的ではないわね」
「関わるなって言ってるしな」
 薊もこう返す。
「実際に」
「そうね。それならね」
「あたしが会うとか」
「最悪揉めごとになるわ」
 だからだというのだ。
「一人で行くのはよくないわ」
「まあ向こうが喧嘩を売ってきたらな」
 それこそというのだった。
「あたしも買うしな」
「そうね、薊さんはそうした人だから」
「喧嘩になったらやっぱりな」
「話どころではないわ」
「そうだよな、じゃあな」
「私が一緒に行くけれど」
 菖蒲は自分から同行を申し出た。
「どうかしら」
「そうしてくれるかい?」
「ええ、それではね」
 こうして菖蒲が同行することになった、薊は二人で黒蘭と再び会うことにした。このことが決まってからだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧