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美しき異形達

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第十六話 黒蘭の力その六

「私もそうだけれど」
「そうなんだな」
「服は仕方ないにしても」
「ちぇっ、お気に入りのブラウスとブラだったんだけれどな」
 薊はその切り裂かれてしまった赤のブラを見つつ舌打ちした。
「残念だよ」
「その気持ちはわかるわ」
「そうか、あんたいい奴だな」
 薊は黒蘭の今の言葉に微笑んで言った。
「仲良くやれたらいいな」
「いえ、それは無理よ」
 黒蘭は薊の微笑んでの今の言葉は否定した。
「私と貴女達はね」
「無理って、どういうことだよ」
「私達は二人で闘っているから」
 だからだというのだ。
「貴女達とは一緒になることはないわ」
「おいおい、あんたも星だよな」
「双子星にしてもね」
 北斗七星の中にあるというのだ、黒蘭もまた。
「その通りよ」
「じゃあ一緒に」
「星だからといって一緒にならないといけない理由はないわね」
「そう言うのかよ」
「ええ、私達は二人で充分よ」
「双子星だから」
 ここで裕香が言う。
「貴女のお姉さんは」
「ええ、姉さんがミザールよ」
 その星になるというのだ。
「そうなるわ」
「そうよね」
「私達は二人、その二人でね」
「戦っているのね」
「これまでも今もこれからも」
 過去、現在、そして未来もだというのだ。
「そうしていくわ」
「八人で戦った方がいいだろうによ」
 薊は黒蘭の主張が理解出来ず首を傾げさせてこう返した。
「わからねえこと言うな」
「二人の方が小回りが効くわ」
「大所帯よりもかよ」
「ええ、それにね」
「それに?」
「足手纏いはいらないわ」
 こうも言う黒蘭だった。
「私達にはね」
「あたし達そこまで弱いか?」
「いえ、貴女の闘いを見ている限り」
 黒蘭もそれは見ていた、薊の闘いは。
「強いわね、覚醒した力を上手に使い強くなってきているわね」
「そうだろ、足手纏いにはならないさ」
「戦闘力の問題ではないわ」
「数が多いからかよ」
「ええ、無駄な戦力はね」
 それ自体がというのだ、頭数が多いと。
「私達にとって足手纏いにしかならないから」
「いらないっていうのかよ」
「何度も言うけれど私達は二人で充分よ」
「だからあたし達とは一緒に戦わないのか」
「そうよ、二人で戦うわ」
 そうするというのだ。
「姉さんと私でね」
「あたし的にはそうは思わないけれどな」
「話すことはないわ。けれど」
「けれど?今度は何だよ」
「貴女達とは共闘しないけれど」
 それでもだとだ、黒蘭は薊にこうも言った。
「敵ではないわ」
「敵は一緒だよな」
「ええ、怪人よ」
 彼女達にしてもだというのだ。 
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