I want BRAVERY
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六話 部活(1)
入学して直ぐだが、そろそろ部活に入部ができるらしい。
そして、俺はここで重要なことに気が付いてしまった。
(宮本って・・・何部!?)
そう、問題はこれにつきる。
マネージャーの西脇さんを狙うために、同じ部活に所属する最も手っ取り早い方法が宮本と同じ部活に入ることなのだが。
(いや、だから何部!?)
宮本は残念ながら違うクラスだった。
ゲームなら、主人公が入った部活に自動的に宮本と西脇さんがいるようになるのだが、自分においてはそんなことになるはずがない。
しかし、西脇さんと接点を持つにはなんとかして、宮本と同じ部活に入る必要があるのだ。
(どうしようか・・・)
部活の入部は強制ではない。
既に順平と友近・・・いや、髭とモブは帰宅部にすると言っていた。
(あれほど友達の重要性ついて語ったのにな)
残念で仕方がない。
部活の友達というのは、友達グループを構成するに当たって、大体8割程度の確立で同じ部活の人間がその構成メンバーに入る。
そしてなにより、上や下との関係を持てる、という普通の生活では得られない関係を得れるのだ。
ゆえに、部活は『友達作り』には最適なのだ!
と、まぁ、それはおいて置いて、唯一の救いは途中入部が可能、ということだろう。
後から宮本を見つけその部活に入るというのが最も良い方法な気がする。
しかし、やっぱり途中入部よりも、最初から入りたいというのが俺の願望だ。
ゲームの主人公みたいに、一回一緒に帰ればランクが1上がる。
つまり10回一緒に帰るだけで親友の域まで達してしまう、なんていうチート(?)能力は俺にはない。
だから、早いうちに早いうちに宮本と関わりたいわけなのだが。
(マジでどうしよ・・・)
まだ、友達は髭とモブのみ。
友達情報ネットワークはまだ作られていない。
とにかく、方法として挙げられるのは、
⇒後から見つけて入る。
宮本と友達になって一緒に入る。
西脇さんと友達になって一緒に入る。
(ダメだ・・・どれもダメだ。辛うじてありなのは2番だな)
宮本と友達になる・・・か。
正直時間がない。
いきなり違うクラスの生徒が来て、それで友達になろうとしてきたら、ソレはかなり怪しいだろう。
となると・・・最終手段。
(当て勘で入る)
無理じゃないか?いささか無理があるんじゃないか?
原作で宮本が存在しうる部活は、水泳、剣道、陸上。
この3択だ。
3択、テストなら当たりそうな気がするがこの状況ではイマイチ分が悪い。
(はぁ・・・とりあえず見学だけでも今日中にしておくか)
ため息を付かずには居られなかった。
>この先はプールだ。
水泳部が使っているらしい。
>“水泳部 部員 大募集 途中入部OK!
イルカと共に太平洋横断!”と書いてある。
>水泳部に入部しますか?
⇒さっそく入部する
まずは見学してみる
入部しない
(見学だな・・・てか、なにこれなんで選択肢?)
⇒まずは見学してみる
俺は室内プールへと入った。
「お?入部希望者か?」
ブーメランパンツをはいた先輩らしき人物が話しかけてくる。
「いえ、見学です」
そう言って、許可をもらってから端の方へと行く。
(宮本は居ないな)
それだけ確認してすぐ出るのもアレなので、少しだけ泳いでいる生徒を見る。
大体時間にして5分程度たっただろうか、
(なんか女子からの目線が痛いな・・・)
居たたまれなくなりプールから出た。
「ふぅ・・・次は・・・」
>この先は体育館だ。
剣道部が使っているらしい。
>“剣道部 部員募集 途中入部OK!
漢を極めてみません?”と書いてある。
>剣道部に入部しますか?
⇒さっそく入部する
まずは見学してみる
入部しない
(て、いい加減これダルくない?)
⇒まずは見学してみる
そして、俺は体育館へと入った。
「入部希望者?」
防具を今からつけようとしていた先輩に声を掛けられた。
「いえ、見学です」
さっきと全く同じセリフを吐いて、また許可をもらって隅の方へと行く。
(・・・顔見えねぇよ。てか宮本ってもう来てんのか?てかまだだよな・・・)
剣道部の気合の入った声をこんな間近で聞いたのだが、あまりビックリしなかった。
(まさか!これが、これが勇気の力か!!)
そう思わずには居られない。
「ふぅ・・・てか見つかるわけないかな」
体育館から出てきてそうつぶやく。
あとはグラウンドの陸上部だけだ。
>この先はグラウンドだ。
陸上部が使っているらしい。
>“陸上部 部員募集 途中入部OK!
風になろう今なら飛べる!”と書いてある。
>陸上部に入部しますか?
(飛べる?んなわけあるかボケェ)
なんてツッコミつつ、
「お、お前も陸上部に入るのか?」
さっきと同じようにまた頭の中に選択肢がでるのか?と思った矢先に声をかけられ振り返る。
(ミ・ヤ・モ・ト、キターーー)
あくまで心のなかだが、そう叫ばずには居られない。
「ん?違ったか?」
内心ではこの偶然に感謝しながらも、表面ではそんな素振りは全く見せずに言う。
「いや、なんか一人でいくのがちょい不安でさ」
なんて言ってみる。
「ふ〜ん。ま、ちょうどいいんじゃね?俺、中学から陸上やってんだよ」
そう言うと宮本は俺の横を通りすぎてグラウンドへと出る。
(てか、てかお前!ジャージかよ!)
これもまた叫ばずには居られない。
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