I want BRAVERY
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五話 友達
まず入学や転校して、最も大切なのは最初の友達だ。
俺の場合、中学校からではないので、全員と初対面の状態ゆえに、それが余計に必要になる。
何をするにしても一人というのはダメだ。
寂しい、というのもあるがやはり何かと不便なのだ。
いざノートを借りるにしても。
何か質問するにしても。
相談にしても。
一人というのは不便で仕方がない。
故に俺はとにかく誰かと友達になろうと、主に狙っていたのは伊織なのだが、気付けば友近と友達になっていた。
これは嬉しい誤算だ。
一人友達がいるのといないのでは天と地ほどの差がある。
「伊織順平でっす!これからヨロシクゥ!趣味は・・・」
今は入学式が終わり、教室に戻って自己紹介のとこだ。
というよりも、友近も伊織もともに同じクラスとは、運がいいのだろうか。
「岳羽ゆかりです。よろしく」
伊織などとは違い、自分の名前だけ簡潔に述べる岳羽さん。
「友近健二です。一番すきなのはラーメンです。これからよろしく」
しばらくして友近の番が回ってきたようだった。
岳羽さんも同じクラス・・・
⇒運命を感じる
偶然だ
仕組まれているようだ
(・・・なんだこの選択肢は・・・もしや仕組まれているのかっ!?それが本当な
「琉峰君!」
「・・・っ!?おっと俺の番か」
いつの間にか俺の自己紹介の番になったようだった。
鳥海先生が呆れながらこっちを見ている。
(鳥海!?)
もしや、やっぱなんかこれ仕組まれてんじゃね?
そう思わずには居られない。
「おっとじゃないわよまったく」
「さーせん。えっと琉峰彩です。趣味は友達作りです。ヨロシク」
趣味は友達作り。
そう、俺の趣味はこれなのだ。
最初に友達の必要性を語ったように、俺の趣味はコレだ。
前世では男限定だったため、それほど量はいなかった。
かといって少ないなんてはずもなかったが。
とにかく友達を作る!
中学の時の友達は、当時携帯をまだ買っていなかったのでほとんど連絡が取れない。
となると!
この高校生活にかけるしかない!
なんて意気込みながらも、表面ではボォーと先生の顔を見ていただけだった。
「おいおい。お前さ、なんか寝てること多くない?」
友近が帰りになって話しかけてきた。
「別に寝てるわけじゃないんだけどなぁ」
なんてボヤきながら鞄を持って立ち上がる。
「ま、どうでもいいけどさ。それより!ラーメン食いにいかね?」
「おいおい、マジでラーメン好きなのなお前」
「当ったり前だろ。じゃなきゃわざわざ言わないっつの。んなことよりお前の『趣味は友達作り』ってなんだよ」
笑いながら友近がそう尋ねてくる。
「あーそれはな」
「あっ!それ俺も気になる〜!」
突如、友近に友達の重要性を語ろうとしていた俺の言葉を遮るように声がかかった。
「んあ?・・・老けてんなお前」
ゲーム画面を見ながら常々思っていたことを言う。
「ぐはっ!・・・お前、割と人の心をエグるな」
胸を押さえてうずくまり、そんなことを言いながら伊織は立ち上がる。
「髭剃れ髭」
「いいんだよこれは、これが俺のチャームポイント、ってやつ?」
なんていいながら決めポーズを取る伊織。
「おいおい、そりゃないだろ」
横に居る友近が思わずツッコム。
「お前みたいに特徴ないやつよりマシだっつの!」
(・・・ズバリだな!)
「・・・てっめ、人が一番気にしてることを!」
「はいはい。どーでもいいっての。てかお前誰よ」
流石に喧嘩に発展させるわけにもいかず止める。
「ん?俺のこと覚えてない!?あんなにアピったのに!?」
「あーワリ、髭しか覚えてないわ」
「ひどっ!」
「そんで、誰よ」
「おいおい・・・『友達作り』とか嘘なんじゃねーのコイツ・・・まぁいいか。俺は伊織順平!気軽に順平って呼んでくれ!」
なんていいながら、さっきとは違う決めポーズを取る伊織、いや髭。
「俺は琉峰彩。まぁ、彩って呼んで」
チラリと横に目線を向ける。
「・・・俺は友近健二。なんとでも呼んでくれ」
「じゃ、モブで」^^b
思わず言ってしまった俺は悪くない。
「ぶっははは!そりゃイイ!じゃ、今から俺達は友達だぜ!彩!」
よくわからない熱血ぶりを順平、いや髭が発揮していた。
「おう!よろしくな!髭!」
「おい!」
「・・・どーせ俺はモブだよ・・・」
伊織、いや髭の突っ込みのテンションとは正負が全く逆のベクトルのテンションのヤツがいる。
「・・・あー悪かったって」
ぽんぽんと座りこんでいる友近、いやモブの肩を叩きながら俺は慰めてやる」
「って、声に出てるから!てかモブって言い直さなくていいから!」
どうやら声に出ていたらしいが、それは気にしていけない。気にしたら負けだ」
「いやいやいや!全然負けじゃないよ!もっと気にしようよ!」
なんかもうキャラが早くも崩壊してる友近。
「まぁ、いい。そんなことよりも『友達作り』について語るとしよう」
「話逸らさないで!」
友近の悲痛な声が聞こえるが、
「いや、コレが本題だから」
そう言うと、友近がまた凹み、それを伊織、いや髭が同情した目で見ていた。
「よし、では『友達』の大切さから話そうか」
「いや!いいから!もういいよ!」
よほど『モブ』が堪えたのだろう。
友近が泣きそうになってる。
(そんな顔も・・・モブだぜ^^b)
そう思わずには居られなかった。
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