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I want BRAVERY

作者:清海深々
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七話 部活(2)



 部活に入ってから大体2週間がたった。
 部活に入ったことによって、宮本と西脇さんと知り合う、という目的は達成されたと言えるだろう。

 1年の陸上部員の中で、俺はそれなりに足が速いみたいだ。
 直視の魔眼にしても脅威の幻視にしても、どの道それらの発動をより十分なものにするには、体を鍛えるのは必須だったためそれなりに鍛えてはいた。

 しかし鍛えた、といってもフットワークや瞬間的な瞬発力と集中力。
 これらが最もメインになっていたため、陸上部では正直ヤバいな、なんて思っていたのだが、その心配はなさそうだ。

「お前、割と早いな」

 入って直ぐに期待のホープ扱いの宮本は、練習ですぐにタイムを計ったりしていた。
 入りたての俺は、柔軟やフォームのことに関してしか触れていなかったのだが、宮本にさそわれ今さっき一緒に走ってみたのだ。

「んーそうか?てか、彩って呼べよ」

 なんとなく人に『お前』とか言われるのはあまり好きじゃない。
 別にそれは俺だけじゃないとは思うのだが。

「あー、そうだったな。にしてもなんか自信失くすぜ。中学からやってきたのに最近始めたばっかの奴と対してかわらないなんてさぁ」

「いやいや、結構差あったろ?」

 それなりに差はあったはずだ。
 それに俺は全力で走ったにも関わらず、宮本は最後らへんは流していた気がする。
 それでいて俺が負けているのだがら、結構な差だとは思う。

 遠くから宮本を呼ぶ先輩の声が聞こえる。

「お前、いや彩はこれから伸びると思うぜ」

 ま、負けないけどな。と続けて宮本は先輩陣の方へと走っていった。

「ふぅ・・・結構キツイのな、陸上って」

「当ったり前でしょ」

 なんとなくボヤいてみたが、どうやらソレを聞いてる人が居たみたいだ。

「お、西脇さん」

「結子でいいって言ってるじゃん」

「あーそうだった」

 なんて、ポリポリと頭をかく。

「ミヤに自分のこと彩って呼ぶように言ってるくせに、当の本人は私のことを苗字で呼んでるなんて笑えないですけど〜」

 若干口を尖らせながら、そんなことを言う西脇さん、いや結子。
 結子の言う『ミヤ』というのは宮本のことだ。
 二人は幼馴染らしい。
 らしい、と言ってもそんなことは知っているのだけれど。

「にしても、これはまた明日筋肉痛な予感がする」

 どうやら普段鍛えている時とは違う筋肉を使っているみたいで、しょっちゅう筋肉痛に悩まされる。

「まだ筋肉痛なってるんだ。いい加減慣れてもいい頃なのにね」

 まぁ、それはあんたら二人のように昔から鍛えてる奴らのみだけどな!
 なんて言えるわけないが、

「そーだね。そろそろこの痛みとはおさらばしたいよ」

「彩はとりあえずは体力だね。息切れするの早すぎ」

 ニヤッとイタズラを見つけた子供のような表情をする結子。

「俺は短期集中型なの〜」

 なんて言い訳をしてみる。

「はいはい。此処2週間でそれは聞き飽きたー。短距離走といえど、何本も一日に走れなきゃ練習になんないってば」

 正直、体力には全くの自信がない。
 結構部活をしていたのだが。
 
 ちなみにその部活はバスケ部なのだが。
 普通バスケといえば体力と考える人も多いと思うが、実際体の出来上がっていない中学生に体力作りのために走りこまさせると、いらない筋肉がついて瞬発力が落ちるのだ。
 それゆえに中学時代は、あまり体力づくりに励んだ記憶はない。

 ポジションもPG(ポイントガード)、スラダンで言うあのブロッコリーのとこなのだが。
 正直、部活をしていたというよりも、皆で遊んでいたというような部活だったので、全く体力に繋がらなかった。
 その結果、運動部に入っていたにもかかわらず俺には体力がない。

「ま、2週間前に走り出したばっかであれだけ走れるなら、結構才能あるんじゃない?」

「お?マジで?今のでちょっとやる気でてきたかも」

 なんて青春してる少年みたいなセリフを言ってみる。
 実際は、

(どーせ影時間に入れるようになったら、自然と体力つくんだし、ま、いっか)

 なんて思ってたりする。

「お、そろそろ1年に集合かかるんじゃない?」

「んお?」

 結子は最後にそう言ってマネージャー陣へと戻っていった。
 その後ろ姿に数秒視線を送った後、顧問の竹ノ塚先生の方へと目を向けると、首にかかってるホイッスルに手をかけているとこだった。

(おうおう、俺と話してたのにいつの間に先生のこと見てたんだよ)

 なんて思っているとホイッスルが鳴らされ、1年が呼ばれるのを聞いてそちらへと向かった。






 そして、今日の部活が終わった。

「ん?彩も今帰り?」

 下駄箱に疲れた体を引きずって向かうと、結子が靴を履き替えているとこだった。

「おう。そっちも?」

「そ」

>どうやら結子は一緒に帰りたいようだ。
>ペルソナもコミュもないがどうする?

⇒一緒に帰ろうぜ
 じゃね

(またかよ。てか、ほんと何この選択肢)

 選択肢の存在をテラ疑問に思いながら、

⇒一緒に帰ろうぜ

 を選択する。

「一緒に帰ろうぜ」

(これ、口が勝手に動くのな)

 そのことに驚愕しながらも、表面では笑顔で結子に尋ねる。

「いいよ。ミヤはどうも先生となんか話しあるみたいだし」

>結子はかなり嬉しそうだ、まではいかないがほどほどに嬉しそうだ。

(・・・なんでそんな遠まわしなんだよ)

 しかしまぁ、原作では2回だったか3回だったか、それくらい話しかけた後でないと一緒に帰れなかったのだが、一発である。
 ま、いうなれば

(やっぱりか!やっぱり、勇気の力なんだな!これは勇気なんだなぁ!!)

 と、内心叫ばずには居られなかった。


 
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