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I want BRAVERY

作者:清海深々
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四話 入学



 待ちに待った月光館学園の入学式。
 俺は、対して緊張した風もなく入学式の中にいた。

 あの日、ペルソナを望み夜叫んだ日(後に祖母からどうしたの?としつこく聞かれたのは割合して)から約半年が経ち、俺は無事入学式を迎えることができた。
 家から遠かったので祖父母は反対したのだが、自立してみたい、とかなんやら色々いってこの学校へ来る許可を得た。

 中学卒業と同時にそちら移るためか卒業式は大変だった。
 中学の友達達は会えなくなるから、と泣き出したりしたのだ。
 特に男子に泣かれた。
 まぁ、そこでもらい泣きをしてしまい、歳に似合わず泣いてしまった。
 どうやら俺は今も昔も涙もろいみたいだ。

 まぁ、そんなことはおいといて、ついに入学式を迎えたのだ!

 俺の前方には入学式にも関わらず帽子を被った生徒が見える。
 多分あれが伊織順平だろうと思う。

 そして、その帽子の左後ろらへんに座っている、白いチョーカーをつけた生徒。
 これは間違いなく岳羽さんだ。
 入学式ということもあって、あのピンクの上着(あれはなんと言うんだろうか)は着ていない、普通の制服のためわかりにくいがチョーカーらしきものはつけている。
 
 というより、伊織とか、帽子脱げよ。思わず言いたくなるが誰も言おうとしないので、ここは黙っておくとしよう。

 入学するに当たって、俺が割り当てられた寮なのだが、伊織と一緒の寮だった。
 思わず、

「あれ!?俺もしかして適性あんの!?」

 とか部屋で喜びのあまりベットに飛び乗って、はしゃぎまくったのは仕方ないだろう。

 もし、例え後になって、

「あ、伊織って途中から原作の寮に行くのか」

 なんて気付いてしまったとしてもだ。

 まぁ、結論を言うには、自分にはまだ適正はないっぽい。

 これから1年の間になんとかして適性にならなければ、正直置いてけぼりをくらう。
 ご都合主義みたく、途中から参戦して、レベルが主人公達に合わせてある、なんてことはきっと俺には適用されないだろう。

 そんなこと頭の中で考えながら入学式で校長の話を聞く。


———ツンツン


「?」

 横腹を指でつつかれ、思わずそちらに目を向けると、どこぞのモブキャラ(笑)みたいな生徒が俺の方を見ていた。

「お前、度胸あんな。入学式で寝るなんてさ」

 正直、濡れ衣もいいとろだなんて思いながら俺は、当たり障りのない言い方で答える。

「あれ?俺寝てた?」

 すると、その生徒は若干呆れが混じった顔で、

「下向いて、目を瞑って固まってるヤツ見て、起きてるなんて思うやつはいねぇよ」

 どうやら考え事をする時に下を向く癖は治ってなく、その上目を瞑っていたらしい。

「あ〜いや、なんていうか寝不足?でさ」

「わかるよその気持ち。だってこれから高校生だぜ?俺ら」

 ニヤニヤと何を想像したのか知らないが、その生徒は腕を組んで言う。

「あ、俺、友近健二な。これからヨロシク。あんたとは気が合いそうだ」

(おぉぉ!原作キャラ!接点持つのはえぇ!てかこいつモブ顔過ぎる!!)

 内心驚き、そして爆笑しつつ表面ではさっきと変わらぬ顔で接する。

「俺は琉峰彩。よろしく」

 ニヤリと笑って返す。

「おぅよ。お前と友達になるとナンパ成功率が上がりそうだ」

 そう言って友近もニヤリと笑う。

「おいおい、俺をダシに使うつもりかよ」

「冗談だっての」

 なんて、初対面とは思えないような会話をしながら、校長の話の間時間を潰す。

「にしても長いな」

「あぁ、なげぇわ」

 もうそろそろ45分くらいだ。
 そろそろ終わってもいいはずなんだが、校長の様子からすると、今で半分みたいな感じだ。

「ありえねーわ。・・・てかさ、知ってる?」

 友近に言われ疑問に思い言い返す。

「何を?」

「ここの学校ってさ、他の学校に比べてレベルが高いんだよ」

「なんのレベルだよ?」

「もちろん・・・女子さ!」

 小声で言いながらも、ちゃんと“!”の感情も伝えれるっていうのは、なかなかにできない真似ではないかと思う。

「あぁ・・・なるほど。ってもしかしてそんな理由で?」

「流石にそれはないけど、結構おっきなウェイトを占めてる」

 まぁ、自分も人のことは言えないのだが。

「てことは、早くも誰かみっけたか?」

「これからだっての」

 ニヤニヤと友近と笑いあう。
 本当にコイツとは気が合いそうだ。

(そういえば友近と言えば、叶先生だな・・・)

 教師陣に目を向ける。

(でも、叶先生の顔知らないんだよなぁ、俺)

「お!お前良い趣味してんじゃん」

 嬉しそうな声を友近が上げたのでそちらへと視線を向ける。

「やっぱ、狙うは大人だ」

「おいおい、さっきまで『ここの女子は〜』なんて言ってたやつのセリフじゃねぇな」

 そう言うと友近はまたニヤリと笑う。

「一応、この席から見える女子を見たけど、正直なんかこう、グッとくるもんがないわ」

「・・・わからんでもない」

「お?マジで?やっぱ気が合うな」

(まぁ、こいつが年上好きってのは分かってたことなんだけどな)

 内心そう思いながら、友近へ俺もまたニヤリと笑いかける。
 自分的には大人、というよりも、自分と精神年齢が合いそうな人間が同学年にいないのが大きな問題だろう。

 どうも、同学年相手だと、というより一つ二つ程度ではそういった恋愛対象にはなりづらい。
 そのことは中学の時に告白されてか改めて気付いたことだ。

 何より中身はもう30を超えている。
 女子高校生に欲情するのはどうかと思わずにはいられない。

 しかし、これでは原作キャラにフラグを立てる、という当初の目的が早くも潰れそうだ。

「しかし、あの先生、めっちゃ色気あんな」

 そう言って友近が見ている方へと俺も目を向ける。

(・・・なんていうか、あれ叶先生っぽいな)

 俺の直感がそう告げている。

(ていうか友近、この時点からすでに気になってるのか。なかなか難儀なことで)

 それにしても、男主人公の場合の『魔術師』のコミュを発生させることができる友近と知り合えた、というのは結構嬉しい。
 特別課外活動部SEESのメンバーではないので直接原作に関わりはないのだが、なんだかんだ言ってきっかけを掴めた、そんな気がした。

(てか・・・叶先生・・・いいかも)

 なんて思わずには居られないほど、あの人は色気をだしていた。
 
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