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I want BRAVERY

作者:清海深々
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三話 発見



 両親が死んでからちょうど2年が経った。
 あの頃が大いに取り乱してしまい、学校にも行かずに家に閉じこもっていた。

 別に知らない親戚類が来たりして、財産についてあれこれ、なんてことはなかったのは幸いだった。
 前世で両親が死んだりなどと、身近に死を感じたことは今までになかった。

 転生し、自分の本当の親ではないと始めは思っていたが、長く共にすごしているとやはりと言うべきか、家族、という繋がりを感じるようになった。

 悲劇の主人公になりたいわけじゃない。
 どちらかと言えば、やっと吹っ切れたこの世界で、大いに高校生活や、できなかった大学生活をエンジョイしたいと考えていた。
 そんな矢先の出来事だった。

 正直、世界から色が消え、どうしようもなくなった。
 転生し戸惑いを隠せず、唯一とまでは言わないがこの世界での安息の地であった家。
 その家も、住む住人がいなくなれば意味をなさなくなる。

 そして結局は、よく遊びに行ったりしていた祖父母の家に預けられることになった。

 祖父母の家はそれなりに裕福らしく、何よりも同じ学校に通えるというのが大きかった。
 そして、祖父母の家でなんとか立ち直り、両親の死後から一ヶ月後、ひさしぶりに学校へ通った。

 いつも通りの明るさを振りまいている俺に、不安な顔を向けながらも、皆俺に合わせてくれた。
 空元気であったのは間違いないのだが、自分は塞ぎこんでいては、立ち直れなくなるキャラだと自覚していたため、俺は空元気でありつづけた。
 俺が完全に両親の死について受け入れられたのは、そのような環境だったからかもしれない。

 クラスメイトにも、そして過去の自分の行動にも感謝しながら俺は日々を過ごしていった。






 そろそろ中学最高学年の中学3年生の終盤にさしかかったころのこと。

 気付いてしまった。
 そう、ここはやはり、というか今まで気付いてなかったわけではないのだが、『ペルソナ3』の世界なのだ。
 何故なら、見つけてしまったのだ。『月光館学園』という高校を。

 『月光館学園』というのは、ペルソナ3の舞台になった高校だ。

 やはりな、と思いながらもネットでその学校について調べていく。

 世話になっている祖父母の家からは正直遠い。
 もし、ここに通うのなら寮になるだろうな、と思いながらもどれほどの偏差値が調べていく。

「ふむ・・・余裕だな」

 別段月光館が低いわけではないのだが、自分は正直高校3年生のレベル以上の頭を持っているのだ。
 それくらは当たり前だろう。

 そして、両親が死んでほんの一時期引きこもっていた時に気付いたことなのだが、
 自分のステータスが上がっているのだ。


学力:4
なかなか優秀
魅力4
光っている
勇気5
肝が据わっている

Lv1 流峰 彩
HP 10/10
SP 12/12
        普通

NEXT EXP 10


 レベルは上がっていない。
 これは当たり前だろう。

 レベルを上げるにはペルソナを手に入れ、シャドウを倒す必要がありそうな気がするのだ。

 しかし、だ。
 問題はそこではない。
 学力、魅力、勇気が全て一段階づつ上がっているのだ。

 夜はあまり出かけていない。となると原因は放課後の生活だろう。
 大盛りの牛丼を食ったりなどしていた覚えがある。
 しかし、あれで勇気が上がるのは『ペルソナ4』だったと思うのだが・・・。

 まぁ、それはおいて置くとして。
 このステータスの値なのだが、『ペルソナ3』で主人公は初期でオール1だったはずだ。

 しかし、たったの1年でそれをMAXにすることは余裕だったはず。
 自分も前世では『ペルソナ3』『ペルソナ3FES』『ペルソナ4』『ペルソナ3ポータブル』を買った。
 まぁ、買ったといってクリアしたわけではないのだが、どちらかというと攻略サイトを見て、余裕とか思っていたニワカだ。

 また話が脱線してしまったのだが、思うに高校生の間が一番成長するのだろう。
 まぁ、主人公は特別過ぎる、という説もあるのだが、というよりそちらの方が有力だ。

 しかし、攻略サイト見ながらやっていた俺からするとあることが気になるのだ。
 学力が2の状態で、始めの中間テストの選択肢を全て正解させると、なんと上位10位に入れるのだ。

 もうおわかりいただけただろうか。
 自分は今、学力4なのだ。

 そして、選択肢は全て授業中に教師が言っていた。
 つまり、
 学力2+選択肢全問正解=学年10位以内
 という方程式が成り立ち、それに今の自分を代入すると、
 学力4+前世の知識=学年1位

 というのも十二分にありえるわけだ。
 余裕過ぎるのではないか?
 その上、多分高1の間に頑張れば、ほぼ全てをMAXにできるのではないかと思う。

 なにより、一度あがったステータスが下がったためしがないのだ。
 学力にせよ、魅力にせよ勇気にせよ。
 一度到達すると下がらない。これはやはりゲームの設定と同じなのだと思う。
 下がることのない魅力や学力なんて現実ではありえないことなのだから。

 つまり!言いたいことを簡潔に言うと、
 初期の4月から桐条先輩や岳羽さんや、後々登場の山岸さんと!
 なんと一発でコミュを作れるのだ!

 と、ここまで思い、すごく、本当にすごくテンションが上がったのだが、これだけ友達がいてもコミュの存在を感じたことはないし、影時間も知らない。
 これはフラグが建てれないのではないかと思う。

 正直、せっかくなので原作に介入しようと思うのだ。
 なにより、主人公が男だった場合、女の子達をとられる可能性が高い。
 そこで早目、早目にアプローチをかける必要がある。
 何よりペルソナに目覚めていない、今後目覚めないかもしれない自分には影時間で共に過ごすという分、主人公に差をつけられてしまうのだ。

 結論から言って、

「とにかく・・・ぺるそなぁ!!カモン!!」

 叫ばずにはいられない日だった。

 
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