ファイナルファンタジーⅠ
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6話 『動き出す歯車』
────コーネリアから旅立った4人は、港町プラボカで悪さをしていた海賊達を懲らしめ、改心した海賊のビッケから船を譲り受けて早速内海を南下してゆく。
「内海ってのは面白かねェな、ちょっくら見渡しゃ陸が見えやがる。やっぱ大海原に出てェもンだぜッ」
船の舵取りをしながらそうぼやくシーフのランクを、白魔道士のシファが宥める。
「しょうがないよ、外海に出るにはドワーフが掘ってるっていう"運河"の完成が必要だって、港町の人が云ってたでしょ?
……それはそうとランク、ちゃんと船動かせてるみたいじゃない」
「まぁ、何でか覚えはねェが、これぐれェ大したこたねーよ」
「はぅ゙、うい゙……えふっ」
黒魔道士ビルは船酔いしているらしく、つま先立ちで船の縁に両手を置いて下向き、1人呻いている。
「び、ビル? ほら……大丈夫?」
小柄な背中を摩ってあげるシファ。……下向いてはいても、ビルのとんがり帽子はずり落ちないようだ。
「おめェ、いかにもなヤツだな。目的地までそう遠くねェ、それまでガマンしろッ」
ランクなりの、気遣いの言葉らしい。
「船酔いは白魔法で治せるものじゃないから、こればっかりは自分で克服しなきゃ、ね?」
「は、はい゙ぃ……っ」
シファに云われて、辛うじて返事をするビル。
───ふとシファは、赤魔道士マゥスンの居る方に目を向ける。
彼(彼女?)は、東方面の山岳地帯を眺めているらしい。
赤マントに身を包んだすらりとした長身に、白い羽付きの赤い帽子の下から流れる白銀の長い髪────
( こうして見てるとマゥスンって綺麗だし、格好いいなぁ。性別なんて、関係ないくらい………。髪は長いけど男の人かもしれないし、話し方とか声は女性らしくないけど、声のトーンが低めの女の人かもしれないし─── )
エルフの城では王子に会えない代わりに大臣が応対し、王子はダークエルフの王アストスに呪いを掛けられ眠り続けているらしい。
西の深き森に姿を暗ましているアストスを見つけ出し、[水晶の目]を取り返してそれを魔女のマトーヤに渡せば[目覚めの薬]を作って貰えるらしく、
肝心の予言者ルカーンの居場所はエルフの大臣が知っているようだったが、とりあえず先に述べられた通りの事を成してくれれば教えてくれるという。
4人は、エルフの森から西の更に深き森に足を踏み入れ、その奥で何故か荒れ果てた城を見つけ、そこにただ1人、痩せ細った王様らしき存在が居た。
「頼む……、ここから南にある沼の洞窟から[クラウン]を取って来てくれ。それがあればこの城も元通りに────グワアッ?!」
その時、赤魔道士のマゥスンが抜刀と同時に炎を舞い上がらせ、目の前の王を斬り倒してしまったため他の3人は愕然とする。
……そして、みるみる内に王の死体は醜悪な死骸へと変わり果てた。
「もしかしてさっきの王様が、ダークエルフの王アストスだった、の……??」
思わず口に手を当てて驚くシファ。
「 ────水晶の目は取り返した。魔女のマトーヤの元に行き、目覚めの薬を貰い受け再びエルフの城へ向かう」
淡々と述べて片手剣を鞘に戻し、先をゆくマゥスン。
「す、すぐに見破って倒してしまうなんて、すごいでスぅ~っ」
「アイツだけでやっちまいやがって……、オレら必要無くねッ?」
ビルは惚れ惚れするが、ランクはどうにも納得し難い。
魔女のマトーヤはこれが無いと目が見えないという[水晶の目]を渡すと、引き換えに[目覚めの薬]をくれ、更には[ニトロの火薬]という物まで寄越した。
ドワーフが掘っているという運河を完成させるのに必要になるらしく、魔女はその事を事前に知っていたようだ。
────そして目覚めの薬によって目覚めたエルフの王子は4人に感謝し、大臣からは予言者ルカーンの所在を教わった。
西から外海に出て南下し、更に西へ行けばクレセントレイクという町があるらしく、予言者ルカーンは賢者と呼ばれる者達と共にそこを拠点としているという。
……外海に出る為にはドワーフの洞窟に向かい、[ニトロの火薬]を使って運河を完成させる必要がある。
1人運河を掘っていたドワーフのネリクにそれを渡すと、早速邪魔をしていた大岩の爆破に入り、運河は見事に完成し外海への道が開けた。
4人は、予言者ルカーンに4つの源のクリスタルについて詳しい話を聴く為クレセントレイクの町を目指すが、そこで思わぬ事態に見舞われる─────
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