ファイナルファンタジーⅠ
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4話 『コーネリアの王女』
「あなた方が………あのガーランドを倒したのですね、輝ける4つの源の光で……! 私は夢うつつながら、その情景を感じていました」
「 ────はッ? 何抜かしてンだ。つーかアンタのオヤジ……、国王に頼まれてな。相手になンねェ手合わせに付き合わされてよ、自分トコの兵士じゃ当てにならねェからって褒美付きでオレらに、連れ去られた姫さん助け出して欲しいってな」
意識を戻したセーラ姫は、ランクの無礼な物云いを気にした風もなく問いかけてくる。
「あなた方こそ、予言に謳われた4人の光の戦士なのでは……?」
「あ? なンだそりゃ」
「お父様から、お聴きしていませんか?」
「は、はい、そんな事はひと言も……」
「お聞きしてません、でス……っ」
「 …………… 」
ランクは元よりシファとビルも思い当たらず、マゥスンは沈黙している。
「ンなコトよか、そこに祀られてる[黒水晶]みてェなの……、値打ちモンじゃねーか?」
「無闇に触れてはなりません! この場所は廃墟と化しているとはいえ、"神殿の役目"は未だ果たしています。ただ、ある時を境に荒れ果ててしまっているだけで………」
セーラ姫の言葉で、祭壇に祀られている黒水晶には一応手を出さないでおくランク。
「とにかくだ、国王の座欲しさに姫さん誘拐したガーランドってェ落ちぶれナイトは、よく分かンねーがキレイさっぱり失せちまったんだ、とっととこっから出よーぜ」
「ガーランド、は………国王の座欲しさに私を連れ去ったのではありません。詳しい事は、城にてお話します。カオス神殿────ここを離れ、コーネリアに戻りましょう」
────────────
「よくぞ彼の者を倒し、忌まわしき『カオス神殿』からセーラを救ってくれた。……おぬし達こそ、予言に謳われた"光の戦士"に違いあるまい」
「はぁ……? 妙な呼ばわり方しねーでもらいてェな」
「いやはや、照れずとも良いのですぞ? あとは予言が成就するのに"証"を示して下されば済む事ですじゃ!」
嫌気がさしたランクに大臣がそう述べ、次いでコーネリア王は4人を促す。
「左様………真の"光の戦士"ならば、『クリスタルの欠片』を示して貰えぬか?」
(クリスタルの、欠片……?)
心の中でシファが呟くと、右手から不思議な暖かさを感じた。
────いつの間にか、手の平に収まるくらいの淡い緑色の宝石らしき欠片を手にしているのに気づく。
「あの、これの、事でしょうか……?」
「ほお……! それはもしや、『風の欠片』ではありませぬか!?」
「オマエ、いつの間にそんなモン……」
「ぼ、ボクも持ってた、みたいでス……っ」
ビルの片手からも、黄色の淡い欠片が覗いている。
「あぁ? オメェまで────(まさか、コイツも……?)」
「 ………… 」
マゥスンは無言の内に右手を差し出すような仕草で、その手の平から淡く紅い欠片を示す。
「『土の欠片』に『火の欠片』。残るは……!」
「あンだよ、オレも何かの欠片持ってるってのか? ンな覚えは……ッ」
ランクが否定するように左手を上げると、その手には蒼く淡い欠片が現れていた。
「やはり『水の欠片』……! 正に『4つの源のクリスタル』の欠片が揃っておりまする!」
「うむ……『この世、暗黒に包まれし時、4人の光の戦士、現れん』───── 」
「『戦士達は光の欠片を携え、闇の力に覆われし4つの源のクリスタルに輝きを取り戻さん』────やはり、4つの源の力が失われつつあるようですね……」
「あの……、それはどういう事でしょうか?」
コーネリア王とセーラ姫に問うシファ。
「私達の住むこの世界は"ガイア"と呼ばれ、4つの源の大いなるクリスタルによって成り立っています。
土、火、水、風────これら4つの源の力が、クリスタルによって保たれているのです」
「それぞれ4つの源のクリスタルは"四方の大陸"に存在するという。
クリスタルの力の衰退……、それすなわち世界の存亡に関わるのだ。
訪れんとする"暗黒の世"から世界を救うには、4つの源たるクリスタルに輝きを取り戻すしかない。
───予言者ルカーンによれば、四方の祭壇にて光の戦士が欠片を捧げれば輝きは戻ると云う。
……4人の光の戦士よ、この使命が理解出来ぬ筈あるまい」
「だから何だってンだ、オレらがどーしようがオレらの勝手だぜ。アンタらに強制される云われはねェんだよ!」
「ふむ、それもそうだ。何も強制するつもりはない。すべては、お主達次第という事だ」
「 は……ッ?」
逆らってやったはずが、コーネリア王に思わぬ拍子抜けを食らうランク。
「ともあれ、我が娘セーラを救い出してくれた事には違いない。今宵はゆるりと、この城でくつろがれるとよかろう。……大臣、その者達を客間へ案内すると良い」
「承知致しました、ではこちらへ……!」
促されるまま、4人は謁見の間を後にした。
「こちらが客間でございますぞ、寝室は個別なので自由にお使い下され。これからの事は、じっくり話し合われると良いでしょう。……では、失礼しますでな」
大臣が去り、シファは少し戸惑いながら3人に声をかける。
「はなし、合おっか、これからの事………」
「ケ、下らねェ……オレぁゴメンだからな!」
云い捨てるなり、ランクは個別の寝室に入って行ってしまった。
マゥスンの方も、無言のまま寝室へと入る。
「し、シファさん、どうしまス……?」
「うーん……、今は休んどこう。カオス神殿で、みんなだいぶ疲れてるみたいだし」
「でスね……。でもボク達、何かしましたっけ。あのガーランドってナイトさんに追い詰められて、マゥスンさんがランクさんを庇った────とこまでは何となく覚えてるんでスけど」
「 多分、わたし達の持つ欠片が────うぅん、今はとにかく休も? 明日改めて、話し合おうよ」
「わかりました………お休みなさい、でス」
「うん、ビル、お休み──── 」
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