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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第69話 残りの聖剣

 
前書き
新しい敵オリキャラが登場します。 

 
シュ~。
「ん~、逃げましたか。彼が咄嗟に叫んだのが甲をなしたようですね。とは言え、無傷では無いでしょう。しかし、偶然、仕掛けた爆弾を斬ったからとは言え、彼らをすぐ人間爆弾だと判断する思考力はなかなかですね。流石はあの士騎冬夜の弟と言った所ですかね…」
「お前が終始、ニヤついてたからバレたんじゃねえのか?」
「おや、ベルさん」
「たく、せっかく久々に歯応えのある奴を斬り刻めると思ったのに!お前が手を出させねえんだもんな!」
「すみませんね。ですが、せっかくの良い素体をバラバラにされるのは勿体無いですからね」
「たく、悪趣味な奴だぜ」
「ベルさんも十分悪趣味ですよ?」
「かもな。って言うか、そんな事はどうでもいい!俺にも何人かよこせ!」
「でしたら、公平に分けましょうか?」
「しゃあねえな。じゃあ、あの十字具(クロス)使いを貰うぜ。ちょうど一緒だしな…」
「確か、お知り合いでしたね。本当に悪趣味ですね…」
「そう言う奴ほど、斬り刻んだ時の感触は格別だからな」
「まったく…あ、でしたら急いだ方がいいですよ。あの二人も動き出しましたからね。特に彼は同じ十字具(クロス)使いとしてあの二人と戦いたがっていましたからね」


「ハァ、ハァ、ハァ…」
「…ライ君、大丈夫?…」
「……ああ」
クソ、まさか爆弾を仕込んでいたとはな!
あの明日夏って奴の叫びを聞いて咄嗟に離れなかったら、今頃、爆発の餌食だった。
「……皆とはぐれちゃったね…」
ユウナの言う通り、さっきの爆発から逃れたのは良いが、他の連中とはぐれてしまった。
「……ッ…」
「ん?どうした?」
「……ごめん、あの爆発でちょっと足を…でも、このぐらいならすぐ治るよ…」
「……そうか」
ユウナの足に爆発による火傷があったが、ユウナの言う通り、俺達のあの体質ですぐ治るだろう。
「お、見~っけた♪」
『ッ!』
突然、第三者の声が聞こえ、俺とユウナは声がした方を見る。
「チャオ♪」
木の枝に乗って、ふざけた挨拶をしてくるさっきの死人じゃない生きている神父がいた。
年は俺達とそう変わらないだろう。
「……はぐれ神父か?」
「ま、お前ら的にはそうなるのかな♪俺、クロト♪」
「……クロト?ッ!クロト・シャルガか!」
「ピンポ~ン♪」
クロト・シャルガ、教会から追放された俺達と同じ十字具(クロス)使いの教会の戦士(エクソシスト)。
数少ない十字具(クロス)使いの中でも上クラスの使い手だった男だが、戦闘をゲーム感覚…いや、ゲームその物と思っている男で、ゲーム感覚でやってみようと言う軽い気持ちで仲間殺しを行った男。
「シシシ、同じ十字具(クロス)使いのお前らと戦ってみたかったんだよな♪」
奴はそう言うと十字架を取り出し、槍に変えた。
「……モデル・スピアか…」
俺はモデル・ガンの十字具(クロス)を出し、ユウナもモデル・ブレードの十字具(クロス)を構える。
「んじゃ♪レッツ、ゲームスタート♪」


「……ふぅ、はぐれてしまったか」
先ほどの爆発から逃れる際に皆とはぐれてしまった様だ…。
逃げる際に確認できた範囲では、ライニーとユウナの二人、ゼノヴィアとイリナそして木場祐斗の三人で別々に行動しているだろう。
そして、私と士騎明日夏は一人と言う訳か…。
「………」
……ひとまず、彼らや彼女達の事は置いておこう…。
「……出てきたらどうだ?…」
「……気付いていましたか」
茂みから気配が感じたので、呼び掛けると、大柄な体躯に法衣を纏い、片目に眼帯をした男が現れた。
「お久し振りですね、アルミヤ殿…」
「……アンドセル・スミルノフ…」
現れた男はアンドセル・スミルノフ、かつては教会の戦士(エクソシスト)として様々な悪魔を倒してきた男だが、その内、悪魔と契約を交わしていた一般人に手を掛け始めた。
さらにはその親族までをも、悪魔との関係性が無いにも関わらず無差別に手を掛けると言う凶行を犯した為、彼は教会を追放された。
そして、私が彼を処断した…はずなのだが…。
「……生きていたか…」
「フフフ、どうにか。しかし、あの時貴殿に付けられたこの目の傷が疼きますね…」
彼の眼帯を着けられている目にある縦長の斬り傷、彼を処断する際に私が付けた物だった。
「まさか、貴様が堕天使に協力しているとは…」
「勘違いしないでもらいたい。悪魔を滅ぼす為に一時的に組んでいるに過ぎません。悪魔を滅ぼした後、次は彼ら堕天使も滅ぼすのですから。この二種族を滅ぼす事こそが我々神の信徒が成すべき事、私はそれを忠実に行ってきた。だが!教会の者共は私を追放した!」
「……罪の無い人々を殺す事が主の信徒の成す事かね?…」
「……悪魔と契約するなど万死に値する。むろん、その親族も同罪…等しく断罪されるべき者達なのだ!」
「……それだけでは無い、貴様は無計画に悪魔側に手を出そうとした。それは再び私達神側と悪魔側の戦争を引き起こしかねない…」
「むしろ、悪魔、堕天使、この二種族を滅ぼすまで戦争を続けるべきだったのだ!」
「そうしていれば、無駄な犠牲をさらに増やす結果にとなった…」
「悪魔、堕天使、主はこの二種族を滅ぼす事をきっと望んでおられた。だが、慈悲深き主は不甲斐ない信徒達を守る為、手を退かれたのだ!」
「それは貴様の勝手な推測だ!」
「黙れ!主は…」
「何より、貴様が望むのは悪魔への復讐だけだろう!」
「………」
彼には愛する妻がいた。
だが、その愛する妻をはぐれ悪魔によって殺された。
それにより、悪魔への復讐心が芽生え、それが彼の凶行の引き金となった。
「フン、もはや問答は無用!あの時の借り、返させていただきます!」
彼は十字架を取り出し、それを巨大な刃を持つ戦斧、半月斧(バルディッシュ)へと変えた。
彼の持つモデル・アックスの十字具(クロス)だ。
私は聖剣を二振り作り出し、両手で持ち、構える。
「アンドセル・スミルノフ、貴様を断罪する!」
「我に主のご加護を!」


俺とユウナは現在、はぐれ神父であるクロト・シャルガと戦っていた。
「イヤッホー♪」
「チッ!ちょこまかと!」
俺は銃撃で応戦するが、奴は木の枝から枝へと器用に跳び移りながらかわす。
「チョイサー♪」
枝から飛び降りながら、槍で突いてくる。
俺は銃で殴打して弾き、銃口を奴に向け、引き金を引くが、奴の蹴りで銃口を反らされ、銃弾は明後日の方向に飛んでいった。
「ハァッ!!」
そこへユウナが斬り掛かるが、俺を踏み台にして再び枝へと跳び移り、剣撃をかわす。
「シシシ、どうやら俺の方がレベルが高い様だな♪」
相変わらず、ゲーム感覚か…。
「……ユウナ、耳を貸せ」
「……何?」
「お、何々?作戦会議?」
奴の言葉には耳を貸さず、俺はユウナに俺の考えた作戦を伝える。
「……頼むぞ!」
「……分かった!」
「作戦会議終わり?」
俺は両手の銃で奴を狙い、連射する。
「シシシ、当たんない当たんない♪」
奴はまた、枝から枝へと跳び移りながら避けていくが、とある枝に跳び移ろうと跳んだ瞬間…。
「フッ!!」
スパッ!
「ゲッ!?」
ユウナが奴が次に跳び移ろうとした木を斬り倒し、奴は着地し損ねて、茂みに落ちる。
「ハァァッ!!」
バン!バン!バン!バン!
俺は奴の落ちた茂みに向けて、銃を連射する。
粗方撃ち、銃口を下ろす。
「やったの?」
「………」
警戒を解かず、茂みに近付こうとする。
ドスッ!
「ッ!?」
「ッ!?ライ君ッ!!」
突然、腹部を何かで貫かれた。
「クッ!」
腹部から刺された物が抜かれる感触を感じながらも、激痛に耐えて、目の前を銃撃するが、銃弾は何にも当たらず、地面に着弾した。
「シシシ♪」
奴の笑い声が聞こえ、辺りを見渡すが、奴はいなかった。
すると突然、何も無い空間に徐々に奴の姿が現れ出した。
「シシシ♪」
「……グッ…透過現象…まさか!…」
「ピンポ~ン♪」
完全に姿を現した奴の槍を持っていない方の手に一振りの剣があった。
……やっぱり!…。
……あれは…。
「俗に言うチート、聖剣エクスカリバーの一本、透過現象を起こせる聖剣、透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)♪俺は十字具(クロス)使いで聖剣使いでした~♪」


「ぬぅぅんッ!!」
「………」
ガキィィン!
彼が振り下ろす半月斧(バルディッシュ)を私は聖剣で受け流す。
「ハァッ!!」
「フッ!!」
すかさず、聖剣で斬り掛かるが、後方に跳び、避られる。
「……相変わらず、巨体の割りによく動く…」
彼は一見、巨体と巨大な武器で遅い様に見えるが、存外、動きが速い。
そしてむろん、力も強大だ。
だがそれは、あの時と変わらずだ。
ましてや、あの時と違い、彼は片目を潰されている。
戦闘能力は僅かだろうが下がっているはずだろう。
だが、彼のあの自信は何だ?
何かあると見ていた方が良さそうだ…。
「ぬぅぅんッ!!」
彼が再び斬り掛かって来るが、私は後方に跳んで回避する。
ふと、彼が笑みを浮かべた。
(ッ!何か来る!)
そう思った瞬間…。
ズバッ!
「ッ!?」
私の肩口に斬り傷ができていた。
(……いつ、斬られた?…)
彼の斬撃は全て回避したはずなのだが…。
「どうしました?」
「………」
「フフフ」
彼は微笑んだ後、再び斬り掛かってくる。
私はあえてギリギリまで引き付ける。
「ぬぅぅんッ!!」
「………」
そして、しゃがんで回避を行い、刃にギリギリまで顔を近付ける。
ツー。
私の頬に斬り傷ができ、血が流れる出す。
「……そう言う事か…」
「……何がですか?」
「トリックが分かればどうと言う事は無いな…」
「ほう、でしたら…避けてみてください!」
再び斬り掛かってくる。
私は後方に跳んで回避を行う。
ギリギリではなく、刃からなるべく距離を開けながら…。
「ッ!」
その行動に彼は僅かだが、視線を鋭くする。
やはりか…。
「……その法衣の中に隠し持っている物を出したらどうだね?…」
「……気付かれましたか…」
彼は法衣の中に手を入れ、一本の剣を取り出す。
「……相手に幻術を掛けて幻覚を見せ、眠っている者の夢を支配する聖剣、夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)…奪われた三本の内の一本を貴様が持っているとはな…」
「フフフ」  
 

 
後書き
今回出てきた敵オリキャラ二人に奪われた残りのエクスカリバーを持たせてみました。 
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