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ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~

作者:enagon
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第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
  第58話 別れ、そして約束

 
前書き


今更ですがアニメ第三期決まりましたね!
いやぁ~実にめでたい!
この調子で頑張って原作12巻まで行ってほしいものです!

……それからアニメ始まる前に4章はなんとか終わらせたいなぁ……

では3章最終話、どうぞ!


 

 



「しかし……一体何の用だろうな?」

「さぁ、何だろうね?」

 火織ちゃんの九刀流や白龍皇の来襲、そしてその後のエクスカリバーの破片集めなど、激動の一日が明けた次の日。私とゼノヴィアは朝からリアスさんに借りていた部屋の掃除や教会本部へと連絡を済ませ、明日搭乗の飛行機に向けて荷造りをしていた。そして一段落ついた昼過ぎ、そろそろお昼ご飯にしようかなという時、リアスさんから急にオカルト研究部の部室に呼び出されたのよね。それにしても……

「悪魔の呼び出しだっていうのに私達なんの疑問も警戒もなく来ちゃったわね」

「言うな、自覚はある」

 そう、今までの私達なら悪魔からの呼び出しなんかには絶対に応じなかっただろうし、例え行ったとしても警戒しないなんてことはありえなかった。なのに今の私達ときたらなんの備えもなしにオカ研の部室に向かってるのよね。格好も私服だし、エクスカリバーだって部屋に置きっぱなし。まあ、ゼノヴィアはデュランダルを異空間に納めてるから何かあればすぐ出せるけど、それでも襲われたら一溜まりもない。……んだけど、正直今更彼女たちを警戒する気なんてないのも事実。

 正直教会の戦士としては失格だと思う。でも今更彼女たちに剣を向けるっていうのは……多分出来ないと思う。たとえそれが背信行為であったとしてもね。もし教会から彼女たちの抹殺命令を受けたら……どうしたらいいのか私には分からない。

 でも……この慣れ合いも今日で終わりにしなきゃいけない。私達は教会の戦士で彼女たちは悪魔、どのみち相容れない存在。それに当初は助けようとしていた火織ちゃんやイッセーくんも、その必要がないってことをこの2週間で思い知った。当初は黒歌さんに龍巳さん、白音さんに騙されてるものだとばっかり思ってたけど、本当にお互いがお互いを大切に、家族として愛し合ってるんだなってよく分かったから。

 だから……もう今後は二度と会わない方がいいんだと思う。お互いのためにも。次に会うときには……きっと殺し合わなきゃいけないんだと思うから。

『イリナ、絶対に離すんじゃねぇぞ!』

 あの時、火織ちゃんの持つエクスカリバーを押さえつけてた時にイッセーくんの腕が回されていたお腹に手を当てる。あの時の感触、まだしっかりと残ってる。……イッセーくんの手、暖かったな。

「イリナ、どうした? 大丈夫か?」

「……え?」

 考え事をしている間に、いつの間にかぼやけた輪郭のゼノヴィアが心配そうに私の顔を覗きこんでいた。……ってぼやけた? っていうか私いつの間にか涙ぐんでる!?

「な、なんでもないわ!!」

 ゼノヴィアに背を向けて袖で涙を拭き取る。な、泣いてなんかいないんだからね!?

「ならいいが……部室についたぞ?」

「へ?」

 か、考え事してたらいつの間にか着いてたのね。そりゃゼノヴィアも変に思うわ。

 そんなゼノヴィアはなおも私を気遣わしげに見つつも、部室のドアをノックした。

「どうぞ」

 リアスさんの声を聞くと同時にドアを開けるゼノヴィア。そして中の光景を見た私達は

「「……え?」」

 思わずそんな声をあげちゃった。

「いらっしゃい。ようやく来たわね」

 そこにはオカ研の人たちのみならず生徒会の人たちも全員集合していて、さらに机の上には数々の美味しそうな料理、そして……

「今日は皆で打ち上げよ」

 天井から吊るされた垂れ幕には『祝勝会』の文字が。







   ☆







「やっぱり納得いかない」

 私はちょっとばかり頬をふくらませつつも垂れ幕の『祝勝会』の文字に目を向けた。打ち上げしようっていう意見には賛成だし、そこにイリナとゼノヴィアを呼ぼうって意見には大賛成なんだけどね。

「まあまあ、いろいろあったけど負けたのは本当なんだからむくれにゃいの」

 そう言いながら黒姉が私の頭をよしよしと撫でてくる。うぅ、なんかいつもと立場が逆転しててちょっと恥ずかしい。

 イリナとゼノヴィアが部室に来てから、戸惑う2人に無理やりグラスを持たせそのまま乾杯となった。その時の部長の

「祐斗の禁手(バランス・ブレイカー)とイリナ、ゼノヴィアの任務達成……そして火織に初黒星をつけたことを祝って!」

 の最後の一言はいらないと思うんだ! しかもそれ聞いて皆も嬉しそうにしてるし。……ちくしょう。

 その後、最初こそ戸惑っていたイリナとゼノヴィアももうすっかりみんなに馴染み、今は皆小グループに分かれて談笑中。イリナなんかは巡の日本刀見せてもらって目を輝かせ、そこに祐斗を加えて刀談義に興じちゃってるし、ゼノヴィアは私と黒姉が中心になって作った料理を龍巳や白音と競いあうようにして食べてるわ。それにその他の皆も、これまであまり交流のなかったオカ研と生徒会がうまく混ざるようにして談笑してる。うん、イリナたちがここ来た時はどうなることかと思ったけど、現状のみんな仲良くしているのを見ると色々頑張ったかいがあったと思えるよ。

「おい兵藤! お前いつもこんな美味いもん食ってるのかよ!?」

「え? まあ確かに最近は朝昼晩と黒歌姉の料理が多いな。半年くらい前におじさんたち出張に行ってから黒歌姉たちも飯はうちで食ってるし。でもあれだぞ? 今日の料理はどっちかというとパーティー向けの料理が多いからいつも食卓に並ぶ料理とはだいぶ違うぞ?」

「でも結局黒歌先輩の作る料理なんだから美味いんだろ?」

「まあ、な。っていうか黒歌姉の料理はこういうのより家庭料理の方がはるかに美味いし」

「くぅ~、てめぇ羨ましすぎるぞこの野郎! 美人で料理上手な幼馴染が、しかも4人って! その上あれだろ!? リアス先輩たちとも一緒に住んでんだろ!? てめぇホント俺と変わりやがれ!」

「誰が変わるか! っていうか変わったらお前の好きな会ty……」

「わ、わぁっ!? ちょっ、バカッ!? 本人の前で何言おうとしてんだ!?」

「お前がフザケたこと言うからだ。っていうか出来婚宣言するくらいなんだからもうちょっと強気で攻めりゃあいいじゃねぇか」

「だから本人の前で言うな! っていうか人のことどうこう言うなら、お前の方はどうなんだよ!? お前だって火……」

「だぁっ!? てめぇそれ以上口開けんな! っていうかなんで知ってんだよ!? 一度も喋ったことねぇんだぞ!?」

「てめぇは分かりやすすぎんだよ!」

 それにしてもイッセーと匙くん、ずいぶんと仲良くなったわね。今も2人ではしゃぎながらじゃれ合ってるし。と、そんな賑やかな風景を眺めてると、会長が1つの箱を取り出してきた。

「あ、そうでした。良ければみなさんこちらもどうぞ」

 そう言って会長がその箱を料理の並べられている机においた。そしてその箱を開けると……

「「「「おぉぉ~~~っ!!!」」」」

 箱の中からは見事なケーキが!

「これ、会長が作ったんですか?」

「えぇ、せっかくですから私も腕を振るわせて頂きました」

 そうにこやかに言いつつケーキを切り分ける会長。……でもなんでだろう? 生徒会の皆、それに部長や朱乃さんの笑顔が若干ひきっつってるような? ……何か引っかかるわね。

 一方その皆の様子には一切気づかず、我先にと会長に皿を差し出す龍巳と白音、そしてゼノヴィア。そして皿に盛られると同時、すぐさまフォークで一口大にケーキをすくい取り、口に入れた瞬間……!!

「「「んンんっっっ!?!?」」」

 3人は口を抑えるとその場でぶっ倒れた!?

「ど、どうしました皆さん!?」

 いきなりの事態に困惑して彼女たちに駆け寄る会長。この時になってようやく私はある事実を思い出した。原作においてさらされた会長の欠点、料理は普通に出来るくせにお菓子作りだけは壊滅的に下手であるという事実に。

 その事実を知らないであろうイッセーやイリナたちも倒れて悶えている龍巳たちの方に駆け寄っていく。……しかし無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)をも悶絶させるほどの不味さか。ちょっと興味は湧くわね。決して口にしようとは思わないけど。

 ……しかしこれは非常にまずいわね。原作でこの事実が明るみになった時は確かイッセーが最後まで頑張って食べるというお笑い話だったんだけど………………この場には黒姉がいる。その黒姉はというと、会長の作ったケーキのクリームを指でひとすくい、それを口に加えると……黒姉の髪の毛とネコミミの毛が総毛立った! そしてその瞳はすっと細められる! マズい、黒姉のスイッチが入った!

 そして黒姉は困惑している会長に歩み寄ると……かなり怖い笑顔を浮かべた!

「ねぇ会長ぉ~」

「な、何でしょうか黒歌さん?」

 黒姉の異様な雰囲気に気圧されて後ずさる会長。一方の黒姉は不気味なほどの猫なで声で会長に話しかける。

「会長ってぇ~、自分の作ったもの人に食べさせる前にぃ~、自分で味見とかするぅ~? 例えばぁ~、そこのケーキとか♪」

「い、いえ。やはり最初の一口目は食べてほしい方に口にして頂くのが一番かと思いまして……」

「ふぅ~ん、そっかぁ~」

 そう言って納得したように頷いた黒姉は……むんずと会長の胸ぐらをつかみ上げた!

「く、黒歌さん!? 一体何を!?」

 困惑する会長に取り合わず、黒姉はいつの間にか掴んでいたフォークでケーキを大きめに切り取り、それをそのまま会長の口に突っ込んだ!!

「ん、んぐぅッッッ!?!?!?」

「ねぇ会長? 料理は愛情とか、込めた気持ちとか、如何に努力したかとか、そういうことが大事だっていう人がいるんにゃけど、やっぱり一番大事なのは味だと思うんにゃよねぇ~。だってほら、まずい料理1個出すだけでさっきまでの楽しい雰囲気がぶち壊しじゃにゃい?」

 そう言いつつさらに会長の口にケーキを放り込もうとする黒姉。会長も目をうるませて首を横に振るんだけど、黒姉は容赦なくそんな会長の口にケーキをさらに押し込んだ!

「今後のためにもまずい料理食わされる人の気持ち、しっかり知っといた方がいいんじゃにゃい? ねぇ、貴族様?」

「んんんぅぅぅっっっ!?!?!?」







「黒歌って怒るとあんなに怖かったのね。怒った姿なんて見たことなかったから、驚きだったわ」

「えぇ、そうですわね」

 あの後、会長は黒姉に作ったケーキを残らず全部食べさせられたわ。途中気絶した会長を何度も仙術で覚醒させて、一片の容赦も見せずにね。その会長はというと今はソファーの上に横になって生徒会の皆に介抱されてるわ。

 そして会長をそんな目に合わせた黒姉はというと、ケーキが全部なくなると会長置いてどっかに行っちゃった。

「黒姉って料理部の副部長もするくらいですし、料理には並々ならないこだわりがあるんですよ。ですから平気で人にマズいもの食べさせようとするような人には烈火のごとく怒りますよ」

 まぁそんな黒姉もたまに料理にいたずら仕込む時もあるけどね。こういう場や普段の食事ではそんなことしないけど、おふざけアリの無礼講の場でとか。その辺の線引はしっかりするみたい。

「っていうか部長たちも会長のお菓子作りが下手だってこと知ってたんですよね? なんで言ってあげなかったんですか?」

「そ、そのぅ……あんなににこやかに手作りのお菓子を振る舞うソーナに、美味しくないなんて言えなくて……」

「あれだけ自信満々ですと、なかなか……」

 うぅ~ん、その気持も分からない訳じゃないんだけど……

「今度から正直に言ってあげましょうね? その方がその人のためでもあるんですから」

「えぇ、そうするわ」

 そこでようやく回復したのか会長がソファから起き上がると、そのまま皆に頭を下げてきた。

「その、皆さんこれまですみませんでした。まさかあのような物を食べさせていたとはつゆ知らず……」

 と、申し訳無さそうに皆に謝る会長。一方の謝られた方も申し訳無さそうな表情をしていた。

「いえ、俺達もその……すみませんでした」

「本当は私達も正直に言うべきだったんでしょうけど……」

「その、やっぱりなかなか……」

「レヴィアタン様には好評ですからなおさら言い出しづらくって……」

 と、お互いに謝り合うという奇妙な光景が繰り広げられた。と、そこで

「は~い! ケーキ焼けたよぉ~!!」

 戻ってきた黒歌姉の手には大きなホールケーキが!

「いやぁ~、料理研の部室に材料揃ってたのが幸いだったにゃ。切り分けるからちょっと待ってね」

 そう言ってケーキを切り分けては皆に配っていく。

「はい、会長も食べてみて」

 そう言われ渡された会長は、恐る恐るといった表情で黒姉のケーキを口に入れる。と、その表情は途端に笑顔に包まれた!

「……おいしい」

「ね? やっぱり料理は美味しいほうがいいでしょ?」

 そう言って周りを見回す黒姉。釣られて会長も周りを見回すと、黒姉のケーキを食べた皆の顔も笑顔に包まれていた。

「……えぇ、そうですね。黒歌さんの言っていたこと、よく分かりました。……あの、今度レシピを教えて貰っても?」

「ふふ、料理研はいつでも新入部員大歓迎にゃ」






「さて、料理もあらかた片付いてきた所で、イリナとゼノヴィアに一言ずつ貰いましょうか」

「えっ、私!?」

 宴もたけなわ、そろそろお開きかなというところで部長が発言した。それに対して目が飛び出るほど驚いているイリナ。それに比べてゼノヴィアは……相変わらず自分の皿に取り分けた料理を食べ続けてるわね。ゼノヴィアってこんな食いしん坊なキャラだっけ?

「えぇ、だってこれはあなた達とのお別れ会も兼ねているんですもの。主賓なのだから最後に一言くらいは頂きたいわ」

 笑顔で言う部長。そして私達も彼女たちに拍手を送る。そしてその拍手が自然と収まると、イリナも恐る恐ると言った体でポツポツと話し始めた。

「えと、あの……こういうのって今までなかったから何と言っていいのか分からないんだけど……皆さんには感謝しています。特に火織ちゃんと龍巳さんには。その……今更ですけど、私とゼノヴィアだけじゃコカビエルには勝てなかっただろうってことがこの短い間でよく分かりました。多分、私達だけだったら今こうして生きていられなかったと思います。それに、皆さんも悪魔なのに教会の戦士の私達にこんなに良くしてくれて……」

 そう言ってイリナは一旦言葉を切ると……その瞳から涙が一筋頬を伝った。

「でも……私は教会の戦士で……悪魔は私達の敵で、でも……でも皆さんとはもっと一緒にいたいって、そう思っちゃって………………でもそれは、許されないことで……でも……でもぉ…………」

 そこから先は言葉にならず、イリナは鼻をすすりつつ涙を拭き取る。皆もそんなイリナの言葉を受けてしんみりした空気になった。

「ご、ごめんなさい! え、えと、その…………ゼノヴィア! あとお願い!」

 そこでイリナは限界だったのかゼノヴィアにバトンタッチ。そのゼノヴィアは持っていた皿をテーブルに置くと神妙な顔で口を開いた。



「……教会の戦士たる私にとって、悪魔は等しく滅すべき敵だ」



『『『っ!!』』』

 その言葉に部屋の空気が凍りつく。部屋の空気が軋んだ、そんな音がした気がした。そっか、仲良くなれたと、そう思ってたんだけどな。やっぱり原作通りに事が運ばないと和解なんて無理だったのかな。私が余計なことをしたから……。

「だが……」

 ……? そんな、どうしていいのか分からない空気の中で、それでもゼノヴィアは言葉を続ける。けれども先程の神妙か表情はどこへやら、頬を赤らめつつ弱り切ったような表情をしていた。

「その、なんだ……それはあくまで教会の戦士として、つまり仕事中の話であって……」

 そして私達から目線を逸らしつつ、その後に続いたのは私達が悪魔で無ければ聞き逃してしまいそうなか細い声だった。







「………………プライベートは、別だ」







 ………………

 ………………………………

 ………………………………………………ぷっ

 ゼノヴィアが、あのゼノヴィアが……

「にゃ~っはっはっは! ゼノヴィアがデレた!!」

「なっ!? デレ……ッ!?」

 あの、あのゼノヴィアがまさかの真っ赤に! そんなゼノヴィアに先ほどまでの空気もどこへやら、皆の口角が少しずつ上がり始める。

「『プライベートは、別だ』にゃって! にゃひひっ」

「わ、笑うなぁっ! えぇ~いっ! やっぱり滅してやろうかこの化け猫がぁっ!!」

「にゃっははは! 出来るもんならやってみるにゃ~!」

「待てぇぇえっ!!」

 そして逃げ出す黒姉をデュランダルぶん回しながらゼノヴィアが追いかけ始める! でも2人ともその表情は笑っていた。そしてそれに釣られるようにして皆も笑い声を上げ始める。

 良かった。やっぱり私の選択は間違ってなかったんだ。悪魔と教会の戦士のまんまでも仲良くなれる。

「あは、あははっ! そうよ、そうなのよ! 何も難しいことなんてなかったんだわ!」

 そう言ったイリナはゼノヴィアの首に腕を回して抱きついた!

「わっ!? イリナ!?」

「ありがとう! ありがとうゼノヴィア!!」

 涙を流すイリナ。だけどそこにもう先ほどまでの悲しみは見えない。その表情は皆と同様笑っていた。

「あの! いつになるか分かりませんけど、でも必ずまたここに帰ってきます! 今度はゼノヴィアのじゃない、ちゃんと、私の答えを持って!」

「えぇ、いつでもいらっしゃい。歓迎するわ」

 ……拍手が沸き起こる中、私達は最後まで皆笑顔だった。







   ☆







「お兄ちゃん、見てください!」

 そう言って白音ちゃんが差し出してくるコップにはシュワシュワ泡立つ緑色が鮮やかな液体、つまりどこからどう見てもメロンソーダにしか見えない液体で満たされていた。俺はその液体にチョンッと指を付け、ペロッとなめとる。果たしてその味は……

「んおぁっ!?」

 なんという不味さ! ガムシロップをこれでもかとぶち込んだような甘さがある中、いったい何を入れたらこうなるんだと言わんばかりのエグみが口の中に広がり、なおかつ鼻の奥にツンと来る辛味もある! 端的に言ってゲロマズを遥かに超えるゲロマズだ!

「グッジョブだ白音ちゃん! 試しに俺のも舐めてみてくれ!」

 そう言って俺も出来たばかりの泡立つ乳白色の液体の入ったコップ、まあ要するにカルピ○ソーダにしか見えない物を差し出す。それを舐めてみた白音ちゃんはというと……

「……うぇぇっ」

 顔を歪めて舌を出した。でもすぐさま満足したような顔になると

「お兄ちゃんもグッジョブです!」

 とサムズアップしてくる。

 さて、先程から俺たちが一体何をしているのかそろそろ説明しようか。今俺達がいるのは駒王学園からほど近い位置にあるカラオケだ。あの後、どうせだから皆で遊ぼうと戸惑うイリナやゼノヴィア、また見るからに遊び慣れてなさそうな生徒会の面々を引っ張るようにしてここまで直行してきた。ほら、やっぱり次いつ会えるか分からねぇし、だったらひとつでも楽しい思い出作りたいじゃん?

 というわけでカラオケに来た俺達はそりゃあもう遠慮もなしにハッチャケたわけだ。歌い慣れてない会長を部長が前まで引っ張りだしてデュエットしたり、イリナとゼノヴィアが聖歌歌い出して俺達が頭痛でぶっ倒れたり、龍巳と白音ちゃんがエンドレスアニソンメドレーに突入しようとするのを必死に止めたりと、そりゃあもう楽しい時間が過ぎた。

 んでもって今俺達は、そろそろサプライズなんかもあっていいだろうと皆の空いたコップを回収後、ドリンクバーにて飲み物に悪戯を敢行していた。まあ要するに誰もがやったことのある魔のミックスジュース作りである。しかしながらそんじょそこらのミックスジュースと同じにしてもらっちゃ困るぜ? なんせ俺達が作ってるのは見た目的には何ら問題のない、しかし口に入れた瞬間あまりの不味さに吹き出すであろう、究極の魔のミックスジュースだからな!

 人数分作るのにちょっと時間かかっちまったけど、不審に思ったような人も黒歌姉と龍巳がうまく足止めしてくれてることだろう。開いてるコップもあとひとつ、どうにかバレる前に完成しそうだぜ。

「さて白音ちゃん、最後の1個だけどどんなの作る?」

「お兄ちゃん、私に考えがあります。任せて下さい」

 そう自信満万に言った白音ちゃんは……無作為にジュースを混ぜ始めた!? おいおいそんなんじゃ……!

 止める間もなく完成したのは見るからに不味そうなジュースだった! っていうか何か濁ってる上に変な沈殿物まであるし、これマジで不味そうだ!

「ちょっと待て白音ちゃん! これじゃ誰も引っかかんねぇだろ!」

「ふっ、甘いですねお兄ちゃん」

「……どういうことだ?」

「今日は生徒会の皆さんや教会組の他にオカ研の人もいます。そのまま出しても多分オカ研の人たちは引っかかりません」

「あぁ、確かに……」

 今まで何度か皆で遊びに出たことあるけど、その度に代わる代わるで悪戯しかけたからなぁ……。

「俺達がジュースの補充に出た時点で警戒されてるか」

「はい、ですのでこれです」

「っ! そうか! 明らかに悪戯されてるジュースがこれ見よがしにあったら!」

「はい! 油断して他の一見普通のジュースには疑わず手を伸ばしてしまうはずです!」

 まさかそんな方法があったとは!

「ふっ、お主、なかなかの策士よのぅ……」

「いえいえ、それほどでも……」

「「ふっふっふ……」」

「よっしゃ、そうと決まったら早速戻ろうぜ! 皆どんなリアクションするか楽しみだ!」

「はい! 特に注目は会長と副会長のクールなコンビです!」

 確かに! 普段部長や朱乃さん以上にクールでいかにも年上の出来る人って感じのあの2人がどんなリアクションするのか想像もつかねぇ!

「でも問題は……後始末だよな……」

「……ですね」

 何が問題って飲み残したジュースだよな。いつものことなんだけど、悪戯しかけたジュースの残りは仕掛け人が責任持って全部飲むっていうのが俺たちの暗黙の了解だ。捨てるなんてもったいないことしたら黒歌姉と火織が怒るし。……でも今回はちょっとキツイな。悪魔になる前だったらコップの数は全部で5杯だったし、オカ研に入った後も最大で9杯。仕掛け人で分担すればなんとか処理しきれたんだけど、今回はそこに生徒会とイリナ、ゼノヴィアが加わるから全部で19杯、かぁ……。

「これは、死ぬかもしれん……」

「で、でも今回は黒歌姉さまと龍巳姉さまも共犯ですし手伝ってくれ……ますよね?」

「だ、だよな! それになんだかんだで火織も妹には甘いし手伝ってくれんだろ!」

「で、ですよね!」

「よし! 腹くくって行くぞ!」

「はい!」

 俺達は後の地獄に恐怖しつつも自らを奮い立たせて一歩踏み出した……瞬間!

「あっ、イッセーくん、白音ちゃん。こんな所にいたんだ。遅いから心配しちゃったよ」

 っぶねぇ~っ!! ドリンクバーの直ぐ側の角から木場が出てきやがった! もう少し完成が遅かったらバレるところだったぜ!

「おぅ木場! 悪い、ちょっと2人で話し込んじゃってさ! 今戻るところだったんだ!」

 大丈夫だよな!? バレてないよな!? ここでバレたら俺達の努力が水の泡だ。ちらりと横を見れば隣の白音ちゃんもバレないように必死に表情を取り繕っていた。

「でも調度良かったよ。実はイッセーくんに話があってね。今ちょっといいかい?」

「話? 話って俺1人にか?」

「うん、大事な話なんだ」

「まぁいいけど。じゃあ白音ちゃん、悪いんだけど先戻っててくれるか?」

「分かりました。じゃあ飲み物は私が持っていきますね」

「悪い、頼むわ。こぼさないように気をつけてな」

「はい」

 そう言って俺からトレーを受け取り歩き出す白音ちゃん。と、そこで立ち止まり木場の前にトレーを差し出した。

「祐斗先輩、どうぞ」

「あっ、ありがとう白音ちゃ……」

 そこで手を伸ばそうとした木場の動きが止まった! その視線の先には例の茶色に濁った液体が!

「え、えぇっと……」

 そのまま手を右往左往させる木場。そして最終的に見た目烏龍茶っぽいコップを手に取り口に含んだ……瞬間!

「ぐふっ!」

 っしゃあっ! ナイスリアクション! 吹き出さなかったのは流石だが口に含んだ瞬間目を見開いた驚きの表情はなかなかすごかったぜ!?

 俺は思わずその場でガッツポーズを取る。見れば白音ちゃんも口元をにやけさせガッツポーズを取っていた!

「~♪」

 そしてそのまま白音ちゃんはご機嫌な様子で俺たちの借りているボックスの方へ足を運んでいった。

「それにしてもお前も毎回律儀に引っかかるよな」

 俺は口元をにやけさせつつ木場に話しかける。

「けほっ、けほけほっ……。今回は明らかに『当たり』があったから油断しちゃったよ。それでも一応警戒して一番無難そうな烏龍茶を選んだんだけど……」

 おっ、白音ちゃんの目論見通りだな。流石だぜ。

「ちなみにどれを選んでたらセーフだったんだい?」

「残念、あのトレーの上は全部『当たり』だ」

「……それは酷いよイッセーくん」

 ガクッと肩を落とす木場。まぁそんなに落ち込むなって。

「っていうかよくこんなの作れるよね。飲んだ今でも見た目だけなら烏龍茶にしか見えないのに」

「そりゃまぁあれだ。子供の頃からの研鑽と努力の賜物だ」

 なんせ子供の頃からドリンクバーを見るや混ぜずにいられなかったからな。主に俺と龍巳、白音ちゃんが。

「……で、話ってのは?」

「あ、うん、そうだね」

 そう言って俺達はドリンクバー横のベンチに腰掛ける。

「今回のことでちゃんとお礼を言っておこうと思ってね」

「礼? おいおい、俺は今回たいしたことしてねぇぞ? 礼を言うならそれこそ一番に火織に……」

「うん、それはもちろんなんだけど、ちゃんと一人一人全員にお礼を言っておこうと思ってね。ちなみにイッセーくんで最後なんだ」

「って俺最後かよ!? た、確かに今回のことで俺貢献したことなんて殆どなかったけど、生徒会の連中より後って酷くね? 一応俺達同じ眷属だよな?」

「ふふっ、ごめんね。実はイッセーくんにはもう1つ話があったんだけど、そっちを言うのにはちょっと勇気が必要だったからズルズルと先延ばしにしちゃったんだ」

「もう1つ?」

 疑問に思う俺をよそに、木場は目をつぶって深呼吸する。そして落ち着いたのか、息を整えると真剣な表情でその口を開いた。



「僕、火織さんのことが好きみたいだ」



 ………………

 ………………………………

 ………………………………………………え?

「はぁっ!? え、あ、その………………えぇっっ!?!?」

「ちゃんとイッセーくんには言っておこうと思って。じゃないと不公平だからね」

「ちょ、おまっ!?」

「まぁそういう訳だから、これからはお互い正々堂々行こうねイッセーくん」

「ってだからちょっと待て!! なんでそんないきなり!?」

「う~ん、人を好きになるって理由が必要?」

「いやだからって!!」

「……強いて理由をあげるなら………………彼女の背中に憧れたから、かな?」

「っ!!」

 ………………こいつ

「……あぁいいぜ。お前の気持は良く分かった」

「イッセーくん?」

「けどな! こちとらもう何年も火織に恋してるんだよ! 今更てめぇに渡せるか! 火織はぜってー渡さねぇからな! ”祐斗”!!」

「っ! うん! 僕も負けないよイッセーくん!」

 ったく! なんでそこでそんないい笑顔になるかねこいつは!

「という訳で僕はこれから火織さんとデュエットしてくるよ!」

「ってお前は早速か! させねぇよ! 火織とデュエットするのは俺だ!」

 これだけは絶対に譲れないんだよ! 絶対に負けないからな、祐斗!







 ちなみにこの後、先を競うのようにボックスへと帰ってきた俺達の眼の前に広がっていた光景は……

「うぇぇぇ、何これぇ……」

「ゲホッ! ゲホッ!」

「ぎゃあああっ!! 目が! 目がぁっ!!」

「あれ? ……でもこれはこれで………………」

「正気か留流子(るるこ)!?」

「ごめんねゼノヴィア、私はここまでみたい……」

「イリナ! 目を開けろ! イリナァッ!!」

「レイナーレさん! しっかりしてください!」

「にゃっははは! にゃ~っはっはっはっは!!」

「白音、グッジョブ!!」

「ありがとうございます龍巳姉さま!」

「やっぱりこうなったわね。イッセーと白音が行った時点で怪しいと思ったのよ……」

「あらあら、リアスの予想大当たりですわね」

 予想以上の阿鼻叫喚の地獄絵図! さすがに部長と朱乃さんには気付かれたか! アーシアが無事なのはレイナーレが庇ったからか? それにしても……

「ぐぇほっ、けほっけほっ! は、鼻が……」

 鼻からジュース垂らして悶え苦しむ会長ってのは流石に想定外だったぜ。……うん、ちょっとやり過ぎた、かな?














 翌日、俺達オカ研と生徒会の面々はイリナとゼノヴィアを見送りに空港まで来ていた。2人を驚かせるために先に来て待ち構えてな。案の定空港に入ってきた2人の前に出ていくと驚くと同時にイリナはまた泣きだした。こいつ昔からこんなに涙もろかったっけな?

 そうそう、この2週間イリナと一緒にいるうちにいろいろ思い出したよ。イリナが引っ越していった後龍巳や黒歌姉、白音ちゃんが隣に越してきて毎日が賑やかだったからつい忘れちまってたけど、本人に会うと意外と思い出すもんだな。まぁそれだけ大切な思い出にいつの間にかなってたんだと思う。

 昨日なんかも打ち上げの際、2人で昔話に花を咲かせたりなんかもしたしな。それに……あの約束も思い出したんだ。







「イッセーくん、その……昔した約束、覚えてる?」

「約束?」

 祈るようにして潤んだ目で俺を見つめるイリナ。そしてその顔が、昔の思い出の中のイリナと重なった。

『約束ね、イッセーくん!』

 ……そうだ、思い出した。確か、俺と火織とイリナ、3人でよくチャンバラごっこをして遊んでたんだけど、当時から道場に通ってた火織には1回も勝てなくて、それで……

「どっちが先に火織より強くなるか、勝負してたんだっけ? それで先に強くなった方は………………あれ?」

 ヤバッ、その先は何だったっけ?

「あはは、その先は覚えてないんだ」

「すまん、流石に10年近く前だからさ」

「私は……ちゃんと覚えてるよ?」

「うっ……マジですまん」

 責めるように俺を軽く睨むイリナ。けど彼女はすぐに許すように微笑むと

「まぁイッセーくんならしょうがないかな? 昔からお馬鹿だったもんね?」

「ってお前昔からそんなこと思ってたのかよ!? いや忘れた俺が悪いんだけどさ!? ……で、結局約束の続きは何だったんだ?」

「うーん、教えてもいいんだけど……」

 顎に人差し指を当て悩むイリナは俺のことをチラッと見ると、悪戯を思いついた子供のように微笑んで

「勝負がついたら、その時に教えてあげる!」

 と、楽しそうに笑った。

「あとそうだ、イッセーくん! 火織ちゃんの一番弟子は私なんだからね? だって私、幼稚園の頃に少しだけど火織ちゃんに剣道教えてもらってたんだから! だから勝負の方も負けないんだからね!」







 ……なんて一幕があった。しっかしそう考えるとイリナもあの頃から剣道やってたのか。通りで強いわけだぜ。

「そろそろ離陸ね」

 隣の火織は呟く。今俺達は皆でスカイデッキに出ていて、今にも飛び立とうとしている2人の乗った飛行機を眺めていた。

「なぁ火織」

「ん?」

「前火織言ったじゃん? 家族と幼馴染、どっちかを取るなら幼馴染と仲違いしても家族を取るって」

「……えぇ、言ったわね」

「正直それは間違ってないと思う。けどさ、やっぱり俺はどっちも諦めたくねぇよ」

「……えぇ、それでいいと思うわよ。っていうかあの時はあぁ言ったけど、私だって幼馴染と仲違いしたくなんか無いんだからね? イリナだって大切な幼馴染なんだから」

「……なんか方法、ねぇのかな?」

「強くなりなさい」

「……え?」

「悪魔の世界は実力主義。なら、我が儘を押し貫けるくらい強くなりなさい」

 っ!! そうか、今の悪魔の世界なら下級悪魔の俺でも実績をつめば上級、いや、頑張り次第では最上級だって……。そんで魔王さまにも意見言えるくらいになって、悪魔も教会も、さらには墮天使も加えて皆で仲良くできれば! そうだよ! 俺だってイリナやゼノヴィア、それにレイナーレともこんなに仲良く出来たんじゃん! なら種族全体とだって!

 そのために必要なのは強くなること。一気に昇格する機会なんて今どきレーティングゲームで優秀な成績を残すしか無いって部長も言ってたしな。だからまずは強くなる! 他の誰よりも、もちろん火織よりも! だから……

「イリナァッ! 絶対に負けないからなぁっ!!」

 聞こえないだろうけど、それでも俺は届けと言わんばかりに声を張り上げた。







   ☆







「ちゃんと聞こえたよ、イッセーくん」

 見ればゼノヴィアも嬉しそうに窓の外を見ているわ。魔力が苦手でろくに使えないって言ってたくせに、まさか声を届けるために使っちゃうなんて。イッセーくんらしいな。

「いい奴らだったな」

「当然でしょ? だって私の幼馴染だもん!」

 それに、それだけじゃない。だってイッセーくんは……。

 あの約束、イッセーくんはあの続きを忘れちゃってたけど、私はしっかり覚えてる。

『それでね! 先に強くなった方はもう一人を一生守っていくんだよ!』

 ……当時は恥ずかしくってそんなひねくれた言い方しか出来なかったけど、それは私の嘘偽りない本当の気持ち。これならどっちが勝ってもずっと一緒にいられると思ったから。だって……だってイッセーくんは私の初恋の人なんだもん!

「また、必ず来ような、イリナ」

「うん、一緒に来ようね」

 私はいつか絶対またこの街に帰ってくる。だから……必ずまた会おうね。イッセーくん、火織ちゃん……皆!!


 
 

 
後書き


という訳で3章はこれにて完結です!
どうだったでしょうか?
自分としてはなんとかうまく〆たかなと思ってるんですが。

いやぁ、それにしても長かった。
いつの間にか3章書き始めてから1年以上経ってたんですね。
2章よりは短くなる予定、とか言ってた頃が懐かしいです。

さて、3章が完結した所でなぜこんな話の構成にしたか少し解説を。
まず3章を書き出すに当たりぶち当たった難問がズバリ、「ゼノヴィアどうしよう?」です。
火織を勢いで眷属入りしたせいで悪魔に転生できなくなってしまったゼノヴィア。
なら生徒会入れるか? なんて一時期考えたりしたこともあったんですが、その後ベンニーアが登場したことによりその案も却下しました。
コカビエルが神の不在を語る前に倒す、イリナと一緒にゼノヴィアもリタイヤさせる、等いろいろ考えましたがしっくりこず、いよいよどうしようかと匙を投げそうになった時ふと思いついたのが……

コカビエル登場しなければいいんじゃね?

じゃあ木場の禁手どうするよ?

よし! 火織をラスボスにしよう!

という三段論法でした。
……はい、完全に魔が差したとしか言いようがありません。
まぁこんな経緯でこの話が出来上がったのです。

……書いてる途中で後悔しましたが。
何しろ話の構成が難しく、しかも好きな日常やイチャイチャイベントがほとんど書けないという苦痛。
ホント大変でした。

でも次回からはようやく待ちに待った第4章!
3章はいろいろフラストレーションが溜まりましたし、4章は存分にハッチャケようと思います!
という訳で次回もお楽しみに!



次回予告

「これは……由々しき事態ですね」

「とりあえず……もう一度説明してもらえるかしら?」

「イッセー、お疲れ?」

「なんで……分かったんだ?」

「ごめんごめん、冗談だから泣かないで。ね?」

 次回、第4章 俺の幼馴染とテロ屋さんが修羅場すぎる!

     第59話 思いもよらぬ大騒動

「「ちょっとお待ちなさい」」


 
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