I want BRAVERY
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32話
サブタイトルとか別にいらないよね・・・
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32話
俺は今だに納得していないが、俺と真田先輩はいつものようにタルタロスに挑んでいる。
今は12階だ。
たぶん原作通りになら14階以降は進めないはずだ。
もうだいぶここらへんの階では余裕が出てくるようになってきた。
———PiPiPiPi
通信機から電話の着信音のような音がなる。
あぁ、またか、と内心思いながらも通信機に語りかける。
「どうしたんです?」
『彩君〜♪』
通信機から先輩の声が聞こえる。
先輩は戦闘中は流石にしないが、それ以外の探索ではしょっちゅうこうやって通信を掛けてくる。
どうせ今回も声が聞きたかっただけとかそういうノリなんだろう。
『なんでもないよぉ。声が聞きたかっただけ〜』
そんなことだろうとは内心思っていたが、やはりか、と内心ため息を吐く。
先輩がペルソナを召還してから1週間程度が過ぎた。
真田先輩が男ならペルソナよりも肉体だ、なんてアホなことを言ったせいで、俺はペルソナ召還をすることなくここまで来た。
1週間で12階というのは原作のゲームからすればだいぶスローペースだろう。
無茶をすれば、いやしなくとも1回か2回では14階までたどり着いていた覚えがある。
しかし、こっちは2人だ。
しかも回復役がいない、筋肉バカと俺。
そのうえ俺は魔法が使えないし、筋肉バカは何を思ったのか、
『ふっ。琉峰が使わないのに俺が使えるか』
なんて、なんか先輩面し始めたりしたせいで、ガッチガチの近距離のみで今まで戦っている。
正直アホの極み。
結局俺の武器はナイフになった。
しかも刃渡りがたったの12cmしかない、銃刀法に引っかかるかどうかすらわからないものだ。
原作で伊織や男主人公の使う、明らかに銃刀法の違反の武器に比べたらなんとも心もとない。
それにコロマルの武器もナイフだということを考えると、キャラが被っている。
まぁ、コロマルとは違って俺はナイフを2本使っている。
あえて言うなれば、ツインダガーといった具合だ。
実際は何本も桐条先輩から貰っているため、なんとなく両手に構えているだけなのだが。
俺の戦闘スタイルは極めてシンプル。
『ヒット&アウェイ』
当てて、すぐ逃げる。
ただそれだけ。
一気にシャドウの懐まで踏み込み、ナイフをブッ刺す、もしくはナイフで切り裂いた後、光が見えればそこでバックステップをして距離をとるといったもの。
大抵のシャドウは2体以上いるため、倒した場所で留まるのはあまりよろしくない。
たまに1体目で線をなぞり損ねると、結構危ないのできちんとなぞれたかどうかの確認をするまえに距離を先にとるようにしている。
実際、シャドウの懐に飛び込めるようになるまでに結構時間がかかった。
今は12階だが、俺がちゃんと戦えるようになったのはつい昨日のこと。
一昨日まではたったの5階で止まっていた。
俺がちゃんと攻撃できるようになると、ほぼ全ての攻撃がクリティカルで当たるようになり、毎回『1more』のチャンスが来る。
最近思うのだが、どうにも『魔眼』で見える線を綺麗になぞるというのは難易度が高い。
ぴったりなぞれた時は、文句なしに一撃で倒すことが可能だ。
しかし、少しズレたりした場合、ズレの大きさに応じて威力が下がっているようだ。
線の方ではイマイチわかりづらいので、点の方で説明すると、
ど真ん中は一撃、つまり100%ダメージ。
そのど真ん中というのがまた範囲が小さい。
だいたい俺の目測でいくと、中心から半径1cmといったところだと思う。
それより1cm間隔でズレるたびに、20%減といった感じだ。
掠れば即死、とかにして欲しかったのだが現実はそう甘くは無かった。
100%の確立で一撃で倒すのは俺には難しいようだった。
しかし、線や点はある程度掠ればそれだけでクリティカルにはなる。
クリティカルになるということは掠るだけで敵が吹っ飛ぶので、真田先輩にはいらぬ誤解を招いてしまった。
「琉峰!次いくぞ!次!」
この真田先輩のテンションはどうにかならないものだろうか。
昨日からずっとこのテンションなのだ。
俺が戦力になることを知ってからはもうヤバイ。
シャドウと戦闘をした後に休んだり、体力を回復したりすることなくドンドン次へと行くのだ。
そうでなくても先輩の戦闘時以外の時の通信に対応するので疲れるというのに、相方はこのテンション。
その上、戦闘が終われば桐条先輩から地味に小言を言われたりと、もう散々だ。
もし俺がペルソナを召還した後、余計に戦力として換算されるのは嬉しくない。
非常に嬉しくない。
しかし、14階で行き詰った場合、原作ではないので進むことは出来ないはずだ。
それを考えると、原作開始時までにいくらレベルを上げようとしても、一定以上は上がる気がしない。
そのうえ原作メンバーのペースでタルタロスを上っていくのは目に見えている。
ならば必然と追いつかれることになるだろう。
そうなると、レベルが高いから安心、なんていうことは出来ない。
俺の平和は一体何処へ行ってしまったんだろうか。
「見つけたぞ!シャドウだ!」
お前は初めて遠足をする餓鬼か。
と思わず言いたくなってしまう。
なんでそんなにテンション高いんだ。
俺のテンションを見ろ。俺の。
そして、今回も順調にシャドウを倒す。
『彩。中々いい動きだった。だが・・・』
『彩君、彩君』
「琉峰!次だぁ!」
(・・・もう勘弁してくれ・・・)
というかいつから桐条先輩は俺のことを名前で呼ぶようになったんだ?
なんて、周りのテンションについて行けてないなかで、どうでもいいことを考えるという現実逃避をした俺は悪くないと思う。
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