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I want BRAVERY

作者:清海深々
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33話


クオリティーが日に日に落ちていく・・・
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33話

 あれからさらに1週間をかけて俺と真田先輩は14階に到達した。

 気付けばもう11月だ。

 やはり、俺の思っていた通り14階以降は進めないようになっていた。
 真田先輩が10分ほどひたすら封印を殴りまくっていたけれど、もちろんそれが壊れることはなかった。

 最近の悩みの種は、先に進めないことが原因なのか、真田先輩がトレーニングの相手に俺を指名してくることだった。

 しかもそれが昼夜問わず、といった感じのため、何故か俺がボクシング部に度々顔出すことになっている。

 別にそのせいで陸上部の方を疎かにしたりなどはしていない。

 ちなみに最近気付いたことがある。
 原作で主人公は部活に行くと、宮本のコミュしか上げれなかった。
 まぁ、それはゲームとしては当然のことなのだろう。

 しかし、俺は違うのだ。
 俺は原作の主人公のような、一回で確実にランクを1上げることは出来ないが、1日に2,3人と仲を深めることができる。

 どうでもいいといえばどうでもいいのだが、俺としては結構な新発見だった。

 それにしてもどの女子も『特別な関係』に近づいている気がしないのは何故なんだろうか。

「彩君」

 毎度のことながら、思考を遮られるようにして今日も話しかけられる。

「結子か」

 部活へ行く準備をしていた時に声をかけてきたのは結子だった。

「今日部活行く?」

「行くけど、なんかあるの?」

 結子が俺にこうやって聞いてくるのは初めてだったので、何かあるのかと思う。

「えっと、その・・・部活終わったらさ、ちょっと付き合ってくれない?」

(え・・・まさかフラグ立ってた!?)

「いいよ」

 ニコリと笑みを浮かべる俺。
 内心はそんな爽やかな表面とは違って大分ドロドロとしていたが。

「ありがと、助かる。ちょっと相談したいことがあってね」

 このセリフからするに、どうやら俺の期待していたようなことではなさそうだ。

 最近は先輩が俺にひたすらに絡むせいで、他の人と仲を深めるのも大変なのだ。






「お前また早くなったな」

 宮本が走り終わった俺に声をかけてきた。

「ははっ。そろそろミヤに追いついちゃうかもね」

 ニヤリと笑いながら言う。

(まぁ、影時間にいれば自ずと体力は付きやすくなるしね)

 影時間中に戦闘を行うようになってから、かなり体力がついたと思う。
 真田先輩とのトレーニングもあるかもしれないが、やはりここまで短期間であることを考えると、影時間だろう。

 そして、いつも通りに部活をしていると、ふと目につくことがあった。

「ちょっとさぁ、それあたしらの仕事なんだけどぉ」

 原作でどうだったかは忘れたが、陸上部には今1年が1人、2年が2人マネージャーがいる。
 もちろん1年のは結子のことだ。

「そうそう、慣れてるのはいいけどあたしらの面子も考えてよねぇ」

 洗濯機の前で先輩2人が結子にケチをつけているようだ。

「はぁ、そうですか。じゃ、後ヨロシクお願いします」

 結子はそういうと部員の服の入った籠を先輩の前に置いて去っていった。

「あの子なんなわけ?ちょっと調子乗ってない?」

「ちょぉっと手馴れてるからって、ねぇ?」

 あの声の大きさでは陰口にはならないのかもしれないが、2人は結子の陰口を言い合っていた。

 結子は、ガングロでギャルっぽいが部活に関しては真面目だ。
 先輩も合わせ、部員からの評価は高い。

 それに比べてあの先輩達2人は、今の3年の部長が目当てで2年に上がった時に入ったようだった。
 それまでにいたマネージャーの先輩が卒業したため、目の上のたんこぶがいなくなったためか、入ったらしい。

 あくまでこれは部活の先輩から聞いた話なのだが。

 別に今までこういうことがなかったわけじゃない。
 見てみぬフリをしていなかったか、と言われれば俺は頷かざるをえないだろう。

 俺としては、あんまり女子のそういったことに関わりたくないというのが正直なとこだった。
 それに先輩2人というのも、俺を関わらせるの留めさせる原因の一つだった。

 今日のこれを見て察するに、結子の相談とはこのことなのだろう。

 俺もちゃんと考えなければ、と思いながら俺はそのあとはいつも通りに部活をした。




「ごめん。待った?」

 下駄箱のところで結子が来るのを待っていると、10分ほどして結子がやってきた。

「いや、そんなに」

 ここで『全然待ってない』と言えるやつと、そう言えないやつとではきっと差がつく。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。どっかに寄る?」

 どうでもいいことを考えていたのが見抜かれたのだろうか。
 結子の言葉に無難に返しながら話題を逸らす、

 そして結子が希望した、定食屋『わかつ』で過ごすことになった。

「それで、相談って?」

 とりあえず直球。

 最近先輩と関わりだしてから、話をオブラートに包んだり、遠まわしに言うことをしなくなって来た気がする。

「うん・・・」

 若干俯く結子。

 それから結子はしばらくして、ぽつぽつと話始めた。

 やはり内容は俺が思った通りのようだった。

 最近先輩からの扱いが酷い。
 何かとケチつけてくる。

 などと、軽いイジメのような感じみたいだ。

 予想していたとは言え、正直俺から言っても悪影響だろう。

「ゴメンね。何も出来なくて」

 どうやら結子が煙たがられる理由の一つに、俺や宮本のこともあるらしい。
 宮本と結子は幼馴染のようなものだし、俺はその友達、というだけなのだが先輩達からはそうは思われないらしい。

 そして、その原因がまた原因らしく、結子自身かなりキテるらしい。

「ううん。別にこうやって愚痴聞いてくれるだけでいいし」

 そう言って笑う結子はどことなく寂しそうだ。

(って、おい!普通そこは『どこか嬉しそうだ』だろ!?)

 ゲームではフォローに回れば、毎回そういう風になるというのに、俺だけは別なのだろうか。

 結局その後、暗くなるまで結子の愚痴を聞いた。

「ごめんね。なんか遅くまでつき合わせちゃって」

「いいって、いいって」

 ヘラヘラっと笑いながら結子に言う。

(こんな相談されるってことは、割とランク高くなってたりして)

 なんて、打算的な最低なことを考えながら俺達は帰路に付いた。
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