ロックマンX~朱の戦士~
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第八話 Prototype Weapons Plant
前書き
ステージはイレギュラーハンターXを参考にしています。
エックス、ルインが最初に挑んだのは…。
ルインとエックスは現在、元第4陸上部隊隊長。
バーニン・ナウマンダーが占拠した工場地帯にいた。
エックス「ルイン、ここに元特A級ハンターのバーニン・ナウマンダーがいるらしいけど、一体どういうレプリロイドなんだ?」
ルイン「え?私も噂くらいしか聞いたことないんだ。バーニン・ナウマンダー…元第4陸上部隊隊長で、性格は粗暴。部隊でも嫌われ者で、シグマ側についた時、彼に付き従った部下はいなかったらしいよ」
バーニン・ナウマンダー。
ナウマン象型レプリロイド。以前は第4陸上部隊隊長として中東で戦っていた。
動きこそ鈍重だが、圧倒的な火力を有し、その武力を以って第4陸上部隊を束ねていた。
シグマの反乱に加わったのはその実力を今まで以上に試す機会だと判断したため。
反乱に加担してからは工場地帯を大規模な兵器生産工場にしようとした。
トボけた外見とは裏腹に、自分より力の劣る相手は徹底的に潰すという残虐な面を持っている。
そのため部下にも嫌われていたらしく、反乱の際には誰1人として共に反乱へ加わることはなかった。
ルイン「まずはここを解放しよう。腐っても特A級ハンターだから油断禁物だよエックス」
エックス「ああ」
ルインとエックスが施設を駆ける。
守備隊らしきメカニロイドが襲い掛かるが、エックスとルインのバスターにより撃墜された。
中枢部を目指してひたすらに駆ける。
ルイン「妙だね…ここ一応、占拠されているはずなのに全くメカニロイドもいない。」
緑色で盾と鎖付き鉄球を備えたレプリロイドもいるが、ハッキリ言って少なすぎる。
ルイン「ナウマンダーが私達を誘っているの…?」
どうにも違和感が拭えない。
ここまでにおいて、どうにも守備隊の数が少ない。
決して手薄というわけではない。
その分比較的性能の高いレプリロイドが各エリアを守備している。
しかし、レプリロイドの数はまばらだし、メカニロイドも少ない。
ルイン「一体どういうことなんだろうねエックス…あれ?」
ルインは後ろに来ているはずのエックスの姿がないことに目を見開いた。
その頃、エックスはルインが向かったのとは別の奥にいた。
何かに誘われる感覚のままついた先には、白と青で縁取られた円盤状の機械が場違いに置かれていた。
一瞬敵が仕掛けた罠かと疑ったが、エックスは慎重にそれに手を伸ばした。
それを感知したのか、円盤はふわりと浮かび上がった。
やはり罠かと身構えた時、浮かび上がった円盤の下で白衣を着た老人の立体映像が映し出された。
恰幅がよく、白い髭を豊かに蓄えた人物だった。
『わしはトーマス・ライト。このメッセージをエックス…お前の未来に託す…』
エックス「ライト…?俺は…俺はこの人を知っている……」
エックスの深い記憶を刺激する電子音声に、彼は知らず知らずバスターを下ろしていた。
ルイン「エックス!!…こ、この人は…」
エックスを追ってきたルインもこの人物に驚いた。
僅かに残っている記憶が、彼の正体を引き出す。
トーマス・ライト
数多くロボットを造り、エックスを造った研究者。
その間、立体映像の老人は真摯な目で言葉を続ける。
ライト『このカプセルに辿り着いたと言うことは…既に逃れられぬ戦いの中にあるのだろう。エックス…』
老人の言葉の意味を理解する前にエックスは彼の言葉に聞き入っていた。
彼を前にすると、何か大切な記憶を忘れてしまったもどかしさに襲われる。
ライト『わしが遺した4つの力を…お前が正しく使ってくれると信じているよ…。ここに遺したのはフットパーツじゃ。カプセルに入りパーツを装着すれば…高速移動が可能になる』
老人の代わりにしばらくフットパーツのビジョンが映し出された。
白と青を基調にしたフットパーツである。
ライト『この力で未来を正しい方向に導いておくれ…。わしのエックスよ…』
エックス「………」
ライト『そして…』
ルイン「え…?」
老人の視線がルインに向けられる。
ライト『ルイン…だったね。君にはお礼をしなくてはいけない…』
ルイン「お、お礼?な、何をですか?」
ライト『私は、与えることが出来なかった。喜びも、穏やかな時も……ありがとう。残念ながら、私には君の身体の仕組みが分からない。故に君のパワーアップパーツを造ることが出来ないのだ』
ルイン「い、いえ…私は別に…」
ライト『だが…君の中に眠る力を引き出すことは出来る』
ルイン「え?」
ライト『このカプセルに入ることで、君の力を引き出せる。君にはアーマーを切り換えることであらゆる局面に対応出来る力がある。このカプセルで引き出せるのは1つだけじゃが…どうする?』
エックスは老人とルインを交互に見遣る。
しばらく考えたルインは頷いた。
ルイン「お願いします。」
ライト『分かった。では、まずエックス…カプセルに入りなさい』
一瞬の動揺の後、エックスは足を踏み出しカプセルの中に入った。
エネルギーが充填されていくと同時に温かいものに抱かれるような感覚が身体中に満ちてゆく。
自分の足を見る。
いつも見ていた青のフットパーツではなく、カプセルで見たものと同じになっていた。
今までとは格段に違う出力。
それでいて以前から自分のもののように違和感が無いのだ。
ルイン「次は私だね…お願いします」
今度はルインがカプセルの中に入る。
エックス同様、エネルギーが充填されていくと同時に温かいものに抱かれるような感覚が身体中に満ちてゆく。
形状が変わっていくアーマー。
今までの朱を基調としたアーマーではなく、緑を基調としたアーマーである。
頭部と背部に巨大な翼を持ち、2本のエネルギーセイバーを装備している。
ルイン「これが、私の中に眠っていた力…!!」
満ち溢れんばかりのエネルギーにルインは拳を握り締める。
そして隣にいるエックスに向き直る。
ルイン「行こうエックス」
エックス「ああ」
ルインは頭部と背部の翼を展開し、エックスはフットパーツの出力を最大にして一気に中枢に向かう。
奥に行けば行くほど温度は高くなっていく。
現在の温度は人間には立ち入ることの出来ない場所だ。
エックスとルインは中枢一歩手前に到達した。
ルイン「いよいよだね」
エックス「ああ」
奥へと進むと中枢部には発電所を統括するコンピューターが設置されている。
そこには、ナウマン象型レプリロイド、バーニン・ナウマンダーがいた。
ナウマンダー「ふん、どうしてシグマめ…お前みたいなB級やこんな小娘の相手をしろなどと…」
エックス「シグマはイレギュラーだ。そしてお前も…!!」
ナウマンダー「確かにシグマはおかしな奴だ。エックス…お前がレプリロイドの未来だとか言ってな」
エックス「…………」
ナウマンダー「ふはは!!では未来を踏み潰すとするか!!」
ルイン「バーニン・ナウマンダー、イレギュラー認定します!!」
ダブルセイバーを抜き放ち、切っ先をナウマンダーに向ける。
ナウマンダー「おらよっと!!」
ナウマンダーが跳躍する。
エックスがフットパーツで強化された加速装置で攻撃範囲から抜け出す。
ルインも翼を展開し空中へ逃げる。
ナウマンダーが床に着地。
凄まじい振動が発生。
エックス「ぐっ!!?」
あまりの振動にエックスが体勢を崩す。
ナウマンダーはそれを見計らって、鼻から高温の火炎がエックスに向けて放射される。
ルインは一気に急降下して、エックスの腕を掴むと再び空中へと避難する。
火柱が消えたのを見計らい、床に着地する。
エックス「ありがとうルイン。助かったよ」
ルイン「いいってこと。それにしてもあの巨体を活かした攻撃は厄介だね…」
まともに喰らったらナウマンダーの重量も相まって確実にスクラップだ。
火炎で逃げ場を塞いでプレス攻撃で決める。
単純だが効果的だ。
エックス「どうする?」
ルイン「手がないわけじゃないよ。エックス、バスターのチャージをしておいて…」
エックス「分かった…」
ルインの言葉を信じてバスターのチャージを始めるエックス。
ナウマンダー「どうした?もう終わりか?ならとっとと終わらせてやる。その綺麗な顔がぐしゃぐしゃになるのが楽しみだぜ」
ルイン「そう?勝手に盛り上がるのはいいけど、こっちは期待ハズレだよ」
ナウマンダー「何だと?」
ルイン「動きは鈍いし、ご自慢の火炎もその程度、よく特A級になれたよねえ?もしかして試験の時、運が良かっただけじゃないの、豚もどき君?」
ナウマンダー「てめえ…!!」
馬鹿にされ、身体を大きく震わせるナウマンダーにルインは後一押しだと確信した。
ルイン「君よりペンギン君…ペンギーゴの方が遥かに強いよ…」
ルインはセイバーのチャージをしながらタイミングを伺う。
ナウマンダー「そうか…じゃあ、教えてやるよ。俺とペンギーゴのどちらが強いのかを!!」
ペンギーゴと比べられ、頭に血が上り、冷静な判断が出来なくなったナウマンダーは大きく跳躍すると、ルインに襲い掛かる。
ナウマンダーがルインに落下する直前に。
勢いよくセイバーを振るう。
ルイン「プラズマビット!!」
追尾性能を持つ、電撃弾を放つ。
不意を突かれたナウマンダーは直撃を受け、感電し動きが硬直する。
その隙を突いて、セイバーの衝撃波を繰り出し、ナウマンダーの鼻を切り裂いた。
ルイン「エックス!!」
エックス「これで終わりだ!!」
エックスのバスターから放たれたフルチャージショットが、ナウマンダーの頭部に炸裂し、ナウマンダーの頭部を粉砕した。
頭部を失ったナウマンダーはヨロヨロと後退すると仰向けに倒れて機能停止した。
ルイン「勝った…」
エックス「ルイン、大丈夫か…?」
ルイン「うん…単細胞で助かったよ。」
ルインはセイバーを握り締め、セイバーで機能停止したナウマンダーの腹部を切り裂いた。
こういうのには抵抗を感じるが現在は非常事態のために仕方ないだろう。
エックス「ルイン…何を…?」
既に動かぬナウマンダーの腹部を切り裂いたルインにエックスは複雑そうな表情で尋ねる。
ルインはナウマンダーの無駄に膨らんだ腹部からDNAデータを採取する。
ケインの元にいたルインはエックスの能力を知っている。
そのための行動だ。
ウェポンチェンジシステム。
エックスにはバスター内の端子にDNAデータを組み込むことで特殊攻撃を会得することが出来るのだ。
ルイン「エックス、バスターを見せて、ナウマンダーのDNAデータを組み込むから」
エックス「な、何をする気なんだ?」
ルイン「エックスのバスターの端子にナウマンダーのDNAデータを組み込むことでナウマンダーの火炎攻撃が可能になるはずなの…だから」
エックス「DNAデータを組み込むって…出来たのか?俺のバスターにそんな機能があるなんて初めて聞いたぞ?」
ルイン「私もケイン博士に聞いただけだからね…多分理由としては大した敵も存在いなかった当時に教える必要はないと思ってたんだよ…」
ルインはDNAデータをエックスのバスター端子に組み込んでいく。
自分の武器にも組み込もうとは考えたものの、容量の問題で不可能なのだ。
アーマーチェンジシステム。
ルインが老人に引き出された能力が更に拍車をかけた。
ルイン「出来たよ。エックス、バスターにナウマンダーのデータを組み込んだからナウマンダーの火炎攻撃…ファイアウェーブが使えるようになったはずだよ」
エックスはバスターに意識を集中させるとボディの色が青から赤へ変わっていく。
バスターを撃つのと同じ感覚でしてみたらバスター弾ではなく火炎。
ルイン「これでエックスの戦略の幅が広がる…」
エックス「ルイン…」
ルイン「何?」
エックス「強化は嬉しいんだけど…これは…」
こういう死者から剥ぎ取るような行為にエックスは気が乗らないようだ。
確かにナウマンダーは紛れも無くイレギュラーだ。
それに弁護のしようがないし、しようとも思わない。
しかし…。
ルイン「エックスは優しいね……」
渋るエックスに向けたルインの目は優しい。
エックスの気持ちは痛いほど分かる。
いくら非常事態とはいえ、死者から剥ぎ取るような行為は自分もしたくはない。
しかし。
ルイン「ごめんね。私もエックスにそんなことさせたくないんだけど…私はウェポンチェンジシステムが使えないからね…」
ルインが自嘲しながら言う。
それはもし彼女が使えるなら彼女が使うというのだろうか?
ルイン「無理なんだよね…私には特殊武器を扱うにも容量がないから」
エックス「ルイン…」
それは仕方ないと思う。
ルインは特A級ハンター。
戦闘型レプリロイドはランクによって強化の度合いが違って来る。
特A級の彼女は高水準の部品で強化されている。
それにアーマーを切り換える能力を得たことで特殊武器を組み込む容量などないことは分かっている。
エックス「(俺はいつまで彼女に甘えるつもりなんだ…)」
彼女にだって限界がある。
自分が弱いせいでいつも彼女は傷を負う。
弱いままでは駄目なんだ。
今の自分では彼女を守るどころか危険にさらすだけ。
強く、強くならなくては…。
生き残るために。
守るために。
エックス「ごめん…俺は甘ったれていた。いつまでも君に頼っていてはいられないのに……」
ルイン「…………」
エックス「ルイン、ありがとう…この武器。使わせてもらうよ」
ルイン「うん…」
エックス「(俺はもっと強くなる…少しでも彼女の負担を減らせるように…俺が彼女を守るんだ。)」
エックスは新たな誓いを胸に施設を後にするのであった。
後書き
エックスがフットパーツとファイアウェーブを入手。
ルインはHXアーマー入手。
ルインは特殊武器がないために、X4のゼロのような戦い方(クジャッカーに龍炎刃)や、ロクゼロのように弱点属性を突く戦い方になるかなと。
もしかしたら変わるかもしれませんが
ルイン・HXアーマー
二本のセイバーと四基の大型バーニアを装備する雷属性のアーマー。
全アーマー形態最強の機動力を誇り、近接戦闘に特化した形態。
第一段階チャージ
プラズマビット
射程距離の短さと速度が遅いが、高いホーミング性能を持つ電撃弾。
第二段階チャージ
プラズマサイクロン
強力な雷を纏った竜巻を発生させる。
ゲームにおいても全形態最高の機動力を誇る。
プラズマサイクロンが高性能過ぎてバランスクラッシャーになる程。
この作品では完全飛行能力を持つために機動力がゲームより強化されている(かもしれない)。
水中では機動力低下。
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