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I want BRAVERY

作者:清海深々
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一話 再誕


 突然目に光が入ってきたことによるまぶしさで目を覚ます。
 しかし、目が開かない。

「(ここは一体・・・?)おぎゃぁあ?」

 嫌な予感を感じる。
 冷や汗が流れる。

「奥さん、産まれましたよ。元気な男の子です!」

 近くから大音量でそんな声が聞こえ、自分の体が空中で移動するのを感じた。

「(目があかねぇ!!そしてお前!うるせぇよ!!)おぎゃああ!おぎゃあ!おぎゃっああ!」

 赤ちゃんにしては奇妙な泣き声を上げながら、その赤ん坊は彼を持ち上げた医師を殴るかのように腕をわずかながら振る。
 当然、生後1分程度の赤ん坊にそんなことは出来ないので、精精少し医師側に体が傾く程度だ。

「(どうなってんのぉ!?赤ちゃん!?赤ちゃんになったの!?俺!)おぎゃあぁあ!?おぎゃぁ!?おっぎゃあああ!?おぎゃ!」

 意味も分からぬまま騒いで、その後しばらくして、また再び自分の意識がブラックアウトするのを感じた。






 そんな感じで俺がこの世に生を受けてはや4年。
 正直なところ、今までの記憶は曖昧で、わかったのは転生?らしきことをしたということだけだった。

 物心がまだ付いていないのか、いまだに前世の記憶が、自分の記憶の99%以上を占めている状況だ。
 この4年間はなにやら話したり、歩いたりしていたみたいだが、それらの記憶もあまりない。


 毎日毎日、朝目が覚めるたびに、此処は何処だ、という疑問が浮かぶ。
 そして、泣き、喚いて暴れ、しばらくして状況を把握する。そんなことを繰り返していた。

「あらあら。彩ちゃんったら、また泣いちゃって」

 そう言って、いつも泣いている俺の世話を焼いているのがこの世界でも俺の母親だ。
 この世で4年生きているのだが、今だに今の状況についていけず、夜な夜な泣かずにはいられない俺。
 
 そうして、幼稚園の子達や母親に癒され、なんとか4歳を生きているのが今の現状だ。
 なんと言っても幼稚園児はイイ!

 ここで誤解を招きそうなので訂正しておくが、決してペドやロリ的意味ではない。
 こう、無邪気さというものにありえないくらい癒される。
 自分も一緒になって、本来の歳を忘れ走り回るくらいに癒される。




 時間はまた飛んで、7歳。

 やっと色々と記憶が定着してきたと思う。
 正直なところ、前世で死んだわけでもないのに突然この世界に産まれた理由はわからない。

 やはり鍵になっているのは、最後のあのメールではないかと思う。
 死んでないから転生ではないと思う、というのが正直なところなのだが、こういう場合はなんと言うのかわからない。

 そして何より、そのメールが原因ではと確信したのには、俺の目に原因があった。

 どこぞの吸血鬼に恋をした主人公ではないが、あらゆるものに線が見えるのだ。
 なぞってみると、ほらもう言わずもがな、真っ二つに。
 そして、たまに光も。
 しかもこの光は普通じゃないのだ。
 そう危険を知らせるかのように光が見える。

 しかし、これを誰かに知られないように隠すのにはあまり苦労しない。
 魔眼の方は意識しなければあまり見えないし、脅威の方はあっても別に困ったりはせず、特段不思議がられることもない。

 まぁそこら辺は別に、これらは俺が生前にメールで返信した内容の、直視の魔眼と脅威の幻視ではないかと思うのだ。
 というかそれ以外ありえない。
 そして、本当に今さらだが疑問に思うのは、

 『能力は一個』といいつつも、屁理屈のようにまるめたこの二つの能力がもらえるとは、一体全体どういうことなんだろうか。

 そのことについてうんうん唸りながらも、本日学校で出された宿題を解く。
 はたから見たら本当にその問題に対して難しくて唸っているように見えるのだろう。



 
 自分の目の異常さに気付き、それらを悟られないようにと決心してからさらに月日は流れ12歳を迎えた。

 正直なところ、前世のことが気になって仕方がない。
 毎度毎度、『正直なところ』『今だ』を連発するのは気が引けるが、仕方ないと割り切る。
 今まで、本当に子供のように振舞ってきたのは、というよりもそうなっていたのは、若干の自暴自棄があったのだと思う。
 子供でいずにはいられなかった。といったところだろうか。

 転生したいなんて思ったこともない。
 あの頃はあの現状に満足していたと言ってもいい。
 友達から『キング・オブ・チキン』の名をもらい、イジられキャラとして定着していたとしてもだ。

 こんなどこの世界かも分からないところに生まれたくはなかった。
 はじめはタイムトリップを考えたのだが、ありえないものを見てしまったことからその考えはなくなる。

 自分のステータスが見れるのだ。
 あくまで、大雑把ではあるが、それも見える、目で確認できるというのは異常だろうと思う。
 そして、おのステータスの表示があまりにも、あまりにもゲームの『ペルソナ』の表示に酷似していたのだ。

 ステータスはPSPボタンの△を押す、なんていうのは出来ないのでどうやって見たのか、ということに疑問がいくのだが。
 何故か、こう

(あ〜、今の俺って勇気あるんだろうか?)

 なんて思うと見えるのだ。
 そう、勇気がポイントなのだ。
 生前の俺が求めてやまなかったものだ。


学力:3
そこそこ良い
魅力3
そこそこある
勇気4
頼りがいがある

Lv1 流峰 彩
HP 10/10
SP 12/12
        普通

NEXT EXP 10


 正直、言いたいことはたくさんあるが、一番はやはり、


「俺に、俺に勇気があるとはぁ!!!」

 思わず叫んでしまうくらい嬉しい。


 
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