I want BRAVERY
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序章
授業中に下を向いて、いつものようにサボりながら携帯をイジくる。
お気に入りに登録してあるURLから二次創作の小説を探してソレを読む。
それが、この退屈な古文の授業中での俺の日課だ。
しかし、いつもと違うことが一つだけ。
授業中であることからサイレントモードにしていた携帯に、メールを受信したランプが点滅した。
「ん?」
授業中に携帯をイジってるのは自分くらいなので、友達からのメールでないことはわかる。
携帯会社からのメールか、それともメルマガか、どちらだろうかと思いながらも小説に再び注意を向ける。
しかし、どうしてもそのランプ点滅が気になってしまい、小説サイトを閉じ、メールをチェックする。
『○月△日 11:20
From:xxxxxx@xxx.ne.jp
sub:
———————————————
あなたわなにおのぞむ?
「は?」
知らないアドレスからのメールだった。
しかし、それよりも驚いたのがそのメールの内容だ。
「あなたわなにおのぞむ?・・・あなたわ・・・あなたは、か。なにおのぞむ・・・何を望む・・・どゆこと?」
意味が分からないままメールの内容の続きを見る。
のうりよくはいこだけ
はじめのすてたすはごうけいで10まで
きよひけんはない
いまから5ふんいないにへんしん
じゃないとかてにきまる
ペルソナ 』
「イタズラかよ・・・しかもどこぞの小学生、いや幼稚園児みたいな文章だな。『能力は1個だけ。始めのすてたすは合計10まで。拒否権はない。今から5分以内に返信。じゃないとかてに決まる』といったところか・・・『すてたす』?『かて』?・・・意味わからんな」
イマイチ要領の得ない内容。
イタズラにしてもなんにしても雑すぎる作り。
本文は全てひらがな。しかし、最後の一文字だけがカタカナ。
「『ペルソナ』か。ゲームの話なのか?」
イタズラかどうかはわからないがこんなものにメールを返すのには少々、
「勇気が足りない。どうやら『漢』くらいは必要なようだ。・・・ってか?」
なんてな。と心の中でつぶやきながら、そのメールの返信画面を開く。
『
to:xxxxxx@xxx.ne.jp
sub:Re:
———————————————
お前誰?メールの相手間違ってない?』
そう打って送信ボタンを押す。
そして、そのままタイトルへと戻り、もう一度さっきのサイトへ行こうとする。
その時、またしてもランプが光った。
そしてそのメールの差出人を見て驚愕する。
「おいおい・・・返信早すぎだよ。なんかこえぇ」
『○月△日 11:23
From:xxxxxx@xxx.ne.jp
sub:Re:Re:
———————————————
のうりょくいこだけ
すてたすは
がくりよく
みりよく
ゆーき
あなたはゆーきがいぱいひつよう』
「・・・ぉい、こら」
ふざけてんのかこれ。内心でイラッときたのが分かる。
勇気が足りない?んなことわかってるよ。
チキンですよ。何か問題でもあんのかよ。
「こんにゃろう・・・しかもマジでペルソナのゲームのステータスじゃねぇか・・・!?」
そこまで自分でつぶやいて気付く。
「もしかして・・・『すてたす』ってステータスか!」
どうでもいいことだが、気付くと嬉しいものがある。
「なるほど。もしやこれは俺に勇気をくれるメールというわけか」
勘違いしていない気もしないが、納得してしまったものは仕方ない。
そう開き直って再びメールを打つ。
『
to:xxxxxx@xxx.ne.jp
sub:Re:Re:Re:
———————————————
学力3
魅力3
勇気4 』
ここまで打って気付く。
「能力って・・・何だ?」
勇気4と言いながらもやはり怖いものはある。
何事にも保険は必要だ。
『直視の魔眼と脅威の幻視、の能力を持った眼』
と、追加するように打ち込む。
「ふむふむ。我ながら完璧だ」
なんて呟いて送信ボタンを押す。
押してしばらくして気付く。
「あれ・・・?これもしイタズラだったら俺・・・なんかめっちゃ痛い子じゃないか・・・」
気付いて絶望し、羞恥で真っ赤になりながら机に突っ伏する。
まさか、いくらなんでもこんなアホみたいなメールにガチで返してしまう高校3年生がいるなんてことはありえない。
そんなありえない中で、まるで中学生か小学生のようなメールを返してしまったことに自己嫌悪する。
すると突然眠気なようなものが襲ってくる。
「うぉ・・・?なんで・・・?」
今日はたっぷり10時間寝て登校して来たはずだと思いながら、自分の意識がブラックアウトするのを感じた。
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