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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第7章:過去から未来への歴史
  第2話:国士無双

(魔界)
シンシアSIDE

うわぁ~……リュカさんがほぼ一人で敵の大群を蹴散らしていく。
(リュカさん)が強いのは解ってたけど、ここまで強いとは予想外だ。
何も卑怯な事はしてないのに、酷く卑怯に見えるのは何でなんだろう?

ビアンカさんに耳打ちされリュカさんを唆してはみたが、敵に同情したくなるのは問題よね……
ビアンカさんを見たが嬉しそうに瞳を輝かせて旦那を眺めている。
外見は似ているが、私はこんなにアレじゃない!

でも……旦那を唆すのに私を使った理由が解らない。
自分で唆せば良いのに……人前じゃ恥ずかしいのかしら?
いや、人前でエロ事に興じられる夫婦だから、そんなわけはない!

ビアンカさんの次にリュカさんの事を理解してるウルフさんに話を聞きたいけど、彼も一生懸命戦っている最中だから聞くわけにもいかない。
娘さん達はファザコン気があるから、正しい答えを出せないだろう。

だから黙って彼等の戦闘シーンを眺めています。
みんな一生懸命戦ってるはずなのに……リュカさんの無双を見ていると、シン達がサボってる様に見えてくる。
だって、リュカさんは一人で10体くらいの敵を相手に一瞬で勝利してるのに、シン達は集団で1体と戦い辛勝しているのだもの!

シンもデスピーさんも凄く強いのよ!
ウルフさんだって魔法のバリエーションが多く剣技も鋭くて強いし、アリーナさんやマーニャさん達だって凄く強いわ!
でもリュカさんの強さは次元が違いすぎる。

どうして普段から戦ってくれないのだろう?
世界を平和にする為に協力してくれないのだろう?
リュカさんが本気を出してくれれば、シン達が苦しむ必要が無くなるのに……

シンシアSIDE END



(魔界)
ビアンカSIDE

リュカ無双(マリーが命名)のお陰でエビルマウンテンの麓まで1日で辿り着いた。
流石にリュカが『疲れた』と顔色一つ変えずに言い出したので、エビルマウンテンに入るのは6時間ほど休憩してからになった。

戦闘要員(リュカを除く)は疲労困憊みたいで全員へたばってるが、戦闘をしてない私やシンシアが中心となって休憩の準備(戦闘要員の世話など)をしている。
因みにリュカは休む事無く、少し離れた場所で周囲を警戒し敵の出現に備えている。格好いい!

「ねぇビアンカさん……どうしてリュカさんは普段から戦ってくれないの? あんなに強いのに、どうしてシン達に苦しい思いをさせるの?」
突如シンシアが不満げな口調で話しかけてきた。まぁ……あの戦闘シーンを見れば、誰でも不満に思うわね。

「だってリュカには関係ない事でしょ。リュカの人生は未来にあるのだし、この時代は貴女たちの世界なのよ……何でリュカだけが苦労しなきゃならないの? シン君達が苦労するのは当然の事……リュカが苦労するのは不自然な事! 貴女(シンシア)が不満に思うのは解るけど、口に出して言う事じゃないわよ、お嬢ちゃん」

嫌味っぽく“お嬢ちゃん”と言ったけど、彼女はエルフなのだし私より年上かもしれない。
“おばあちゃん”の方が妥当だったかな?
その方がシンシアを怒らせる事が出来たかしら?
喧嘩をしたいわけじゃないけど、口論するなら相手を怒らせるのが我が家の常套手段だからね。

「でも神様がこの時代に送ったのだから、リュカさんはその力をもっと活用するべきよ! シン達の手伝いをもっとしたって悪い事じゃないわよ!」
私が彼女の立場だったら、やはり同じ事を思ったでしょう。
大好きな人の苦労が少しでも軽減させられるのなら、その力を持ってる者は発揮させるべきだと……

「“手伝う”って言うけど……貴女達の言い方だと、リュカに全部押し付けようと聞こえるんだけど、それが“手伝う”って意味?」
「そ、そんなことは……ない……わよ」

「そうかしら? “手伝う”ってのはね、力量が大幅に離れてない者同士が、お互いに協力し合う事なのよ。10匹のスライムが出てきたら、2人で5匹づつ……力量差があれば1~2匹の誤差は生じるけど、一緒に同じ苦労をする事なのよ。リュカとシン君の力量差は、天空城の天辺から魔界の奥底以上の差があるの……これだと手伝うどころか、リュカだけの力で物事が解決してしまうわ! ほら……結局リュカに全部押し付けるのと同じじゃない」

「だけど……神様が……」
「あのヒゲメガネが何を考えてたのかは解らないけど、貴女達の時代の事は貴女達が解決するべきよ。便利な人間が居るからって頼るのは間違ってるわ! 私……間違ってるかしら?」

「……じゃぁ……何で神様はリュカさんをこの時代に送ったの?」
「多分……保険……かな? シン君だけでは頼りないから、身を守ってくれるエキスパートが必要だと考えたんじゃないかしらねぇ?」

「み、身を守るエキスパート!?」
「そうよ。まだ敵が明確に命を狙い出す前に、ザコ敵と少しでも沢山戦って勇者の実力を上げておこうと考えたんだと思うわ。でも、その途中で命を落とされては困るから、圧倒的強さで……しかもトラブルを呼び込む体質の男を派遣して、確実に運命を遂行させようと考えたんだと思うわ」

「そ、そんな身勝手な……」
「神ってのは身勝手な生き物なのよ! でもね、貴女の彼氏だって十分身勝手よ。リュカが歌で敵を誘き寄せ、強くなる機会を与えてるのに、一方的に激怒してるんですからね。勇者としての心構えも、強くなろうという意気込みも感じさせない、身勝手なお子ちゃまよ!」

私は同じ顔のシンシアに毒を吐きながら、満面の笑みで彼女を見据える。
そのシンシアは、悔しさからか悲しさからか、目を見開いて私を睨んでくる……
さて……どうたたみ込もうかしら?

「シンシア……貴女、私の合図でリュカに色目を使って利用したけど、あの合図だってリュカの仕込みなのよ。いい加減シン君達が弱すぎて危険を感じたけれど、リュカの意思によって戦闘に加入したら今後の為にならないと思い、私を使って貴女に合図させたのよ! 私がシン君達に気を遣ったと思ったんでしょ? 残念ながら全部リュカによって演出された事なのよ!!」

あぁ……自分と同じ顔の奴を苛めたくなるリュカの気持ちが解ってきた。
今にも泣きそうに食い縛るシンシアを見て、私とリュカは似たもの夫婦である事に喜びを感じる。
ただ、他の非戦闘要員であるロザリーとリューノが、気まずそうにしているのには申し訳ないと思います(笑)

「さてと……私はリュカに食べ物を渡してくるわ。一番の功労者だからね! 貴女達は他の連中のお世話をお願い。そこで狸寝入りしている連中の……ね♡」
これ以上苛めて泣かれたら面倒なので、山盛りの食事と飲み物を手にリュカの下へと移動する。

ちょっとギスギスした雰囲気になっちゃったけど、リュカの事を悪く言うのは許さない。

ビアンカSIDE END



(魔界)
ロザリーSIDE

「おい狸寝入りども、飯だぞ!」
リューノさんが寝てるシンさんの頭を蹴飛ばし食事を渡してる。
ピサロ様を含め皆さんに対しぞんざいな対応だけど、ウルフさんにだけは優しくしてる……

「喧嘩……終わった?」
そのウルフさんが恐る恐る目を開け辺りを見渡し、ビアンカさんとシンシアさんの口論が終了してる事を確かめる。

「困るよぉ……こんな時にギスギスした喧嘩されちゃぁ……シン君の彼女なんだから、ちゃんと手綱を握っといてよ」
「いや……そんな事を言われても」
どうやら皆さん起きてた様で、ビアンカさんとシンシアさんの喧嘩に困っていたご様子です。

「ふん……相変わらず生意気な女だ!」
「何だよデスピー君……君だって二人が喧嘩してる時は、懸命に目を瞑ってたじゃないか! 嵐が過ぎ去った途端、大きな態度になるなよぉ」
確かにウルフさんの言う通りです。一緒になって狸寝入りしてなんですから……

「あ、いや……女の争いに、男が口を挟むのはどうかと思ってな」
きっと嘘です。目が泳いでますから……
この短期間でピサロ様にこんな態度をさせるなんて……恐るべしリュカ菌!

「お母さんを怒らせるの止めてよね。あの(リュカ)を旦那に持つ女なのよ! 何年(どれくらい)生きてるか知らないけど、並の女に勝てるわけないでしょが」
ムックリと上半身を起こしボサボサになった髪を掻きながら、マリーさんが不機嫌な声を上げる。

「別に喧嘩なんてしてないもん!」
当のシンシアさんは皆さんからの言葉を聞き、頬を膨らませ拗ねてしまってる。
凄く可愛いわ……持って帰りたい。

その姿に皆さん苦笑いしながら、視線をビアンカさんの方へ向ける……
そこには、リュカさんと寄り添いながら食事をする姿が……
リュカさんを見る彼女の横顔は、眩しいくらい笑顔で溢れている。

あの人達には……勝てそうにないわねぇ。

ロザリーSIDE END



 
 

 
後書き
サブタイトルは麻雀用語にもあるアレです。
この四文字熟語を使いたかったから、3章の様なサブタイトルの書き方を続けました。
 
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