DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第1話:愛と平和への闘争……綺麗事だよね
前書き
新章開始。
舞台は魔界。
DQ5の魔界(暗黒世界)と同じ場所です。
(天空城)
「リュカさん達は無事にエビルプリーストを倒せますかね?」
天空城ではマスタードラゴンが水晶を使って映し出すシン達の動向を見守る者が居た。
マスタードラゴンと側近……そしてルーシアである。
「未来の私が選び出した人間なのだし、大丈夫だろうが……全員無事に戻るかは分かりません」
マスタードラゴンの力は地上界までしか届かず、魔界へ行ってしまったシン達の行動を映し出す事は出来ない。
それでも“未来人が来た”と言う事実に、現在の混乱は収まるだろうと予測している。
「ドランも頑張ってる様ですし、リュカさんだったら大丈夫ですよねマスタードラゴン様!」
世界の運命よりも、リュカという個人の事を心配するルーシアに少しの苛立ちを憶えながらも、既に魔界へ行ってしまい何も移さなくなった水晶を眺め目を細めるマスタードラゴン。
周囲の者を退出させ、未来でもリュカと繋がりを持たねばならない事に落ち込む。
長生きする事に嫌気がさした瞬間だったらしい……
吹っ切れてほしいものだ。
(魔界)
ビアンカSIDE
「うわぁ~、あの景色見た事あるぅ……やっぱり未来と同じ場所だぁ」
遠くに聳えるエビルマウンテンを眺め、リュカが心底嫌そうに記憶を蘇らせる。
そう、ここは私達がマーサお義母様を救う為に訪れた魔界と同じ場所だった。
「確かこの先に……魔界唯一の町があったよね?」
「町? そんな物はないぞリュカ……ピー」
最早言わざるを得ない状況になってしまったデスピーは、恥ずかしそうにリュカの名前の後に“ピー”と言う。
「ウルフさん……リュカさんの言ってる事は本当ですか? 極端に昔の事だから、記憶が曖昧になってるって事はありませんか?」
「知らないよ俺だって! リュカさん達が魔界へ行った時、俺はまだ別の世界で子供やってたんだから。この面子で魔界へ行った事あるのはビアンカさんだけ……俺にじゃなくビアンカさんに尋ねてよシン君」
「リュカの言ってる事は嘘ではないわよ。私達が魔界へマーサお義母様……つまりリュカのお母さんを助けに行った時は、マーサ様が造られた『ジャハンナ』と言う町が存在したわ」
「だよね、あったよね!? でも今は無いなぁ……どうしちゃったんだろう?」
「リュカ……あのね、あの町を造ったのはマーサお義母様なの。ここは過去の魔界なのだから、マーサお義母様が生まれてない以上、ジャハンナがあるわけないでしょ!」
「あぁそっか……母さんが造ったのだから、まだ無いのか! じゃぁ休憩する場所が無くて大変だね。みんな頑張れ!」
「何で他人事なんだよ!?」
新加入のデスピーはリュカの言葉に機嫌悪く反応する。
「僕には関係ないし……つーか何で一緒に来ちゃったんだろ?」
「デスピーさん……そいつ戦いませんよ」
「そうなんですよデスピサロさん。一々怒ると体力の無駄だから、気にしない方が良いですよ」
ウルフ君とシン君に冷たく言い放たれる我が夫。
「お前までデスピーと呼ぶな!」
「良いじゃないですか、仲良くなれた気がして。でしたら俺の事を『ウルピー』と呼んで良いですから」
「あ、俺はデスピサロさんと呼びますので、シンピーとか呼ばないで下さいね」
「呼ばんわ! 大体……何で俺だけを愛称で呼ぶんだ!? アイツこそ望んでるのだがら“ピー”付けで呼んでやれ」
「嫌ですよそれは。だってリュカピーなんて呼んだら、本人が喜ぶじゃん! 不本意極まりない!」
「時折『パパ~ン』と呼ぶクセに、リュカピーは嫌なのかウルピー?」
「嫌です! 絶対に嫌ですよビアンカさんの旦那様!」
魔界という息苦しい場所ではあるが、何だかとっても良い感じです。
「あ、ほらほら……無駄話してると大変な事になるぞ。敵さんが牙を剥いて現れたぞ。世界の平和を取り戻す為にキリキリ戦うのだ!」
リュカに言われて視線を向けると、見た事もない凶暴そうなモンスターが近付いてきた。
プックルを凶暴そうにしたモンスター、名前は『ゲリュオン』と言うらしい。
やはりマリーは知っている様で、簡単に説明してくれた。
娘が情報通で助かるわ。
ビアンカSIDE END
(魔界)
シンSIDE
しんどい……
魔界と言う事もあり敵が強くて本当に辛い。
宣言通りというか、何時も通りというか、リュカさんは全く戦おうとしないし……
「ねぇデスピー……」
「何だ!? 今忙しいんだよ。後に出来ないのか!?」
確かに忙しい。手強いモンスターの群れに囲まれて四苦八苦しているのに、戦わない男がノンビリした口調で話しかけてくる。ムカつく。
「君は魔族の王様なんだし、鶴の一声的にモンスターを排除できないの? それとも“なんちゃって王様”だったから出来ないの?」
「何だ“なんちゃって王様”って!? あからさまに俺を馬鹿にしてる言葉だろう……意味が解らなくても感じるぞコノヤロー!」
「“なんちゃって王様”って言うのはね……「説明せんでいい!」
何となくとはいえ意味は感じ取れてるのだから、言われてる方としては改めて説明されたくないもの。
なのに優しい口調で説明しようとするなんて……本当にムカつく!
「魔界の掟では、強き者に従う……つまり、完全版進化の秘宝を使用したエビルプリーストが、今の魔界を支配しているのだ。その証拠に、奴の発する波動を受けたモンスターは、以前よりもパワーアップしている……俺だって苦戦しているのだ!」
「何だ……結局“なんちゃって王様”って事じゃん」
「腹立つ野郎だ……文句があるのならキサマも戦え!」
さっきも言ったのに……無駄だって言ったのに。
「イヤでぃす。僕は戦うのが大嫌いでぃす。何故なら面倒臭いからでぃす」
「ムカつく……」
歯を食い縛り剣を握り締めリュカさんを睨み続けるデスピサロさん。
だから俺はデスピサロさんの肩に手を置き、黙って首を横に振る。
徒労感だけが募るから諦める様に無言で伝える。
勿論デスピサロさんも解ってるんだけど、それでもムカつくのがリュカさんなんだ。
「でもぉ……リュカさんが先頭に出て戦ったら、とぉ~っても格好いいんでしょうねぇ! はぁ~……私ぃ、見てみたいなー」
デスピサロさんと人生で嘆いていると、シンシアが突然身体をくねらせ色っぽく呟いた。
シンシアに似てるビアンカさんがリュカさんに甘えるのは我慢する……でもシンシアが甘えようとするのは不愉快極まりない!
もうこの男を幸せにするのは止めてもらいたい!
それともリュカさんの“たらしパワー”には勝てないのだろうか?
「……が、頑張っちゃうよ僕! 美女達に格好いいとこ見せちゃうよ!」
俺が人生の理不尽さに絶望していると、美女に格好いいとこを見せたくなったリュカさんが、杖を振り翳し先頭へ躍り出た。
瞬く間に数十匹は居たモンスターの群れを討ち滅ぼすリュカさん!
俺とデスピサロさんが二人がかりで戦い、やっとの思いで倒した『ランガー』と言う敵を、いとも容易く……しかも群れを成してる状態の敵を倒し続けるリュカさんに、言葉を失ってしまう。
「おい……折角リュカさんがやる気を出してくれたんだから、ボーッと見てないでお前等も戦えよ。サボってると、またリュカさんが戦わなくなるぞ!」
ウルフさんの言葉に我を取り戻す……
サボるつもりは無いのだけれど、リュカさんの圧倒的な強さ……つーか、非常識な強さに驚くばかりだ。
この人は本当に人間なのだろうか?
魔族のデスピサロさんの方が常識的に見えてくるのは何故だろう?
「さて……リュカさんを巧く操れたし、ご褒美面はビアンカさんにお願いしますね」
「当たり前よ……その方面の事は他人に譲る気はありません! つーか巧いわねリュカの操り方……」
えっ……これってシンシアの策略!?
俺の中で他に類を見ないほど非常識女なマリーさんがシンシアを見て呆然としている。
あれぇ……俺の彼女って、悪女!?
シンSIDE END
後書き
皆様お待たせしました。
第7章&リュカ無双が始まるよー!
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