DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第3話:食べる時は食べ、休む時は休む。
(魔界)
ホイミンSIDE
「おいシン……食事をし一休憩したら、奴と交代し俺達が見張りに付くぞ!」
「そうですねデスピサロさん。リュカさんに甘えてばかりじゃ悔しいですからね」
デスピーさんとシンさんが食事をしながら会話してます。どうやらリュカさんにも休息を与えるみたいです。
「ここの魔物は手強い。不躾だが私も手伝いますぞ!」
敵の強さを危惧したライアン様が、ご自身も見張りに加わる事を明言する。格好いいです!
じゃぁボクも一緒に頑張ります!
(ドゴン!)
アリーナさんやマーニャさん達が『自分も手伝う』的な発言をしようと口を開いた瞬間、リュカさんが居る方で大きな物音が聞こえ、皆さん一斉に視線を向けます。
そこには『ギガントドラゴン』と言う大きな竜族のモンスターが、リュカさんの軽い一撃で吹き飛ばされた瞬間でした。目を疑いたくなる光景です。
はい。よく考えたら、ボク達全員分の実力よりリュカさん一人の実力の方が遙かに上でして、代わりに見張りを受け持つなんて烏滸がましいわけで……
「「「……………」」」
見張りを代わろうと言い出したデスピーさんも、その言葉に乗ったシンさんも、格好良く名乗りを上げたライアンさんまでも、黙って俯く有様でした。で、でも……心意気は買ってもらいたいです!
「ほら、アンタ達はご飯を食べ終わったら寝ちゃいなさい!」
この沈黙を崩してくれたのはビアンカさんだ。
旦那さんが戦っている為、邪魔にならない様ボク等の方へ戻ってきたのだろう。
「見張りを交代するなんて出来もしない妄想ほざいてないで、明日の為にしっかりと休みなさい。明日からは広い魔界の平原じゃなく、エビルマウンテンの内部に入るのだから、通路の広さが限定されて戦いやすくなるはずだから、リュカに頼らず頑張れるでしょ……リュカは疲れて手伝えないだろうから、当てにしちゃダメよ。 ……って、リュカが言ってたわ」
えぇ~! リュカさん明日は戦ってくれないか!?
困りますよ~……魔界だから敵が強すぎるんですよ~……
ライアン様がぁ……
「でもリュカの事だから、アンタ達が危険になれば助けてくれるわ。シン君もデスピーも嫌ってるけど優しいのよ、彼」
本当ですかぁ? 良かったですぅ!
ライアン様の無事が確保できるなら、どんな状態だって構わないですよね。
「まぁ……リュカが手を出すって事は、アンタ達の不甲斐なさの表れですけどね! 困ったご先祖様達ねぇ……本来なら出会うはずない子孫に救われるなんて。リュカの存在が気に入らなくて子作りを放棄したら、アンタ達の人生も放棄する事になるわね(笑) ウフフッ……アンタ達の人生の為に、あのトラブルメーカーの子種を絶やさない様にしなさい!」
怖いです……
ビアンカさんが怖い笑いで僕達を見下ろします。
先程のシンシアさんとの喧嘩を、まだ根に持ってるのですかね?
食べ終わった食器類を一カ所に纏め、代わりに毛布を2枚手に取りビアンカさんはリュカさんの下へ戻ってゆく。
戦闘は一瞬で片付いた為、ルンルンとした足取りで毛布を抱きかかえ戻ってゆく。後ろ姿は可愛いのだけど……
「……悔しいが、アイツの言う通りだ。ここは大人しく身体を休めた方が良いだろうな」
沈痛な面持ちで俯く皆さん……最初に口を開いたのはデスピーさんでした。
一晩寝て、みんな元気になれば良いなぁ……
ホイミンSIDE END
(魔界)
リュカSIDE
結構でけーモンスターを倒し見張り位置用に定めた倒木に腰掛けると、絶世の美女が毛布を抱え走り寄ってきた。
まぁ、その絶世の美女ってのは俺の奥さんだけどね。良いだろう!
幸せそうに走り寄ってくるビアンカの後方に目を向けると、シン達がお通夜の様に落ち込んでいるのが見える。
あれ、おかしいな?
さっきはテンション上がってたんだけど……俺が戦ってる少しの間に、一体何があったんだ?
「流石リュカ♥ 一瞬で終わらせちゃうなんて凄い!」
「あ、いや……それはいいんだけど、連中に何を言ったの? 凄ー落ち込んでるんだけど……何か余計な事言った?」
可愛く話しかける妻を押し倒したくなる衝動を抑え、後ろの連中の事を聞いてみる。
「別にぃー!」
ビアンカは毛布を抱いたまま俺の横に腰を下ろすと、質問に対し短く答えた。
頬を膨らませ不貞腐れた表情で隣に座る。
これはこれで可愛いッス!
「ちょっと困るよぉ……アイツ等には頑張ってもらわないと、僕達帰れないんだよ。やる気を削がないでくれよ」
「だぁって……みんなしてリュカの事を悪く言うし、そのクセ強さに頼ろうとするし、身勝手なんだもん!」
俺の事を思ってくれるのは嬉しいんだけど、困ったなぁ……
それに出来れば今夜は俺の側で休むのは控えて欲しいなぁ。
とても今夜は夫婦のフィスティバルを開催できそうにないから、みんなの下で一緒に休んでてもらいたいなぁ……
「ビアンカ……今夜はみんなの所で休んだ方が良いよ。僕は見張りをしながら、襲ってくる敵を倒す為に戦闘をするのだから、ここに居るのは危険だよ」
「いやぁ……リュカの側が良い! リュカの側が一番安全だし、アイツ等ムカつくから嫌よ!」
「困ったお嬢さんだ……僕に頼る連中に腹を立てておきながら、君も僕に頼って側から離れない(笑)」
「私は良いの! 妻なんですからね……貴方の伴侶なんですからね! 健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、 貧しいときも、常に側にあって運命を共にするんですぅ」
ズルいぞこの女! 何だってこんなに可愛いんだよ!?
俺は思わずビアンカを抱き締め、彼女の温もりを堪能する。
願わくば、この時間が永遠である様に……
あぁ……見張り、めんどくせ~
リュカSIDE END
(魔界)
マリーSIDE
どうやらお母さんは、お父さんと共に見張りをしてくれる様だ。
と言っても、お母さんは途中で寝てしまい、お父さんのお荷物になるだけだろうけど……
まぁお父さんなら、お母さんが側で寝てても問題なく見張りをしてくれるだろう。
周囲の者が『ビアンカさんは常識人だ』と言うけど、お父さんが非常識すぎて目立たないだけで、あの人も十分非常識だと私は思う。
困った一家よね、我が家は……
常識的なのは私を含む少数なんだもの!
家長があの男だから仕方ない事なんだろうけど……
ウルフも最近非常識になりつつあるし、どうしたもんかしらねぇ?
隣で寝息を立てる彼を見詰め溜息を吐いてしまう。
まさかリューノと浮気するとは、考えてもなかった事よね!
もう認め合った事だから、諦めてはいるのだけど……今回の冒険旅行は失敗だったわね。
つーか、あの神様連合に頼んだ事が間違いなのかしら?
ホント使えないわね!
何時かあの眼鏡を叩き割ってやるんだから!
「マリー……お前も寝ろよ。明日は総力戦なんだから、お前の魔力も当てにするんだぞ! 『疲れちゃって戦えな~い♥』なんて言ったら、俺はリューノ一筋になるからな」
寝てると思ってたウルフが、目を開けずに話しかけてきた。
内容は最悪……
まるで私の心を見透かした様な言葉だ。
くっそぅ~……何で私だけ戦わなきゃならないんだ!?
リューノなんかは戦闘自体出来ないのに。
アイツのヒャドは、スイカも冷やせない様な低威力だ。
鞭さばきだって、最近やっと自身を傷付けなくなった程度で、側に居たら間違いなく巻き込まれてしまうヘタっぴさだ。
だから戦わなくても許される。
可愛く迫ればチヤホヤされる。
何だか不公平だ……あ、今ちょっとだけど、さっき怒ってたお母さんの気持ちが解った気がする!
うん。やっぱりお母さんは素敵だわ!
マリーSIDE END
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