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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員

作者:木偶の坊
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 第10話 新たな敵はチート吸血鬼!?

 
前書き
第10話です。

なんだかんだでもう少しでこのシリーズは完結するんですよね。一応、完結しても皆様の要望次第ですが続編を書こうと思っています。今のうちに、続編を続けるか、否か、アンケートを取ろうと思ってます。 6月15日までアンケートを募集するので、メッセージでも感想でもよろしいので送っていただけると幸いです。 よろしくお願い致します。 ちなみに、もし続けることになったらまたアンケートを取るつもりですのでその時もよろしくお願いいたします。 

 
「ねえ、ゆっくんは吸血鬼って知ってる?」





「は? 吸血鬼?」
「うん」
「精神科に行くことをお勧めします。吸血鬼なんて存在しない!!」
「お前!! 私をおちょくってるのか!!」
面倒くさい人だな。


「ああもう、分かりましたよ。実際にはどういうやつなんですか」
「狙ってるやつのことならわかってる。無限罪のブラド。イ・ウーのナンバー2だよ」
無限罪って……やっぱり頭がおかしい……。ん? ナンバー2? 




「うわあああああああ!!!!」
「ゆっくん!? どうしたの急に!?」




「……もうやだ。なんで僕ばっかりこんな目に遭うの……」
「うわぁ、一気にネガティブになったねー」
「この前は毒を打たれて、この前は手を凍らされて……もうやだ、こんな人生……」
「犯人の顔が浮かんできたよ……確実に理子の同僚だよ。その人たち」
「で、でも、今は安心していいよ! ブラドは国内にいないはずだから」
なんだか、僕だけでなく自分にも言い聞かせているような感じがする。
今は大丈夫でも、僕が狙われていることに変わらないんだけど……。

「……もういいです。それで、こんな話をしてきたということは何か目的があるんですよね」
「くふっ、ゆっくんは話が早いねー。ちょっとゆっくんに頼みがあるんだぁ」
「頼み?」
「うん、ゆっくんにももちろんメリットはあるよ。 もしかしたら助かるかもー?」
なん……だと……!?
「……わかりました。一回きりですが聞いてあげましょう」
背に腹は代えられない……。












翌日――


「ああ~暇だな~。雄一はいないし間宮たちはどっかいっちゃうし……」


「おや、天原君じゃありませんか」
誰かに声をかけられた。
(この人は……えーと)


「小夜鳴先生、どうしましか?」
「いえ、少し体調が優れないように見えたもので」
心配そうな顔でそう言う。



(この人……なんか信用できないんだよな……なんて言うか……匂う……)



「いえ、大丈夫です。重度のストレスで体がボロボロになってるだけですから」
「それは大丈夫とは言いませんよ。少し見せてください、大事な生徒にもしものことがあったら困ります」
そういえばこの人救護科だっけ? 非常勤だけど。

「…大袈裟じゃないですか?」
呆れたように言った僕だったけれど。
「些細なことから大事になることもあるのですよ?」
笑顔でそう返されてしまった。

結局、そのまま押し切られ――。
「ふむ、どうやら異常はないようですね」
保健室まで連れてこられ、熱を測り、血液もされた。
血液検査する必要があるのか? 

それともこの人にとってこれが当たり前なのか? 教務科の人間は頭に問題があるし。
「しかし、何かあるかもわかりません。しばらく、休んでいった方がいいですよ」
「いえ、そこまでしてもらわなくても結構です。」
「そうですか……何かあればすぐに救護科に来てくださいね」
「分かりました。では」
頭を下げ保健室を後にする。




プルルルルッ!! 

携帯が鳴った。ん? 非通知? 怖いな……。

「はい、もしもし」
「やっほ~! ゆっくん!! 理子りんだよ!!」
「ビビらせんじゃねえよ!!!!  (#0M0)<ヒドォチョグテルトヴッドバスゾ! (人をおちょくってるとぶっとばすぞ!)」
「何語!? ゆっくんなんて言ってるの!?」
「ああ、いえ、僕の怒りメーターが10をこえたものでつい……」
「ゆっくんて沸点低いんだね……。まあそんな事より前に言ってたお話があるの。すぐ近くのファミレスにいるから早く来てね」




「それじゃあ早速本題に入ってください」
「うん、簡潔に言うと理子とキーくんたちがドロボーやるんだけどちょっと手を貸してほしいんだ」


峰先輩の腕を縄で縛る。
「ええ!? な、なんで!? 縄なんてどこから……」
「何でって…。僕は武偵。おまえは犯罪者。これ以外に理由がいる?」
こんなこともあろうかと、縄をもってきて正解だった。



「ちょ、ちょっと!!」
「はいはい、言い訳は牢屋の中で聞きますから」
「もうそれアウトじゃん!!」
「そもそもまだ何もやってないから!」
「未然に犯罪を防ぐ。ここ、テストに出ますよ」
「あの~ゆっくん? 理子の話聞いてくれるかなぁ? お願いだから」



「危うく、game overになるところだったよ」
「泥棒が盗む前に捕まるとか斬新ですよね」
「ゆっくん、何他人事みたいに言うね……」
「あ……峰先輩が捕まると僕にも支障が出ることを忘れてました」
「あー、結局自分の保身のことだけなんだ…」
人間だれもが自分の身が大事なんだから、当たり前だろう。


「泥棒が云々の話に前にブラドって実際どういう奴なんですか? この前は大雑把にしか聞いていませんし」
先輩は俯いた。
余程、ブラドとか言う吸血鬼のことが嫌いらしい。
「吸血鬼っていうのはね、不死身なの」
「不死身……死なないという意味ですか?」
「そうだよ。あいつは死なない。だから、戦っても勝てない」
「首を切っても?」
「うん」
頷き、峰先輩は肯定する。


「心臓をバラバラにしても?」
「うん」


「頭をかち割っても?」
「うん」
「それに、ブラドには十字架やにんにくとか、伝承で言われている吸血鬼の弱点も効かない」
「うわああ!!! チート野郎じゃないか!!」
「だから、言ったでしょ? 不死身だって、一応弱点もあるんだけど…」
「弱点?」


なんでも、『魔臓』という、吸血鬼特有の臓器のようなものがあるらしい。
体のどこかに四つある魔臓を同時に破壊することができれば、ブラドを倒すことは可能らしい。
だが、一つでも撃ち漏らせば、すぐさま他の魔臓も再生してしまうのだとか。
うわ……ねーわ。吸血鬼なんて某太陽少年にやられてろよ……。


「はい、この話は終わりー。ゆっくんもあんまり気にしちゃダメになっちゃうぞー? ブラドは今国内にいないんだから」
「……そうですね」


「じゃ、さっきの話の続きいっくねぇー」
「はい」
「少し前に、理子がちょぉっとミスっちゃったのが始まりで、ブラドに理子の大事なものが取られてしまった。だからそれを取り返しに行くの」
「なるほど、それで盗むと言うことですか。つーか、あんまりブラドを刺激しないでもらいたいんですがね……」
いや、別に狙われても“裏”の組織にぶつければ……。“裏”の化け物達だったらたかがチートを使った吸血鬼ぐらい……。





「──そこで理子はオルメス……アリアたちと決着をつけるの」
今までの話を聞く限り、峰先輩はどうやら神崎先輩にライバル意識があるらしい。
何だか、宿命のライバルという感じがする。


遠山先輩や神崎先輩がいるなら別に僕がいなくても大丈夫じゃない?


「念のためゆっくんには釘を打っておきましょう~」
「──オルメスとの戦いには手を出すな」
真剣モードの口調だ。


「別にそんな釘ささなくても、手なんか出しませんよ。」
「くふっ、冗談だよぉー」
「まったく、峰先輩の被害妄想には呆れてばかりですよ。偶然、神崎先輩と峰先輩が戦っている所を見て見ぬ振りをしますよ」
「そうだねー。偶然って怖いもんねぇー。くふふ……」
「……」


やれやれ、なんでこんなに面倒なことが起こるんだ? お祓いでも受けてきた方が良いかな?



それにしても決着か……。
言い方からしてやっぱり前に戦ったことがあるのか。
「まあ、応援しますよ。神崎先輩を」
「理子にしてよぉ!」
「え~」




 
 

 
後書き
さあ、とうとうやってきました。 VSブラド
正直言ってあんな規格外の敵との戦闘描写なんてどうすればいいんでしょうか?
先に言っておきますが、勇人君は特殊な能力などは一切持ってません。勇人君にはあくまでも普通の人間を貫き通してもらいます。 
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