I want BRAVERY
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十一話 部活(3)
「もうすぐ夏休みだなー」
放課後の部活が終わり、柔軟を行いながらそう呟く。
そろそろ暑くなってきた時期、部活がない日に部活に出て走るなんてことはしたくない。
となると、
(夏休みには・・・やっぱステ上げが一番なのか?)
ちなみに今現在のステータスは、
学力:5
かなりの秀才
魅力5
オーラが出ている
勇気6
漢
Lv1 流峰 彩
HP 10/10
SP 12/12
普通
NEXT EXP 10
なのだ。
もちろんlvは1のまんま。
それ以外はどうやら高校に入ってから、知らぬ間に上がっていたらしい。
意図的ではないため、ひとつランクを上げるのにも年単位だ。
(しかし、そろそろ全部MAXにしておきたいな)
勇気は既にMAX。
他も、別に今の時期にMAXにする必要はない。
原作の主人公とは違って、俺は1年から学校にいる。
だから、焦って早いうちにランクを上げて、その分学校での友達関係がおろそかになるような真似は避けたい。
それに、俺はゲームでいうクリアの時期なっても、人生は続く。
ステがなくてもたぶん、ゲームでいうコミュは俺なら、というより学校の『普通』の人間なら上げれる。
繰り返すようだが、無理して失敗したくはないのだ。
まぁ、ちなみに気分は『ペルソナ3』2週目だ。
だから別に上げる必要はないのだが、隙間隙間で上げれたらな、と考えていた時、
「まぁ、その楽しみしている夏休みは入った途端、部活合宿あるけどね」
突然後ろから声がかかった。
「えっ!?何それ?」
「はぁ、彩君ってばまた聞いてなかったの?」
呆れちゃうね〜、とか言いつつなんだが嬉しげに言う西脇さん。
「夏休みの途中の8月の初めに、陸上の大会があるの、聞いてなかった?」
「・・・そういえばそんなこと言ってたような、なかったような」
(Oh Shit!すっかり宮本と同じ部活入っただけで安心してたぁ!)
顧問の竹ノ塚先生が、前にそれらしきことを言っていたのだが、ちょうどその時は、今後のどうやって魔眼に合ったトレーニングをしようかと、真剣に考え込んでいたところだったので、聞き逃してしまったのだ。
しかし、まさかその時にそんな重要な話をしていたとは。
「ま、私ら1年にはあんま関係なって話なんだけどね」
西脇は残念そうな声で言った。
「ふ〜ん。なのに、俺ら合宿出なきゃダメなの?」
俺のその言葉に呆れたように西脇さんは言う。
「彩君さぁ、本当に前の中学で部活入ってた?こういうのは普通、全員強制参加だよ」
(おのれぇ!弱小校めぇ!)
自分の通っていた中学校に愚痴る。
前の中学では合宿すら存在していなかった。
余談だが、前世ではちゃんと合宿はあった。
しかし、もう16年も前の話。
覚えておこうと記憶していた『ペルソナ3』の内容とは、やはり記憶の持ちが違う。
「うへぇ〜、前の学校ではそんなんなかったんだけどなぁ」
頭を掻きながら言う。
「よっぽど弱かったか、よほどやる気がなかったか、まぁどうでもいいけど」
そんなことより、と西脇さんは続ける。
「合宿は大会に出ない1年も強制参加だから。だから、7月は夏休みないのとかわんないよ」
「なにっ!?」
(そ、そんな俺の、俺の夏休みの完璧なプランがぁあ!!)
(※まだ立てていません)
叫びつつorzのポーズへと、滑らかにフォームチェンジする俺。
最近、陸上の部活終わりは毎回このポーズになっている気がする。
「んぁ?どうしたんだ彩。なんでこんな落ち込んでんの?」
そこへどうやら宮本が来たようだ。
「あ、ミヤ。なんかね、彩君合宿の存在忘れてたんだって」
「なっ!彩!お前!」
(やべぇ、なんか熱血の予感)
「俺と一緒に合宿頑張ってアピールして、来年は確実に大会に出るって約束したじゃねぇか!」
「いやいやしてねぇよ!」
「と、いうのはあくまで俺の頭の中だけなんだけどな」
「・・・頭の中まで熱血だな、お前」
てか宮本ってそんな冗談言うようなキャラだったのか。
(思ってたキャラと結構違うもんだな)
「そう褒めるな。なんならこのあと一緒に走るか!?」
何故そんなに元気そうに走りたがるのか、たぶん彩には一生理解できないであろう。
「やめときなってミヤ。無理に走って体壊したら意味ないよ。ほらほらクールダウンする!」
「ちょ、おまっ!これから走ろうって時に!」
グイグイと宮本を地面に押さえつけ、上から体を伸ばすように圧し掛かる宮脇さん。
「おぅおぅ、見せ付けてくれちゃって」
なんてひがんでみる、俺。
だって、その体勢当たってるんじゃないの?胸。
「はぁ!?違うから!私とミヤはそんなんじゃないから!」
「ばっ、てめ!こいつはただの幼馴染だっつの!」
バッと宮本から離れる西脇さん。
「いいよ、いいよ照れなくて」
むしろジャンジャンやってよ、なんて朗らかに笑いながら言ってみる。
(決して嫉妬とではありません)
(※嫉妬です)
「違うってば!」
「うぉ、チャンス!」
西脇さんが俺に講義の声を上げながら、宮本から手を離した隙に、宮本が走り出した。
「ちょ!ミヤ!こらぁ!」
いやいや、ほんと、あなたは宮本君のお母様ですか?と言いたくなる世話の焼きっぷり。
部活に入ると二人が、本当に恋愛感情ないのかと不思議に思ってしまうくらい、一緒にいる。
(よくまぁ原作の主人公はこの間に入っていけたもんだ・・・)
最近、原作の男主人公へ、無駄に尊敬パラメーターが高まっている彩だった。
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