戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十四章 幕間劇
烏と雀×洗濯と腕ならし×新たな恋人
「ふにゃー、疲れたー!今日はたくさん歩いたよー。雀もお馬さんに乗りたかったなあ」
「・・・・・」
「このお部屋、結構いいお部屋だよね!きっとお布団もふっかふかなんだろうなあ」
「・・・・・」
「お布団のこと想像してたら、眠くなってきちゃった。ふあ・・・ふああああ・・・・」
「(うとうと)」
「お姉ちゃん、まだ寝ないで!明日の支度をしないといけないんだから!」
「(はっ!)」
「寝ちゃわないように、しりとりしよう!雀からね。えっと・・・『ごはん』!」
「・・・・・」
「あっ、違う!今のは準備体操!えっと、えっと、じゃあ、お姉ちゃんからでいいよ!」
「・・・・・」
「『すずめ』、ね。えっと・・・『めだか』!」
「・・・・・」
「『からす』かあ・・・・えっと・・・・『すみ』!」
「・・・・・」
「『みかん』?あー、『ん』がついた!お姉ちゃんの負け!もう、お姉ちゃんたら案外しりとり弱いんだなあ、えへへっ」
「(ぶんぶん)」
「・・・・『みみず』?え、嘘、お姉ちゃんさっき、『みかん』って言ったよね?」
「(ぶんぶん)」
「ええーっ、絶対に『みかん』だよ!雀には『みかん』って聞こえたもん!」
「(ぶんぶんぶん!)」
「えー・・・・雀が間違ってるの?むう、そうかなあ・・・・。・・・・」
「・・・・・」
「『みみず』も『みかん』もそんなに変わらないから、どっちでもいいよね!」
「(うんうん)」
「ふあ・・・・しりとりしても・・・・眠いものは眠いねえ・・・・」
「・・・・・」
「あ・・・・ふあ・・・・寝ちゃい・・・・そう・・・・」
「(うつらうつら)」
「あ・・・・ねむ・・・・ん・・・・」
「・・・・(ぱたり)」
「あっ!お姉ちゃん!まだ寝たらダメだって・・・・んー・・・・ぱたり」
「・・・・・」
しばらく無言になって寝ようとする烏と雀。
「うわああああ、寝たらダメダメ!明日も早いんだから、お日さまが出てるうちにやらないといけないことを終わらせるのー!お姉ちゃんも起きて!ねーねー!」
「・・・・・」
「うわあ・・・・完全に寝ちゃってる。お姉ちゃん、おねーちゃん!叩いちゃうぞ!ぺちぺち!ぺちぺちぺち!」
「・・・・・」
「熊が襲ってきたー!食べられちゃうぞー!きゃー、わー、逃げろー!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「こらー!地震だ!雷だ!火事だ!親父だぞー!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・もう、仕方ないなあ・・・・。えっと、まずは荷物の準備をして・・・・それから、弾の準備でしょ、あとは・・・あ、そうそう!おねーちゃーん、ちょっと失礼しまーす。んっ・・・・よいしょっと。ふう、これでよし!さてと、ちゃちゃーと終わらせるぞー!」
確かこっちに水場があったような気がするな。市に聞いたのと、トレミーからの情報をスマホで見ながら進んでいた。俺は、トレミーでの汚れた水とかを流すために山道を登っている。トイレとかの排泄物は、溜まったらケースごと地面に埋める。ケースは、使い捨てだし自然には良い物を使っている。それに時間が経つとケースがなくなり排泄物は土の中でプランクトンや微生物によって分解され栄養分。つまり肥料になるから安全だ。トレミーから出た汚染水は、今の世は汚れた洗濯物を川で洗うというらしいが、一応新鮮な水を調達するために来たようなもんだ。
「おっ!」
太陽の光に反射している水面が見えた。
「ん?」
どうやら先客がいるようだが、あれは・・・。
「・・・あれ?あれあれー!お兄ちゃーん!わーい!ここ、ここ!雀はここだよー!」
叫ばなくても十分見えるし、それより雀は今なにも着ていない幼女だった。
「もしかして洗濯してるのか?なぜに半裸なんだ」
「んとね、洗濯してたらどうせ濡れるでしょ?それに、一緒に服も洗っちゃいたかったから!」
ふむ。それは一理あるけど、ロリコン好きにとってはいい物を見れたという感じか。俺はロリコン好きではないけど、鞠や烏と雀を見ると、これはアリだなと思ってしまうから。
「そういえば烏は一緒じゃないのか?」
「お姉ちゃん、寝ちゃって起きなかったの。親父まで出したのに、全然起きてくれなかったんだよ」
意味が分からんがとりあえず頷いておこう。
「日が暮れるとお洗濯出来ないでしょ?だから雀がお姉ちゃんの分もしてあげてるんだ」
「そうか。雀は偉いな」
「・・・雀、偉い?」
「うん、偉い、偉い!」
「やったー!お兄ちゃんに褒められちゃった!もっと褒めて、褒めて!」
というが、まあここはもっと褒めておこう。そしたらとてもかわいい笑顔だったのでデジカメで撮った。顔だけだから大丈夫だろう。
「さてと、俺はこっちの方を使わせてもらうよ」
雀より川の源泉であるところに行こうとしたけど。
「お兄ちゃんもお洗濯?」
「いや、違う。俺たちの船は見たことあるよな。そこで使っている使用済みの水をあそこの地面に流してから、新鮮な水を手に入れようとしてた」
「あの船には蓄えることができるんだよね?」
「そうだよ。それに水がないと生活できないからね」
と言って空間から、使用済みの水を地面に向かって放水するのでホースを出した。そして、地面に放水してから数分で空になったと船からの報告があった。そして空間から新鮮な水を吸引するのを出して源泉のところに潜らせてから放置。水はたくさん使うから、しばらく放置だなと思い雀がいたところに戻るけど。
「洗濯、手際がいいが、家事は得意?」
「うん!雀たちには家来や家臣がいないの。だから、なんでも自分でやらないとならないんだよ。お姉ちゃんは戦場を下りるとぼーっとしてるから、その分雀ががんばるの。戦闘ではお姉ちゃんには勝てないから、その代わりだよ!」
「料理や掃除も雀が?」
「うん!あ、今度、雀の手料理食べさせてあげるね!」
「俺も掃除・洗濯・料理は得意だ。そのときは、俺の手料理をご馳走しよう。ちなみに得意料理は日の本の料理から南蛮の料理まで得意だけど、雀の得意料理はなんだ?」
「へえー、お兄ちゃんってなんでもできるんだねー!私はおにぎりとたくあん!ご飯だけじゃなくて、お魚だって焦がさずに焼くのは得意だし、お味噌汁だって美味しいんだよー!」
詳しく聞くとそこまで器用ではなさそうだ。で、吸引までまだしばらくかかりそうだから、雀の洗濯を見ていた。
「じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、お洗濯ー♪ぴかぴか、ぴかぴか、綺麗になあーれ♪」
メロディがあってないような鼻歌を歌いながら、雀は楽しそうに洗濯をしている。
「その歌は、雀が作ったのか?」
「うん!これを歌いながらお洗濯すると、洗濯物が綺麗になるんだよ」
「じゃあ、音は俺が作ろうかな。暇だし」
と言って空間から取り出したのは、ギターだった。そして、さっき雀が歌っていたのを俺なりにアレンジを加えたら完成したので、雀が歌ってみた。
「じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、お洗濯ー♪ぴかぴか、ぴかぴか、綺麗になあーれ♪」
歌いながら、俺はギターを弾いたら雀に褒められた。次は俺も歌えとのことなので、俺も弾きながら歌った。
「じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、お洗濯ー♪ぴかぴか、ぴかぴか、綺麗になあーれ♪・・・・はいっ!」
「じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、お洗濯ー♪ぴかぴか、ぴかぴか、綺麗になあーれ♪・・・・どうだ?」
「うまいよ!すごくうまい!」
「ところで明日の準備はできているのか?」
「うん!でも、心の準備はこれからだよ」
「緊張している?」
「八咫烏隊は、この前の二条館の防衛で初めて鬼と戦ったの。だから、鬼とは戦い慣れてないから・・・・。ちょっとだけ不安なの」
珍しく、雀が弱気になるけど。
すぐに表情を明るくして、小さな拳を軽く胸元を叩いた。
「だけど、八咫烏隊にはなんたってお姉ちゃんがいるんだもん。だから、きっと大丈夫!それに黒鮫隊だっているんでしょ?」
烏のことを語る雀の瞳は、いつだってキラキラと輝いている。あと黒鮫隊も八咫烏隊と似たようなもんだが、銃の種類が違うからな。それに時限爆弾とかプラスチック爆弾とかにも慣れて使うし。
「雀は、本当に烏の事が好きで、信頼してるな。それにヤバい時はいつでもかけつけるさ。俺達のは銃の種類が豊富だからな」
「うん、もちろんだよ」
「二人と八咫烏隊がいれば、一葉も安心だな」
「へへー!公方様のことは、雀たちがしっかりとお守りするの。それが雀たちのお仕事だもん。でも、お空のは無理かも」
「空からの敵は俺達の敵だからな。地上は任せるよ」
「うん!でもねー、公方様を守るのが優先だけど、もしも雀に余裕があったらお兄ちゃんの背中も守ってあげるの」
「俺の背中?」
「お兄ちゃんは皆の大切な人なの。皆の大切な人は雀の大切な人なの。お兄ちゃんは雀の大切な人なの!」
ここまでストレートに言われてしまうと嬉しいけどな。
「まあ、その時が来たらな。俺にはこれがあるし」
言いながら翼を展開させる。6体12枚の金色の翼だ。普通の天使の翼は白色なんだけど、俺は神なのか白ではなく金らしい。
「わあー!翼初めて見たけど、凄くきれーい」
「俺の真の姿その1だけどな。その2は黒い巨神兵みたいになるけどね」
と話していると洗濯が終わりそうだったので、少し太陽光を吸収してた。そしたら、雀の下着も洗うということで脱いでしまったらしい。
「じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、お洗濯ー♪ぴかぴか、ぴかぴか、綺麗になあーれ♪ふう、おしまーい!」
小さな下着を洗い終えると、雀はどこからか取り出した着替えに袖を通していた。さてと、船からの連絡で注入完了したらしいので、吸引するホースを川から引き揚げてから空間にしまった。何か忘れ物がないか見て回ると、何か白い物があったので拾ってみた。
「この白いのは雀のか?」
「んー?あ!よかった!これ、お姉ちゃんの下着!」
「そうか。よかったな」
一応俺も男なんだから警戒してほしいものだ。現代なら逮捕されるかもしれない。
「帰って早く干さないと、明日の出発まで乾かないの!お兄ちゃんも早く早くー!」
と言って行ってしまったので、雀について行く。乾かなかったら、俺の翼から太陽光を注げば乾くと思うし。
「ふわー、お腹空いたね。今日の夕餉は何にしようかなあ」
「たまには肉料理も食ってみたいなー」
本当はハンバーグと言おうとしたが、ここでも横文字は通用しないんだったな。南蛮人であるエーリカでも分かるかどうかだな。似たようなものはあると思うけど。で、話ながらの帰り道だったけど、雀がふと足を止め、空を見上げた。
「ん?」
顔を上げると、空中では数十羽いると思われるカラスが、一斉に同じ方向に飛んで行った。
「お姉ちゃんが来てる!」
ふむ。いるな。この辺りに。風の精霊が教えてくれた。雀には姿が見えたのか、一目散に一本の木に走り出した。俺も追いかけた。真っ黒な木かと思ったら、無数のカラスが枝葉を揺らしながら一本の木に群がっていたけど。一番太い木の枝に座っているのは、烏だった。
「・・・・・・」
「なんて言ったんだ?」
「カラスに、お兄ちゃんと雀がここにいることを聞いたんだって!」
カラスと会話できるのかぁ。俺も似たようなもんか、精霊や神と話ができるんだから。雀は烏に向かい、手を振った。
「おねーちゃーん!下りておいでよ!」
「・・・・・」
頷くと、烏はひらりと華麗に飛び降りた。
「お姉ちゃん、お洗濯を手伝いに来てくれたの?でもね、もう終わっちゃったの。お姉ちゃんの分まで、ちゃんと洗っておいたから!」
「(ふるふる)」
「あれ?違うの?・・・・そういえば、お洗濯に銃を持ってくるわけないよね」
雀に釣られて、俺も烏の背中を覗き込む。本当に銃を持ってきているようだ。この時代のは濡れると使い物にならなくなるからな。
「・・・・・」
「お腹も空いたし、明日に向けて腕ならしに来たんだって!」
「腕ならしは分かるけど、空腹とは。もしかして、銃で果物を落とすのか?」
俺の予想は当たりで、銃口から素早く火薬と弾を詰めた。いつもととは素早い動きだったけど。
「・・・・・」
烏は柿の木に狙っているようだった。お手並み拝見だな。銃声が響いて、木々に止まっていた鳥たちは驚いて飛んで行ったが。
「お姉ちゃん、あたーりー!」
烏の反対の手には柿があった。しかも実には傷がない、枝にだけ当てたようだ。
「お姉ちゃんは、いつもこうやって雀たちの食料を調達してくれるの!本当に凄いんだよ!」
「ふむ。ならば、俺もやるか」
と言って手にはハンドガンを持って、狙い撃った。また銃声は響いたが、落ちてきた実をキャッチして見ると傷一つなかった。
「お兄ちゃんもすごーい。小型ので狙い撃つなんて!」
「まあな。でも俺たちの銃は金はかからんが、そちらは一発撃つごとに金がかかるんじゃないのか?」
「「!」」
二人の顔が一斉に強張るから、なんだと思ったらこのことはタブーだったらしい。
「これなら、安心して俺も戦えるな。一葉も安心するだろう」
「・・・・・」
「公方様だけじゃ、ないよ」
「ん?」
「公方様のことも、公方様の大切な人のことも、私が守ります。って、お姉ちゃんが言ってる」
「ああ、そういうこと」
雀も烏も、本当に素直でいい子たちだ。でも、そう言う時が来ないように、俺も日々鍛錬してるし。
「そうやって、はっきりと大切な人を守るって言えるというのは、烏は強いんだな」
「・・・・・」
ふむ。頬が赤く染まっているな。照れてるのかな、俺の言葉で喜んでいるのか。
「えへへっ、お姉ちゃんが褒められると、雀も嬉しい!」
「・・・・・」
「ふむふむ。・・・・お兄ちゃん、お姉ちゃんが、今度熊を仕留めてきてご馳走しますって!」
「熊か。この辺りにいるのか。まあ、その銃なら仕留められるな」
「すごーい!お姉ちゃんが熊を仕留めてご馳走するって、最上級のおもてなしだよ!お兄ちゃん、やったね!」
「熊を仕留めてきたら俺が熊を捌いてやるよ。そして一緒に食おうな」
「お姉ちゃんが、『それも楽しみだけど、お兄ちゃんの事とても大切に思ってます』だって」
「・・・・・」
「わーい、雀と一緒!雀もお兄ちゃんの事大切なの!」
雀は嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねながら、俺たち二人の周りを回っている」
「・・・・はっ!そうだ!」
まん丸な目をますます大きく丸くして、雀が得意顔で烏の隣にちょこんと立った。
「雀たちを、恋人候補にするのはどうかな!?」
「!」
「マジ?」
いきなりの急展開で驚く。
「雀たち、優良物件だと思うよ!生活力も戦闘力もあるし、若いし可愛いし!鬼をやっつけるのが条件なら、雀たちも当てはまるもん!」
「・・・・・」
がしっと、烏が力一杯雀の肩を掴み、怖い顔で首を横に振る。いつもならここで意気消沈するはずの雀だけど、今回は引く様子はない。
「お姉ちゃん、よく考えて、玉の輿だよ!?お兄ちゃんの恋人になれば、贅沢し放題だよ!?」
「・・・・・」
烏は真剣に悩みこむ。まあ、俺の愛妾になるなら、贅沢し放題かもな。もしも、あちらの世界に行ったときは八咫烏隊全員を保護して黒鮫隊の中に入れると思うし。それに八咫烏隊は銃がなければただの幼女集団だしな。黒鮫隊に編入させないとロリコン野郎に食べられる可能性があるし。
「俺と恋人になる前に二人の気持ちはどうなんだ?」
「大丈夫!お姉ちゃんも雀も、お兄ちゃんの事大好きだから!」
「・・・・(ぽ)」
「まあ、いいか。これからもよろしくな」
「・・・・・」
「うん!お姉ちゃんと雀もよろしくお願いしますだって」
といって、二人の手を握った。握手だけどね。八咫烏隊の烏と雀を愛妾に入れた。城に戻ったあとに船に行ってから部屋にあるパソコンで、恋人候補に烏と雀を入れておいた。あと、洗濯のときに撮った雀の笑顔と烏の赤く染まった顔をデジカメフォルダーに入れておいた。
あと、艦内ニュースとして新たな恋人が増えたことと、烏と雀の写真をアップしたら俺の部屋にロリコン好きの者が集まって来た。とりあえず落ち着けとハリセン一発叩いたらロリコン好きな野郎どもに混じって女性隊員もいたけど。しょうがないから、個人端末にまとめて送っといたけどね。ただし、送信できないようにしといた。
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