落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
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第8話 VS魔剣
前書き
最近、絶不調です……。
アドシアード当日――
今、ある場所のパソコンを睨みつけながら、僕と雄一は命を賭けた任務に就いている。
そう、「3大危険地域」の1つ、地下倉庫の警備に……。
そして、僕は雄一と共に天に祈っている。
頼む。アドシアードが終わるまで何も起きないでくれ……。いや、何も起こすんじゃないぞ!! いいか、絶対だぞ!! 振りなんかじゃないからな!!
開会式からすでに数時間経過している。僕と雄一の精神的ダメージはMAXに近い。
そんな状態でも、数分置きに天に祈っている。え? 神に祈らないのかって? 神様は肝心な時は助けてくれないからだめだ!
「なあ、勇人。少しは休憩が必要だと思わないか?」
「確かにそうだけど……急にどうしたの?」
「ああ、休憩がてらにポケ〇ンで対戦しないか?」
雄一がゲーム機を出しながら、僕を誘う。
「ふ……。いいだろう……僕のサン〇パン率いる砂パで遊んであげよう!!」
売られたバトルは買うしかない!! 僕もゲーム機を取り出す。
「そちらが砂パなら……こちらはカイ〇ーガ率いる雨パでボッコボッコにしてやんよ!!」
「な……!? いや、バトルはポケ〇ンの能力がすべてじゃない事を証明してやる!
行くぞ雄一!! いざ尋常に!!」
「「バトル!!」」
「僕のサン〇パンがあああ!!!!」
「伝説が一匹もいないお前の手持ちなんてたかが知れているんだよ」
「くそっ!! 伝説厨め!!」
「なんとでも言うがいい」
カツン……カツン……
「「ん?」」
「ねえ、雄一? 今のって足音――」
「空耳だ!! 落ち着いてモニターを見るんだ……」
「う、うん」
雄一に促され、モニターを見る……。そこには――
うわああああああ!! なんかいやがるううう!! 通路のど真ん中を堂々と歩いているううう!!!!!
「ゆ、雄一いいい!!!! なんかいるよおおおおおお!!!」
僕の隣で、急いで雄一が侵入者? の顔を見て、関係者の顔写真を確認する。どこにも画面の向こうの人物の顔は載っていない。現在、地下倉庫は関係者以外立ち入り禁止だ! 侵入者だ! 確実に侵入者だ! くそ、してやられた!! ポケ○ンなんてやってる場合じゃなかった。なんとかしなければ!! このままじゃ先生に殺される!!
「い、行くよ! 雄一!! あいつを拘束するんだ!!」
「お、おう!!」
急いで侵入者のいる所へ向かう。
あ! あいつだ!! お、女!?
「あ~、そこの君! ここは現在、関係者以外は立ち入りを禁止だ! ちょっと教務科に来てもらいます! 1つ警告しておく。無駄な抵抗はやめなさい! 君は完全に包囲されている!!」
2人しかいないが、とりあえずハッタリをかましておく。
「!? 警備だと? 監視カメラは押さえていたはずだが……」
「両手を上げて、手を頭の後ろに組みなさい!! さもないと攻撃するぞ!! こっちは本気だからな!!」
「やってみろ」
(#^ω^)ピキピキ
「僕を怒らせたな? くらえや!!!」
懐から数本、投げナイフを取り出し投げまくる。
「はあ!」
「!?」
女はどこからともなく大きな剣を取り出し、投げナイフをすべて薙ぎ払う。
な、なんだ!? あの剣!?
「雄一!」
「……」
雄一は何も答えない。
「雄一!!」
「かっけぇ……」
「え?」
「あの剣かっこよすぎだろう!!」
「はあ!? こんな緊急事態に何言ってんの!?」
「雄一!! あいつをどうにかしないと先生に殺されちゃんだよ!!」
「はっ!? いけない。つい……」
「雄一、あいつ、剣の腕前は相当なレベルだよ!! ここで銃は使えないし、接近戦で一気に決着を――」
カランカラン
ん? 足元に何か転がってきた。なんだこれ?
「「!!」」
スタングレネード!? やばい!!
すると、爆発音が響き、目の前が真っ白になった。
「しまった!! やられた!!」
「うわああああ!!! 目があああ!! 目がああああ!!!!」
雄一が隣で悲鳴を上げている。
視界が元に戻るとあの女はいなかった。
「くそ! 雄一、急いで2手に分かれて探そう! 見つけ次第すぐに連絡しよう! あいつに1人で挑むのは危険だ!!」
「くそ~!! あの女……。とりあえず後でな!!」
「うん!」
くそ! どこに隠れた!? 全く見つからない!!
ザアァ……
ん? 水の音? 行ってみるか
扉を開けたら床にあった排水穴から、水が勢いよく吐き出されていた。
「……………………」
「ああ、なんだ。水没しているだけか……」
ん? 水没……? 地下倉庫が……水……没……?
「うわあああああ!!!! なんてこったあああああ!!!!」
やばすぎる!! ここが水没したら火薬が全部、使い物にならなくなっちゃう!!
先生の言葉を思い出す。
『もし、変な事になったら』
やばい!! このままじゃ僕たちは殺されてしまう!! 一刻も早く、あいつを捕まえて尋問して自供させないと!!
プルルルルッ!!
電話がかかってくる。雄一からだ。
「雄一!! どうした――」
『ゆ、勇人!! 水が!!!』
「分かっているよ!! 早くあいつを捕まえて自供させないと僕たちは終わりだ! 急ぐよ雄一!!」
「ああ!!」
携帯を切り、急いで侵入者を探す。
「あとはここぐらいしか……!? 遠山先輩に神崎先輩!? それに……星伽先輩!?」
(なんであの3人がここに……? つーか、なんで星伽先輩は神崎先輩の首に刀を……?
遠山先輩の奪い合いか? いや、こんな場所でそんなことをする意味が分からない。ということは……あの星伽先輩はあいつの変装か!)
急いで先輩方のところへ向かう。
「──只の人間ごときが超能力者に抗おうとは、愚かしいものよ」
「……魔剣デュランダル!」
超能力者!? 魔剣……? デュランダル……? どういうことだ?
「私をその名で呼ぶな。人に付けられた名前は好きではない」
「それでは、なんとお呼びすればいいんですか?」
ヒュン!
質問をすると同時にナイフを投げる。
「!」
敵は神崎先輩を離し、ナイフを剣で弾く。
「ちっ!」
「「天原!?」」
先輩2人が驚きの声を上げる。
「どうも、遠山先輩、神崎先輩」
「どうしてお前がここに?」
「ここの警備をしていたんですが、奴の侵入を許してしまい、なんとか奴を拘束しようとしてたんですよ」
「それで……なんて呼べばはいいんだ?」
「問われたからには答えよう。もとより、そのつもりだったからな」
バリバリバリ!
星伽先輩の顔をした変装マスクをはがす。
そして、現れる素顔。
「──ジャンヌ・ダルク30世。それが私の名前だ」
「は?」
いやいやいや! ジャンヌ・ダルクって十代で死んだはずだろ!?
30世って何だよ!? ありえないわ!? ああ、そうか残念な人か。
「そ、そうか……ええい、そんなことはどうでもいい!! ジャンヌ・ダルク……えーと30世? お前の身柄を拘束する!!」
そして、僕はジャンヌ・ダルクに向かって走り出す。
「おい! まて! 天原!! 1人じゃ危険だ!」
「大丈夫です! 死にはしません!!」
僕は懐からナイフ出して、それを投げながらジャンヌに近づく。そして、跳躍する。狙いはジャンヌの右肩だ。
(投げたナイフに気を取られてる隙に……致命傷を与える!! こいつは超能力者らしいから正攻法じゃ勝ち目はない!!)
「そんな小賢しい手が通用すると思うな!」
ジャンヌは剣を振り、先程のように薙ぎ払い……。
「!!」
ジャンヌの右肩にナイフを突き刺そうとしたが、大きな剣で防がれた上にそのまま吹き飛ばされる。
「うわ!!」
(あんなもん振り回して……なんつーバカ力だよ!!)
着地して再びジャンヌの方へ向いた瞬間――
「勇人!! 頭を下げろ!!」
「!!」
雄一の声がして、指示に従う。
銃声がした。雄一が発砲したのだろう。
「!」
ジャンヌはまた、剣で銃弾を弾く。
「くそっ!! 決まらなかったか……て、キンジ先輩!? なんでここに!?」
「雄一! 話は後だよ! 遠山先輩、神崎先輩ここはいったん退いて体制を整えてください。僕と雄一で時間を稼ぎます」
「だが…………分かった。無理はするなよ」
「危なくなったらすぐに逃げるのよ!!」
「分かってます!」
「キンジ先輩、ここは任せてください!!」
「頼むぞ!」
「お前たちは愚かだな……ただの武偵は超偵には勝てないというのに……」
「愚かなのはそっちさ。あの2人は、人外魔境の武偵校の中でも特に人外だ!」
「そうだ! 遠山先輩がその気になればお前なんてあっさりと片付けてくれる!」
「……」
「行くよ! 雄一!」
「ああ!!」
2人は一斉に地を蹴り、ジャンヌに接近する。雄一もナイフを取り出し接近戦を挑む。
僕は跳躍し、雄一はそのままジャンヌに突っ込む。
「はあ!!」
「また空中からの攻撃か……? いや!! 本命はこっちか!」
ジャンヌは2人の連携に気づき、雄一に剣を振り下ろそうとする。
(くそっ!! 見破られた! 雄一、なんとか切り抜けてくれ!)
「そう来ると思ったぜ!」
雄一は急ブレーキをかけ、横に跳び、ジャンヌの攻撃を避ける。そしてコルト・パイソンを取り出しジャンヌに発砲する。
(よし! ナイスだ雄一!! ……!? 銃弾が……凍った!? そうか!! 神崎先輩の手が凍っていたのはやっぱり、こいつの超能力か!)
「気を付けて雄一! こいつの超能力は氷を操る能力だ!! 手が凍ったら終わりだぞ!」
「分かってるよ!」
2人はすぐにジャンヌから距離を取った。
「まずいな……これじゃあ、迂闊に近寄れないぞ……遠距離攻撃も効果なしだ。勇人、俺が突っ込むから射撃で援護してくれ」
そう言いながら雄一はコルト・パイソンを僕に渡してくる。
「ええ!? 僕は射撃が苦手って事知ってるでしょう!?」
「大丈夫だ! 散々、練習しただろう? お前ならできる!」
「何を根拠に…………分かった。でも、恨むのは勘弁してね!!」
「ああ!!」
そう言うと雄一は走り出す。僕は銃を構える。
(落ちつけ……。まずは肘をしっかり伸ばすんだ。後は標準を合わせて打つだけだ!)
「うおおおお!!」
「愚かな」
ジャンヌは剣を構える。
「そこだ!!」
僕は引き金を引く。
「ム!」
ジャンヌはまた銃弾を弾く。
(くそ!! だめか!)
「隙を見せたな!! くらえ!!」
「!!」
雄一がナイフでジャンヌに切りかかる。
キィン!!
「その程度か……」
「ぐう!!」
(くっそ! 重すぎる!!)
やはり剣とナイフでは差がありすぎる。こうなったら僕も……。
勇人も2人のところへ走り出し、ナイフを取り出す。
「そこだ!!
勇人はジャンヌに突き攻撃を入れる。
「!!」
キィン!!
ジャンヌは勇人の攻撃に素早く反応して雄一を押しのけ、勇人の突きを防ぐ。
「すまない! 勇人」
「さっきからちょこまかと……」
「よそ見をしてる暇か?」
雄一が斬撃を繰り出す。
「くっ」
回避はされたが掠らせることができた。
「そこだ!!」
勇人も雄一に続いて斬撃を繰り出すが……。
ジャンヌはいとも容易く回避し、勇人の腕に息を吹きかける。
カチカチ……
勇人の腕が凍り始めた。
「ぐああああ!!! くっ!! 腕が……」
「勇人!?」
勇人はあまりの激痛に座り込んでしまう。
「少しはやるようだが、所詮、ただの武偵ではこの程度だ……」
ジャンヌが勇人にとどめを刺そうと剣を振り上げ、そして降ろす。
「勇人!!」
パシッ!!
「何!?」
「!?」
雄一が剣を素手で受け止めていた。そう、真剣白刃取りだ。
(雄一!? すごい!!! 真剣白刃取りをするなんて)
「雄一……君に言いたいことがある……人間卒業おめでとう」
「偶然に決まってるだろうが!! だが、これで捕えたぜ!」
「それはどうかな?」
「「!?」」
(剣が凍っていく!? このままじゃ、雄一の手が)
「雄一!!」
「この!!」
雄一はジャンヌに蹴りを放ち無理やり引きはがす。しかしジャンヌは再び、雄一に切りかかってきた。
「くっ……」
「雄一!!」
「──まったく、手間の掛かる後輩達だよ」
「「!?」」
遠山先輩がデュランダルを真剣白刃取りをしていた。
「えええ!? 遠山先輩もできるんですか!? あなた達本当に人間ですか!?」
「悪いけど、俺は一般人だよ。そして魔剣。キミはもういい子にしておいた方がいい」
「そうよ!!あなたの野望もここまでよ!!」
神崎先輩がジャンヌに銃を突きつけている。
「ふっ……武偵法9条。よもや忘れたわけではあるまいな。武偵に人は殺せない。…だが、私は違う!」
そう言ってジャンヌは剣を再び凍らせていく。
「キンジ先輩!!」
「いや、もう終わりだよ」
しかし、遠山先輩はまだ余裕だ。
「何……?」
「キンちゃんに! 手を出すなああああ!」
誰かがこちらに駆けてくる。あれは……星伽先輩!? つーか鬼のような形相でこっちに来てる!? アカン、怖すぎる!!
そして、ジャンヌの持っているデュランダルめがけて──
「──緋緋星伽神──!」
下から上への居合切り。
緋色の炎と共に抜き放たれたその刃は、デュランダルを焼き切り、天井にまで炎を巻きあがらせた。
ドガアァァァァァン!
世界は緋色に染まる。
自慢の剣が折れて戦意を失ったのか。その光景に、ジャンヌはただ立ちすくしていた。そして……。
「デュランダル!! 逮捕よ!!」
神崎先輩がジャンヌに手錠かかける。
その後、ジャンヌを教務科に引き渡した後……
「キンジ先輩、ありがとうございました!!」
「遠山先輩、助かりました」
雄一と共に遠山先輩の礼をする。
「いや、気にするな。それにお前たちだって助けてくれただろう? お互い様だ」
そう言うと、遠山先輩は去っていく。
「キンジ先輩かっこよすぎる!! あ……サインもらうの忘れてた!! キンジ先輩~!!
待ってください~!!」
雄一は遠山先輩の後を急いで追いかけて行った。
後書き
実は来週にテストが控えていて、今週から勉強を始めないとまずいのでしばらく更新できません。
申しわけありません。
あ~テスト嫌だな~
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