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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員

作者:木偶の坊
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 第7話 「3大危険地域」

 
前書き
“裏”レポート①

凶悪犯罪が増加してきた頃に、その存在が明らかとなった。
その様は、まさに無法地帯だ。
日本各地に存在している。特に東京都の“裏”は危険度が高い上に巨大な組織も存在しているという情報もあるため、公安0課や武装検事、一部の武偵以外は立ち入りを禁止にしている。
また、民間人には“裏”の存在は公にせず、国家機密としている。
“裏”については後々追記していく。 

 
「ああ……もう朝か……」
昨日は結局寝つけなかった。枕が変わればなかなか眠れないっていうのは本当らしい。



「昨日は本当に大変だったな……毒を打たれたり、イ・ウーとかいうやばい組織の人間に関わちゃったし。命を狙われたりしないよね?」

どうしよう……マジで心配になってきた。いや、案ずることはない。僕には元・公安0課の武敏さんがついている。恐れることは何もない!

「よう、勇人。元気そうだな」
病室に入ってきたのは武敏さんだ。

「武敏さん? どうしてここに? というかお店はいいんですか?」
「ああ、こんな朝っぱらからわざわざ来る奴なんてお前しかいない」
「そ、そうですか……」
「ところで、さっき医者と話したんだが、今日で退院できるらしいぞ」
「え!? もうですか!? いくらなんでも早くないですか?」
「俺は医者じゃないから聞かれても答えられねーよ。まあ、お前って体だけは頑丈だからな」
「公安0課の人間をやめた人には言われたくないですよ」
「まあ、今日はそんな変な話をしに来たわけじゃないんだよ」
「え? 普通に大事な話ですか?」
「普通に大事な話だ」
「どうせ、イ・ウーとかそんなんでしょう?」
「え? なんで、お前知ってんの? それって国家機密だぞ」
へ~、国家機密なんだ……。
「え? そうなんですか?」



「ああ、一般の奴が知っちまったら公安0課に消されるぞ。ドンマイ、骨くらいは拾ってやるよ」
は………………?


「ええええ!? ちょ、何とんでもないことサラッと言ってるんですか? 骨を拾うんじゃなくて拾う前に守ってくださいよ! 武敏さん一応、僕の保護者ですよね!?」
「いや……。俺だってどうにもならないときぐらいある。あ、また話が脱線したな。大事な話ってのは“裏”に関係することだ」
「“裏”に関係あること?」
(うわ~また、“裏”だよ……碌なことにならないな……)

「そう。公安0課は……“裏”を消すことになった」
「“裏”を……消す?……そんなことができるんですか?」
「時間は必要だがな。まあ、極端な話……女、子供、問わずに虐殺だ」
「!!」
虐殺……?




プルルルルッ!

「ん? すまん電話だ。少し待ってくれ」
「は、はい……」






「……分かりました。では。悪いな、急用だ。すぐ行かないと」
「そうですか。わざわざ見舞いに来てくれてありがとうございます」
「ああ、じゃあな」







武敏さんが病室を出た後、すぐに看護師が入ってきて点滴の針を抜き、晴れて退院となった。そして今、寮に向かって歩いているところだ。

「あ~帰ったら暇だな~。そうだ、ののかちゃんの見舞いにでも行こうかな。おっと、その前になんかお菓子でも買ってこう。女の子ならクッキーがいいかな」






「こんにちは~ののかちゃん」
「勇人君!?」
「おっ、間宮姉といつものメンバーも一緒か」
「あ! 天原……さん?」
「ん? どうしたの?」
ののかちゃんがすごく驚いたような目で僕を見る。ああ、ののかちゃんと初めて会ったときは目が見えてなかったもんね。
(ん? あれ? 僕を見て驚くってことは……え……嘘!?……僕って……ブサ面!?)





「あ、天原さんって、あ、あの時、助けてくれた人だったんですか!?」
「え?……あの時……? ああ! 思い出したぞ! 僕が背中を痛めた日に助けた子がののかちゃんだったんだ! なるほど、道理で見たことあるな~って思ったんだよ!」
「の、ののか!? あの時って!?」
「ほら、お姉ちゃん! 私が誘拐された時に助けてくれた武偵がいたって言ってたでしょう!
それが天原さんだったんだよ!」
「そうだったの!?」


「天原勇人……あかりちゃんだけでなく……ののかちゃんにまで毒牙を……極刑、確定……」
「なんで!? 毒牙って誤解を招く事を言わないでよ!!」
「うわぁ、勇人……さすがに……それは……」
火野まで僕の事を蔑んだ目で見てくる。
「天原様……自首するなら今の内ですわよ……」
島麒麟は、汚物を見るような目で僕を見てくる。


「なんでや!! 僕、無実やろ! 君たち、本当に理不尽だね!?」
「だ……大丈夫だよ、勇人君! みんな、本当はそんな事は思ってないから!」
「い、いや、でも、佐々木がマジな目をして睨んでくるんだけど……」
「志乃ちゃんも! 勇人君はそんなことしてないから!」
「分かりました。あかりちゃんが言うなら信じます」
佐々木が殺気を収めてくれた。助かったのか……?





「ののかが誘拐された時にそんなことがあったんだ……確かに勇人君、夾竹桃と戦ったときすごかったもんね!」
「う、うん……」
(僕が隙を作る必要なんてなかったけどね……)



「ていうか勇人、近接格闘苦手なんじゃなかったのかよ」
火野がツッコミを入れてくる。
「あの時は私も驚きました。毒を打たれている状態なのにあそこまで戦うなんて……」
「確かに、近接格闘は苦手だけど、命を賭けた戦いなら話は別さ」
昨日の思い出話し? をしている内に空が茜色に染まってきた。



「あ、そろそろ帰らないと……」
そう言い、勇人は立ち上がりドアに向かう。
「天原さん! また、来てくださいね!」
「うん、またね。じゃあ皆、また明日」
「うん」







翌日――

「勇人~聞いたぜ。お前の活躍。お前本気を出してなかっただけなんだな。それじゃあ早速、模擬戦に付き合ってくれよ」

(しまった。雄一の事をすっかり忘れてた。皆に口止めしておくべきだったかな)

なんとか言い訳を考えている時に呼び出しのチャイムが鳴る。

『こらあああ!! 1-Aの石川と天原とかいう奴!! さっさと教務科にこいや!!』
あいかわらず、すごい呼び出し方だな……。



「げええ!!  蘭豹!? なぜ呼び出しが!? しかも教務科ってシャレにならんぞ!!」
雄一が酷く怯えている。まあ、確かに教務科は強襲科、地下倉庫と並ぶ東京武偵高の「3大危険地域」と呼ばれている。でも雄一、君は強襲科だよね?

「ゆ、雄一。呼び出されたからには行かないと……」
「そ、そうだな……お前がいる分、1人で行くよりはマシだ」





教務科――

「てめえらを呼んだのは他でもない! 今度のアドシアードで地下倉庫の警備をしてもらう!! もし、なにかあったら、この島が吹き飛ぶ前にてめえらを殺すからな!!」

「「なっ!!」」

「ふ、ふざけんじゃねーよ!! 地下倉庫って「3大危険地域」じゃねーか!!」
「そ、そうですよ! 大体、なんでランクが低い僕たちにそんなことを任せるんですか!?」

ガチャッ!

「「!?」」

「ガキども……あたしに口答えするとはいい度胸だな? 特に石川、お前はもう少し教育が必要らしいな……?」
S&W M500を僕たちに向けて威圧してくる。あんなものをくらったら確実に昇天する……。

「「す、すみません……」」
「何!? 聞こえねーぞ!!! ガキども!!!」
「「すみませんでした!! 命に代えても、地下倉庫を守ります!!!」」



「はあ……マジかよ……」
「雄一……諦めよう……」
 
 

 
後書き
どうしよう……。そろそろネタがなくなってきた…… 
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