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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員

作者:木偶の坊
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 第6話 勇人は毒状態になった!

 
前書き
初めて5000文字超えました。滅茶苦茶疲れた……。 

 
ここは射撃訓練室。
早速、僕は雄一に射撃の手ほどきを受けていた。5つ隣では間宮が神崎先輩に手ほどきをうけている。

「勇人はまず、打つ時に腕が曲がっているんだ。まっすぐ伸ばして撃つ癖をつけないとな」
「なるほど……」

ガチャン!! ダダダッ!!

訓練室の扉が開いた音がして、見てみれば間宮が走っていった。
「あかりの奴……どうしたんだ?」
「さあ? 神崎先輩に聞いてみるか」

「神崎先輩、間宮の奴、どうしたんですか?」
「ちょっとね……」
神崎先輩は何も言わなかった。ふと、ターゲットに目を向けた。

「……!!」
(ターゲットの額、右目、左目、喉、心臓に2発ずつ命中させてる……偶然ではない……これが間宮の本当の力か? 間宮……どっかで聞いたことあると思ったが……少し調べてみるか)

「ごめん雄一、用事を思い出したよからまた今度付き合ってくれ」
「ああ、分かった。じゃあな」
「うん」





寮――

(間宮について調べてみたけど……これは……なんとまあ……すごいな……)

間宮は公儀隠密の家系、そして間宮あかりは一族の本家「暁座」の出身だった。しかし、2年前に事件があり、現在、一族は離散している。
そして驚いたのは間宮の技は殺人を前提にしていることだった。
ようするに、間宮は敵に回してはいけない、これだけは断言できる。

「はあ……寝よう。なんか疲れた……」





翌日――

「今日は嫌な天気だ。こういう日は碌なことが起こらない」
「ねえ」
誰かに声を掛けられた。振り返るとそこには黒い女の子がいた。
(誰だ? それよりも、僕の体内危険察知レーダーが反応している……)

「な、なんですか?」
「あなた、武偵高の生徒でしょ? 間宮あかりっていう生徒を探してるんだけど、どこにいるか知らないかしら?」
間宮の事を知っている。友達か何かか? でも、怪しいな……
「いえ、そんな生徒は知りません。教務科に聞きに行ってはどうですか?」
「そう、ありがとう」
女の子はそう言うと去っていった。

「なんか嫌な予感がするな……とりあえず間宮に連絡――「嘘はよくないわよ」――!?」
後ろから危険を感じ、前にステップをして振り返る。

「お前はさっきの……」
ナイフを構えようとすると……
「!?」
視界が急に歪んだ。

「お前……何しやがった?」
「別に……」

(やばいな…………何をされたか分からないけど……こんな状態じゃ……まともに戦えない……この女も相当な手練れだろう、ここは退くしかない……そして、病院に直行だ)


勇人は風魔から買った煙玉を使い、煙幕をつくり逃走した。


「逃げ足は速いわね……だけど、どんなに足が速くても死から逃げられない……」



「ふう、何とかなったか……にしてもあの女、いったい何者だ? とりあえず、病院にいこう」





「これは即効性で致死性の猛毒ですね。実はもう1人毒を打たれて入院している子がいるんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、しかし、あちらの毒は非常に質が悪い。毒を受けてから2年後に症状が発症し、視覚、聴覚、味覚…と順に感覚を奪っていく。そして発症後約8日で全ての五感と命を失ってしまう毒なんです」
「うわ~本当に質が悪いですね」
「それにしても、天原さん、あなたよく無事でいられますね」
「え? まあ、慣れて……じゃなくて! 体質ですよ」
「そ、そうですか……」


診断が終わったあと、入院することになった、そして今、病室から抜け出し、ある人の病室に向かっていた。

そして僕は目指していた病室に着いた。プレートには神崎・H・アリアと書かれている。
順番を待っている時に神崎先輩が撃たれたと噂を耳にして気になったのだ。
(神崎先輩のような凄腕が撃たれるなんていったい何が……)

「神崎先輩? 天原です。入っていいですか?」
「……」
「いないのか……? なら仕方ないか……出直そう……」

自分の病室に戻ろうと廊下を歩いていると――「現実では「逃げ」の手段よ」
(ん? 神崎先輩の声? どうしてここから……)



病室のプレートを見てみると――「間宮ののか」
(間宮? あかりの家族か? よし、諜報科十八番の盗み聞きだ)






「アリア先輩……どうしてここに?」

「あかり、あんた敵に接触されたでしょう?」
「私、勘は鋭い方なの」

「あんたが隠してるのは、敵の事だけじゃない、自分自身の事も隠してる」
「何もかも隠したまま、なにもかも解決できるの?」

「……ごめん……ごめんね、みんな……」
「全部、話します……アリア先輩の前で嘘はつけませんから……」
「私は元々この学校に入っちゃいけなかった生徒なんです……」





「間宮………………」








「あかり、あんたに初めて作戦命令を出すわ」
「作戦コードネームは「AA」アリアとあかりのAよ」

すると、間宮たちが出てきた。恐らく夾竹桃の所へ向かったのだろう。家族を救うために……。


「家族ってのは、本当に素晴らしいですね」

「あんた、いつから……」
「さっきからずっと、盗み聞きは諜報科の十八番ですから」



「えーと、初めまして、間宮ののかさん。僕の名前は、天原勇人って言います。君のお姉さんのクラスメイトだよ」
「初めまして、天原さん。間宮ののかです。いつも姉がお世話になってます。(あれ?……どこかで聞いたことがあるような声……)」


「それにしても悪趣味ね、盗み聞きなんて」
「仕方ないですよ。諜報科ですから」
「ていうかあなた、本当にEランク? 私でも気配に気づかないなんて」
「僕って、鋭い人はあんまり好きじゃないんですよ。神崎先輩?」
「そう……」


「あなた、言わなくてよかったの? あんたも毒に犯されているんでしょう? 夾竹桃に」
「天原さんも?」


「おや……どうしてそう思うんですか?」
「だって顔色が悪いわよ」
「あらら、顔には出ちゃってますか……」
「それよりなぜ?」



「言う必要なんて、ないからですよ……」
「なぜ? あなたとあかりたちは仲間でしょう?」
「そこまでのものじゃありませんよ。所詮はただのクラスメイトです」
「それに、毒には多少は慣れてますから。毒で死んだら僕は所詮、そこまでの人間ということです。まあ、死ぬ気はさらさらありませんがね」
「毒に慣れるって……苦労してるのね……」
「あの、天原さん、あまり無理はしないで下さい」
「ははは、心配してくれてありがとう。ののかちゃんは、優しい子だね」




「さて、僕も行きますか……。あの毒女が間宮に叩きのめされるところをみたいんでね。じゃあね。ののかちゃん、今度、お菓子でも持って見舞いに行くよ」
「はい!」
「あんた、場所分かるの?」
「ええ、諜報科が本気を出せば敵の居所を見つけるぐらい朝飯前ですよ」










勇人はひたすら走っている。
(こんなこともあろうかと夾竹桃に発信器を付けておいて正解だったな。この場所はホテルか?)


「ここだな……!?」
やっとの思いで目的地に着いたが、駐車場に目を向けてみると火野が苦しそうに胸を押さえていた。
(火野!? まさか、夾竹桃に毒を……てことは、奴は逃げたってことか……あれ? 発信器が……反応してない? まあ、所詮は安物だからね)


携帯を使い、島麒麟に電話を掛ける。


「なあ、夾竹桃はどこへ逃げたんだ?」
『え!? 天原!? どうしてここに!?』
「そんな細かいことはいいから、早く教えてくれ」
『レインボーブリッジですわ』
「そうか。ありがとう」


「今日は走ってばっかりだな……」







レインボーブリッジにたどり着くと、間宮と佐々木が通行止めと書かれている標識の先へ入っていった。

「やっと追いついた……さて、試合観戦といきますか」
勇人も間宮と佐々木の後を追い標識の先へ……。


「お~やってるやってる。なるほど……間宮が注意を引き付け、佐々木が強襲する作戦だな。しかし夾竹桃が座っている。トランクはなんだ?」
疑問に思っていると……。

「そのトランク……どこかに高飛びでもするつもり?」
間宮が代弁してくれた。
「これ?」
夾竹桃がトランクから取り出したものに驚愕した。


(ガトリングガン!? マジかよ!!)


夾竹桃は間宮に標準を合わせる。
「あかりちゃん!!」
佐々木が間宮を庇おうと間宮に前に出る。
「ちっ!!」
体が勝手に動き出した。


「「!?」」
2人の前に颯爽と影が飛び出し、夾竹桃に向かっていく。


「全く、ガトリングガンなんてシャレにならんぞ!!」
勇人は走りながら、ナイフを夾竹桃に投げる。
「!」
しかし、夾竹桃に目掛けて飛んだナイフはガトリングガンに当たった。
(はずしたか、でも気を逸らすことができればOKだ!)



「さっきのお返しだ!」
「!!」


夾竹桃の目の前に勇人が現れた。そして夾竹桃に蹴りを入れたが、ガトリングガンで防御される。当然、ガトリングガンなんてものを思い切り蹴ったら、逆に足を痛める。
「あああああ!!! 滅茶苦茶痛えええええ!!!」


「勇人君!?」
あかりは、足を押さえ悶えている突然の乱入者に驚いた。


「あなた……どうして生きてるの? 毒でとっくに死んでると思ったのに」
「勇人君も毒を!?」
「心配はいらない。目眩がするだけさ。それにしても、見てるだけだったんだけど……ガトリングガンは冗談じゃ済まない……悪いけど、僕も参戦させてもらうよ」


「そう……あなた、“裏”の人間ね……どうしてここにいるの? あなたは間宮と同等、いえ、それ以上に武偵高にいてはいけない人間でしょう? 武偵高どころか、こっちの世界にいるべきではないでしょう……?」
「(どういうこと? “裏”って何? 武偵高にいてはいけないって……?)」
「なんで、どいつもこいつも分かるんだ? まあいい、間宮、ちょっと耳を貸してくれ」
「う、うん? 何?」
「(僕があいつに接近戦を挑んで隙を作るから、そこを狙って鷹捲を入れてくれ)」
「(え!? どうして知ってるの!?)」
「気にするな!! 佐々木、行くぞ!」
「あかりちゃんの耳を……あの下等生物……」

佐々木が何かを言った気がするがそんなことは気にしない。ナイフを構え、夾竹桃に接近する。
ナイフを右から左へ水平に走らせるが、夾竹桃はしゃがみ込み、回避する。そして夾竹桃は左手を突きだしてきた。


「!」

勇人は左手で夾竹桃の左手首に手刀を入れ、夾竹桃の左手を弾き、すぐに横へ跳ぶ。
(左手の爪に毒が仕込んであるんだな、なら左手に注意を払えばいい)

横に跳んだ後、すぐに接近する。

(奴がガトリングガンを使いこなせるとは思えない……。予想が正しければ、どこから仕入れたかは分からないが無反動だろう。距離を取ってしまったらガトリングガン連射で面倒事になる。何としても距離を取らずに隙を作るしかない)

「くらいな!」

ナイフで突き攻撃を入れるが、夾竹桃は右へ体を反らしあっけなく避けられてしまう。
(くそっ! ガトリングガンを持ってるのに動きは俊敏だな……)

そう思っていると、夾竹桃は再び左手を突きだそうとしてくる。

(しまった!)

「はあ!!」
「!」
佐々木が刀を振るう。しかし、それもあっけなく避けられてしまう。だが、勇人は夾竹桃の攻撃を受けずに済んだ。

「助かったよ。ありがとう、佐々木」
「礼はいりません。それより集中してください」
「分かってるよ」
「(火野さんや風魔さんでも、手も足も出なかった相手なのに……ここまで渡り合うなんて……)」
「行くぞ! 佐々木」
「分かってます!」

佐々木が跳躍し、夾竹桃に切りかかる。しかし、夾竹桃は横に避ける。そこに……
「はあ!」
勇人が地を蹴り、一気に夾竹桃に接近し、ナイフで突く。

「くっ」

掠りはしたものの、決定打にはならなかった。
すかさず佐々木が、休む隙を与えんばかりに切りかかるが……

ガキン!!

佐々木の刀による攻撃を、夾竹桃はガトリングガンで防御したのだ。
「くっ」
「佐々木! 今いく!」
勇人がすぐに向かうが、夾竹桃は左手を構え佐々木に突きだす。
「志乃ちゃん!!」
「くそっ!! 間に合ええええ!!!」

勇人は佐々木を突き飛ばした。しかし勇人の首に夾竹桃の左手の爪が刺さった。
「ぐう!?」
勇人は急に襲ってきた、不快感に膝をついてしまう。
夾竹桃は勇人にとどめを刺そうとガトリングの銃口を向ける。
(やべえ……でも、隙はできた。後は、間宮に託すか……)

「今だ! 間宮、決めろ!!」
勇人は力の限り、大声で叫んだ。

「うん!! はああ、「鷹捲」!!」
「隙ができたと思った?」
間宮の行動を把握していたのだろう。夾竹桃はガトリングガンを間宮に向ける。
(くっ! このままじゃ、ガトリングガンで――!?)


間宮の鷹捲がガトリングガンに当たった。すると……。


ガトリングガンが破壊された。そして夾竹桃もダメージを受けたらしい、服が破け――え?
(どういうことだ? 夾竹桃の服が破けて、下着姿になったことは置いといて、なぜ、ガトリングガンが破壊されたんだ? これじゃあ、僕が隙を作る必要なんてなかったんじゃ……)


無駄な事をしたのではないか、と考え込む勇人。
「勇人君!!」
間宮が声をかけてくる。
「あ、ああ、やったな。間宮」
「うん!」
「ちっ」
佐々木め……助けてやったのに……
「それより勇人君! 毒は大丈夫なの!?」
「え? ああ、大丈夫――じゃないわ……」

バタッ

「ちょっと! 勇人君!? しっかりして!」
薄れゆく意識の中で最後に見たものは……佐々木のガッツポーズをしたところだった……。
(いつか……倍返しにしてやる……)






「はっ!? 知らない天井だと!? あ、病室の天井か……」
(ということは、僕は運び込まれたんだな)

「はあ~、さすがにもう一発、毒をくらったのはまずかったな」

ガラッ

「ん? 目を覚ましたのかね?」
医者が入ってくる。
「はい、体も大丈夫そうですし」
「まあ、犯人が解毒薬の作り方を話したからね」
「そうなんですか」
「それより……病室を抜け出した挙句に、また毒をもらって運び込まれてくるなんて、何を考えてるんだ! 君の友人は皆、心配していたぞ!」
「す……すみません。クラスメイトにぶちのめされる犯人を見たくて、つい……」
「馬鹿者おおおお!!!」
「ぶべらっ!!」


医者が殴りつけてきた。
「もっと自分の体は大事にしなさい!」
「はい……以後、気を付けます……」






「あ~あの医者め……マジでぶん殴りやがって……せっかく毒が治ったのに……」
「それにしても、イ・ウーか……“裏”の事もあるのに厄介なことになるかもしれないな」
暗雲がかかった気分だ……。

「とりあえず寝よう……疲れた」

初めて、消毒液の香りがするベッドの上で眠りについた。
 
 

 
後書き
戦闘描写が難しすぎる。どんな書き方をすれば分かりやすく伝わるのでしょうか? 
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