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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員

作者:木偶の坊
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 第5話 カルテット

 
前書き
今回はすごく出来が悪いです……(色々な意味で) 

 
これは7年前の夢だったか……


「君、いつも1人でいるね。あっちで皆と遊ばない?」
名前も知らない奴が僕に声をかけてくる。毎日声をかけてきて正直うんざりしている。
「そっちこそ、どうしていつも声をかけてくるんだ? 僕は1人が好きなんだ」
「そうなの? でもそれは毎日1人でいるからでしょ? みんなで遊んだらきっと楽しいよ!」
「大縄跳びのどこがおもしろいんだよ……」


「おいガキども!! ここで何してやがる!!」
突然、男が数人程だがやってきた。
「「「「うわああああ!!!」」」」
「は、離して!!!」「やめて!!」「誰か助けて!!!」
「だまれ! 勝手に抜けだしやがって!! 探し出すのに苦労したんだよ!」
「自分の仕事を放置するなんて、教育が足りなかったか?」
殴られたり、首を絞められたり、唇を引っ張られ、剥がされた子もいる。
「大変だ、皆を助けないと!! 君も手伝って!」
「嫌だ」
「どうして!? みんなが死んじゃうよ!! 連れてかれて拷問されたりするんだよ!」

「僕たちのような力の弱い子どもがこの場所で生きている大人たちに勝てるわけないだろう? それに、すぐに死ぬと決まったわけじゃない。いくらでも逃げ出すチャンスはある。
もし、死んだらそれまでの奴だ。ここは力の世界、裏切られたから死んだ、1対10だったから死んだ、奇襲を受けたから死んだとか、そんな言い訳は一切通用しない世界、死んだ奴が悪い世界、力を持っている人が正義の世界だ。他人のために死ぬなんてまっぴらごめんだ。君も逃げることをお勧めするよ」

そう言い、その場を去ろうと歩き出した。

「この、人間の屑が!!! お前なんて、勝手にのたれ死んじゃえ!!!」
そう言い、誘ってきた男の子は大人たちのいる方へ走って行った。恐らく、ほかの子を助けに行ったんだろう。
(この世界じゃ何より生き延びることを考えないといけない……この世界は蹴落としあうか、互いに利用しあうかの世界だ。傷を舐め合うなんてバカのすることだ)

「おい!! 気づかれてないと思っていたのか?」
男が後ろから声をかけて近づいてくる。振り返れば男の手は血まみれだ。きっと、あの子たちの誰かが殺されたんだろう。

(ちっ! 面倒くさいな……隙を突いてぶっ殺すか……)

勇人は男から逃げようと走り出した。
「おい糞ガキ!! 待て!」
男も追いかけてくる。子どもと大人が競争したらどちらが勝つなんて明白だ。勇人はあっさりつかまってしまう。
「この野郎……逃げなければ殺さずにしようと思ったが……残念だな!」
男は勇人の首を掴み、そのまま持ち上げ絞め殺そうとする。
「……くっ!!」
男は気づいていなかった。勇人が男の手を首から引き離そうと抵抗しなかったことに。
勇人は拳を握った。ただし、中指を突出させて。そう、中高一本拳だ。

“裏”の人間なら誰もが使う殴り方だ。この世界で生きるためには戦いに勝つしかない。相手を倒すためには、どんな攻撃を、相手のどこに入れるか知らなければいけない。“裏”の人間はただ生きたいという本能で戦っている者が多い。体が勝手に覚えるのだ。生き残るために相手を殺す方法を。

この拳は、通常の正拳とは違って、一点のみに力が集結するため、突くよりというよりは刺すと言った方が正しいだろう。例えるなら刃物の先端のような攻撃特性を持っている。
急所にあてれば相手を殺すこともできるだろう。

そして、男のこめかみに目掛けて拳を繰り出しところで目が覚めた。




「…………夢か……ずいぶん懐かしい夢を見たな」
結局あの後、僕の攻撃は決まらなかった。でも、僕はポケットに潰れた釘を入れていてそれを使ってあの男を殺したはずだ……。どうやって殺したかは覚えてないが……。
「……寝なおそう」


ヂリリリリリッ!! 

いつもと同じ目覚ましの音で目が覚める。
「うーん、今日は気分が良いな!! よし、早く学校へ行こう」
朝の支度をして、学校へ向かう。
今日は天気が良く、太陽が僕を照らしてくる。気分が良い日の太陽は気持ちいいな!!
全く、眩しいから良い迷惑だって思ってる奴はどこのどいつだ!


学校に着き、教室に入るといつものメンバー女子3人が……ん? 3人? 見慣れない子がいるな。誰だろう……。そう思いながら席に着く。
「おはよう、勇人」
「おはよう、雄一」
「それより勇人、あかりたちと一緒にいる子って誰か知ってるか?」
「奇遇だね雄一、僕も聞こうと思っていたんだ」
「じゃあ、勇人、聞いてきてくれ」
「いやいや、僕は間宮たちと仲はそこまで良くないから雄一が聞いてきてよ」
「いやでもほら、女子の会話に首を突っ込むのなんて少しあれだろう?」
「…………」
「…………」
「こうなったら、諜報科十八番の盗み聞きをやるしかないか」
「その手があったか! てか、そんなのあったんなら最初から使えよ!」



彼女らの会話を盗み聞きしたところあの見慣れない子は「島麒麟」と言って中学生で火野に戦姉妹を申し込んだらしい。
ちなみに、学科はまさかの特殊捜査研究科 (CVR) 少し調べてみたが、やはり佐々木の仲間だった。 このままじゃ、火野も佐々木の仲間入りを果たしてしまう。 これって伝染するものなの? 


「雄一、君だけは佐々木の仲間入りはやめてくれ……。はっきり言って、ここで男友達は君しかいないんだから」
一応言っておくが、別に友達が少ないというわけでは決してない。ただ単に、そこまで必要ないから作ってないだけだ。偉い人はこういった。友達は必要最低限いれば問題ないと……。

「どうしたでござるか、天原殿」
「何か悩み事なりや? 相談にのるなりよ」
風魔と真田が声をかけてきた。2人とは一緒に仕事をすることもあって仲が良い。
「いや、別に……天に縋っていただけさ」
「それはそれで重大でござらないか?」
「相談するなりよ」
「いや、大丈夫だよ……多分ね……」
「それより天原殿、カルテットはどうするんでござるか?」
ああ、そういえばあったなそんなの
「仮病で見学するけど……」
「…………」
「…………」
「天原殿、友達がいないから組めないと正直に言ったらどうでござるか?」

グサッ!! 心に何かが刺さったような気がする。

「そうなりよ、天原も少しは素直にならないとダメなりよ」

グサッ!!! 心に何かが確実に刺さった。

「違う。いないんじゃない、作っていないだけなんだ」
「それじゃあ、今すぐ組んでくるでござる」
「…………すみません。嘘をついてました。誘う人がいないんです……」
「じゃあ天原、自分と組むなりや」
「え!? いいの!? そ、そうか2人は僕の事を心配してわざわざ……」
「あ、天原殿、某はすでに組んでいる故、天原殿とは組めないでござる」
「……そうかそうか……つまり君は……そういう……やつ……なんだな……」


「そうだ!雄一がいるじゃないか! そうと決まれば早速誘いに行こう!」


「え? カルテット? 俺はもう組んだぞ?」
「why?」
「なぜって聞かれても……誘われたからな。ああ後、俺はカルテットまで学校にいないから、ほかの皆に伝えておいてくれ」
「……」
「勇人? 聞いてるのか?」
すると勇人は、雄一に中指を立て――
「fuck you」
「はあ!? なんでいきなりクソ野郎呼ばわり!?」
「雄一のバカーーー!!!」
勇人は走り去っていった。
「どうしたんだ?あいつ……」


「うう……酷いよ……雄一……やばいな……どうしようこのままじゃ決まらない……」
結局、他に余った人と組むことになった。


「なるほど……そういうことか。余ったら余った奴同士でくっつければ良かったんだな。盲点だった……」


カルテット当日――

「いよいよだね。皆!」
「はい、皆の力で高千穂 麗をぎゃふんと言わせましょう」
「ああ!!」
「そういえば勇人君、雄一君、まだ来てないの?」
「うん、メールしたらすぐ来るって返信がきたんだけどね……」
「あいつ、大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思うんだけど……あ、もう行かないと」
「そうなの? 頑張ってね。勇人君」
「ああ」
「ちっ」
佐々木に舌打ちをされたような気がしたが時間も時間なので気にしないことにする。


僕たちのチームの試合が始まったがあっけなく終わった。
まず、僕たちと組んだ2人が囮となり、その間に僕は攻撃用のフラッグを持ち、真田は目のフラッグを持って敵チームの「目」のフラッグを探し出し、見張り役を2対1で黙らせ、僕が攻撃用のフラッグを「目」のフラッグに接触させて僕たちのチームは勝利した。
相手が攻め3人のチームだったおかげで楽に勝利できた。
「さて、他のチームの試合でも見に行こうかな……あ、そろそろ、雄一のチームの試合だな……。よし、雄一のチームの試合を見よう」


「雄一は……お、いたいた。 ? 雄一の奴……なんかいつもと雰囲気が違うな……」
雄一はもう一人の生徒と歩いていた。しかし、勇人は雄一に違和感を感じていた。

歩いている雄一の前に3人の生徒が現れる。
「待ってたぜ。そっちのチームの強襲科はお前1人だけだ、なら、お前さえ何とかすればこっちは有利になる。それにお前らは2人、ここで倒せば想定していた時よりもに有利になる」

(まずいな、敵の内2人は強襲科だ。ただでさえ相手が強襲科とうい時点で厳しいのにもう1人いる。こうやって戦闘に出てくるってことは戦闘技術もそれなりにあるんだろう)

「……俺が時間を稼ぐ。お前は他の2人と合流してフラッグを探せ! 安心しろ、お前の後は絶対に追わせねえ!!」
「分かった!!任せてくれ!」
雄一と一緒にいた生徒は走り去っていく。

(雄一!? 1人で相手をするつもりか!? いったい何を考えて……)

「ちっ! 急いでこいつを倒して合流しに行った奴を追うぞ!」
「よそ見をしている暇か? くらえ!!」

雄一は敵の1人の腹部に目掛けて非殺傷弾を撃った。
「ぐはっ!!」
「なっ!? こいつ!! あの距離で当てやがった!?」
これには、勇人も驚いた。雄一と敵の距離はそれなりに遠いからである。
(雄一……まさか……学校に来てない間、射撃の訓練を……?)

「どうやらお前たちは、俺の事を脳筋キャラと思っていたようだが、俺は射撃も得意なんだよ。さあどうする?」
「仕方ない接近戦に持ち込んで一気に倒すぞ!!」
「ああ!」
「かかってこいよ! まとめて相手をしてやるぜ!」

敵が雄一に接近する。
雄一が相手の襟と左腕を掴む。そして、引き手を高く引き、釣り手で相手を引き寄せ、右足を相手のふくろはぎを刈るようにふり、相手を真後ろに投げた。

「ぐあっ!!」
「気を取られたな! 隙あり!!」
「そう来たか……なら!!」
雄一は構える。

「へっ!! 今頃構えたってもう遅い!」
「遅いのはお前だ!」
最後の1人が拳を握り、雄一の顔を狙う、しかし雄一は紙一重で避け、腰を深く落とし、拳を相手の腹部に打ち込む。
「がはっ!!」

敵は口から何かを(あえて言わない)吐いてそのまま前のめりに倒れた。そして……
「安心しろ……手加減はした……ただのパンチだ」
(ただのパンチで普通は吐かないよ……)

「雄一!!」
「どうした? フラッグは見つかったのか?」
「ああ、見張りを倒して、探したらすぐに見つかったよ。この試合俺たちの勝ちだ!」
「そうか! よくやった!!」

「おめでとう、雄一、かっこよかったよ」
「勇人!? ずっと見てたのか?」
「すごく強くなったね! 学校に来てない間ずっと練習してたの?」
「ああ、他の技も練習したんだが、結局使わなかったがな」
(雄一は本当に強くなったな……もしかしたらあっさり火野に勝ってしまうかもしれない)


「ねえ雄一、僕に射撃を教えてくれないかな?」
「え? お前って射撃下手なのか?」
「うん、実は射撃は間宮と大して変わらないんだ」
「そうか……。分かった、ただし模擬戦に付き合ってくれよ?」
「う!? それは……仕方ない……分かったよ」
「おし、交渉成立だな」
 
 

 
後書き
さて、パワーアップし帰ってきた雄一、はたしてライカを倒すことはできるのだろうか?

カルテットまでの間、雄一は何をしていたのかも書いてるんですが、投稿するべきかどうか迷っています……。 
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