落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
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第4話 久しぶりの諜報科らしい仕事
前書き
皆さんすみません!! 今日中に更新できるかもしれないと言ってましたが、調子に乗って次の話を作っていたら日付が変わってました。
本当に申し訳ございません!!
翌日――
「あ~よく寝た~」
背中の痛みもすっかりと消えている。
「早く支度して学校に行くか」
教室に入ると僕に気づいた間宮が話しかけてきた。
「勇人君! 昨日、どうして休んでたの? 心配してたんだよ?」
「あれ? 先生から聞いてなかった? ちょっと体調不良でね」
「そうだったの? 勇人君、毎日来てるから何かあったのかなと思って心配してたんだよ」
「そうか。心配かけたね」
間宮と話し終えて自分の席に座ろうとしたら……
がしっ!!
誰かに肩を掴まれた。しかも相当な握力をしている。そして、殺気のようなものがにじみ出ていることがわかる。振り返りたくないがこのままだと肩が粉砕してしまう。仕方ない、覚悟を決めて振り返るか……
振り返ると……予想していた通り、佐々木がいた。
「あのー、佐々木さん? どんなご用件で? それと、できればその手を離してほしいです」
「お断りします。どうして……どうして……あなたのような下等生物があかりちゃんに心配されるんですか……天原勇人……正直に白状しなさい……あかりちゃんを誑かしましたね……?」
(えええええ!? この人、理不尽にも程があるだろう!? しかも僕の事をさりげなく下等生物って言ったよ!? 名誉棄損で訴え……ああ、だめだ。この人の父親は武装検事だった。間違いなく秘密裏に葬られる……)
「い、嫌だな~。そんなことをするわけないですよ。僕は全く興味なんてないんだから」
「それはあかりちゃんに魅力がないって言ってるんですか!!!! この下等生物が!!」
(うわあああ!? この人マジで面倒くせええええ!!)
「いやいや! そういう意味じゃないですよ! 間宮にはちゃんと魅力が――「問答無用」ぎゃああああ!!! ちょ、ちょっと! これじゃあ本当に粉砕して――「しぶといですね」 痛い痛い痛い!! やめてやめてやめて!! 死んじゃう死んじゃう死んじゃう!!!」
佐々木が手に力を込め僕の肩を破壊しようしてくる。
「し、志乃ちゃん! これじゃあ本当に勇人君死んじゃうよ!? もう許してあげて!!」
「あかりちゃんがそこまでで言うなら……」
佐々木は手を離してくれた。
「た、助かった……」
「みんなおはよう~ってどうした勇人!? しっかりしろ、誰にやられた!?」
雄一が入ってきて僕の状態を見るなり心配してくれる。
「さ、佐々木に……」
「ああ、俺も経験あるよ。ドンマイ」
急に冷たくなった……。
「そうかそうか、つまり君はそういう奴なんだな」
「どこかで聞いたようなセリフをもってくるなよ……」
「と、とりあえず救護科へ行ってくるよ。悪化なんてしたらシャレにならないから」
救護科に肩を見せに行くと「これは重症ですね~。まあ、なんとかするんで安心してください」と言われ処置を受け、教室に戻っているところだ。
「ん? あれは……風魔と……誰だ? あの男子生徒は? まさか……彼氏か!? 面白いものを発見したな。ちょっとからかってみるか。おーい、風魔」
「ん? 天原殿ではないか、某になに用でござるか?」
「ああ、ちょっとな。それよりそちらの男性は風魔の彼氏か?」
質問すると、風魔と男子生徒は慌てた。
「ち、違うでござる!! こちらは某の師匠で、戦妹として契約しているだけでござる!! 決してそのような関係ではござらん!!」
「え? 師匠?」
「出会い頭にとんでもないことを聞くんだな……」
男子生徒は頭を掻きながら呆れている。
「俺は探偵科に所属している。遠山キンジだ」
「なるほど……あなたが……おっと、自己紹介が遅れましたね。風魔と同じく諜報科に所属しています。天原勇人と申します。以後、お見知りおきを」
「天原殿は、師匠の事をご存じでござるかのか?」
「ええ、入試で教官を倒すほどですからね。それにクラスメートが熱狂的なファンのもので。それにしてもなぜ、探偵科に転科して……いや、野暮な質問でしたね」
(この人、過去に何かあるようだ……。強襲科でSランクだったのに探偵科に転科するってことは、強襲科で仲の良い友人でも失ったのだろうか?)
そう勝手に推理していると……
「ああ!! キンジ、やっと見つけたわ!! ん? 風魔に……誰?」
ピンクのツインテールで身長が低い人が話しに割って入ってきた。
「初めまして、1年A組の天原勇人です。所属している学科は諜報科です」
「ああ、あんたが、あかりが言っていた……私は強襲科の神崎・H・アリアよ」
「間宮と知り合いなんですか?」
「ええ、私の戦妹だもの」
「ええええええ!? 初耳ですよ!? そんなの!!」
「廊下で大声を出さない!!」
「ごふっ!」
「それよりキンジは……いない!? また逃げた! もうっ!」
僕に制裁を加え、そのまま神崎先輩はいつの間にやら消えている遠山先輩を追っていった。
遠山先輩が女たらしという噂があったが、本当なのだろうか?
すると1限目開始のチャイムが鳴った。
「あ、やばい! 教室に戻らないと! じゃあね、風魔」
「うむ」
昼休み――
「ああ~座学は本当に疲れるな~」
勉強は分かるからこそ、楽しいのであり、分からなかったらつまらない事このうえない。
「確かに……数学は分からないことが多いな。それにしてもこのパンうまいな」
僕の目の前で雄一がパンを食べている。
「雄一、食べながらしゃべらないでよ……飛んでくるんだけど……」
「ああ、悪いな。気をつけるよ。それより勇人、また俺と模擬戦してくれないか?」
また模擬戦の誘いをしてくる雄一……前は強制連行されたが今度はそうもいかない。
「え~。前にやった時に、背中を強打したんだよ。痛いのは嫌だ」
「そこを何とか……」
これで引き下がらないのは想定済みだ。ならば……
「実は僕、ある夢を見たんだ」
「夢? どんな夢だ?」
「雄一がライカに勝つ夢。そしてこれは……恐らく……正夢だ」
もちろん嘘だ。そんな夢見たことは一度もない。あ、ライカが雄一をボコボコする夢は見たことはあるな。
「マジで!? よし!! ライカに勝負を挑んでくるわ!! 首を洗って待っていろよ! ライカ!」
そう言うと、雄一はパンを飲み込み走って行った。
「よし、なんとかなったぞ。これで僕の背中は守られた」
昼飯を食べた後、僕は物を運搬するクエストを受けた。届け先は……武敏さんの喫茶店だ。
よーし、とっとと終わらせるか。
「武敏さん。届け物ですよ」
「おお、勇人。武偵に届けさせると連絡があったが、お前だったのか」
武敏さんに荷物を渡す。それにしても……妙に大きいな……なんだろうか? コーヒー豆とかだったらわざわざ武偵に届けさせる必要なんてないはずだ。
「武敏さん、この荷物ってなんですか?」
「まあ、気にするな。大した物じゃない」
「そうですか……じゃあ僕は戻るんでこれで」
「ああ、お疲れさん」
喫茶店を出て武偵高に戻る途中……
オールバックでサングラスをかけた暴力団員のような人が目にとまった。ただの暴力団員なら気にしないが、彼が持っているアタッシュケースが気になった。
(暴力団員のような格好にアタッシュケース……怪しいな。アタッシュケースっていう時点で怪しい。ドラマや漫画であの中に入っているのは大抵、麻薬とか危険なものだ。うーん、なにかあった後だと怖いし、様子を見てみるか。)
そして、勇人は暴力団員のような男の追跡を始めた。
(人込みを避けるように移動しているな……ますます怪しい)
そう思っていると、男は周りを見回した後、近くの廃工場に走って行った。
(あそこは2年前に廃棄された工場だな……って怪しすぎるだろう!! とりあえず中に入ってみて様子を見よう)
「さて、正面から堂々と入るわけにはいかないし……あ、都合よく窓が開いてるな~あそこから入ろうかな」
窓から侵入すると男達が集まっていた。
(集まってる集まってる。数は10人ほどか……小規模だな。きっと大きい暴力団の傘下だろう……)
「頭、持ってきました」
「よし、てめえら。とっとと買うやつ探しに行くぞ。もたもたしてたら警察や武偵が来ちまう、3日以内に全部売っちまうぞ」
「「「「「「「「へい!!!」」」」」」」」
すると、全員出て行った。
(おっ、運の良いことに全員出て行ったな……さて、もうちょっと情報集めて教務科に報告するか)
さっきまで男たちが集まっていたテーブルに近づき、置いてあるアタッシュケースの中身を確認し、テーブルの上の書類を漁る。
(これは、いつ規模が巨大になってもおかしくないな……!? この薬物の生産地は!? また、“裏”か!? てことは“裏”の組織がバックにいるってことか? いや、まさかこいつらは、組織そのものの傘下ってことか? 念のため武敏さんにも連絡しておこう)
「まずは教務科に報告だな」
勇人は急いで武偵高に戻った。
チャン・ウー先生はどこにいるんだろうか? とりあえず呼んでみるか。
「チャン・ウー先生!」
「アラ? ドウシタノ? 天原チャン」
姿は見えないが、声だけはする。本当に謎の人物だ。
「麻薬を密売してる暴力団を発見しました。奴らは三日以内に麻薬を売り終え、また何処かへ移動し麻薬を密売するつもりです! それに、バックに大きい組織がいる可能性もあり大変危険です。早急な対応をお願いします」
「ワカッタワ。天原チャン。報告、ゴ苦労様。スグに、対応シテモラエルヨウニ、オ願イシテ見ルワ」
チャン・ウ―先生に報告し終え、帰路に着く。
(そういえば久しぶりに諜報科らしい仕事をしたな。やっぱり裏でコソコソしている方が楽しいな)
さてと、武敏さんにも連絡しないと……
喫茶店に行くと武敏さんが店じまいをしてるところだった。
「武敏さん、大事なお話があります」
「大事な話? 分かった、先に中に入って待ってろ」
「分かりました」
喫茶店に入りカウンター席に座る。しばらくしたら武敏さんが入ってきた。
「なんだ? その話しってのは?」
「はい、実は…………………」
「なるほど、面倒なことになってるな……。とりあえず上に連絡してみる。お前の予想が合っていたら一大事だ」
「はい、お願いします」
武敏さんに今日の出来事を話して、寮に帰った。
「武偵殺しやら、組織やら色々とやばいことになってるな」
「何も起こらなければいいんだけど……とりあえず、もう寝よう……なんか疲れた……」
後書き
改めて思いましたが小説を書くのってすごく頭を使いますね。すらすら書ける人が羨ましいです。
急いで投稿した物なので誤字や脱字があれば申してください。
小説の並び順がおかしくなってしまったんですがどなたか、原因がわかる方がおられるなら教えてもらえないでしょうか?
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