インフィニット・ストラトス 自由の翼
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来たるはブロンド貴公子とプラチナ軍人(?)……です。
前書き
先に言っておきます。ブラックラビッ党の皆さん。すいませんでした(土下座
では行きましょう。
○side一夏
初夏の訪れと梅雨に入る季節ギリギリの6月頭。
俺は現在、鈴と一緒に中学の同級生、五反田 弾の家に遊びに来ていた。
今日、春奈はRCI社の社長に呼び出されていたためいない。なにやらやらなくてはいけない接待だかなんだかがあるらしい。
まぁ、俺には関係がないことらしいのでそこはスルーしておくことにした。
IS学園を襲撃した無人機の出来事は大きく取り上げられた。何者かが起こした行動にしては大きすぎる騒ぎだったのでおかしくはないが。
リーダー格の赤い無人機は何者かによって撃破されたとも聞いている。
黒い全身装甲のISだったらしい。
その当時の俺はセシリアと共闘して緑と黒の無人機を撃破していた事もあったし実際に戦闘を行った当事者である俺達は箝口令に従って沈黙を通している。
奴らの目的は未だに分からない……このまま沈静化することはなさそうだがな。
「ちょっと、手加減くらいしなさいよ!バカ弾!」
「手加減したら調子に乗るだろうが。お前は……これでも喰らえ!」
「な!?奥義使うなんて反則よ!」
「勝てばいいんだ、勝てばな。」
現在進行形で弾と鈴は多人数対戦型格闘ゲームの『大乱戦スラッシュブラザーズDX 天仁堂オーラバトラーズ』と言うゲームで絶賛対戦中だ。
赤いフルフェイスヘルメットに赤いボディースーツを着た女で主武装がビーム砲を仕込んだ黒鉄バットのモブス・アレン。
環剣と言う輪っか状の剣を持った筋骨隆々な魔法漢女のありさ―――必殺技が環剣の中心に集めた気をビーム砲のように放射するゼロ・バスターだ―――などの一癖、二癖もある濃いキャラクターが乱闘するというゲームだ。
鈴の持ちキャラはタフさと攻撃力が優秀なオーラ使いの首領・パパラチオ。
豪腕を振り回して攻撃する、サイクロン・ラリアットが必殺技だな。
弾は機動力重視のモブスを使っている。
おおぅ。弾は華麗な8連コンボで場外に巨漢のパパラチオを場外にぶっ飛ばす。
「またやられたぁ~っ!!一夏、仇取りなさいよ!」
「なんで俺に振るんだよ……まぁ、やってやるが。」
「なに!?……一夏が相手?」
あからさまに動揺する弾……無理もないか。
コイツは俺に勝ったことが一度もない。連戦連敗の奥義封印でも勝てない―――なんでだろうな。
「ふ、フンッ。今までの俺とは一味違うぜ!―――覚悟してろよ、一夏!」
「そのセリフ何度目だよ。」
俺はため息と共に鈴からコントローラーを受け取りバトンタッチする。
……はぁ、手加減してやらねぇとな。
俺は持ちキャラのキャプテン・イーゲルゥを選択する。もちろん奥義封印の縛りありだがな。
で、1時間後たったくらいで……
「燃え尽きたよ……燃え尽きたぜ。」
「え……ちょっと弾!?なんで真っ白になってんのよ!?」
気力体力を使い果たした弾は真っ白になっていた―――それも、某ボクシング漫画主人公の最期ように―――タオル投げたほうがいいのか?これ。
「ちっきしょぉぉぉぉ!なんで勝てないんだよ、最強の漢女持ち出したのになんで勝てないんだよぉぉぉぉ!?」
復活が早い弾。もうカラー画質に戻って吠えている……元気だなおい。
「ちょっと、落ち着きなさいって!」
若干引き攣った顔で鈴が弾を宥める。
「ちきしょぉぉぉぉ!リア充と非リアの違いなのか!?そうか、そうなんだな!?」
「だぁーもう!黙りなさい!」
スパコーンッと鈴が暴走しかけの弾の頭をはたく。なんか気の毒に思えてきたな……。
まぁそんなこんなで弾は俺との対戦成績を遂に50敗を超えさせた。手加減してんのになんでだよと言う心のつぶやきを俺は飲み込む。
弾よ……強くなれと。
と、部屋の麩がコンコンと叩かれる。誰かがノックしたんだな。
「お兄。お爺ちゃんが昼飯食えって。」
そんな言葉と共に部屋に顔を出すのは弾の妹の蘭だった。
「あら、蘭じゃない。ちょっとは背丈伸びた?」
「む……鈴さんお久しぶりです。あれ、そんなに身長小さかったですか?」
「なんですって?」
見つめ合う二人の視線はバチバチと火花を散らしているように見えるのはなぜだ?
「何やってんだよ、鈴と蘭。」
「はひ!?い、一夏さん!」
話しかけたら蘭が一気に緊張した……俺なにかしたか?
しかし……蘭よ。その格好はラフすぎやしねぇか?と俺は心の中で呟いた。
タンクトップ(ノーブラ+へそが丸見え)にショートパンツ。動きやすさと暑さ対策かもしれんが兄貴がいるならしゃんとしてやれよ。
「お前ら、ホントは仲いいだろ。」
「「そんなわけあるか!……真似するんじゃないわよ!(しないでください!)」」
弾のツッコミに過剰反応して二人はハモる……まぁほっとくか。
「一夏も昼飯食っていけよ。まぁ定食の残りもんだろうけど。」
「いや、いいさ。昼飯ゴチになるぜ、なんだかんだ言って厳さんの飯は美味いからな。」
御年80歳を過ぎる年頃の弾のじいさんで五反田家の頂点。厳さんの作る定食は懐かしい味がして落ち着くしうまいから俺は嫌いじゃない。
「じゃ。そいつらはほっといて―――」
「「……あ?」」
「い、一緒に降りような、二人共!」
弾、見事に尻に轢かれてるよな。俺なら正々堂々と面と向かって―――
『唯一の身内の二人に勝った試しはあるのか?』
……なんとなく、なんとなくそんな声が聞こえた気がした。
「先に降りとくからな。」
俺は三人にそう言って部屋を後にした。
それから数分後。ちゃんとした服を着た蘭と鈴が俺たちの前に座り、何やら二人は牽制しながら飯を食っている。
そんで、他愛のない世間話から逸れていって俺が春奈と寮で暮らしていると聞いた蘭はなぜか取り乱した。
「し、寝食を共にしているってことですかっ!?」
「いや、俺らは姉弟だぞ。一線を越えることはない。」
俺はプライベートでお互いの干渉はしないという意味でそう言ったのだが、蘭は再び硬直した。
そして、しばらく沈黙する蘭は何か考えているようにも見える。
「決めました。私、来年IS学園の受験を受けます!」
バンッとテーブルを叩きながら立ち上がる蘭に若干驚く。いや、そりゃそーだろ。
「はぁ!?」
鈴が間髪入れずに反応した。それに遅れて弾が―――おいコラ止せ……と制止しかけたが間に合わず。
ガタタッと椅子をひっくり返しながら立ち上がる弾。
「お、おま!?何言ってんだよ―――「飯食ってる間に立つんじゃねぇ!」」
厳さんが声を被せながらお玉を投げる。
スコーンッと小気味のいい音と共に弾がひっくり返る。厳さんは食事中のマナーに厳しい人で俺もよくこんなふうに殺人級お玉(そこまでじゃないが)を食らわされたことがあった。
……蘭や春奈、鈴にはお玉を飛ばさないんだけどな。
しかし、この話は非常に勿体無い。と言うのも蘭が通っているのは聖マリアンヌ女学園の中等部。成績次第で高校、大学までエスカレーター方式の進学ができる学校だ。
「それ、なんか勿体無くないか?」
「そうだよ、一夏もいってや―――「お兄?」……ハイィィィッ!!」
蘭に睨まれてビシッっと気を付けの姿勢になる弾。そのままカクカクした動きで椅子を戻し座ると沈黙。何も言わなくなりもそもそと食事を再開した。
「弾。」
「ナンデショウカ?」
片言になる弾……怯えすぎだろコイツ。目が動揺に染まっていた。
「お前もいろいろ苦労してるんだな。」
「……そう言ってくれるだけで俺は―――(グスンッ」
「「……え?」」
半泣きの弾に俺と鈴は戸惑った。……でもまぁこれが五反田弾の平常運転だったんだよな。
―――て、いかん。飯が覚めると勿体無い。俺は食事を再開した。
「IS学園に来たらまぁ……教えてあげなくてもないけど?」
「む……下克上上等です!」
うん。あっちやこっちは準戦闘状態。俺は中立を保つことにして、無心に飯を食った。
「……おい、一夏。飯食ったらゲーセン行こうぜ。」
「いいが何するんだよ?」
「……エアホッケー。」
あえて10連戦連敗のアーケード・エアホッケーの勝負を挑んでくる弾に俺は……
「お前ってほんと……馬鹿だな。」
と返した。もちろん、ゲーセンで弾を打ち負かして連勝記録を18に伸ばしたのは言うまでもない。
IS操縦者は伊達じゃない。―――なんてな。
●
○Noside
休日が明けて今日は月曜日。もちろん、襲撃事件があってもIS学園は平常運転で授業はあった。
校舎に被害がなかったのが幸いしたとも言われていた。
「春奈さんのISスーツってRCI社製の物だったよね?」
春奈は仲のいい相川清香がISスーツについてを聞いてきたのに応じて返答する。
「うん。そうだよ?」
「あの生地結構質感よくて好きなんだけど……値段が高くない?」
「最近は値下げのために社長さんが頑張ってるって聞いたけどな~……今度回してもらえるか聞いてあげようか?」
「いいの!?」
「あんまし大きな声は出さないでね……じゃあ今度頼んでみるよ。」
ISスーツは学校指定の物に慣れたあと各自オーダーメイドで作るのが主流となっていた。
RCI社はその分野ではかなり名を上げており、高級ブランドとして取引されていた。
それを用意する期間になってきていたので清香は春奈に頼んだのである。
「もう予鈴もなるし千冬ね……織斑先生が来るから清香ちゃんも座ったほうがいいよ。」
「うん、じゃあお願いね。」
ルンルンという感じで清香は席に戻っていく。
「諸君、おはよう。」
『おはようございます!』
数分後千冬は教壇に登って挨拶と共に連絡事項を述べた。
いよいよISを使った実際の訓練を始めることを生徒たちに伝えた。
「私からは以上だ。では、山田先生。ホームルームを」
「は、はい。」
真耶は何やらドアに手招きをしている。
「皆さん、おはようございます。今日はまずサプライズが。」
真耶の言葉は間を空けて生徒たちの好奇心を増幅させた。
「なんと、今日は転校生2人を紹介します!」
『えええええ!?』
教室がざわめきで揺れる。と、そこへ千冬が教師用の机を出席簿でバシンッと叩く。
「静粛に。まだ話の途中だ。」
生徒たちはピタリと止まった。
「では、デュノア、ボーデヴィッヒ。入ってこい。」
千冬に呼ばれた二人の転校生が教室に入ってきた。
一人は金髪。もう一人はキレイな銀髪を靡かせて教壇に立った。
直後、教室が固まった。
「シャルル・デュノアです。よろしくね?」
その少年の柔らかな微笑みは寸分狂わず少女たちのハートを打ち抜いた。
「フランスから来ました。日本については予備知識くらいしか持ち合わせていないんですが……よろしくお願いします。」
次に左目に軍用の眼帯を着けた銀髪少女が喋った。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。皆、教導くらいなら付き合ってやろう。」
そんな言い回しに加えて少女は言葉を綴る。
「ドイツから来た。日本文化については予習程度なら済ましている。仲良くしてくれればありがたいが……よろしく頼む。ちなみに趣味は―――」
「ンンッ!ボーデヴィッヒ、そのへんでいい。」
わざとらしい咳払いでラウラと名乗った少女の言葉を千冬が遮った。
「了解です、教官。」
「教官は止せ。もうお前の上官ではないだろう?」
「はい……失礼しました織斑教諭。」
「さて、諸君。授業を―――」
『きゃあぁぁぁ~ッ!』
突如として教室が黄色い叫び声に震えた。
「え、ええ!?」
怯えるシャルル……無理もないだろう。
テンションがMAXになった女子に敵う生物は例外を除いて存在しない。
「男子!3人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「地球に感謝、太陽に感謝だァァァッ!!」
「ネタが増えた!万歳ッ!薄い本の内容を厚くするわよ!」
「了解です!デュノア×天地!?それとも―――」
「そこは織斑×天地で間にデュノアを挟め。そのほうが三角関係から友情に持って行きやすい。」
「そうね!……て、え?」
ギョッとする婦女子会会長の黒園白百合、その傍らにはいつの間にかラウラが立っていた。
「ふ、私も白百合、黒薔薇。背徳の赤薔薇を愛する淑女だ。」
白百合の目が光る。効果音はキュピィーンだ。
「あなた、なかなか話が分かりそうね!?」
「ああ。」
視線を固定するふたりの少女。
「「同胞よ!逢いたかったッ!」」
彼女たちがガッチリと握手したの理由については今は語るまい。
「……はぁ。またボーデヴィッヒの悪い癖が出たか。」
「織斑先生!?体調不良ですか!?」
人知れず頭を抱える千冬。その背中を真耶がさすっていた。……かなりシュールな光景だったと後に生徒たちは語っていた。
この騒ぎはチャイムが鳴ってもしばらく続いていた。
そして、白百合とラウラの出会いは後にとある騒ぎの発端となることなど誰もが予想もしなかった。
●
後書き
天地と一夏、シャルルを狙い女子の包囲網が彼らを襲う!
活路を見いだせなければ待っているのは地獄の出席簿!
彼らは走る。そして、明らかになる真耶の実力。
次回インフィニット・ストラトス 自由の翼
ボーイ・ミーツ・ボーイ
ご期待下さい。感想、評価も待ってます!!
と言うわけでラウラがふj……淑女となってしまいました。
後悔はないと思う(汗
ではこのへんで失礼します。
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