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万華鏡

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第六十六話 ゲリラライブその九

「全く、うちの男二人は」
「絶対に飲んでるわよね」
「ええ、お父さんもね」
「お兄ちゃんもね」
「二人共今日は寒いし」
「お酒好きだからね」
「飲んでるわね」
 母は自分の席に座ってカレーを食べつつ話した。
「間違いなくね」
「そうよね、帰って来るの遅いわよね」
「仕方ないわね。まあカレーは沢山作ったから」
「二人が食べる分もあるわよね」
「充分にね」
 それだけの量はあるというのだ。
「だから安心していいわ」
「二人のことはね」
「お母さんもあんたもお酒好きだけれど」
 それでもだとだ、今度は娘に言うのだった。
「冬は気をつけてね」
「飲み過ぎにはよね」
「そう、若しお外で寝たりしたら」
 その時はというのだ。
「風邪じゃ済まないから」
「秋田だと特にね」
「秋田でお外で酔い潰れたらね」
「冬だと死んでるでしょ」
「ええ、神戸も寒いし」
「大変なことになるから」
 それ故にというのだ。
「彩夏ちゃんも注意してね」
「ええ、わかったわ」
「どうしても年末年始は飲むからね」
 十代でもだ、この八条町なら。
「少なくともお酒飲んで風邪ひくとかはね」
「なったら駄目よね」
「そうよ。いつも温かくしておいてね」
 そしてだというのだ。
「お酒を飲んだらすぐに寝るのよ」
「お布団の中で」
「それが一番よ」
「そういうことなのね」
「そうよ、いいわね」
「ええ、わかったわ」
 彩夏も母の言葉に頷いた、そしてだった。
 今日のカレーを食べる、それで言うのだった。
「ううん、カレーもね」
「いいでしょ」
「子供の頃から大好きなのよね」
「彩夏ちゃんカレーなら何でも好きよね」
「そうなのよね」
「カレーはお母さんも好きだし」
 だからだ、今も作って食べているのだ。
「何かあれば作るからね」
「冬もね」
「冬も夏もよ」
 カレーは作るというのだ。
「夏は夏バテ防止、冬は身体を暖める為に」
「食べるのね」
「どの季節でも美味しく食べられるからいいのよ」
「それがカレーね」
「そうよ、ただ彩夏ちゃんも」
「私も?」
「カレーの好みは幅が広くなったわね」
 そこは変わったというのだ。
「子供の頃と比べてね」
「そう?」
「子供の頃は甘口だけしか食べなかったでしょ」
 子供らしいと言えばらしい、子供の頃の彩夏はカレーは甘口のカレーしか食べられなかった。ルーもそれしか駄目だった。
「けれど中辛も食べるようになってね」
「辛口もね」
「食べてるでしょ」
「ええ、そうね」
「ちなみに今のカレーは甘口よ」 
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