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万華鏡

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第六十六話 ゲリラライブその八

「何時でも食べていいけれどね」
「冬にも」
「冬は温かいもの作っていくから」
 身体を温める為だ、彩夏の母は冬はいつもそうしている。
「他にはお鍋も作るから」
「それもなのね」
「お鍋も栄養を摂れるから」
 だからいいというのだ。
「温まるしね」
「お母さん結構栄耀考えてるわよね」
「当たり前でしょ、身体にいいものを食べないと」
「駄目っていうのね」
「誰でもね。お肉とお魚、お野菜をたっぷり食べないと」
「果物もよね」
「そう、よくないのよ」
 よく言われていることだが彩夏の母もこうした考えだった。
「だからよ」
「そういうことね」
「そう。後はね」
「後は?」
「生姜とか大蒜もね」
 こうした野菜もだというのだ。
「たっぷり使っていくから」
「大蒜もなの」
 大蒜と聞いてだ、彩夏は微妙な顔になり母にこう言った。
「好きだけれど」
「匂いがっていうのね」
「次の日学校だったら」
 困る、こう言うのだった。
「だからね」
「勿論そういう日は使わないから」
「そうよね、やっぱり」
「女の子が大蒜の匂いをさせてるとね」
 イタリアやスペインなら構わない、それが普通だからだ。しかし日本においてはどうかというのである。この辺りは仕方がない。
「よくないからね」
「ちょっとね」
「わかってるわよ、だからね」
「そういう日は避けてよね」
「生姜は使うけれどね」
 匂いのしないこちらはだというのだ。
「大蒜は日を選ぶから」
「悪いわね」
「悪くないわよ、身だしなみよ」
 匂いをさせないこともというのだ。
「それもね」
「だからなのね」
「そこは気をつけるから」
「それじゃあね」
「生姜ね、第一は」
 大蒜は限られる、だからこそだというのだ。
「あれよ」
「身体にいいのよね」
「そうよ、風邪には特にいいから」
「だからなのね」
「生姜はどんどん使っていくから」
「楽しみにしてるわね」
「冬は身体が温まる健康にいいものよ」
 そうしたものを食べるべきだというのだ。
「だからいいわね」
「わかったわ、それじゃあね」
「今日はカレー、あとお鍋に」
 それにだった。
「スープやお味噌汁もね」
「粕汁は?」
 彩夏はここで関西独特のこの料理の名前も出した。
「あれも作ってくれるの?」
「ええ、粕汁も豚汁もね」
「色々あるわね」
「そういうものを作るからね」
「私も手伝うから」
「頼むわよ、時間のある時にね」
「ええ、そうさせてもらうわね」
 こうした話をしたのだった、母と。
 そしてだ、彩夏は夕食の時間にそのカレーを食べた。だが食卓にいるのは二人だけだ。それで母はやれやれといった顔でこう言うのだった。 
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