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万華鏡

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第六十六話 ゲリラライブその十

 そちらだというのだ。
「わかるでしょ」
「言わなかったけれどね」
「カボチャ入れたからね」
「その甘味を考えてなのね」
「そう、甘口にしたのよ」
「成程ね、そうなのね」
「カレーもね。中に入れるものでどの味にするか考えないとね」
 駄目だというのだ。
「そういうものだからね」
「そうなのね」
「そうよ。それでもいいでしょ」
「私はね。ただね」
 彩夏は今日のカレーは甘口でいいとした、だがそれでもだと言うのだった。
「お父さんとお兄ちゃんはね」
「二人は、なのね」
「普段ならともかくお酒入ってたら」
「ああ、大丈夫よ。二人共多少飲んでる位ならね」
「甘口のカレーでも大丈夫なのね」
「そうよ、だからね」
 それでだというのだ。
「これでいいのよ」
「そうなのね」
「だから気にしなくていいわ。それとね」
「それと?」
「量もあるから」
 そちらの心配も無用だというのだ。
「安心してね」
「相当食べてもいいのね」
「育ち盛りだからね。どんどん食べなさい」
 このことも気にしなくていいというのだ。
「いいわね」
「うん、じゃあね」
「彩夏ちゃん背はそれ程じゃないけれど」
 一六〇で止まっている、これは他のクラウンのメンバーも同じだ。美優だけが一六七と高いのがこのグループの特徴だ。
「胸がね」
「お母さんもその話するの?」
「目立つからね」
 だからだというのだ、母も。
「前よりもさらに大きくなってるでしょ」
「そうかしら」
「入学の時確か八十八よね」
「そこから変わってないわよ」
「本当に?」
「ええ、本当よ」
 胸のサイズは変わっていないというのだ、彩夏はカレーを食べながら母親に対して真面目な顔で反論した。
「変わってないから」
「大きくなったと思うけれど」
「変わってないわよ」
 このことを強調するのだった。
「本当よ」
「いや、そこまで強く言わなくてもいいから」
「よく言われるのよ」
 困った顔での言葉だった。
「皆からね」
「目立つからね」
「だから胸はね」
「言われたくないの?」
「あまりね」
 実際にそうだというのだ。
「胸ってそんなに大事なのかしら」
「大事よ」
 きっぱりとだ、母は娘に言い切った。
「大きい胸はね」
「そうなの」
「小さい胸もだけれどね」
「どっちにしても胸は大事なのね」
「大きい胸も小さい胸もね」
「どっちもなの」
「大きい胸が好きな人は多いわよ」
 彩夏の様な、というのだ。 
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