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原作に介入=生 不介入=死 何だ!この世界は!

作者:zinn
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13話

「炎帝の剣!」
剣は双剣の内の一本、炎の剣を地面に突き刺した。刺さった魔剣を熱を放ち訓練室の温度を急激に上げていく。

 ここで夕と剣のバリアジャケットの差が現れる。夕のバリアジャケットは少ない魔力で生成されており、尚且つ独学で作られている。それに対して剣のバリアジャケットはデバイスを用い、大量の魔力で基礎を守って作られている。二人のバリアジャケットには強度と温度調整機能に差が存在している。
 
 同じ環境であっても剣のほうが体に影響なく戦えるのだ。

「その調子だと、やっぱり俺の弱点には気づいてるようだな」
「すずかとアリサのおかげでだよ。フレイムドラゴン!」

炎の龍が夕の周りの取り囲むように旋回する。夕は完全に包まれる前にその場を離れ、追尾してくる龍の頭を粉砕する。この時点で夕は肩で息をしている。

 すずかの予想した夕の弱点とは〈エネルギー消費が激しい〉という点である。人は生きている限り何かしらの形でエネルギーを消費している。当然、激しく動けばエネルギーの消費量は更に増加する。夕はその異常な力と回復力を使用すると常人の数倍のエネルギーを消費する。体にノッキングでリミッターをかけているときならともかく、全力で動くとエネルギーの消費量が多すぎるのだ。技を使えば消費スピードはさらに早くなる。夕自身、改造と修行で体に多量のエネルギーをチャージできるようになっているがそれを差し引いても夕の力の燃費は良いとは言えない。それに加えて今回の対戦ではザフィーラ戦、なのは戦、共に激しく動き、技も連発させられたため、夕のチャージしていたエネルギーが大きく削られてしまったのだ。その結果、現在の夕は体力切れを起こしかけているのだ。
無論、夕も消費したエネルギーを摂取するため対策はもっていた。しかし、その対策も封じられてしまっている。

 その対策とは夕が休憩中に飲んでいるドリンクである。

「まさかあのドリンクにあんな秘密があるとは思わなかったよ。すずかとアリサがいなかったら今だに分からないままだったかもしれない」
「俺としては隠しているつもりはなかったんだかなぁ」

 当初、夕がエネルギーを切れを起こすことはないと考えていた。何故なら夕が全力を出すようになってからは一度も疲れた様子を見せなかったからだ。確かに休憩時間に持ち込んだドリンクを飲んでこそいたが、だだの飲み物で多量のエネルギーを摂取できるとは誰も思わないからだ。


スーパージェル状デロドロンドリンク。一本あたりに含まれるカロリーは《5000キロカロリー》

「一本で5000キロカロリーってどんな飲み物だい?」
「俺に聞かないでくれ。探してみたらあっただけだ」
「でもそれが分かったから今、君の体力を大きく減らすことができている」

 今回のザフィーラとなのはの役割は夕を倒すことではなく、夕の技を引き出し体力を使わせることがだった。さらに対戦を休みなく続けることで夕にエネルギー補給をさせなかった。

 結果、思惑通りに進み。夕の呼吸を乱れた状態に追い込むことに成功している。疲れている夕と体力に余裕あるの剣、どっちが有利なのかは言うまでもない。

「今回で終わらせてもらうよ。三河!」
「できるなら、どうぞご自由っに!」

剣は接近戦による短期決着を避けるために魔力を気にせず、遠距離技を連発する。夕は隙を見ては接近し、剣にダメージをじわじわ与えていく。しかし、残り体力が少ないためその動きにはいつものキレがない。 戦いが長期戦になる中、夕に剣の双頭剣の連撃が決まる。普段の夕なら鉄塊で防ぐが、ここで守りにエネルギーは使っては勝てるものも勝てない。その為、敢えて直撃を受ける。そして吹き飛ばされる前に剣に蹴りを叩き込む。その結果、両者が吹き飛ぶ。

「行くよ三河、奥義フェニックス降臨!」
「受けて立つ!風の神槍!」
 吹き飛ばされながら剣は渾身の魔法で巨大な不死鳥を繰り出す。夕も空気を乱し極限まで研ぎ澄して作った空気の槍を強靭な足で不死鳥目がけて蹴りだす。

中央で両者の技が激闘する。結果は…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
槍は不死鳥を貫き、壁に激突する。Sランクの魔導師の攻撃でも傷一つ、つかない訓練室の壁を風の槍は大きく凹ませるほどの威力をもっていたのだ。
勝者は夕なのか?………………………いや。

「まだだよ!フェニックス再臨!」

 貫かれたはずの不死鳥が復活したのだ。剣の奥義 <フェニックス降臨>の驚異とはその攻撃力以上にその再生能力にある。たとえ風の槍で貫かれようともかけらでも炎が残っていれば周囲に散らばった自分を構成する魔力をかき集め復活する。不死鳥の名に相応しい魔法である。不死鳥を倒したければ強大な砲撃で全身を吹き飛ばし再生不可能にするか、魔力結合に介入し結合を狂わせるしかないのだ。

「いけ!フェニックス!」

復活した不死鳥はその巨大な翼で相手を包み焼く。それで決着する。





















「すごい魔法だ。でもまだ決まらないな」
だが現実は厳しく戦いはまだ続くようだ。

 巨大な炎の不死鳥を夕は手刀で真っ二つにする。
「なっ!?でもフェニックスはすぐに」

一刀両断された不死鳥はそのまま霧散する。

「再生しない。どうして!?」

観戦室

「剣のフェニックスが再生しねぇ。どうなってんだ?」
「わからん。神谷になにかが起きたのか。それとも」
「三河君の攻撃に仕掛けがあるのかもしれないってことね」
「どちらにしても戦いはまだ続く。わかっているのはそれだけだ」

さすがは戦乱を生き抜いたヴォルケンリッター。冷静に戦いを見ていた。

「「「………」」」

三人娘はあまりのショックに無言となっている。

「もしかしたら」
クロノはなにかに気付いたのか計測機械を操作する。

「わかったぞ。三河は魔法を使っている」
「魔法?魔力弾もバインドも見えないけど」
「私にも何の変化も見えへんけど」
「お兄ちゃん。どういうこと?」
「これを見てくれ」

クロノは計測機の結果をホロウィンドウで表示する。ホロウィンドウには剣とは違う魔力を検知されていることが示されていた。そしてその魔力の発生源は夕の手首より先を指していた。

「手首より先に魔力を纏っているってこと?」
「正確には特殊な魔力の振動を手首より上で発生させているんだ」
「特殊な振動?」
「これは僕の予想だが、その振動が剣のフェニックスを再生不可能したんだろう」

訓練室

「これが俺の奥の手だ。俺の作りだす魔力振動はあらゆる魔力結合を分解する。そしてこの振動で分解した魔力は再度魔力を込めないと再結合できない」
「だから僕のフェニックスが復活しないのか!でもどうして今になってその魔法を!?」

確かにこれまでの戦闘で使いどころいくらでもあったのだ。

「この魔法は便利だが使い勝手悪いからな。おいそれと使えるものじゃないんだ」

 ここでこの魔法利点と欠点を説明する。

この魔力振動あらゆる魔力を分解する。それに加えて分解した部分に作用し魔力を再度込めなければ再結合不可の状態にする、魔力もほとんど使わないという利点をもつ。
欠点は、あらゆる魔力結合を分解するが自分の魔力もその例外ではないということ。つまり、この魔力振動を纏うと自身の強化魔法も打ち消してしまうのだ(夕もこの技の使用中はバリアジャケットである手首から上のプロテクターが消えている)。更にこの振動波を作り出すには微細な魔力コントロールを行う髙い集中力を必要とするため戦闘中にその集中力を維持し続けるのは難しく現在の夕では10分程度しか戦闘中は維持できない。
 つまりこの魔法を使うには強化魔法なしである程度の戦闘ができ、高い集中力を戦闘中に維持したまま戦える人にしか使えない魔法である(神経のほとんどを振動は生成に使っているのでバリアジャケットくらいしか魔法も使えない)

「説明は終わりだ悪いな神谷。今回は俺の勝ちみたいだ」
「がはっ!」

夕は呆然とする剣を蹴り飛ばす。剣は地面を転がり止まる。剣を蹴り飛ばした夕もそこで膝をつく。夕も限界ぎりぎりなのだ。連戦と温度に体力を奪われ、技を連発しエネルギーを大量消費し、その状態で高い集中力を維持し続けなければならない奥の手を使用させられた。体力も精神力も限界をとっくに超えているのだ。

「今回の作戦はよかったよ。次に期待する」

剣side

「今回の作戦はよかったよ。次に期待する」

「(次か………また新しい作戦を皆で考えないと、皆で考えればすぐに新しい作戦が思いつくさ)」
剣は無意識にそう考えるそうして意識が闇に落ちる瞬間。

それでいいのか、そんな言葉がよぎった。

「(確かにまた良い作戦が思いつくかもしれない。でもそう簡単ではない。どれだけ時間がかかるわからない。なにより僕はその作戦に参加できるのか?僕が神谷を倒せるのか?)」

いつ、誰かがではなく、今、ここで自分が夕を倒したい。剣の中にそんな感情が生まれた。
「(プレシアも救えてないし、リィンフォースの消滅も止められなかった。その後のこともそうだ。僕は何一つ成し遂げてない)」

<<約束しよう皆で今度こそ三河君に勝つって>> 作戦が決まったときなのはが言った言葉だ。

「そう…だね。約束した…ね。ゴホッ。いいかげん………一つくらい成し遂げないとね」

 剣は双剣を杖にして震える足で立ち上がり、足を引きずるようにして夕に近づいていく。

「へぇ。まだ動けたのか。冗談なしですごいな」

 膝をついている夕は動かない。剣は夕の体に手が触れられる距離まで近づく。

「約…束したん…だ君に勝つって」
「そっか。約束したのか。なら守らないとな。それでそんな状態で何する気だ?」
剣は行動で示した。夕の体を弱弱しい力で押したのだ。夕は押され倒れる。
 夕も限界を完全に超えて弱っていた。弱弱しい力で押されても抵抗できないくらいに。そして夕にもう立ち上がる力は残っていなかった。


勝者 神谷剣。

倒れた夕の右手についていたロストロギアが光りだす。勝者である剣に渡ろうとしているのだ。

「あとは任せたよ皆」
剣の意識もここで途切れる。消えゆく意識の中で誰かがロストロギアを封印する音が聞こえた.

 剣side end 
 

 
後書き
魔力結合を分解する振動波の名前が思いつかない。 
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