天使舞う、この世界
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NO.12 成長
前書き
遅くなってしまいました。
こんにちは、夜の方はこんばんは、朝の方はおはようございます。レイナーレです。
今日は平和です。争いもなく、たまに時間停止するくらいですね。今はおいかけっこの最中です。
「ルフェイ!髪の毛染めるわよ!真っ黒に!」
「本当に唐突すぎますね!?」
黒髪四姉妹を作るんじゃ~!
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さて、我が家は今、家族全員が総動員して動いている。わけは・・・・・・
「さて、そろそろ家電を取り入れるわよ」
「一つ聞くけど、運送手段ってなんにゃ?」
「徒歩に決まってるじゃない」
こんな会話があったためだ。
冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの家電製品を買って徒歩で持ち帰っているからだ。通りすがりの人たちが信じられないようなものを見る目で見てきているが、気にしない。
まず、俺は一人で洗濯機を持っている。かれこれ十分以上。
黒歌とオーフィスは二人で冷蔵庫を持っている。残ったルフェイちゃんは電子レンジ、ポットなど大型ではない家電製品を運んでいる。勿論、全員余裕の表情だ。伊達に人外じゃない。因みに、オーフィスは姿を成人女性ぐらいまで成長させてもらっている。幼女に持たせるわけにはいかんだろ。
「レイナー・・・・・・じゃなくて千代紙さん、この後の予定は?」
「特にないわね。じゃあ、それぞれやりたいことをやりましょう。なるべくお金がかからないことをね」
家電製品を買ったせいでまたも金欠なんだぜ☆
さて、やっぱり暇だな。学校がある訳じゃないし、家には娯楽はほとんどない。
「我が家には潤いというか安らぎというか、所謂娯楽がないのね」
「今更気がついたのかしら?」
黒歌が言う。
うん。死なんように必死で生きていましたから、そんな暇なかったんです。まあ、ファンタジーな力を使いこなすのが楽しかったことは否定しない。
「なにか娯楽を買おうかしら?オセロ?将棋?それとも麻雀?」
「全部テーブルゲームじゃない・・・・・・無難にトランプでも買えばいいと思うのだけれど」
黒歌にしてはまともじゃないか。
「私にしてはってどういうことよ!」
さあ?その豊満な胸に聞いてみなさい。
そんな雑談をしている内に、我が家に帰ってきました。
そして昼食の時間。
「うまっ!」
「美味しいです!」
「ん。美味」
黒歌が昼食を作ってくれたので、皆で食べています。マジでうめぇ!黒歌に意外な才能があったぜ!
いや、シスコンだから白音に食べさせるために頑張ったのかな?
「黒歌ってモフられるのとつっこみ以外にこんな才能があったのね・・・・・・ッ!」
「まずはその変な認識を改めるにゃ!」
え?他にどんな認識をしろと?
「さて、ルフェイが『贋造魔女』を使いこなせるようになり、黒歌も時間仙術が使えるようになったし、そろそろ次の目標を決めましょうか」
「その事にゃんだけど、レイナーレ」
「なに?」
「レイナーレの弱点を見つけたにゃ」
にゃに?俺の弱点?はっはっは、黒歌が見つけられるわけがない。
「なんなら、また模擬戦でもしてみるかにゃ?」
「そうね。やってみましょうか」
この時俺は負けるなんて微塵も考えていなかった。
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「ああ、これは確かに・・・・・・」
「致命的」
「そういうことにゃ」
黒歌との二回目の模擬戦、俺の惨敗だった。
黒歌がやったのはごく単純なことで、結界である程度の密室空間を創り、そこを濃霧で満たすという戦法だった。
俺の『天使』『絶滅天使』は光を操る。
ご存じの通り、霧の中では光は水分子に当たってしまい一直線に進めず弱くなってしまう。
その結果、まともに攻撃出来ず、結界を破ろうにも、威力不足で破れない。結界を破らないと霧から解放されないという悪循環に陥り、あっさり負けた。
「『絶滅天使』に頼りすぎたツケが回ってきたのかしら・・・・・・」
今まで『絶滅天使』に頼りきりだったからなぁ。封じられたら手も足も出ん。
「というわけで、レイナーレの課題は『絶滅天使』以外の武器を持つことにゃ」
あー、はい。わかりました。でもなにを習得すればいいんだか。
光が俺の主武器だから、光と相性がいいもの・・・・・・雷?
ってそれじゃあパクりだろうが!雷光はいいアイデアかもしれないがパクりはアカンやろ!
と言っても雷以外に思い浮かばないし・・・・・・まあええやろ。
「じゃあ、雷とかかしら?」
「ダメにゃ。適正がからっきしにゃ」
こんなところで元踏み台故のスペックの低さが影響してくるなんて!お姉さん悲しいよ!?精神的には男だけど!
だとすると、選択肢は一つしかない。光しか適正がないのなら、霊力を使って水分子を突破する!
頭が悪くてすいません。でもこれしか思い浮かばないんです。
早速『天使』『絶滅天使』の光を霊力でコーティングしてみる。
うえぇ、負担が増えた。『天使』にも霊力を使うから燃費がぁぁ・・・・・・。
「とりあえず対抗策はできたわ。後は実践ね」
「じゃ、これに向かって撃ってみるにゃ」
黒歌が用意してくれた濃霧のボールに霊力でコーティングしたレーザーを放つ。
結果は、威力を衰えさせず貫くことに成功した。
「これなら良さそうね。後は負担を減らせるように頑張るわ」
「課題とは違うけど・・・・・・まあいいかにゃ」
弱点補強はできた。負担が増えたが。
「私は疲れたから寝るわ。おやすみなさい」
「おやすみにゃ」
「ん。おやすみ」
「おやすみなさい」
やったことがないことをやると結構疲れるんだよね。
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翌日
「うひゃあああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!??」
全く女性らしくない悲鳴が鳶一家(暫定)に響いた。
「どうしたにゃ!?」
「どうしました!?」
俺の部屋に入ってくる黒歌とルフェイ。
そう。あの全く女性らしくない悲鳴を出したのは俺なのである。だって、だって!
「は、は、は」
「「は?」」
「羽が増えた!?」
普段隠している天使の羽。たまには伸ばさないと何故か凝るんだよね。羽が。
だから伸ばそうと思って羽を出したら、羽が三対六枚に増えちゃってたのよ。
「なんで!?なんで私に羽が増えるの!?」
「・・・・・・単純に天使としての格が上がったからじゃないかにゃ?」
そんなバカな!?元踏み台の俺が羽を増やすなんてあり得るのか!?
「そりゃ上級悪魔を複数相手にしても無傷で切り抜けたりできるなら格ぐらい上がるにゃ。寧ろ今まで上がらなかったことに疑問を感じるにゃ」
そうなのか。俺、そこそこ強くなってたのか・・・・・・。
でも・・・・・・
「羽が多いと邪魔ね」
「増えた感想がそれですか!?」
ルフェイちゃんにつっこまれた。黒歌は「まあ、これがレイナーレだからにゃぁ・・・・・・」みたいな目で俺を見ている。なんだ、その理解を諦めた目は。
「強くなるのはいいけど、わざわざ翼を増やす理由はないと思うのよね。ぶっちゃけナンセンスよ」
「そこまで言いますか!?」
ナンセンス。意味、無意味、バカげている、など。
「邪魔だから仕舞うわ」
ある程度羽は伸ばせたので、また隠す。
「騒がせて悪かったわ。まだ寝てたでしょう?」
「え?今の時刻は正午丁度ですよ?」
・・・・・・寝坊した!?
「普段から規則性のない生活をしているからにゃ」
そうだな。まあでも、平和だからこんな会話ができるんだろうな。
「どうしたの?」
遅れてやって来たオーフィスさん。右手にぬいぐるみを持っていました。
「(ブフゥ)」
鼻血が出ちゃった☆毎度毎度、オーフィスは俺を萌え殺しにしたいの?
急いでティッシュを鼻に摘める。
「レイナーレ、これが世界二位だって忘れてないかにゃ?」
「黒歌。可愛いは正義よ」
「でも確かに可愛いですよね・・・・・・」
ルフェイちゃんも納得の可愛さ。黒歌、お前が白音を愛でるのと同じようなものさ!
「なんでもないわよ、オーフィス。なんでもないからご飯にしましょう」
「ん。わかった」
と言って下に降りていくオーフィス。続いてルフェイちゃん、黒歌、最後に俺が一階に降りる。
冷蔵庫等が導入された我が家では、黒歌が食事を作ることが多くなった。
「相変わらずうめぇ・・・・・・」
噛み締めて食べる。
今の平和もついでに噛み締める。
さて、いっちょ頑張りますか!
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