戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十二章 幕間劇
星空の下で思う事
「ほぉ・・・・」
空を見ると、現代では見れない夜空が見える。見上げてると星が落ちてくるような感じがしたな。それとも天空神からの祝福か?次の日もこんなに夜空だったら、隊の皆を誘うか。それにしても綺麗だ。こういう時は望遠鏡があればいいのだけど。何か眠くなってきたな。最近はコーヒーを飲まなくなったのか、それとも風か地の精霊が眠れーとでも言ってるのか?
「まあ、今日は準備に軍議があったからな。と言っても準備は任せっきりだが」
森の切れ目に芝生を見つけると、腰を下ろしたら地の精霊の祝福なのか俺が座った辺りだけ金色になった。拠点でも芝生は金色だったような気がするけど。現在一真隊は、久遠の本隊より先行して京に入るという任務がある。重大任務なのか、皆は緊張しているけどあまり緊張をするなと言ってきた。
「それにしても眠くなってきたな。あれか?京に入ったら戦闘態勢に入ったまんまかもしれないからか」
地の精霊と喋っていると、眠くなってきたので一応翼だけは出しておいた。もし敵が来たらこの辺りの精霊が教えてくれるが、味方だったらそのままでいい。それに俺の翼は昼の内に太陽光を吸収しといたから暖かい布団になっている。休める時だけ休んでおこうと思い目を瞑ったらそのまま寝てしまった。
「ったく、寝るの早すぎだぜ!」
「まさか、声を掛ける間もないなんてね」
「せっかくびっくりさせようと思って、隠れていたのにー」
「ずっと草むらでうずくまってた犬子達、バカみたいだよね」
「あははー、間抜けー!」
「何でよ!雛ちゃんだって一緒に隠れていたじゃない!」
「ふふっ。どうして差が付いたのか・・・・慢心、環境の違い?」
「あのさ雛?カッコつけても、身体中に葉っぱ付けまくってる時点で全然決まっていないからな?」
「うにゃ?」
「ほら、動くなって。今、取ってやるから」
「おーー、和奏ちんありがとー」
「それでこれからどうする?一真様は寝ちゃってるし」
「寝ているーーつまり悪戯し放題って事・・・・」
「う、雛が碌でもない顔してる・・・・」
「ふふふ・・・・」
近づいて来る和奏達は、俺に悪戯をしようとしてただの芝生に来た。俺には金色に見えるが普通の人間には見えないようだ。俺に悪戯しようとした瞬間・・・・。
「わっ、な、何だー」
「一真様の翼が動いている?」
「というより、雛達の足元が動かないー。どういう事?」
どうやら地の精霊が俺に悪戯をしようと察知したのか、和奏達の足元を動かなくした。
「たぶんだけど、前に聞いた話では、一真様は神でもあるし精霊と話ができるんだって。たぶん雛ちゃんが悪戯しようという事を察知して犬子達の足元を動かなくしたんじゃないのかな?」
「えー、雛、悪戯だけでまだ何もしてないよ」
「精霊が判断したんだろうと思うよ。それにしても、よく寝ているね。相当疲れているよねー」
「たぶん、一真隊はかなり忙しいと聞いたけど黒鮫隊も指示する時とかも忙しそうだもんな」
「京都への先行任務だっけ?大変そう~」
「でもそういう仕事は引き受けちゃうんだよね。一真様は真面目だから」
「どうせ自分が頑張らなくちゃと思っているんじゃないのか」
「とっても一真様らしいけど、ちょっと心配かなぁ」
「でも一真を知ればこそ、無理すんな、何て軽々しく言えねぇしな」
「だよね・・・・」
と言ってる間に足元を固めていたのは無くなっていた。悪戯心はなくなったと判断したんだろうな。
「でもこれだけ心配してあげてるというのに、当の本人は熟睡中なのが雛にはご不満」
「え?」
「一真さん何てぇ~~」
「お、おいおい・・・・」
「ぎゅっとしてやる!」
「ああっ!」
「ふむ・・・・これはなかなか。翼の所為か凄く温かい」
「いきなり抱き着いたりして、何がしたいんだよ、雛はぁ」
「んとね、実は前から、事あるごとに犬子が一真さんに抱き着くのを見て、やってみたいと思ったんだよねぇ」
「こ、事あるごとにって程は、抱き着いていないんもん」
「ふにゃ~気持ちいい~。こりゃ犬子が癖になるのも分かるかも」
「でしょでしょ!ていうか犬子もくっつくー!」
「おい。言ってる事とやってる事が違うじゃねえかよ」
「ほら、和奏ちんもおいでおいでー。一緒に一真さん分を補充しよーよー」
「ボクは・・・・いいよ。そういうの、ちょっと恥ずかしいし・・・・」
「え~~滅多にない機会なのに、後悔しても知らないよー?それに翼も暖かいんだよー」
「何だよ、後悔って?」
「言葉のまんまだよ。和奏ちんだって分かってるでしょ、一真隊の任務がどれだけ大変なのか」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「今逃したら、もう二度と一真さんにくっつけく事がなくなるかもよ?」
「え、縁起でもない事言うなよ!」
「らしくないなぁ。戦はそういうものだって、よく知ってるじゃない、和奏ちん」
「それは・・・・そうだけど」
「素直になるなら、今しかないって事だよ、和奏」
「わ、犬子・・・」
「そんな訳で!一緒に素直になろぉ、和奏!」
「わわ、押すなって何かに押されてる?これは何だ~~~~っ!」
「おーー、和奏ちんってば、顔真っ赤になっちゃった。たぶんだけど風の精霊が和奏ちんを押したんじゃないの?」
「あ、当たり前だろう!む、無理矢理、こんな恥ずかしい事を・・・・。精霊め、ボクをくっつかせようとしたのか」
「と言いつつも、自分から離れようとはしないんだね~。精霊さんに感謝だよ、和奏の背中を押してくれたんだから」
「そ、それは・・・・確かに雛の言う事にも一理あると思ったから」
「よしよし。素直になったね、和奏ちん♪」
「べ、別に・・・・元々ちょっと照れくさかっただけだしな。いっぺん抱き着いてしまえばどうって事ないっての」
「と、強がるものの、和奏ちんの顔は相変わらず真っ赤っかなのであった」
「それは・・・・ふ、二人だってそうじゃねーかよ!」
「いやぁ・・・・一真さんが起きていれば、いくら抱き着いても冗談で済むんだけどね~」
「うん・・・・まさかここまで恥ずかしいとは思わなかった」
「心臓の音とかはっきり聞こえちゃってるしな・・・・」
「一真さんの身体はとっても温かいけど、翼が雛達を包むようにしているのか、もっと温かいし」
「そ、そうなんだよな・・・・」
すると、皆黙ってしまったようだ。翼は、三人に反応したかのように包み込む。
「一応確認なんだけどぉ、二人とも一真さんの事?」
「うん・・・・何だかんだで優しいし」
「最近じゃ結構頼りになるしな。・・・・雛だってそうだろ?」
「うん、一緒にいると楽しいしね」
「でも、今、一真様にそれを伝えるのは・・・・」
「そだね~、これ以上一真さんの負担を増やせないもんね~」
「でも、一真様が無事に帰ってきてくれたら、その時は・・・・」
「ああ、三人一緒に、な」
「うん・・・・」
「だね・・・・」
数分後が経ってから、俺は目覚めた訳だが。これはどういう状況だ、目を開けると夜空ではなく三若の顔がアップしてた。
「お前ら、何をしている?」
「おぉ一真、やっと起きたか。おはよう」
「おはよう和奏。というか、先程の会話、聞かせてもらったぞ」
「な、何の事ですか?」
「抱き着くなら今の内だとか、一真さん分を補給とか、あと俺に好意を持っている事を」
と言ったら、三人とも赤くなった。どうやら当たったようだな。しかも三人は密着してるから柔らかいのが当たってるな。
「な、な、じゃあ風に押されたのももしかして?」
「ん?それは知らんぞ。ふむふむ、風の精霊によると俺に抱き着くというのが恥ずかしかったようで、背中を押すようにしたそうだな」
「大当たり~、やっぱり精霊さんとお話できるのって本当だったんだ」
「それにさっきまで和奏も、顔を真っ赤に染まっていたくせに」
「わ、犬子!」
「ふふふ・・・・」
「何笑っているんだよ、雛」
「別に何でもないよー?ただちょっと・・・・」
とか言いながら、俺の腕を掴んて胸に押し当ててるし。
「あれ?一真さんの顔が余り変わんない。どうして?」
「そりゃ、こういうのは慣れている。早く離れな、俺の理性が飛ぶ前に」
と言ったら離れてくれたけど、ふう、危なねえ。もう少ししたら襲ってたと思うぞ。というか俺の翼が包んでいるから離れろと言っても離れてくれないから翼を収納した。
「一真様の寝顔も十分に堪能させてしまったし、よしとしますか。それに翼も暖かったですし」
「それに一真さんに抱き着きたくなったから抱き着いてきただけだよ、雛達は」
「一真様、相変わらず抱き着き心地最高だったよー♪そうそう、一真様、いくら陣地の近くだからってこんなところで寝てちゃダメだよ」
「心配いらねえよ。この辺りの精霊に頼んで監視させといたし、天の眼があるからな。敵が来たら翼で攻撃してたところだし」
「まあ、それはそれでいいけどよ。ボクら元々他に用があったんだけどな」
「こないだの戦での犬子達の活躍を自慢したりしようと思ってたんだよね」
「でも、今日の所は自分に素直にって事で、な」
「そーそー、素直に素直に」
いつもは素直じゃないのか。それとも好意を持っているけど、素直になれなかったから今日はなったのか。
「じゃ、一真さん、大変だと思うけど、明日も頑張ってね」
「ボク達も後々すぐに追いかけるからな。それまで死ぬんじゃねーぞ」
「私達も一生懸命戦うから!みんなで一緒に帰って来よう!」
「あまり神をなめないようにしてほしいな」
といって三人の拳をぶつけ合う。まあ、いつものように三若と過ごした夜だが。いつもと表情は違っていた、まるで俺の事が好きなような感じで。
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