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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十二章
  行軍(2)からの使番

「ふあぁぁぁぁぁぁぁ~~・・・・怖かったぁ」

「さすが森の若棟梁も迫力凄かったですけど、お頭の方が何千倍怖かったです」

「我ら凡人とは人種が違う、そう感じましたが・・・・一人だけ対抗できる人が居ましたけど、一真様の怒りに触れたお二人が悪いです」

「・・・・・・・・・・・」

「ふう、全く行軍中に何やっているんだか。和奏達でさえ避けてる小夜叉に、対抗出来そうな感じはしていたたが、梅の評判より俺の評判が下がるような気がする」

ハリセンは元のとこに戻したけど、梅はまだ俺の説教を受けたのかまだ意気消沈している。仏は三度までというが、俺の場合は一度までだ。二度目からは容赦はしない。

「お頭が喧嘩を止めてよかったですけど、一歩間違えば血の雨が降っていたかと思うとゾッとします」

「そういう事にならないように、ハリセンだけでやったんだから」

小夜叉と梅は相性は一番悪い。一応マークしとくか。

「ん?何だ」

「使番?何か凄く急いでいるようですけど・・・・何かあったのかな?」

「確認して来ましょうか?」

「いやいい。俺達に用があるなら本陣から直接呼出しがあると思うし」

「ふむ。どうやらその呼び出しが来たようですよ」

そう言って詩乃は前方を指差す。指差した方を見ると、使番の後ろに、同じぐらいの速度で疾走してくる騎馬が見えた。

「一真様っ!」

「どした、犬子?」

「本陣にて久遠様がお呼びですよ!」

「了解。けど何があった?」

「京への露払いに出ていた麦穂様と雛から、早馬が到着したらしいんです」

「早馬ねえ。で、その内容は?」

「それが・・・・早馬からの報告を受けた久遠様が、すぐに一真様を呼んでくれって。だからどんな報せなのか、分からないんですよねー」

「ふむ。京周辺で何かあったのか?」

「さて・・・・」

情報が少なすぎるだけに、流石の詩乃も首を捻ったまま。

「詩乃と鞠は俺と来い。ひよはころと二人で隊の指揮を頼む。梅と小波は二人の補佐を頼む」

「わ、分かりましたわ、ハニー」

「承知」

「頼んだ、じゃ行ってくる」

さてと、梅もやっと復活したからな。それと早馬が気になるが、何があったのだろうか。

「京近くまで進出した麦穂達から、この時機に早馬とは何があったのやら」

「十中八九。しかし良い報せなのか悪い報せなのか。それが分からなければ推測もできません。良い報せとして考えられるのは、三好・松永党の撤退はあり得ないとして。して、何があるのでしょう?」

「それか、悪い報せとしては三好・松永党の暴発か、それとも二条館への襲撃・・・・。ん?襲撃!」

そういえば足利義輝って、松永久秀達に襲われて一人で戦って死んだんだったな。

「スマンが先に行く。訳は後で聞くがゼロ!馬からバイクにチェンジだ!」

俺が馬からジャンプしたら、乗ってた馬がジャンプしたと思ったらバイクにチェンジ。ヘルメットを被り本陣へ向かう。後ろから声が聞こえたような気がするが後回しだ。

「久遠!」

俺はバイクで久遠の元に辿り着いた後に、バイクから馬に戻したけど。ヘルメットもしまった。

「何があった?」

「うむ。実はな・・・・あの松永弾正少弼が、降伏を申し出てきたらしい」

「・・・・はい?」

久遠の言葉に思わず疑問形で答えた。倒すべき敵が、降伏する何て。

「松永弾正少弼って、これから退治する予定の敵でしかも親玉が降伏?」

三好三人衆も敵のはずだけど、それを操っている黒幕が松永弾正少弼だったはず。

「そうだ。予想だにしない変事が起こったのだ」

「予想外な報せだな」

「麦穂もそうらしくてな。降伏の理由を聞くためにも、すぐに来てくれと言ってきた」

「その使番、本当に麦穂の手の者なの?」

「松永の策略だとでも?」

「俺だったらまず疑うね」

「しかし大丈夫だ。使番は麦穂子飼いの者だ。壬月も確認している」

「なら確報だな」

「うむ。よって我と壬月、エーリカで先行するのだが、一真に護衛を頼みたい」

「分かった。準備しよう」

「一真」

久遠が躊躇いがちに声をかけてきた。

「状況が混迷してきている。また一真の力を借りる事になるかもしれん」

またか。きっと迷惑だろうとでも思っているのだろう。

「何度も言うが、気にする必要はない。俺が好きでやっている事だ」

言いながら、俺は久遠の頬を両手で包む。

「久遠のためなら何とでもできる、それに俺は神だ。目の前にいる者の願いを叶えるのも俺の仕事だ。黒鮫隊もいる事もな」

「ありがとう」

「ではご褒美の前払いをもらおうか」

「え?」

と言う前から俺は久遠を抱き着いた。困惑する久遠だったが、俺が翼を出して包み込むと落ち着いたようだ。 
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